介護現場で高まるコンプライアンスの重要性：介護事業者がすべき対策とは【2024年最新版】

介護現場はコンプライアンス遵守が厳しく求められる現場で、法令違反があれば指定取り消しなど行政処分が下される恐れがあります。しかし、中には「コンプライアンスと介護の関係がよく分からない」という方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、介護現場におけるコンプライアンスの重要性や違反事例、対策について詳しく解説していきます。

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コンプライアンスは「遵守する」「守る」という意味を持つ言葉で、一般的には法令遵守と訳されます。介護事業は公益性の高いサービスであり、立場の弱い利用者が不利益を被ることのない健全な運営が求められます。
介護業界では介護保険制度を利用してサービスを提供するため社会資源としての側面があり、税金や保険料による収入が大きいため、一般企業と比較して厳しいコンプライアンスが求められるのです。

介護施設でコンプライアンス違反が発生した場合は処分の対象となり、最悪の場合は指定取り消し措置を受けることも。仮に指定取り消しにならなかったとしても、利用者へ不信感を抱かせることになりサービスの継続が難しくなるでしょう。
また、コンプライアンスに違反している介護施設にはスタッフも集まりにくくなると考えられます。コンプライアンスの徹底は健全な経営の基礎となるだけでなく、社会や地域住民からの支持・信頼獲得にも大きく影響します。

ここからは、介護現場で起こる可能性のあるコンプライアンス違反について解説します。

介護保険法に関するコンプライアンス違反の中でも発生頻度が高いのが「介護報酬の不正請求」と「人格尊重義務違反」の2つです。
・介護報酬の不正請求
サービス提供回数の水増しなどによる介護報酬の不正請求が発覚すると、指定もしくは許可の取り消しの対象となるほか、内容が公表されます。不正請求は経営陣主導で行われるケースが多いため、複数人の役員の配置や外部監査の導入などの対策が必要です。
・人格尊重義務違反
利用者への暴力や怒号などの心理的・身体的虐待もコンプライアンス違反です。介護職員は常に利用者の立場を意識して業務に取り組み、利用者の人格を尊重する義務があります。発生した場合は介護職員は登録削除、事業者も指定取り消し・公表処分の可能性があるため注意しましょう。

労働基準法に関するコンプライアンス違反としてあげられるのは、「サービス残業の強制」と「違法な長時間労働」です。
・サービス残業の強制
介護職員へのサービス残業の強制はコンプライアンス違反に該当します。残業手当は1分単位で発生するものであり、所定の割増賃金の支払いが求められます。残業時間の過小報告の強制も労働基準法違反です。
・違法な長時間労働
事業者が残業を明示されるのは「36協定」の範囲内であり、上限を超えて働かせるのもコンプライアンス違反です。介護業界はその特性から長時間労働が常態化しやすい傾向にあるため、施設全体で未然に防ぐための取り組みが重要とされています。
労働基準法に違反した場合は労働基準監督署による指導や、刑事処分の対象となるため注意が必要です。

そのほかに注意すべきコンプライアンス違反としては、「SNS経由での個人情報漏えい」や「ハッキングによる機密情報の流出」があげられます。
・SNSなどを通した個人情報漏洩
スマートフォンの普及によってSNSユーザーが増加した昨今では、介護職員のSNS利用も大きな課題です。施設利用者の個人情報が漏えいする可能性もあるため、SNS利用に関するルールを作成・周知しておく必要があります。
・ハッキングなどによる機密情報流出
施設で使用しているデバイスがハッキングの被害を受けると、機密情報が流出するおそれがあります。特に個人情報の流出は深刻なので、万全のセキュリティ対策を実施しておきましょう。

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介護現場におけるコンプライアンス違反を防止するためには、どのような対策を行うべきなのでしょうか。以下で解説していきます。

介護現場のコンプライアンス違反を防ぐためには、経営者によるチェック体制の構築・強化が必要です。自治体などが提供する「自己点検表」や、介護記録専用のソフトウェアを活用している事業者も増加傾向にあります。
コンプライアンス違反をゼロにするためには職員が一丸となって取り組むことが重要なので、経営者がしっかりと舵を取りましょう。

コンプライアンスの徹底には、1人ひとりの介護職員のモラルの向上も大切な要素です。利用者の介護にあたるのは職員であり、困難やストレスに直面した際にもコンプライアンスが守られるか否かは個人のモラルに委ねられます。とはいえ、コンプライアンスを重視するあまり利用者の状況や心情を無視してしまうのも本末転倒。利用者に寄り添う温かみある施設にするためには、介護職員の倫理観や考える力が求められます。

定期的なコンプライアンス研修の実施も、介護現場におけるコンプライアンスの徹底に有効な手段です。コンプライアンスの重要性や違反のリスクの自覚を促すプログラムはもちろん、経営層向け・介護職員向けといった階層別のプログラムも用意されているので、状況に合わせて利用するとよいでしょう。
昨今ではオンラインでの受講も可能となっているため、柔軟な教育が行えるはずです。

この記事では、介護現場におけるコンプライアンスの重要性や発生する可能性のあるコンプライアンス違反などについて解説していきました。コンプライアンスの遵守は健全な介護施設の運営に不可欠であり、職員一丸となって取り組むべき課題ですが、職員によっては認識にばらつきがあるかもしれません。職員にコンプライアンスに関する正しい知識を習得させたいという場合は、社員研修会社のプログラムを活用してみてもよいでしょう。
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