エッジコンピューティング・エッジサーバーとは?初心者にもわかりやすく解説【2024年最新版】
エッジコンピューティング、あるいはエッジサーバーという言葉をご存じでしょうか。これらは、IoT(Internet of Things)のしくみが広まるにしたがって提唱され始め、今後さらに注目を集めるであろう概念です。
そこでこの記事では、営業・バックオフィスなど、さまざまな分野の発注先を比較検討できる「アイミツ」が、エッジコンピューティング・エッジサーバーの概要に触れながら、そのメリットやデメリット、活用事例などについて詳しく解説します。
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エッジコンピューティングとは
エッジコンピューティングとは、分散コンピューティングの一種で、端末などのデバイスや、それと物理的に近い場所に設置されたサーバー(エッジサーバー)などの装置によって、データの処理や分析を実行する概念です。あらゆるモノがインターネットに接続するIoTのしくみが広まるにしたがって提唱されるようになりました。
エッジコンピューティングにより、インターネットなどのネットワークを介して遠方にあるサーバーにデータを送信する必要がなく、端末そのもの、もしくはエッジサーバーによって処理が完結。高速なリアルタイム処理が可能となるほか、ネットワークへの負荷も抑えられ、通信の遅延などが発生しづらくなります。
クラウドコンピューティングとの違い
エッジコンピューティングとクラウドコンピューティングは、相反する概念であると言えます。エッジコンピューティングが端末そのもの、もしくはそれに近接するエッジサーバーによって処理を完結させるのに対し、クラウドコンピューティングは、インターネットを経由しクラウド環境にあるサーバーにデータや処理を集約させるしくみだからです。
クラウドコンピューティングでは、インターネットに接続さえできれば特定のアプリケーションやソフトウェアをインストールすることなく、さまざまな端末からサービスが利用できるというメリットがあります。また、クラウド上のサーバーにデータが集約されることによって一元管理が可能なため、運用やメンテナンスが比較的容易であるというのもポイントです。
エッジサーバーとは
エッジサーバーとは上述のとおり、端末に近接した場所でデータを処理するサーバーのことです。エッジサーバーやエッジコンピューティングは、IoTの浸透に伴って広がり始めたため比較的新しい概念と思われがちですが、その考え方のルーツは1990年代後半のCDN(コンテンツデリバリネットワーク)にあります。
インターネットの普及に伴い、当時は大量のトラフィック(ネットワーク上の通信データ)が発生し、特にサイズの大きい動画コンテンツなどで閲覧の遅延や応答不能が発生することがありました。そこでCDNによって、ユーザーの近接に配置されたエッジサーバーからコンテンツを配信することで、ネットワークの負荷を抑えながら快適な閲覧を実現したのです。
ちなみにエッジは、一般的には「端」や「ふち」と訳されますが、エッジサーバーのエッジは、ネットワークの端末、あるいはデータを送り出すポイントといった意味になります。
エッジコンピューティングのメリット
今後さらに注目を集めるであろうエッジコンピューティングですが、そのメリットはどのようなところにあるのでしょうか。以下より、エッジコンピューティングの主なメリットについて順に解説します。
ネットワーク負荷が軽減できる
ネットワークを介してデータや処理をクラウドサーバーに集約するクラウドコンピューティングに比べて、端末そのもの、もしくはエッジサーバーによってデータを処理するエッジコンピューティングは、ネットワークの負荷を大幅に軽減します。エッジサーバーは、端末とクラウドサーバーの間に設置され、データ処理を実行しながら、必要な場合にはクラウドサーバーと通信しますが、やり取りされるのは最低限の情報のみです。
低レイテンシが実現できる
近接に設置されたエッジサーバーでデータを処理するエッジコンピューティングでは、ネットワークを介したクラウドサーバーとのやり取りが最低限に抑えられるため、低レイテンシ(応答時間もしくは応答遅延)が実現できます。そのため、リアルタイム性が要求される処理でも、問題なく実行できるのです。
セキュリティリスクを軽減できる
大部分の処理をエッジサーバーで実行するエッジコンピューティングでは、外部のネットワークを介したクラウドサーバーとのやり取りを最低限に抑えられるため、情報漏えいなどのリスクが大幅に低下します。また、クラウドコンピューティングでは、データが集約されているクラウドサーバーが攻撃されれば、すべてのデータにおいて漏えいや破損のリスクがありますが、エッジコンピューティングでは各エッジサーバーにデータが分散されているため、仮に1つのエッジサーバーが攻撃されても被害を最小限に食い止めることが可能です。
エッジコンピューティングの課題
エッジコンピューティングには、メリットだけではなく課題やデメリットもあります。以下より、エッジコンピューティングの課題について解説します。
データ消失の可能性がある
エッジコンピューティングでは、大部分のデータをエッジサーバーで処理し、必要なデータのみクラウドサーバーに転送します。エッジサーバーの記憶容量は限られているため、クラウドサーバーに転送されなかったデータは、不要データとして削除されます。その際、本来必要であるはずのデータが削除されてしまうリスクはゼロではありません。
管理コストが高くなりやすい
エッジコンピューティングでは、分散コンピューティングという性質上、多くの場合複数のエッジサーバーを設置するため、その分管理が複雑になりコストも増大します。エッジサーバーの数に比例してコストが膨らむ恐れがあるため、注意が必要です。
エッジコンピューティングの活用事例
エッジコンピューティングは、すでにさまざまなシーンにおいて実際に活用されています。以下より、エッジコンピューティングの活用事例について、代表的なものを順に紹介します。
顔認証技術
顔認証精度における世界No.1の技術を保有しているNECでは、対象となる人が歩いていても顔認証が可能となるウォークスルー顔認証装置を開発し、入退場ゲートやドアコントローラと連携する入退管理のソリューションを提供しています。これにより、ICカードを利用した入退管理に比べ、手軽かつ迅速に認証できる上、紛失やなりすましなどのリスクを排除し、セキュリティレベルを向上させることが可能に。また、ウォークスルー顔認証装置をエッジコンピューティングにより稼働させることで、さらにセキュリティレベルを高めながら、反応時間を短縮しています。※
※ 出典:日本電気株式会社(NEC) エッジコンピューティングのソリューション事例 https://jpn.nec.com/techrep/journal/g17/n01/170106.html
自動運転
NTTコミュニケーションズは、コネクテッドカー(インターネットに常時接続する自動車)やロボットなどの「移動するIoT機器」に向けたエッジコンピューティングサービス「ネットワークエッジ ソリューション」を発表。「移動するIoT機器」の接続先を複数のエッジサーバーに分散し、データの1次処理を担うことで、クラウドサーバーへのデータ集中による処理速度低下を回避し、リアルタイム性の向上を実現しています。これにより、自動運転のような、安全性の観点から低レイテンシが強く求められる状況においても、高度なリアルタイム処理が可能です。※
※ 出典:株式会社インプレス IT Leaders NTT Com、自動車など「移動するIoT機器」向けのエッジコンピューティングサービスを発表 https://it.impress.co.jp/articles/-/23920
農業機器
昨今、IoT技術を活用したスマート農業と呼ばれる取り組みが盛んですが、ソニーセミコンダクタソリューションズの「Spresense」は、ドローンやセンシングカメラなどのIoT機器に向けたスマートセンシングプロセッサ搭載ボードで、AI(人工知能)と組み合わせることによって効果的なスマート農業を実現。例えば、ドローンによる農薬散布が一般化する中、「Spresense」を搭載したドローンが、自らが撮影した画像をエッジコンピューティングによって解析することで、作物の生育状況や害虫による被害といった状況を自律的に判断し、必要な作物にのみ農薬を散布するといったことが可能です。※
※ 出典:Sony Group Corporation AI×農業「スマート農業」とは?|基礎知識と実用例を解説! https://developer.sony.com/ja/develop/spresense/ai-column/ai-columns/what-is-smart-agriculture
気象予測
気象予測の分野でも、IoT時代に合わせたエッジコンピューティングの研究開発が進められています。NTT未来ねっと研究所では、IoTセンサーから収集された気象データと、JAMSTEC(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)の気象予測シミュレータによるシミュレーション結果を組み合わせることで、高精度かつ局地的な気象予測を実現しました。広い範囲に対する一般的な気象予測ではなく、狭い範囲を対象とした局地的な気象予測は、天候に左右される要素の多い農業を始め、自動車への配信や、イベントビジネスへの応用など、幅広い活用が見込まれています。※
※ 出典:NTTグループ IoT活用で新たな気象予測を実現する「エッジコンピューティングによる気象シミュレーション」 https://www.rd.ntt/research/PF99-319.html
無人レジ
株式会社シーエスコミュニケーションは、エッジコンピューティングとPOSシステムを組み合わせて、店舗におけるレジの無人化を実現する「エッジIRリーダー」を開発しました。「エッジIRリーダー」は、商品を読み取り台に置くだけで、わずか0.2秒で正確に認識し、迅速な会計を可能とするものです。これにより、従来のバーコードやRFIDといった読み取り技術を必要とせず、低コストで無人レジが実現できるため、多くの店舗で課題とされている人手不足の解消が期待できます。※
※ 出典:PR TIMES バーコードなしで「無人レジ」を実現する「エッジIRリーダー」を発表 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000106014.html
エッジコンピューティング・エッジサーバーの導入は開発会社への外注がおすすめ
エッジコンピューティング・エッジサーバーの導入を自社で行う、すなわち内製するためには、高度な知見とスキルを有したエンジニアを揃えた上、必要となる機器などを自前で調達しなければなりません。膨大なコストがかかるため、潤沢な予算があり、余裕を持ったスケジュールが組めるような状況でない限りは、外部の開発会社へ依頼する方法がおすすめです。
エッジコンピューティングの導入やエッジサーバーの構築における経験豊富な開発会社に依頼できれば、短期間で高品質な成果物が期待できる上、適切なコスト管理によって、高い費用対効果が得られる可能性もあります。また、内製した場合に必要となるリソースを他のコア業務などに充てられるため、総合的な業務の効率化を図ることもできるでしょう。
システム開発の費用相場
つづいては、システム開発を外注した際にかかる費用相場をご紹介します。
システム開発の平均相場 | 233万円〜 |
システム開発の種類 | 費用相場 |
簡易顧客システム | 20万円~ |
Webシステム | 130万円~ |
業務システム | 400万円~ |
システム開発の費用相場をご紹介しました。より正確な費用を知りたい方は料金シミュレーターをご利用ください。
【まとめ】システム開発でお悩みならアイミツヘ
エッジコンピューティング・エッジサーバーの概要に触れながら、そのメリットやデメリット、活用事例などについて解説しました。
事例を見ても分かるように、エッジコンピューティングはすでにさまざまな分野において活用されており、今後のさらなる発展が大いに期待される技術です。本記事を参考に、エッジコンピューティングやエッジサーバーに関する知識を深め、ぜひイノベーションを実現してください。
また、エッジコンピューティングの導入やエッジサーバーの構築を依頼する会社の選定にお悩みの際は、ぜひ「アイミツ」をご利用ください。ご要望をお伺いした上で、マッチしている会社を複数ご紹介します。お気軽にご相談ください。
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