農業におけるICT化のメリット・デメリットとは|事例付きで解説【2024年最新版】
さまざまな業界でICT化が進む中で、特に注目を集めているのが農業のICT化です。ICTを活用したスマート農業のは人手不足や労働負担を解消する手段として認知されつつあり、今後も導入が拡大していくと予測されています。
この記事では農業でICT化が求められる背景やメリット・デメリット、成功事例などを紹介していきます。ICT化を検討中の農業の方はぜひ参考にしてください。
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農業におけるICT・スマート農業とは
農業のICT化・スマート農業とは、情報通信技術やロボットを活用して業務を効率化し、業務負担の軽減や生産性の向上を推進するための取り組みです。ICT化というと製造や医療などの分野が創造されますが、農業もICT化の恩恵を受けやすい領域だと言えます。これまでも農業はトラクターやコンバインなどの活用によって業務の大幅な効率化や生産性の向上を叶えてきましたが、ICT化・スマート農業の導入はさらなる業務効率化につながると考えられています。場合によっては業務の大部分を自動化でき、人の手による作業を必要としないスマート農業が実現する可能性もあることから先端テクノロジーの導入が期待される領域として注目を集めています。
農業でICT化が求められている背景
農業のICT化が求められている背景には、以下の3点があげられます。
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- 農業従事者の高齢化が進んでいる
- 生産性を向上させる必要がある
- 課題の発見と解決をスムーズにしたい
ここからは、それぞれについて解説していきます。
農業従事者の高齢化が進んでいる
近年は都市への人口集中が進み、地方における農業従事者の高齢化が顕著だと言われています。農業は肉体労働が主体であり、高齢化が進むと生産性・継続性の低下につながることから早期のICT化が求められているのが現状です。農業のICT化を推進すれば高齢の農業従事者の負担を軽減できるのはもちろん、作業そのものの負担を抑えられるため、肉体労働を避けがちな層であっても従事しやすい業界へと生まれ変われます。そうすれば農業を担う人手の確保も進み、農業の維持にもつながるでしょう。
課題の発見と解決をスムーズにしたい
早期の農業ICT化は、問題の掘り起こしや分析、解決へ向けたアプローチの検討をスピーディーに進めるのにも役立ちます。農業が高度経済成長以降その様相を変えず、生産性の向上が進まない理由には先端技術の活用に向けた問題の掘り起こしや分析ができていないことも要因の1つだと考えられます。
業務をICT化するとあらゆるデータを可視化できるというメリットがあるため、ICTを導入すればそれだけ課題解決がスムーズになるでしょう。
生産性を向上させる必要がある
人口減少期の日本では必要以上に農産物を生産する必要はないかもしれませんが、農業従事者が減少すれば限られた人数で従来どおりの生産性を維持しなければならないという問題を抱えているのが現状です。日本の農産物はブランド価値が高く、外貨獲得の手段としても注目を集めているため産業としても開拓の余地があると考えられます。
農業のICT化によって少人数であっても生産性を維持できる環境をつくり、質の高い農産物を継続的に生産できれば食料自給率が改善されるのはもちろん、海外への輸出を目的とした農産物の生産にも注力することができるでしょう。
農業においてよくあるICT活用例
農業におけるICT活用には、具体的にどのような手段が選ばれているのでしょうか。中でも注目を集めているのは以下の技術です。
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- 農業用ロボット
- 生産管理システム
- スマートセンシング
- 農業用ドローン
- アシストスーツ
ここからは、それぞれの技術の活用事例を紹介します。
農業用ロボット
農業用ロボットは自動で畑を耕すものから収穫をサポートするもの、農薬散布できるものなどその種類は多岐にわたります。負担の大きな肉体労働を任せられるので、高い導入効果が期待できるのが特徴です。従来なら多くの人手を必要とする作業を24時間365日稼働できる農業用ロボットに任せられれば、負担を軽減できるのはもちろん、スピーディーな作業によって出荷時期までに確実に収穫を終わらせられるといった恩恵を受けられるでしょう。
生産管理システム
生産管理システムとは、パソコンやスマホ、タブレットから手軽に農産物に関するデータを登録・管理できるシステムのことです。これまで農産物の管理は農業従事者の経験やノウハウに依存する部分が大きく、正しく管理ができるようになるまで時間を要するだけでなく、農業従事者間のスキル差が広がりやすく安定した栽培・収穫が難しいという課題がありました。しかし、生産管理システムを導入すれば人の力に過度に頼らない、データにもとづいた農産物の生育が可能となります。
スマートセンシング
スマートセンシングとは、温度や光、衝撃の度合いなどの情報を検出・数値化する機能を持つセンサー(スマートセンサー)を用いた技術の総称です。農業においては農地にスマートセンサーを取り付け、そこから得た情報をAIやIoT、ビッグデータなどのICTを活用して分析した結果が農産物の生育や管理
農業は地域の特性や気候などに合わせた繊細な替えが必要な領域ですが、スマートセンシングを活用すればより繊細な管理による品質向上も不可能ではありません。
農業用ドローン
農業用ロボットと合わせて注目されているのが、農業用ドローンの存在です。農薬の散布や収穫物の運搬、農園のモニタリングなど幅広い目的で活用されています。通行用の道の確保が不要で障害物に衝突する心配もなく、さらに人間では立ち入りにくい場所にも容易に向かえるため、地上で使用する農業用ロボットとは異なる強みを発揮します。また、最近では播種(種まき)に対応している農業用ドローンも登場するなど今後も注目すべき領域です。
アシストスーツ
アシストスーツとは人工筋肉やモーターが搭載されたスーツのことで、着用すると荷物を昇降する際に膝や腰などにかかる負担を軽減させられるという特徴があります。一度に多くの荷物を持てるようになるだけでなく、少人数であっても負担を抑えて作業を進められるほか、機械の搬入が難しい環境での作業などにも役立つのが大きな魅力です。高齢者や女性が通常は対応の難しい作業もアシストスーツを着用すれば容易となるため、就農者の確保への効果も期待されています。
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農業においてICT化を進めるメリット
農業がICT化を進めることで得られる主なメリットは以下のとおりです。
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- 農作物の品質が上がる
- 人手不足の解消につながる
- 後継者不足を解決できる
- 農作業を効率化できる
- 食料自給率の改善に貢献できる
- 環境保全につながる
ここからは、各メリットについて解説していきます。
農作物の品質が上がる
農業のICT化は質の高い農作物の栽培につながるため、従来よりも美味しい野菜や果物を生産しやすくなるメリットがあります。従来は質の高い農産物の生産には長い時間をかけて技術や知識を身につける必要があり、さらに就農者ごとのスキル差もあることから生産物の品質に差が生じやすいのが現状です。
農業をICT化し生産管理システムを導入すれば、データにもとづいた生育や管理が可能となるため、経験の少ない人であっても質の高い農産物を生産できるようになるでしょう。
人手不足の解消につながる
ICT化は人手不足の解消にも効果的な施策です。農業においても例外ではなく、ICTの導入で効率化を図ることで1人あたりの担当業務を増やしたり、作業の自動化によって人手が必要な部分を少なくしたりといった恩恵が受けられます。
農業は就農者の高齢化によって一刻も早いリソースの確保が求められるものの、人口が減少し続ける中で農業を志す人が少ないというのが現状です。ロボットやドローンは定期的なメンテナンスは必要ですが、基本的には24時間稼働することもできるため人手不足の解消にも効果を発揮するでしょう。
後継者不足を解決できる
ICT化によって業務負担を軽減できれば、肉体労働のイメージが改善され農業に従事したいと考える若者が増えると期待されます。農業が慢性的な人手不足に陥っているのは、労働人口の減少だけでなく「農業はきつい」といったイメージを抱く人が多いのも大きな要因です。ICTの活用によって最小限の負担で高い生産性を実現できれば、大きな収益につながる可能性も考えられるため農業に魅力を感じる人も増えるでしょう。後継者不足に悩む就農者にとっても、農業のICT化は必要な取り組みだと言えます。
農作業を効率化できる
農業でICTを導入すれば、幅広い作業を従来よりも効率的に進めることができます。たとえば耕作に自動運転トラクターを使えば畑を耕している間に違う作業に取り組めるほか、散水も専用のシステムやドローンを活用すれば広範囲の農地であってもスムーズに終わらせられます。農地管理の負担を抑えられればそれだけ1人ひとりが管理できる農地が増え、結果的に生産量の増加にもつながるでしょう。効率化によって生まれた時間を新規事業の立ち上げに充てれば事業拡大も不可能ではありません。
食料自給率の改善に貢献できる
食料自給率の改善という意味でも農業のICT化は必要です。日本では深刻な就農者不足によって「すべての農作物を収穫しきれない」「管理が困難でやむを得ず農地を手放す」といった事態が起きています。十分に管理できる就農者が不在なことで起きるこれらの事態は食料自給率の低下にも拍車をかけており、安定した食糧供給を維持していくためにも深刻な課題です。ICT化によって農業の効率化を推進すれば、人手不足の解消や生産性向上につながり、食料自給率の改善にもつながるでしょう。
環境保全につながる
農業は生産性向上の過程で過剰な農薬の散布、耕地をつくるための化石燃料の使用など環境への不可の大きな施策を行った歴史がありますが、ICT化すればこれらの使用を低減させることも可能です。ロボットやドローンは電力で動作するものが多く、ガソリンの使用を抑えながら農産物の生育・収穫に取り組めるほか、農地管理システムを使えば過度に農薬を使わなくても虫害を回避できます。
農業においてICT化を進めるデメリット
農業のICT化は多くの可能性を秘めている反面、注意しなければならないデメリットもあります。ICT化を成功に導くためにも、デメリットをあらかじめ理解しておきましょう。
コストがかかる
農業のICT化にあたっては多くの設備が必要となるため、当然ながら設備投資が欠かせません。ICT化に必要な機器は農業機械と同様に効果なものが多いので、安価に設備投資を済ませるのは難しいと考えておきましょう。農業機械の新調に向けて予算を確保している場合は、それをICT導入の予算に振り返ることを選択肢に加えておくのもおすすめです。
ICT化に対応できる人材やノウハウの不足
農業のICT化はまだまだ新しい取り組みであることから、十分なノウハウが蓄積されていないのが現状です。ノウハウを共有できる人材の数も少なく、導入後は手探りで最適な運用を模索していく必要があるでしょう。就農者は日々の作業に時間を奪われやすく、ICT化に向けた学習・研修の時間を確保するのが難しいという問題もあります。効率的にICTに関する知識を身につけ、それを広められる場を設けることの重要性にも目を向けるべきだと言えます。
導入するツールによって能力は異なる
導入するICTツールによって得られる効果が異なるため、事前に農業のICT化に関する理解を深めておく必要もあります。農業の課題を洗い出すのはもちろん、「なにを改善すればICT活用が進むのか」を専門家を交えて検討するプロセスを経なければ投資が無駄になってしまう可能性も否定できません。まずはICTツールへの理解を深め、必要な機材をリストアップする作業を怠らないようにしましょう。
ツール間の互換性は高くない
農業のICT化に適した商品やサービスは次々と登場していますが、そのすべてが違いに連動できるとは限りません。ソフトやハードによって互換性は異なるので、対応が明言されている製品でなければ連動は難しいと考えておきましょう。互換性のないICTツールばかりを一度に導入すると、それぞれを活用しきれずにICT化が頓挫する可能性もあるため注意が必要です。
通信が難しい・不安定な場合がある
農業に限らずICT化を進めるにあたっては、インターネット環境の整備が不可欠です。都市部では通信インフラが整備されている一方で、山間部では回線が不安定な地域も珍しくありません。しかし近年では5Gの登場や光回線の普及も進んでいるため、いずれは通信環境の整備も実現するはずです。
農業におけるICT化の成功事例
農業におけるICT化は、すでにいくつかの事例も登場しており今後の導入の際の強力なケーススタディとなり得ます。ここでは主な2つの事例について、解説します。
ドローンの活用事例
新潟県新発田市では就農者の減少にともない農地の集約を行っていたものの、従来の方法ではすべての農地の管理が難しく、何らかの方法で効率化を進める必要がありました。そこで同市は女性によるドローンチームを発足し、肉体労働が不得手な女性や高齢者であっても広い農地に農薬を散布できる方法を開拓しています。
男性と比較すると女性は農業でできることが少なく、従来の方法では人手不足解消への貢献度が大きいとは言えなかったのが実情です。しかし、ドローンの力を借りることで体力や筋力に自信がなくても活躍できる環境が叶っているそうです。
出典:SMART AGRI「女性だけのドローンチームが農薬散布を担う! 新潟県新発田市の「スマート米」生産者による新たな取り組み」https://smartagri-jp.com/smartagri/3100
ロボットトラクターの活用事例
北海道音更町にある三浦農場は、86ヘクタールにのぼる農地をわずか2人で管理する必要があり、早朝から夜まで14時間以上稼働する日々が続いていたと言います。そうした中で同農場では農地面積の拡大を機に人員を増加するとともに、当時普及しはじめたばかりの自動操縦装置とGPSガイダンスシステムを導入しました。
それによって新人であっても整地作業が可能となり、別の作業にとりかかる時間の確保に成功。ロボットトラクターが登場した際にはいち早く導入し、現在は有人トラクターとロボットトラクターによる「協調作業」を取り入れ、約4割もの時間の削減を叶えているそうです。
出典:SMART AGRI「ロボトラでの「協調作業」提案者の思いと大規模化に必要なこと 〜北海道・三浦農場」https://smartagri-jp.com/smartagri/3560
システム開発の費用相場
つづいては、システム開発を外注した際にかかる費用相場をご紹介します。
システム開発の平均相場 | 233万円〜 |
システム開発の種類 | 費用相場 |
簡易顧客システム | 20万円~ |
Webシステム | 130万円~ |
業務システム | 400万円~ |
システム開発の費用相場をご紹介しました。より正確な費用を知りたい方は料金シミュレーターをご利用ください。
【まとめ】ICT導入の相談先選びに迷ったらPRONIアイミツへ
この記事では農業のICT化・スマート農業の概要から主な活用例、ICT化のメリット・デメリットなどを解説するとともに、実際にICT化を進めている農業の成功事例を紹介してきました。農業のICT化は人口減少の進む日本では欠かせない取り組みであり、今後も普及が拡大していくと考えられますが、導入にあたっては専門的な知識が求められる場面も少なくありません。
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