これだけは外せない!コールセンターにおける10種類のKPIを解説【2024年最新版】
今回、取り上げるテーマはコールセンターのKPIです。
これからコールセンターを開設する企業の担当者や、現場の業務体制を見直したいスーパーバイザー、マネージャーの方に向けて、コールセンターにおける10種類のKPIとその設定方法、運用の際の注意点についてひも解いていきます。ぜひご一読ください。
KGIとKPI
まずは日ごろから耳にすることが多いKGIとKPIについて、それぞれの概要をあらためて整理しておきましょう。
KGI(Key Goal Indicator)とは、事業やプロジェクト、営業活動における最終的な目標のこと。「事業を拡大させる」「業界のリーディングカンパニーを目指す」といった定性的な文言ではなく、具体的な金額やパーセンテージ(売り上げ〇〇円、シェア〇〇%など)であらわされます。
そのKGIの達成に向けて指標となるのが、KPI(Key Performance Indicator)です。
ネット通販を例にあげると、平均購入単価5,000円のネットショップがKGIとして月商100万円を目指す場合、達成には1ヵ月200件(=100万円÷5,000円)のコンバージョンが必要になります。その200件のコンバージョンを得るためには、広告出稿やSEO対策をはじめとする集客の打ち手が欠かせません。
ここでKPIとなるのが、コンバージョン数や広告のクリック数、サイトへのアクセス数といった数字です。月商100万円という最終的なゴールを因数分解し、実現に欠かせない要素を具体的な数字=指標に置き換えることによって、目標達成に向けた進捗や、足りない施策などについて細かく検証できるというわけです。
また、進捗が思わしくない場合、目標を達成できなかった場合も、個々のKPIに目を向けることで原因や改善策を見い出しやすくなります。
コールセンターにおけるKPI
コールセンター業務、とりわけ受電業務を担当するインバウンド型コールセンターの場合、売り上げや収益、業界シェアなどを最終的なゴールとするのは非常に難しいもの。
なぜなら、顧客からの相談・問い合わせに滞りなく対応し、感謝の言葉をもらったとしても、それがセールスや収益につながるかどうかはまた別の問題だからです。
そのためコールセンターの多くでは業務コストの削減率や顧客満足度の向上率をKGIとし、関連性の高い要素(応対品質、生産性、運営、顧客評価など)をKPIとして設定するのが一般的。それぞれどんなものなのかを見ていきましょう。
応対品質のKPI
まずはコールセンター業務の基本とも言える応対品質について、代表的な3つのKPIをご紹介します。
1-1.応答率
応答率は顧客からの相談や問い合わせにどれだけ対応できているのかを示すKPIです。「対応件数÷着信件数×100」のパーセンテージであらわされます。
一般的に適正とされているのは90%以上。コールセンターによっては応答率の裏返しとなる、オペレーターの対応が間に合わずに電話が切られてしまった割合(放棄呼率)をKPIとしているところもあるようです。
いずれもシンプルながら、コールセンター業務の現状・成果を見極めるうえでは非常に重要な数値で、多くのコールセンターでは応答率もしくは放棄呼率を最重視しています。
1-2.平均応答速度
着信に対するオペレーターの対応スピードを示すKPIです。
インバウンド型コールセンターの多くでは20秒を適正基準としており、平均応答速度が速いほど顧客の待ち時間が短くなるため、相談や問い合わせにスムーズ対応できているということになります。
また、CTI(電話回線とコンピューターネットワークを統合する業務用システム)を導入しているコールセンターでは、IVR(自動音声応答装置)メッセージが流れている時間を含めて平均応答速度を計測するのが一般的です。
1-3.設定時間内応答率(サービスレベル)
あらかじめ決めた時間内にオペレーターが応答できた割合を示すKPIです。
前述のとおりコールセンターにおける応答までの時間は20秒以内が適正とされており、仮に100件の着信のうち90件に対してその時間内に対応できれば、設定時間内応答率は90%となります。
応答率と並んで非常に重要な指標であり、コールセンター業務の根幹をなすという意味で設定時間内応答率は「サービスレベル」と呼ばれることも。このサービスレベルを高めるために、CTIやチャットボットを導入するコールセンターも少なくありません。
生産性のKPI
次はコールセンター全体の生産性、業務効率を見極めるための3つのKPIです。
2-1.稼働率
オペレーターの契約労働時間(=給与が支払われている時間)に対して、実際の稼働時間(通話、データ入力などの後処理、保留・待機時間など)が占める割合をパーセンテージ化したKPIです。
稼働率が高いほど生産性が高いとも言えますが、たとえば稼働率100%の場合ではオペレーター全員が四六時中、引っ切りなしに顧客対応に追われているということになります。忙しさのあまり顧客1人ひとりへの対応が疎かになっても責められず、さらにストレスを抱えて離職するリスクもあるでしょう。
そのため、コールセンターにおける稼働率は80%から85%が適正とされており、90%を大きく超える場合は、オペレーターのケアや人員補充といった対策が必要です。
2-2.平均通話時間
文字どおり顧客の通話時間を示すKPIです。オペレーター全員の総通話時間÷トータルの着信件数であらわされます。
コスト削減、生産性向上といった観点からは短いに越したことはありませんが、意識するあまりオペレーターの言葉遣いや対応がおざなりになり、のちのち大きなクレームが発生してしまうようでは本末転倒です。
そういった点では稼働率と同様、表面的な数値だけにとらわれず、ほかのKPIとあわせて注意深くチェックしていく必要があるでしょう。
2-3.平均後処理時間
通話データの入力、メール送信など、電話対応後の業務に費やされている平均時間です。
後処理時間の平均が短いほど業務全体に占めるバックオフィス作業の割合が小さくなるため、「顧客と向き合う」「要望や問い合わせに応える」などといったコールセンター本来の役割にコミットしていると言えます。
インバウンド型コールセンターを運営している多くの企業では、CTIの通話録音機能やデータ自動入力機能を活用して平均後処理時間の短縮を図っているようです。
組織に関するKPI
コールセンターを滞りなく運営していくには、オペレーターの業務だけでなく、組織全体としての現状・課題を可視化していくのも大事なポイント。ここからはそうした組織に関するKPIを見ていきましょう。
3-1.欠勤率
あらかじめ決めておいた勤務シフト・稼働人数に占める欠勤者の割合を示す数字です。欠勤率が高くなるとほかのオペレーターへの負担が増すうえ、全体のモチベーションも下がり、コールセンターとしての機能に大きなマイナス影響を及ぼします。
欠勤には急病や忌引きといったやむを得ない理由もある一方で、比較的大規模なコールセンター、余裕のあるシフト体制を組んでいるコールセンターなどでは1人ひとりの責任感が薄れ、「自分がいなくても大丈夫」「大した影響が出ないから……」と休んでしまう人もいるようです。
そうした傾向がある場合は、繁忙期・閑散期それぞれの稼働率などを参考にしながら、人員体制を見直す必要が出てくるでしょう。
3-2.離職率
在籍するスタッフ数に対する離職者の割合を示す数字です。国内のコールセンターは退職率が高く、慢性的な人員不足に頭を悩ませている企業も少なくありません。
コールセンターはもともと人材流動性の高い業種であるため、はじめから短期間の仕事と割り切ってオペレーター職に就く人も多いです。そのためなかなか一筋縄にはいきませんが、対応策としてはインセンティブや表彰、正社員への登用制度といった評価の仕組みづくりなどが挙げられます。
また、オペレーターの負荷が低いにもかかわらず、離職率が極端に高い場合は、スタッフ同士のコミュニケーションのあり方などにも目を向けてみる必要があるでしょう。
顧客からの評価に関するKPI
最後は顧客からの評価に関する2つのKPIをご紹介します。
4-1.顧客満足度
サービスや商品の質、コールセンターの対応について顧客がどれくらい満足したのかを表すKPIです。
一般的に「満足」→「普通」→「不満」といった3段階、あるいは5段階評価であらわされることが多く、webサイトのアンケートフォームやCTIに搭載された自動アンケート機能によって集計できます。
顧客満足度はコールセンターの目的、成果をダイレクトに示す指標といっても過言ではありません。そして、ここまで見てきた応答率やサービスレベルによって数値が大きく左右されます。
したがって最初にも触れたとおり、顧客満足度を最終的なKGIとして設定しているコールセンターも少なくありません。
4-2.顧客推奨度
顧客推奨度とは、顧客のロイヤリティを示す指標のこと。
「この商品(あるいはサービス)を友人・知人に勧めますか?」という内容のアンケートをとったうえで、顧客を「推奨者」「批判者」の2タイプに分類し、推奨者と批判者の差分が回答全体に占める割合をスコア化します(=(推進者の数-批判者の数)÷全体数)。
このスコアが高いほど、商品やサービスに対して好印象を抱いている顧客が多く(ロイヤリティの高い顧客が多く)、継続的な購買や利用が見込めるというわけです。
もちろん消費者の印象は商材そのものによって左右される部分が大きいため、コールセンターのサービス品質とは必ずしも直結しません。しかし、顧客推奨度は前述の顧客満足度と比べると収益との相関関係が高く、KPIの1つとして取り入れるコールセンターが増えてきています。
コールセンターのKPI設定・運用における注意点
ここまでコールセンターにおける10種類のKPIについて解説してきましたが、実際にKPIを設定・運用する際はどのような点に気をつけるべきなのでしょうか?
優先順位をつける
1つめのポイントは、ビジネスモデルや事業の局面にあわせて優先順位をつけること。
たとえば高級アパレルブランドや外車ディーラーといった業種では、不特定多数に販路を広げるより、特定の優良顧客をいかにキープできるかが大切になってきます。
そうした企業のコールセンターに求められるのは、何よりも応対品質。業務効率を示す平均通話時間などよりも、サービスレベルや顧客推奨度の向上に注力すべきでしょう。
また、自社製品に不具合が見つかり、電話が殺到してしまうケースでは、コールセンターとしては非常に厳しい局面となります。そして不満や怒りを抱いた温度感の高い顧客をなだめ、要望に応えるためには、話を聞く姿勢や言葉の選び方を含め、普段以上の誠実・丁寧な対応が欠かせません。そうした際もやはり、KPIとしては応答率やサービスレベルが優先されるべきでしょう。
内訳に目を向ける
コールセンター業務は繁閑の差が非常に大きい業種です。
たとえば応答率が高い数字をマークしていたとしても、それはただ単にコール数の少ない期間の実績が全体の数字を底上げしているだけかもしれません。曜日や時間帯によっては応答率が大幅に下がり、多くの顧客に不満を抱かせている可能性もあります。そうした際はあらためて人員配置の見直しや業務フローの変更を図る必要があるでしょう。
KPIはあくまでゴール達成までの道筋を示す包括的な指標・目安なので、多くの場合、アベレージという形をとるのは仕方ありません。その点をきちんと理解したうえで、数字の内訳までしっかりチェックするのも大切なポイントの1つです。
コールセンターの費用相場
コールセンターの費用相場をご紹介します。
費用相場 (1件当たりコール単価) | コールオーバー | 初期費用 | |
平均相場 | 150円~600円 | ー | ー |
月額固定型 | 100円〜200円 | 1件100円〜250円 | 1万5,000円〜5万円 |
従量課金型 | 300円〜1,000円 | ー | 1万5,000円〜5万円 |
より正確な費用を知りたい方は料金シミュレーターのご利用をおすすめします。
まとめ
今回はコールセンターの10種類のKPIについて解説しました。みなさまの参考になれば幸いです。
なお、アイミツでは常時無料相談を承っております。コールセンターの開設にあたってCITを導入したい方や、コールセンターの運用を社外へ委託したい方はぜひお気軽にお問い合わせください。
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