企業における効果的なコスト削減方法とは？具体的なアイデアや流れを解説【2024年最新版】

コスト削減は規模やジャンルを問わず、あらゆる企業にとっての大きな課題ですが「具体的な方法や進め方が分からない」という方も多いでしょう。そこで今回は、コスト削減に関して知っておくべき基礎知識に加え、コストカットのメリット、コスト削減に役立つ具体的な方法・アイデア、取り組む際の流れなどを注意点と合わせて分かりやすく解説します。

コストとは、「費用」を意味する言葉ですが、ビジネスの場面では「商品の生産や営業活動、事業継続に際して発生する費用全般」を指す際に用いられます。つまり、コストは企業における支出であり、コストが占める割合が多くなるほど利益率は低くなりますので、いかにして無駄なコストを抑えるかが重要な意味を持つことになります。

コストは本来、お金関係の費用を意味する言葉ではあるものの、実は企業にとってのコストは金銭的なものだけとはいえません。ここでは企業における5つのコストについて、それぞれ詳しく解説します。

経済的コストとは、文字どおり「金銭的なコスト」を指します。ビジネスにおける代表的な経済的コストには以下のようなものがあります。

・人件費
・仕入れ
・外注費用
・消耗品費
・採用コスト
・賃料

経済的コストは「お金」として支払いが発生するものであるため、最終的な利益へ直接的な影響をおよぼします。

肉体的コストとは、業務の中で発生した労力、工数といった肉体的な負担を意味します。ビジネスを実施するには何らかの労力を費やす必要があるため、肉体的コストは削減すればするほど良い、というものではありません。ただし、無駄な肉体的コストは生産性や業務効率低下などを招くため、こまめにチェックしておくことは大切です。

頭脳的コストとは、業務の中で考える、検討する、判断するなど、頭脳を用いる際に発生するコストです。例えば、流れ作業で淡々と進めるような業務は「頭脳コストが低い」、臨機応変な判断力が求められる業務は「頭脳コストが高い」といえます。マニュアルやフローを整備することで頭脳コストを抑えて、生産性を高めやすくなります。

精神的コストとは、従業員が個々に抱える感情的なコストです。人間は喜怒哀楽さまざまな感情を抱えるものですが、精神状態は業務にも大きな影響をおよぼします。「慣れない仕事で不安」「人間関係がストレス」「仕事が多すぎて余裕がない」など、特に負の感情は業務へマイナスに作用しやすいため、企業側が働きかけて削減するのが好ましいといえます。

時間的コストとは、文字どおり「業務にかけている時間」を表すコストです。単純に就業時間や拘束時間だけで判断できるものではなく、「実際に業務にあたっている時間」「休憩時間」「移動時間」などを細かく把握することで、無駄な時間的コストを削減し、業務効率アップや残業時間の軽減などに役立てられます。

企業がコストカットに取り組むメリットは、単純に「支出を減らす」という部分だけに留まりません。以下の項目が期待できます。

利益率を高めるには、「収入である売上」「支出であるコスト」両方のバランスが大切ですが、売上は外的要因に左右されるためアップさせるのは簡単ではありません。一方のコストについては、社内で発生しているあらゆるコストを把握し、無駄な部分をそぎ落とすことで削減が可能です。また、売上と異なり、コスト削減に成功すれば継続的に支出を抑えることが可能であるため、利益率の底上げに役立ちます。

コスト削減の過程では、現状の無駄なコストの洗い出しを行いますが、これはつまり「無駄な業務や工数を洗い出す」ことも意味します。例えば、属人的な業務に工数がかかり過ぎていると判明した場合、当該業務をシステム化すれば、人件費が圧縮されるとともに業務効率や生産性向上などに期待できるでしょう。このようにコスト削減は目に見える支出の部分ではなく、日常のあらゆる業務の質・効率を改善させる効果にも期待できるのです。

コスト削減に成功すれば、利益率の向上、業務効率や生産性のアップといった内部的なメリットだけでなく、外部からの評価が高まる効果にも期待できます。単純に利益率が高くなれば、株主や取引先、金融機関からの評価が高まります。さらに、余剰資金を活用して、新規ビジネスへの参入、社会貢献などに手を広げれば、世間的な企業価値が高まりますので将来を見据えた上でも企業にとっては大きなプラスとなります。

コスト削減の重要性は認識しているものの「実際にどのように取り組めば良いのか分からない」という方もいらっしゃるでしょう。そこでここからは、コスト削減に役立つ具体的な方法やアイデアをご紹介します。

コスト削減でまず取り掛かりたいのが、以下のような「固定費」です。

・賃料
・水道光熱費
・通信費

固定費は完全にゼロにすること自体は難しいものの、「賃料の値下げ交渉」「電力会社の見直し」「テレワークによる水道光熱費の削減」などによってカットすることは可能です。特に近年では、働き方改革や新型コロナウィルスの影響などによって多様な働き方が求められていますから、「仕事＝出社」という考えを改めることでコスト削減にもつなげやすくなります。

人件費や経費を必要以上に削減すると事業にマイナスな影響をおよぼしかねないため注意が必要ですが、以下のような形でのコスト削減はおすすめです。

・テレワークを取り入れることで移動時間などを短縮し、労働時間を抑える
・出張や対面営業をオンラインに切り替えて経費を抑える
・人員配置を見直して適材適所に配置することで、長時間労働を是正する

特に人件費や経費の見直しは業務の無駄をそぎ落とすことにもつながりますので、業務効率や生産性の向上を見越して削減を進めましょう。

近年、コスト削減で大きな注目を集めているのが「ペーパーレス化」です。従来の企業では、さまざまな書類や資料を紙に印刷して活用・管理していましたが、IT技術の発展に伴いあらゆる情報はデータで処理や保管が可能となります。したがって、紙の書類をデータに置き換えることで印刷代や紙代などのコストを削減できるだけでなく、従来保管していたスペースや紙のデータを管理・検索する際の工数まで削減できるメリットがあります。

ビジネスにおいては、顧客情報の管理やタスク管理、経理、データ入力など、さまざまな業務が発生しますが、現在こうした業務の多くはITシステムに移行させることが可能です。ワークフローシステム、営業管理システム、会計ソフト、経費精算システムといったシステムを導入すれば、従業員の負担が減るだけでなく業務効率化や営業効率アップにもつながるため、単純なコスト削減以上のメリットに期待できます。

業務の中でも専門性が高い、多くの工数を必要とする業務はコールセンター、営業代行、人材派遣といった外注やアウトソーシングを活用するのもひとつの手です。こうした業務をすべて内製化するには多くのリソースが必要ですし、専門性が高い場合は新たな人材を採用する必要が出てくるかもしれません。しかしながら人件費はコストの中でも多くの割合を占めるコストであるため、完全に内製化するより外部にサポートしてもらった方が、結果的にコストを抑えられるケースは多々あります。

「コスト＝無駄なもの」ではなく、ビジネスでは必要不可欠なコストも数多く存在しています。そのため、コスト削減に取り組む際にはポイントを押さえながら計画的に進めることが大切ですので、ここから具体的な手順をご紹介します。

コスト削減では、「どのようなコストを、どうやって削減するか」を考える必要があります。そのためには、まず自社でどの程度コストがかかっているのかを把握しなければなりません。

・コストの一覧
・それぞれの種類
・具体的な金額や内容

これらを整理しておかなければ、そもそもどのような部分に無駄があるのかを正確に把握できませんので、まずはなるべく具体的な形で現状のコストを明確にしましょう。

現状のコストが把握できた後は、具体的なコスト削減の目標や目的を設定しましょう。明確なゴールを定めずにコスト削減を進めると、中途半端な形となってしまい効果的なコスト削減が難しくなるからです。

1.現状のコストを踏まえて現実的な数値目標を立てる
2.何を、いつまでに、どの程度削減するのかを具体的にしておく

上記のステップに則り目標を立てることにより、削減プランの立案を適切な形で進めやすくなるでしょう。

削減プランはステップ2で設定した「目標・目的」に則り、目標もしくは目的達成に必要な要素を洗い出した上で作成します。例えば「人件費を半年間で○○万円削減する」という目標を立てたのであれば、現状の無駄な部分をそぎ落とすためにITツールを導入する、テレワークに切り替える、といった目標達成が見込める手立てを絞り込んでいくわけです。また、実施する際には従業員にもきちんと周知・共有を行い、社内全体で取り組める準備を整えておきましょう。

削減プランに則り、コスト削減を進めている間は定期的に結果の分析・検証を行いましょう。プランどおりに進んだ部分、そうでない部分を洗い出すだけでなく、実施したことによる効果や弊害なども把握して必要に応じた改善を行いましょう。特にコスト削減に初めて取り組むような場合は想定どおりに進まないケースが多いため、トライ＆エラーを繰り返しながらベストな削減方法を模索していくことが大切です。

コスト削減に成功すれば企業はさまざまな恩恵を得られますが、逆に失敗してしまうと思わぬ損失を被る可能性もあります。そこでここからは、コスト削減に取り組む際に特に気を付けたい3つの注意点を解説します。

コスト削減時には、特定の従業員に負担がかかったり、従業員のモチベーションが低下するようなプランを実施したりすることのないよう注意が必要です。

・特定の部署にだけタスクが課されている
・コスト削減に必要な工数が多く、業務負担が増えてしまっている
・福利厚生を縮小する
・短絡的な人員削減

これらはあくまで一例ですが、コストカットを実現しても従業員への負担が大きくなってしまうと結果的にデメリットの方が大きくなってしまう可能性もあります。

コスト削減の大きなメリットは、無駄な支出をそぎ落として利益率を高めることですが、以下のような施策は逆効果をもたらすため注意しましょう。

・仕入れ値を抑えるため低品質な原材料に切り替える
・生産工程を減らす
・顧客へのフォローを簡略化する

こうした施策は提供サービスの品質や顧客満足度の低下につながることから結果的に売り上げ減少につながり、本来コストカットを実施する際の目的であった「利益率の向上」を逆に悪化させるリスクを高めるため安易に実施するのは危険です。

目先のコスト削減を追い求めるばかりに、従業員の生産性や業務効率を低下させてしまう以下のような施策も危険です。

・PCやツールのスペックを落とす
・従業員への研修を減らす
・外注やアウトソーシングを中止し、内製化に切り替える

もちろん程度にもよりますが、本来は必要であるラインを考慮せずに上記のような施策を実施してしまうと、業務効率や生産性の低下を招くリスクが高まってしまうため慎重な判断が求められます。事前に必要なコストとそうでないコストを十分に検討するのはもちろん、コスト削減中も定期的に分析・検証しながら臨機応変に対応しましょう。

アウトソーシングの一例として、コールセンターがあります。ここでは参考までに、コールセンター業務を外注した際にかかる費用相場をご紹介します。

コールセンターの外注費用の相場をご紹介しました。より正確な費用を知りたい方は料金シミュレーターをご利用ください。

コスト削減は利益率の向上だけでなく、生産性や業務効率アップ、企業価値の向上など、さまざまなメリットをもたらします。特に現在ではITの発展に伴い、コストカットに役立つシステム開発やITツール関連サービスが充実していますし、コールセンター、営業代行、人材派遣などの外注をうまく活用するのもおすすめです。アイミツでは、コスト削減に役立つ外注先やツールなどに関するアドバイスに加え、気になる外注先やツールの一括見積もり・一括資料請求も受け付けていますので、まずはお気軽にお問い合わせください。