SLAの意味とは?システム開発における契約時の注意点とSLMについても解説【2024年最新版】
SLAは「Service Level Agreement」、つまり「提供されるサービスのレベルに関する合意水準」のことを指します。主に、法人間での受発注契約時に必要です。
サービスの提供を受ける発注者と、サービスの提供を行う受注者の間で、互いにゴールとするサービスのクオリティ水準を事前にきちんと定めておくことで、安心して契約を結ぶことができるのです。
今回の記事では、SLAという概念についての基本的な概要や、システム開発における契約上の注意点をご紹介します。また、SLAとよく混同されるSLMという概念に関しても、あわせて解説していきます。
SLAの全体像を手っ取り早く理解したいという方や、社内でシステム開発を担当されている方は、ぜひ参考にしてください。
SLAとは
SLAは、とくに通信・クラウドサービス分野での開発の際に用いられる概念で、提供されるサービスそのものの定義を行ったり、通信速度・利用停止時間といった保証項目を数値にして取り決めを行うためのものです。またそれらの水準を実際のサービスレベルが下回った場合に、利用料が割引になるなどの措置についても、SLAを通して受発注者間で合意がなされます。
「定義や保証項目だとと言われてもよくわからない」という方もいるでしょう。
より簡単に説明すれば、
「こういった内容のサービスを提供します。この内容が守れなかったらこんな補償をします」といったことを、事業者から契約者に提示したものです。
SLAを締結することは、契約者側、事業者側双方にメリットがあります。
■契約者側のメリット
・サービスの要素が数値化されることでサービスの良し悪しを事前に把握することができる
・比較検討などの意思決定に役立てることができる
■事業者側のメリット
・サービスのクオリティをアピールでき、顧客に自社サービスの魅力を伝えやすくなる。
・提供するクオリティを事前に取り決めることにより、過剰な品質を求められるリスクも抑えることができる。
双方のメリットに関しては、後ほど詳しく説明します。
SLAの締結後は「SLM」を行う
SLM(Service Level Management)は、サービスレベルの「マネジメント」を主目的とする概念です。SLAはサービスの水準を明確にするための取り決めですが、サービス水準というゴールだけを決めていても意味がありません。そこに到るまでの道すじまで明確化されていなければ、SLAが実効性のない単なるお題目に成り下がってしまう危険もあります。
SLAをきちんと達成するための、具体的な実行プランを組み立てるそのプランニングとマネジメントをSLMと呼びます。
つまりより噛み砕いて言えば、「SLAで決めたことをきちんと守れるようにはどうしたらいいか考え、守れているのか管理していく」ことです。
SLMを通して当初のプランどおりに計画が進捗しているかをチェックし、必要に応じて軌道修正を進めます。チェックを正しく行うには、計測可能な目標値を開発会社に出してもらうことが重要。定性的なものや曖昧な数字ではなく、具体的な定量目標で合意することがキーとなるでしょう。
SLAを締結するメリット
SLAの概要について触れてきましたが、次にSLAを取り交わすメリットに関して、発注者・受注者それぞれの観点から解説していきます。SLAは比較的新しい概念であり、とっつきにくく感じてしまう方もいるかもしれませんが、メリットを正しく理解することで導入のモチベーションが高まるはずです。
発注者にとってのメリット
①サービス水準が維持できる
SLAを締結することで、受注者より提供されるサービスの水準を明確化できます。受注者が目指すべきサービスレベルが双方に可視化されることで、期待する品質を満たすサービスを受けることが可能です。
②複数のサービスを比較検討できる
システム開発を発注する際、一般的には複数の開発会社に相見積もりをとり、コストや品質、スケジュールなどの要素を比べて検討します。この時SLAも合わせて比較することで、具体的な機能やサービスのクオリティを把握し、各社のシステムをより正確に比較することができます。
③水準を下回るサービスの場合に損失補填ができる
SLAであらかじめペナルティについて取り決めておくことで、発注後に受注者側からSLAの基準を下回るサービスしか受けられなかった場合、損失の補填が可能となります。
受注者にとってのメリット
①提供するサービスの範囲を明確にできる
サービス提供者にとって、自社のサービス品質に対する顧客の期待値をコントロールすることは重要です。過剰な品質や対応を求められれば、大きなコストになりかねないためです。SLAでサービスの責任範囲を決めておけば、期待値の調整を行うことができます。
②サービス品質をアピールできる
SLAによってサービスレベルを明瞭にすることで、自社の品質の高さをアピールすることができます。
③発注者への説明責任を果たせる
障害が発生した場合の対応や保証についても、あらかじめSLAに明記しておくことで、実際の障害時に適切な説明責任を果たすようスピーディに対応することができます。
SLAの契約における注意点
ここまで、SLAの概要や、発注者・受注者それぞれのメリットをご紹介してきました。続いては、実際にSLAを結ぶ際に注意したいポイントについて見ていきましょう。
SLAとSLMをしっかりと規定する
まず大切なのは、SLAとSLMを明確に規定することです。開発会社への発注においてはサービス品質の保証という項目の検討が遅れ、SLAの締結が後手に回ってしまうケースに陥りがち。本来は開発に着手する前にSLAを結ぶべきであるのに、品質保証に関する要素の洗い出しやそのチェック指標となるSLMを検討する時間も持てずに、つい後回しにしてしまうのです。
この場合、提供されたサービスが期待通りでなかったり、障害が発生したとしても、SLAを締結していないために開発会社に責任を問うことが難しくなります。そのような事態を避けるために、SLAとSLMは、システム開発の仕様を決める段階で並行して設計するようにしましょう。
SLAに盛り込むべき内容
SLAを締結する際には、具体的にどんな項目を定めるかも重要です。必要な項目をしっかり盛り込んでおけば、万が一の障害やトラブル時にも慌てません。具体的には、以下のような内容を文書で明確にしておくと良いでしょう。
<SLAに盛り込むべき内容>
SLAの目的
SLAの範囲及び責任
SLAの改定方法
SLA対象サービス
サービスレベルに関する規定
報告の方法、頻度と品質管理体制
サービスレベル未達・達成時の対応
罰則規定(必要に応じて)
SLA 適用範囲と返金の条件は契約前に確認しておこう
盛り込んだ内容については、それぞれ数値で定量化することが大切です。定量化することで、契約前の他社との比較も容易となり、要素ごとの性能もわかりやすくコスト構造が理解しやすくなります。契約後は、定量化された基準をベースにモニタリングができるため、品質の維持・向上も期待できるでしょう。
また、SLAの文書上に返金の条件を明記しておくことも重要です。返金に関する対応を定めておくことで、サービスが当初の水準を下回る場合やその改善が見られない場合、トラブルが解消されない場合なども、返金によって損失をカバーすることが可能なためです。
SLA作成の手順
SLA締結までのフローがよく分からないという方は、以下を確認しておきましょう。
1. SLAの要件を定義する
まず、SLAを締結するための要件を設定します。機能、操作、サービス、セキュリティなどについて、それぞれの品質レベルを網羅したものを定義します。
2. サービスレベルの設定
サービスとして目指す水準を決めるこの段階では、あくまで仮設定で良いでしょう。開発会社の過去の納品実績や、同業他社の水準を参考に、目指すべきサービスレベルを決めていきます。
3. 対象となるデータを集める
実際の納品物を利用して、テストを実施し、検証に必要な各種データを収集します。
4. 集めたデータを使って検証する収集したデータの検証を行う
この過程では発注側と開発側で同じデータを利用することが重要です。これにより透明性の高い検証が可能になります。
5. 「2」で定めた水準が達成できるか確認する事前に決めておいたSLAの水準を満たすことができるかをチェックします。この5の段階から、SLMのPDCAを回していきます。
システム開発の費用相場
最後に、システム開発を外注した際にかかる費用相場をご紹介します。
平均相場 | 233万円~ |
システム開発の種類 | 費用相場 |
簡易顧客システム | 20万円~ |
Webシステム | 130万円~ |
業務システム | 400万円~ |
システム開発の費用相場をご紹介しました。より正確な費用を知りたい方は料金シミュレーターをご利用ください。
まとめ:SLA締結は受注者・発注者の双方にメリットがある
システム開発やサーバー提供のシーンで重宝されるSLAの概念と、そのメリットを中心に解説してきました。
SLAの導入には、データの収集や検証、合意する水準のすり合わせなど、煩雑な業務が必要となります。そのため、大切とは知りながらつい後回しにしてしまうこともありますが、未締結のままトラブルや障害に見舞われるリスクを考えれば、契約前にきちんとSLAを定めておくことは不可欠ではないでしょうか。
今回の記事で触れたように、SLAを設定することで、
・サービス水準が維持できる
・不慮のトラブル時に損失がカバーできる
などの多数のメリットがあります。
発注の際には、面倒な作業と先送りせず、余裕を持ってSLAにも着手することをおすすめします。
とはいえ、「そもそも、いいシステム開発会社に出会えていない……」という悩みも当然あるはずです。
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