IoT導入の課題とは│解決策やIoT導入の成功ポイントも解説【2024年最新版】

IoT（Internet of things）とは、モノとインターネットをつなぐ技術・概念を指すものです。利便性の向上や業務効率化、生産性向上などさまざまな変革をもたらすことから幅広い分野で活用が進んでいますが、「どんな課題があるのかを知りたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事ではIoT導入における課題やその解決方法とあわせて、IoTの導入を成功させるためのポイントについても解説していきます。IoTの導入を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

【関連ページ】
システム開発にかかる費用・相場感や、あなたの目的別にシステム開発会社をお探しいただけます。
システム開発の費用・相場
システム開発会社一覧

IoTは日本語では「モノのインターネット」とも呼ばれ注目を集めていますが、さまざまな課題を抱えているのも事実です。ここからは、IoTの導入における6つの課題について解説していきます。

あらゆるモノ（デバイス）のインターネット接続を指すIoTは、関連製品やサービスが増加すると通信量もそれに比例するため、それだけネットワークへの負荷が膨らむのが実情です。2016年に経済産業省が行った試算（※）では、2010年には100億規模だったIoT台数が2020年には500億規模、2050年には数千億規模にまで拡大すると予測されており、膨大なデータ量とデバイスへの対応が課題視されています。従来の集中管理型ネットワークシステムでは対応が困難になる例も増えているため、リアルタイム性をどのように維持していくかに関する議論が続けられています。

※出典：経済産業省「産業構造審議会情報経済小委員会 分散戦略WG中間とりまとめの概要」https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/data/pdf/20161129001_02.pdf

設置場所周辺のさまざまなデータ収集に欠かせないセンサーですが、搭載数が増えるほどに電力消費量が多くなります。また、IoTで遠隔操作を行う場合は距離が遠くなるほど、無線通信によって消費される電力量が増加することも覚えておかなければなりません。
電力は日常生活や事業活動に欠かせないライフラインのため、IoT関連の電力消費量が増え続けるという課題には対処が必要です。電力供給方法について検討するのはもちろん、IoTデバイスそのものの省電力化を図ることも大切でしょう。

IoTに用いられるデバイスは、スマートフォンやパソコンのほか、家電製品や自動車、機器・設備など多岐にわたるため、パソコンのセキュリティソフトをアップデートするような手軽なセキュリティ対策が・更新が難しいという課題を抱えています。しかしIoTはインターネットへの接続が欠かせず、常にマルウェア感染や不正アクセスなどのリスクをはらんでいるので、「対応が難しいから」と無視することは許されません。現場のままではセキュリティリスクが増大すると考えられており、コストの面も含めて現実的な対策が求められています。

「モノのインターネット」と聞くとデバイスとネットワークだけで処理が完結されるイメージを抱くかもしれませんが、実際には人間が一部のプロセスを担うこともあります。しかし人間の手作業にはミスがつきものだと考えられるため、IoTもヒューマンエラーの課題を抱えていると言えます。
大切なのは「モノは自ら判断・操作はできない」ということを前提に、ミスの防止に取り組むとともに、ヒューマンエラーの発生を想定して対処法も検討しながらIoT開発を進めることです。

IoTはデバイスをインターネットに接続してデータ収集・分析などを行いますが、開発・運用にあたるのは人間のため、開発にあたってはデバイスやネットワーク、セキュリティなど幅広いジャンルに精通した人材の確保が欠かせません。ところが近年はIoTやほかの先端技術の普及によって優秀な人材の価値が高騰し、採用の難易度が上昇しているのも事実です。IoT人材はすでに希少価値が高く、人材確保や人材育成に向けた取り組みが重要だと言えます。

IoTを開発・運用するにあたってノウハウを持たない場合は、データの収集・分析からはじめる必要があり、成果が出るまでに時間を要するケースも珍しくありません。また、データの送受信に不可欠な情報通信やセキュリティ対策、システムを管理するプラットフォームなど幅広い知識が求められます。IoTの開発・運用には豊富な経験を持つエンジニアが欠かせませんが、人材不足の影響もあり開発・運用の難易度が高くなっている点も課題にあげられています。

IoTはまだまだ課題を抱えているのが現状ですが、解決策がないわけではありません。ここからは、IoTの課題解決に役立つとされる技術や対処方法について解説していきます。

エッジコンピューティングとは、IoTのエッジ（先端）に位置するデバイス上で一定のデータ処理を実行させる仕組み・技術のことです。従来のIoTではデバイスで得た情報をクラウド側で分析・可視化するのが主流でしたが、この方法ではデバイスが増えるほどにネットワーク不可が増大するという課題があります。
そこで期待されているのがエッジコンピューティングです。IoTデバイスがデータ処理の役割も担うことでクラウドとの通信量を減少させて負荷を抑えられるのはもちろん、全体的な管理コストの削減にも効果が見込めると言われています。

IoTの発展・普及にともなう代表的な課題である消費電力量の増加に対しては、低消費電力の通信手段の活用や省電力に役立つ機能を備えたIoTデバイスの採用が効果的です。スリープ機能や給電制御機能を持つIoTデバイスなら電力消費量を減らすとともに、メンテナンスやバッテリー交換の手間も削減できます。
また、省電力デバイスの活用には24時間365日稼働の工場や施設におけるシステム停止のリスクを抑えられるというメリットもあります。

IoTとセキュリティリスクは切っても切れない関係にありますが、異なるデバイスに適したセキュリティ対策を行うには膨大な手間とコストがかかるのも事実です。そこで期待されているのが暗号化技術の導入で、暗号化チップによってデータ送受信を暗号化することでサイバー攻撃の防止に一定の効果が見込めるのはもちろん、既存の技術・製品を用いればコストを抑えながらセキュリティ対策に取り組めます。

従来のIoTではIPアドレスを用いた通信が一般的でしたが、IPアドレスが付与されていると場所の特定が可能なことから外部からの攻撃を受けやすくなるリスクがあります。しかし、NIDD（Non-IP Data Delivery／IPを使わない通信）の登場によって悪意ある攻撃を受けるリスクが低減され、セキュリティ対策の課題可決に向けて大きく前進しました。暗号化技術などと組み合わせることで、サイバー攻撃の被害を受けにくいIoTの実現が期待できます。

IoTは比較的新しい技術ですが、急速にニーズが高まっていることもあり、人材不足が顕著なのが現状です。今後もIoTエンジニアの採用は難易度が高い状況が続くと予想され、安定した人材確保は容易ではありません。
そうした中で課題解決策とされるのが中長期視点をもったIoTエンジニアの育成です。IoTの開発・運用にはさまざまな知識・技術が求められるため短期間で成果をあげるのは難しいものの、育成を続けていけば「外部からの人材獲得が困難」という課題をクリアしやすくなるでしょう。

「自社にあった会社が見つからない」「会社選びに時間が割けない」とお悩みの方は、お気軽に「PRONIアイミツ」にお問い合わせください。数あるシステム開発会社からあなたの要望にあった会社をピックアップして無料でご紹介いたします。

IoTにはさまざまな課題があるものの、解決策・対処法も存在しています。ここからは、これらを踏まえてIoTの導入を成功させるためのポイントについて解説していきます。

モノとインターネットをつなぐIoTはさまざまな用途に役立ちますが、IoTの導入が目的化してしまうのは危険です。大切なのは「IoTを活用して課題解決や目標達成を叶えること」であり、導入が目的となってしまうと費用対効果が得られなかったという事態に陥りかねません。IoTの導入はあくまでも手段の1つと認識した上で、ほかの手段も含めて検討することをおすすめします。

新たなシステムの導入やDXの推進とも共通しますが、IoTを導入すれば当然ながら現場の業務に変化が生まれるため、導入前の段階から現場を巻き込んでいくことが重要です。現場のリアルな声を集めてIoTの導入に役立てるのはもちろん、IoT導入に対する理解を得た上で協力体制を築いていくことによって、より実用的・効果的なIoTを実現しやすくなるでしょう。

IoTに限らず技術は応用してこそ真価を発揮するものです。新たなシステムを導入する際も、担当者向けの教育・研修や業務フローの再構築などを並行して進めることで課題解決が近づきます。
大切なのはIoT導入による変化や可能性を踏まえて「業務にどんな影響があるのか」を議論することです。それによってIoTによって生まれる影響範囲を整理できれば適切な活用方法も見えてくると考えられるため、ある程度の形になった段階でIoT導入と並行して業務改革を進めていくとよいでしょう。

PoC（Proof of Concept／概念検証）とは、新たなプロジェクトや業務改革を推進する前に実現性や効果を検証する取り組みのことです。本格的な導入の前段階で、実現の可能性や効果を見極めるためのテスト（実験）と考えるとわかりやすいかもしれません。
IoTの場合は簡易版を制作した上でPoCを実施しますが、そのときに意識したいのが「完璧を求めない」という点です。PoCは費用対効果の測定や社内の理解促進などに効果を発揮するものの、欲張って繰り返すとコストが膨らんでしまい結果的にプロジェクトが立ち消えになる可能性もあります。

IoTの導入にあたっては、「まずはスモールスタートで、徐々に育てていく」と心がけることも大切です。IoTはデバイスが多岐にわたるだけでなく、活用方法も目的や用途に合わせられるため、理想が高くなりすぎると運用開始までに多大な時間を要することになります。開発に時間を費やす間に競合がIoTをはじめとするシステムやソリューションによって成長を遂げれば、業界内で置き去りにされてしまう可能性も十分に考えられるでしょう。
IoTの機能拡張やアップデートは難易度がそれほど高くなく、導入してはじめてわかる部分も多いはずです。したがって、はじめは必要最低限の要素に絞り込んだスモールスタートでスピーディーな導入を心がけ、運用しながら徐々に成長させていくのも有効な手段だと言えます。

IoTの導入には専門的なスキルやノウハウが求められるため、自社対応するには相当なリソースが必要です。さらに導入までには多くのコストと時間をかけなければならないため、失敗のリスクはなるべく軽減したいと考えるのが自然でしょう。
そこでおすすめなのが、IoTに精通したプロにサポートしてもらう方法です。経験豊富なプロの提案やアドバイスを受けることで失敗のリスクを軽減できるのはもちろん、スピーディーな導入が実現する可能性も高まります。

つづいては、システム開発を外注した際にかかる費用相場をご紹介します。

システム開発の費用相場をご紹介しました。より正確な費用を知りたい方は料金シミュレーターをご利用ください。

IoTは現在進行形で普及が進んでいるものの、さまざまな課題を抱えているのも事実です。もちろん課題に対する解決策・対処法も存在していますが、リスクを踏まえてIoTを適切に導入・運用するためには専門的なスキルやノウハウが欠かせません。
「PRONIアイミツ」では、貴社のご要望をうかがった上で複数のシステム開発会社のご紹介が可能です。IoTの開発・導入の依頼先をお探しの方は、お気軽にお問い合わせください。

【相談前にまずは会社一覧を見たいという方はこちら】
システム開発会社一覧
【費用感を知りたいという方はこちら】
システム開発の費用・相場