スマホアプリ開発で押さえるべきデザインのポイント【2024年最新版】
アメリカの調査会社App Annieによると、スマホアプリの市場規模は全世界で30兆円以上。競合他社と競いながらもアプリの利用者数を伸ばしていくためには、機能やスペックだけでなく、デザイン面での工夫も欠かせない要素です。
そこで本記事では、スマホアプリ開発の際に押さえておきたいデザインに関するポイントを徹底解説。おすすめのデザインツールや、優れたデザインに定評あるアプリも紹介するので、これからスマホアプリ開発に取り組む方はぜひ参考にしてください。
スマホアプリ開発におけるデザインの役割とは?
本題に入る前に、スマホアプリのデザインについて簡単に整理しておきましょう。スマホアプリにおけるデザインはどういった役割を担い、どのようなデザインが優れていると言えるのでしょうか?
結論から言えば、スマホアプリ開発におけるデザインの役割は「UX(ユーザーエクスペリエンス/ユーザー体験)」を向上させることです。
ゲームやSNS、カメラなど、ユーザーはそれぞれの目的に応じてアプリをインストールします。ただ目的が果たせるだけではなく、「使いやすい」という満足感や、心地よい体験を提供できるのが優れたアプリデザインの条件です。
そうしたデザインを実現させるためには、配色やレイアウトを含めて細かな配慮が必要不可欠。「アプリは眺めるものではなく使うもの」だという視点を忘れずに、ディテールを突き詰めていくことがアプリのデザインの質を高める近道ではないでしょうか。
スマホアプリのデザインで押さえるべき5つのポイント
ここからは上記の内容を踏まえた上で、スマホアプリ開発時に押さえておきたいデザインに関するポイントを解説してきます。
「1画面・1操作」を基本に
スマホアプリ開発時のデザインにおける1つ目のポイントは、「UI(ユーザーインターフェース)をできるだけわかりやすく、シンプルにする」ことです。
ユーザーがスマホアプリに求めているのは「手軽さ」や「便利さ」であり、豊富な機能を備えていたとしても、どんなに面白いコンテンツが含まれていても、「使いにくい」と判断されれば使用される可能性が非常に低くなります。
タップする部分のわかりにくいUIや、ボタンの見えづらいデザインはユーザーを考え込ませてしまうので、その時点で優れたデザインとは言えません。ワンタップでのページ遷移やスワイプによるタブ切り替えなど、「1画面・1操作」を基本として、ユーザーが直感的に使用できるUIを実装しましょう。
パーツのサイズ・間隔に配慮する
2つめのポイントは、パーツのサイズ・間隔に十分に配慮すること。PCやタブレットと異なり、基本的に操作を片手で行うスマホアプリは、ボタンやロゴが小さすぎたり、配置場所の間隔が狭く設計されているとミスタッチ(誤操作)につながることが多いからです。
一般的に、タップの正確性が担保できるとされているボタンのサイズは、42ピクセルから72ピクセルの範囲内。各ボタンの間隔は12ピクセルから48ピクセルの範囲であけておくと、誤操作を招きにくいとされています。
たとえばショッピングアプリなら「購入」や「お気に入り」などユーザーに使用される機会の多い部分はやや大きめにデザインする、もしくはわかりやすい場所に配置するといった工夫を重ねることで、アプリの利便性がぐっと高まるのではないでしょうか。
レイアウトパターンを統一する
三菱UFJリサーチ&コンサルティングとフラー、立教大学が連携して行った独自調査では、スマートフォンにインストールされているアプリの数は平均で82個ということが判明。バックグラウンドで複数のアプリを起動させたまま、適宜切り替えて操作するユーザーも少なくないと考えられます。
しかし、アプリ内の画面によってデザイン・レイアウトパターンが異なる場合は、そうしたなかで「どのアプリを開いているのか」がわかりにくく混乱を招くため、可能な限りアプリ全体の構成を揃えるようにしましょう。
視認性を高めるという点では、たとえば若年層なら「Instagram」や「TikTok」など、ユーザーが日頃から頻繁に使用しているアプリのデザインを参考に、それらと異なる配色・レイアウトパターンでデザインするのも方法の1つです。
動画やアニメーションは必要最小限に
短時間でさまざまな情報が伝えられることから、webサイトで活用されるケースが多い動画やアニメーションの自動再生機能ですが、スマホアプリでは極力避けるのがおすすめです。
通勤電車やオフィス、飲食店など、スマホアプリを使用する場所は多岐にわたります。ユーザーによっては起動と同時に再生されるBGMやナレーションを嫌い、使用を躊躇することもあるかもしれません。また、再生にあたって読み込み時間が長引けば、ユーザーのストレスにつながることもあるでしょう。
ゲームをはじめとしたエンタメ系以外のスマホアプリ開発では、動画・アニメーションの使用を最小限に抑え、そのぶんレイアウトや操作性の設計・改善に時間をあててみてはいかがでしょうか。
トレンドに目を向ける
さまざまなスマホアプリが登場し続ける昨今では、「何をもって便利、使いやすいとするのか」などアプリに対するユーザーの価値基準も変化しています。
たとえば、2010年からサービスを開始したInstagramのグリッド(格子状)レイアウトは、一覧性が高い上にスマホ操作との相性もよく多くのユーザーに受け入れられた結果、現在では画像・動画系アプリを代表する存在となりました。
また、2017年にGoogleが発表した「Google レンズ」は、文字通りスマホをかざすだけという画期的なUIによって、情報収集のあり方を大きく変えようとしています。
技術的な問題から自社アプリへの実装が難しいケースもありますが、こうした最先端のデザイン・UIをキャッチアップしていくのも、多くのユーザーに愛されるスマホアプリ開発を叶えるためには大切な要素です。
スマホアプリ開発におけるデザインの進め方
続いては、スマホアプリ開発におけるデザイン業務の具体的な進め方を解説していきます。
1.ワイヤーフレームをつくる
ワイヤーフレームとは、アプリ画面のレイアウトを線(ワイヤー)によって示した簡易的な設計図のこと。
アプリを開発する目的やターゲット、機能を整理した上で「画面のどこに何を配置するのか」「ボタンやロゴからどのページに遷移させるのか」全体の構成を組み上げていきます。
一般的にスマホアプリのワイヤーフレームはモノクロの線を組み合わせたシンプルなものが多い傾向にあり、PowerPointやExcelでも作成できますが、専用のツールを活用すればよりスムーズに完成させることが可能です。
専用ツールは豊富なテンプレートが用意されているだけでなく、webブラウザ上で動作するものも多く、複数人で作業を進めることができます。
2.パーツを作成する
ワイヤーフレームが完成したら、全体の構成に沿ってボタンやロゴ、イラストなど必要なパーツを作成していきます。
一般的にはwebデザインと同様にPhotoShopやIllustratorといったソフトウェアを使用するのが主流とされていますが、近年ではアプリの種類別に無料素材やテンプレートを提供しているサービスも存在しているので、工数を抑えたい場合はそれらをダウンロード・カスタマイズしてもいいかもしれません。
いずれの場合も「操作性」を念頭に置き、適正サイズ・感覚に配慮するのも忘れないようにしましょう。
3.モックアップを制作する
必要なパーツが揃ったら、画面全体のレイアウトにそれら当て込んだモックアップ(模型)を制作しましょう。本開発に進む前に実際の画面と同じサイズのモックアップを制作しておくことで、全体のバランスや使い勝手の事前確認が可能となります。
スマホアプリ開発にともなうデザイン業務は、ここまでで一区切り。モックアップの完成後は、エンジニアやコーダーが中心となって具体的な機能や仕様の開発・実装作業に移ります。
iOSとAndroidの違い
スマホアプリ開発の際は、OSの仕様の違いがアプリの動作に影響を与えることもあるので注意が必要です。
なかでも大きな違いは「ナビゲーションボタン」の有無。Androidの場合は画面の最下部に3種のボタンが配置されており、左端のボタンのタップで前の画面に戻ることができますが、iOSにはナビゲーションボタンがありません。
iOSの端末でタップによる操作取り消しや前の画面へ戻るためには、アプリに「戻る」ボタンもしくはUNDOの機能を実装させる必要があります。
また、iOS端末向けのアプリで一般的なデイトピッカー(スロット形式で任意の日付や時間を表示する機能)は、カレンダー方式が主流のAndroidユーザーにとっては見慣れないもの。
スマホアプリ開発におけるデザインを行う際は、自身の使用している端末を基準にせず、iOS・Androidユーザー双方の視点で必要なUIを突き詰めていくことが大切だといえます。
スマホアプリ開発におすすめのデザインツール3選
続いては、スマホアプリのデザインに役立つおすすめのツールを紹介していきます。
Figma(フィグマ)
2016年に正式公開されたデザインツールです。パーツの描画やワイヤーフレーム、モックアップの作成など多彩な機能が搭載されており、多くのアプリ開発会社やweb制作会社で利用されています。
なかでも特徴的なのはwebブラウザ上で動作する点で、アカウントを保有していれば端末を問わず使用できる上に、1つのファイルを複数人で同時に編集することも可能。制作物はすべてクラウド上に保存されるので、「ローカル環境に新旧ファイルが混在している」「知らないうちに先祖返りしてしまった」といったこともありません。
Sketch
オランダのBohemian Coding社が提供しているMac OS向けのデザインツールです。2010年のサービス開始直後から人気を集め、2012年には「Apple Design Award」を受賞しています。
画面はすべて英語ながらシンプルなUIに定評があり、ボタンやロゴを直感的にデザインすることが可能。動作も軽快で、「Sketch」の導入によってデザイン業務の工数を大幅に短縮したというアプリ開発会社も少なくないようです。
料金は1ユーザーあたり9ドルで、30日間のトライアル期間も用意されています。
Cacco(カクー)
ワイヤーフレームやモックアップの制作に役立つ作画ツールです。ヌーラボが開発・販売を手がけ、トータルで250万人以上のユーザーに利用されています。
iOS・Androidアプリやwebサイトなど目的別のテンプレートが豊富に用意されており、簡単にワイヤーフレームやモックアップの作成が可能。オンラインでの共同編集にも対応しているほか、メンバー同士でのビデオ通話やチャット機能も備えています。
デザインが秀逸なスマホアプリ3選
最後はデザインが光る3種類のスマホアプリをピックアップ。これからアプリのデザインを始める方はぜひ参考にしてみてください。
Trello
iPhone・Android端末向けのタスク管理アプリです。ミーティングや経費申請といった個々の業務を「Card」として作成し、「Board(管理画面)」にドラッグ&ドロップで貼り付けるだけで、手帳やデスクなどにふせんを貼る間隔でタスク管理を行うことができます。
無駄な装飾のないデザインでありながらも、ドラッグ操作中にのみ傾くCardなど、操作ミスを防ぐUIに定評があるようです。
Kocri(コクリ)
学校の授業における使用を目的に開発されたハイブリッド黒板アプリです。市販のプロジェクターとの連携によって、PCやタブレットで作成した教材をワンタッチで黒板に映し出すことができます。
教師が授業中に使用することを前提に設計されたUX/UIが高い評価を受けており、全国の小学校や中学校、高校・高専などで活用されています。また、TVをはじめとするメディアに取り上げられた実績も多く、2015年にはグッドデザイン賞を受賞しました。
AWA
8,000万以上の楽曲が聴き放題のサブスクリプション型ストリーミングアプリです。
デザインの面では、レコメンドや新着などの枠をなくした新しい見た目でありながらも直感的に操作ができる点が特徴。「あくまでも主役は音楽であり、CDジャケット」という観点から、CDジャケットを効果的に見せるために色の使用も抑えています。
利用者数はリリースから1年あまりで1,000万ダウンロードを突破し、2017年にはGoogle Playの「Best of 2017」に選出されました。
アプリ開発の費用相場
つづいては、アプリ開発を外注した際にかかる費用相場をご紹介します。
アプリのタイプ | 開発費用の相場 |
アプリ開発の平均費用相場 | 250万円~ |
ショッピングカート系 | 100万~300万円 |
カタログ・フリーペーパー系 | 50万~100万円 |
通話・メッセージアプリ系 | 100万~500万円 |
ツール系 | 50万~300万円 |
ゲーム系 | 300万~1,000万円 |
SNS位置情報系 | 500万~1,000万円 |
アプリ内課金/多言語/マップ対応 | 各10万~20万円 |
SNS連携/アクセス解析 | 各5万円 |
学習アプリ系 | 50万円~300万円 |
アプリ開発の費用相場をご紹介しました。より正確な費用を知りたい方は料金シミュレーターをご利用ください。
まとめ
本記事では、スマホアプリ開発の際に押さえておきたいデザインのポイントを解説するとともに、おすすめのデザインツールや、デザインが高い評価を受けているアプリを紹介してきました。
ユーザーにとって使いやすいUIであるか、新たな体験を提供できるサービスであるかは事業の成功を左右する重要な要素。ユーザー目線を大切にしながらも、サービスの個性を上手く表現することで、多くのユーザーに愛されるアプリとなるのではないでしょうか。
なお、「アイミツ」では、みなさまからのご相談を無料で承っています。アプリの開発・デザインにあたって委託先を探している方や、パートナー選びで迷っているという方はお気軽にお問い合わせください。
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