最近のASPシステムならここまで可能~その機能とメリットを徹底紹介【2024年最新版】
ASPとは、アプリケーション・サービス・プロバイダーのことを指します。
似たような使われ方をする言葉にSaaSやクラウドといった用語があります。
簡単に言うとASPもSaaSもクラウドも、インターネットを通じてソフトウェアを利用することを指しますが、特にそうしたサービスの提供者のことをASPと言います。
一般的に「ASP=便利で安い」、というイメージが広がっています。
それ自体は間違いではないにせよ、共通のプラットフォームを広く提供しているASPにはカスタマイズ性などに課題もあります。
ASPはどこまでのことができるのか、どういったところに課題があるのかについてきちんと踏まえた上でないと、自社に最適なASPを探すのは困難です。
この記事ではASPをより具体的に理解して、自社にとって最適なASP導入の方法を知るためのお手伝いをします。
ASPサービスとは何か知っておこう
ASPの特徴と仕組み
ASPは、従来主流であった自社内にハードウェアやネットワーク機器を設置した上で、オリジナルのシステムを開発して稼働させるオンプレミス型に比べて、「初期費用が安い」「サービスをすぐにスタートさせることができる」「メンテナンスに手間がかからない」などのメリットがあります。
インターネット回線を提供する業者を、プロバイダーと呼びますが、ASPはアプリケーションのサービスを提供する業者(プロバイダー)ということになります。
インターネット回線のようなインフラと同じく、アプリケーションをひとつのインフラとしてインターネットを通じてレンタルするイメージです。
これにより自社専用のシステムを開発して自社内のコンピュータにインストールすることに比べて、安価で利用できることになります。
また、利用者はwebブラウザなどを経由してサービスに申し込めば、そのままブラウザベースでASPの提供するアプリケーションを利用できますので、サービスの申込完了と同時にシステムを使い始めることが可能です。
提供されたアプリケーションは、プロバイダー側でメンテナンスしていきますので、利用者側で個別にセキュリティアップデートをしたり、不具合の調整をしたりする必要がまったくありません。
どんなアプリケーションが用意されているのか
これだけ便利なASPですが、自社で使いたいアプリケーションが用意されていなければ、結局オンプレミス型のシステムを使い続ける必要があります。
最近では、オンプレミス型でしか提供されていなかったありとあらゆるシステムがASPで提供されるようになっており、掲示板や電子会議、チャット、スケジュール管理、プロジェクト管理、営業支援、顧客管理などの部署内で共有して使うアプリケーションのほか、ワープロソフトや表計算ソフト、データベースソフト、プレゼンテーションソフトなどのMicrosoft Office系の個人用ソフトウェアもASPから提供されるようになってきています。
- ASPで提供されるアプリケーション例
-
- グループウェア
- 社内SNS
- バックオフィス
- 勤怠管理システム
- オンラインストレージ
- メール配信システム
- ERP
- マーケティングオートメーション
- BI(ビジネスインテリジェンス)
- SFA(営業管理システム)
- CRM(顧客管理システム)
- 名刺管理ツール
- 人材管理・タレントマネジメント
- 採用管理
- オンライン学習(e-Learning)
- テレビ会議・web会議
- プロジェクト管理、工数管理
- 在庫・生産管理
- 文書管理・EDI
- ネットワークセキュリティ
- ウイルス対策
- ECサイト運営
およそビジネスシーンに関わるほとんどの領域でASP型のアプリケーションが存在すると言ってもよいでしょう。
社内のクライアントパソコンでインストール型のソフトウェアを使う場合には、インストールやアップデートの際のメンテナンスを1台ずつする必要がありますが、ASPの場合にはそうした手間がいりませんので、使用する端末が増えれば増えるほどトータルオーナーシップコスト(TOC)がお得になっていきます。
ASPとSaaS、クラウドの違い
ここまでの解説で、ASPのメリットが再確認できたと思います。ここで、ASPと似た使われ方をするSaaSについて確認しておきます。
SaaSとはSoftware as a Serviceの略語で、直訳すれば、「サービス用に提供されるソフトウェア」となりますが、必要な機能を必要な分だけインターネット上のサービスとして利用できるようにしたアプリケーションソフトウェアのことです。
つまり、ASPがアプリケーション・サービスを提供する「プロバイダー」を指すのに対して、SaaSは、提供される「アプリケーション(機能)」を指しています。
SaaSのほかにも、下記のようにたくさんのインターネット上で提供される機能があります。
- 例
-
- AaaS = Analytics as a Service … 統計、解析に特化
- BaaS = Backend as a Service … ユーザー認証、位置情報サービス、プッシュ通知などを提供
- BaaS = Backup as a Service … バックアップ関連
- CaaS = Communication as a Service … 通信、ビデオ会議、web会議などコミュニケーション
- DaaS = Data as a Service … データサービス全般を提供
- DaaS = Desktop as a Service … デスクトップ環境のみ提供
- DBaaS = Database as a Service … データベースサービス全般を提供
- EaaS = Exploits as a Service … セキュリティ攻撃ツール、マルウェアなど
- HaaS = Hardware as a Service … ハードウェアサービスを提供
- IaaS = Infrastructure as a Service … ハードウェアや通信環境など
- IDaaS = Identity as a Service … OpenIDプロバイダーなどのアイデンティティ管理
- LaaS = Logging as a Service … ログ管理サービス提供
- MBaaS = Mobile backend as a Service … BaaSモバイル アプリケーション
- PaaS = Platform as a Service … アプリケーションサーバーやDBMS
- SaaS = Software as a Service … ソフトウェアや機能全般を提供
- SaaS = Storage as a Service … ストレージサービス全般を提供
- TaaS = Tool as a Service … 開発ツールサービス全般を提供
一般的に「ASP」と「SaaS」は区分されていないことが多いので、自社で導入したいサービスをネット上で探す場合などは、ASP業者だけで検索せずに、上記のサービス名称から探していくことも必要です。
また、クラウドもASPと似たような使われ方をしますが、具体的にはクラウドは先程のSaaSを含んだプラットフォームのことを指します。
【クラウドの例】
■ SaaS(Software as a Service)
PCにアプリケーションがインストールされていなくても、サーバーにアクセスすることで使用可能なアプリケーションを指します。
■ PaaS(Platform as a Service)
インターネット経由のアプリケーションの開発・運用をする場=プラットフォームを指します。
■ HaaS・IaaS(Hardware as a Service Infrastructure as a Service)
インターネット経由で提供されるハードウェアや回線などのインフラを指します。
PaaSやHaaS・IaaSは営業やマーケティング、経理や総務などのビジネスシーンで使われるアプリケーションよりも、もっと技術的に専門性の高いものなので、ASPが提供するアプリケーションとは直接関係ないと言えます。
クラウドファースト(最初にクラウドベースでアプリケーションを探してみよう)という言葉で意味する「クラウド」とは、SaaS、PaaS、HaaS・IaaSのうち特にSaaSのこととなります。
ASPはなぜ普及したか
ASPがどんなサービスか把握できたので、今度はASPがなぜオンプレミス型システムに替わって普及してきたのかを押さえておきましょう。
そのことによって、ASPのメリットがよりはっきり見えてきます。
ASPの特徴と言えば、ネットワークを経由して大元のアプリケーションを共有して使うことですが、この方法自体は実はかなり昔からありました。
インターネットが商用ベースで普及する1990年代よりはるか昔、1970年代にはVAN(付加価値通信網)というネットワーク経由で会計・税務計算処理ソフトウェアが提供されていました。
しかし、当時のVANは通信回線そのもののインフラではなく、あくまでも会計・税務計算処理ソフトウェアなどを提供するための回線に過ぎませんでしたので、広くは普及しませんでした。
今日のように巨大なインターネット網が道路のように普及しているというわけではなく、必要に応じてアプリケーションのための専用道を整備したというのが当時のネットワーク経由のソフトウェア利用の実態です。
その後インターネットの商用利用が解禁された1990年代半ばになると、巨大なネットワークバックボーンを前提としたアプリケーション・サービス提供業者が出てきます。
また同じ時期に、ビジネスシーンで業務の標準化のメリットが認識され始め、それまでの完全オリジナルタイプのオンプレミス型システム構築に加えて、パッケージソフトを利用したソフトウェア開発が一般化したことなどもあり、ASP普及の準備が整いました。
そして、1998年ごろからインターネット網を前提として標準化されたアプリケーション・サービスを提供する事業者をASPと呼ぶようになり、1999年5月には米国に業界団体ASP Industry Consortiumが設立されます。
この歴史的な流れから分かるように、ASPのメリットを享受するには下記の3点がポイントとなります。
1. インターネットインフラがあるか
現在インターネット回線が職場で提供されていないという会社は稀ですので、この条件はほとんどの企業でクリアされていると言ってよいでしょう。
2. 業務の標準化、マニュアル化を志向しているか
ASPの普及は、業務の効率化を目指した標準化、マニュアル化の流れがベースにありました。
標準化しにくい自社独自の業務の流れにとことんこだわりたいという場合には、ASPよりもオンプレミス型システム開発が向いていると言えます。
3. フルスクラッチ開発にこだわりがないか
先程の歴史的経緯で見てきたように、ASPはそれまで主流だった「フルスクラッチ型開発」(ゼロから自社オリジナルのシステムを設計して構築すること)ではなく、ある程度までシステムの機能を絞り込んだひな形を利用して開発を行う「パッケージ型開発」の普及が背景にありました。
このパッケージ型開発の路線をさらに推し進め、一般的な使い方をするならば個別の開発すらいらない状態にまでシステムの共通化を進めた仕組みがASPの提供するアプリケーションです。
つまり、独自開発にこだわりがある場合にはASPの利用は不向きであると言えるでしょう。
ASPのメリットと注意点
ASPがどんなサービスであり、歴史的にどんな経緯で普及してきたかを見ることによって、成功するASP導入のポイントが明らかになりました。
この項ではさらに具体的に自社にとってのメリット・そして注意点(デメリット)を確認していきましょう。
ASPのメリット
歴史的経緯のところで見てきたように、ASPが本格的に普及する以前は、設計からオリジナルで行い、自社独自のシステムを構築したり、業務システムに適合したパッケージライセンスを供給してもらい、自社サーバーにカスタマイズを施した上で導入したりするオンプレミス型が一般的でした。
こうしたシステム構築は、自社の独自業務フローのシステムへの反映を前提とするため、長年にわたって培ってきた企業の業務のやり方を損なうことがありません。
しかしその一方で、システム構築の設計期間から実装までの期間は長期化し、費用もかかってきます。
また、システムが稼働した後も、自社専用のシステムを運用するための技術者を配置したりメンテナンス、バックアップ体制を整えたりする必要があるなど維持費もかさんでくるのが一般的です。
これに対してASPでは複数の企業がインターネット回線経由提供される同じアプリケーションを利用します。
単純に計算すれば、1つのシステムを2社で使えば開発、維持コストは半分になり、3社で使えば1/3となります。
オーダーメイドでオンプレミス型システムを構築するよりも、初期開発費用を抑えることができ、ソフトウェアのバージョンアップやウイルス対策などは、ASP・SaaSを提供する企業が実施するので維持管理コストもかかりませんので、企業本来の業務に集中することが可能になります。
- 【ASPのメリット】
-
- 申し込みをしてすぐに使える
⇔オンプレミス型では、設計から実装まで数ヶ月から1年以上かかる - お試し期間に製品を無料で試すことができる
⇔オンプレミス型では、納品直前のテストまで実物を触ることができない - クライアントごとにソフトウェアをインストールしなくてよい
⇔オンプレミス型では、クライアントパソコンへのインストール作業に莫大な時間とコストがかかる - 初期費用が非常に安い
⇔オンプレミス型では、数百万円から数千万円単位の予算が必要 - 月額費用の中に保守・メンテナンス・ウイルス対策などが含まれている
⇔オンプレミス型では、別途対策を立てる必要がある - アップデートのためのソフトウェア費用がかからない
⇔オンプレミス型では、アップデートの費用はすべて自社の負担 - アップデートのためのクライアントパソコンへの再インストールの手間がかからない
⇔オンプレミス型では、台数が多いとこれだけで莫大なコストがかかる - 使う人数に応じてスケールアップすることが簡単にできる
⇔オンプレミス型では、ハードウェア機器や回線の増設なども必要になる - 万が一システムが不必要になったり他のシステムを利用することになったりしても、契約を打ち切るだけでサービス終了が可能
⇔オンプレミス型では、投資したコストを回収できずに古くて使いにくいシステムを使い続けるというケースもあり得る
- 申し込みをしてすぐに使える
以上のように、オンプレミス型に対して圧倒的メリットを感じることのできるASPですが、便利さを追求したゆえのデメリットもありますので、しっかり認識しておきましょう。
ASPの注意点(デメリット)
ASPタイプのデメリットは、カスタマイズの制限にあります。
ASPでは共通のアプリケーションを提供することによってコストメリットを出していますので、自社独自のノウハウをアプリケーションに反映させることが困難です。
自社独自の業務フローや、マーケティングのノウハウをシステム化したいと思っても、あらかじめ作りこんであるアプリケーションを提供しているASPにおいては、カスタマイズが一切不可能というサービスもあります。
また、カスタマイズができたとしても、ごく一部のインタフェース部分に限られていたり、大規模なカスタマイズが可能であっても、今度は費用がパッケージソフトを改良する場合と同じくらいかかったりと、本来のASPのメリットがなくなってしまうこともあり得ます。
このデメリットは、ASPを導入する前に「システムを使って自社で行いたいことは何か」をきちんと洗い出すことによって事前に検証することが可能です。
多くのASP導入失敗のケースは、「使い始めてみたけれど、結局現場から使いにくいという声が上がってきて、いつの間にか使うのをやめてしまい、もったいないので契約を解除した」というものです。
つまり、「使い始めてみたけれど」という部分で失敗しないように、事前に関係部署をまたぐ導入プロジェクトチームで導入メリットをしっかり検証し、最適なシステムを選び、どうしても譲れないカスタマイズ部分に対応できるのかをASPに確認するなどの作業が必須となります。
システム開発の費用相場
最後に、システム開発を外注した際にかかる費用相場をご紹介します。
平均相場 | 233万円~ |
システム開発の種類 | 費用相場 |
簡易顧客システム | 20万円~ |
Webシステム | 130万円~ |
業務システム | 400万円~ |
システム開発の費用相場をご紹介しました。より正確な費用を知りたい方は料金シミュレーターをご利用ください。
【まとめ】
いかがでしたでしょうか。
ASPはこれまでのオンプレミス型に替わるようなメリットがたくさんあります。
しかしながら「ASPは安い、とにかく安いサービスを探そう」という探し方では、自社にとって最適なASP選びはうまくいきません。
ASPの魅力的な機能、メリットを検討するとともに「自社で本当に実現したいことは何か」を事前にしっかり検証することで、「導入後に機能や使い勝手が自社に合わないことが判明する」という最悪の失敗を避けることができます。
また、自社で本当に実現したいことは何かを事前にしっかり検証することで、カスタマイズの自由度が低いASPであっても、自社の業務に即した活用方法が見えてくるでしょう。
こうした事前に自社の導入メリットを検討しながら最適なASPを選ぶときには、ぜひ「アイミツ」にお声をおかけください。
御社のメリットを実現するのにピッタリのASPを何社でもピックアップいたします。
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