失業保険における会社都合と自己都合の違いや企業側がやることを解説!【2024年最新版】
退職後に支給される失業保険の存在自体は世間一般によく知られていますが、会社都合退職と自己都合退職によって失業保険の扱いが異なることを知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、失業保険に関する基礎知識を解説するとともに、会社都合退職と自己都合退職の違い、失業保険における支給開始日、給付日数、金額、要件などの違いを紹介します。企業側の失業保険に関わる手続きなどもあわせて解説するので、ぜひ参考にしてください。
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失業保険とは
失業保険とは、雇用保険制度に基づき、加入者が失業または自己都合退職などにより職を失った際に失業手当を受け取れる制度のことです。ベースとなる雇用保険制度は労働者の生活と雇用の安定、さらに就職を促進する目的で制定されており、強制保険制度であるため、一定の条件に該当する労働者は事業者規模などに関係なく全て雇用保険の被保険者となります。しかし、失業時の手当(基本手当)を受け取るには、対象となり労働者が雇用保険に加入しているとともに、「再就職の意思を持っていること」など一定の条件を満たしている必要があります。
失業の種類
失業保険は労働者が退職した場合に支給されますが、そもそも退職には「会社都合」「自己都合」の2つのパターンが存在しており、どちらに該当するかで失業保険の取り扱いも変わります。そこでまずは、具体例を交えながら会社都合と事項都合での退職の違いを解説していくので、順にチェックしてみましょう。
会社都合
会社都合の退職とは、労働者を雇用する企業側の都合によって一方的に労働契約を解除し、退職を与儀なくされる状態を指します。具体的には以下のようなパターンが該当します。
・会社自体の倒産
・リストラ
・会社からの不当な給与の未払いや給与カット
・希望退職制度(労働者が早期退職制度に応募した場合)
・派遣の雇い止め
・事業所の移転に伴い、通勤が困難となる
ご覧のように、倒産やリストラといった労働契約が分かりやすく解除されてしまうパターンに限らず、希望退職や事業所移転などのケースもあくまで「会社側の都合」なので会社都合の退職に該当します。
自己都合
自己都合の退職とは、労働者が自らの意志によって個人的な都合で退職を申し出るケースを指し、具体的には以下のようなパターンが該当します。
・転職
・結婚、出産
・労働者自身の意思に基づいた転居
・病気の療養
・介護
・懲戒処分(違反行為などを起こした場合)
重要なのは、いずれも「労働者が会社の都合に関係なく、自分の意志で退職を申し出る」ということ。病気療養や介護を目的とした退職はやむを得ない理由かもしれませんが、あくまで労働者側の環境変化や家庭の事情が理由となるため、自己都合退職扱いとなります。
失業保険における会社都合退職と自己都合退職の違い
会社都合退職と自己都合退職の違いを先に整理したところで、ここからは退職のパターンによって失業保険の扱いがどのように変わるのかを見ていきましょう。支給開始日や給付日数、給付要件の違いなどを解説するとともに、いつから支給されていくらになるのか、具体的な計算方法なども紹介するので参考にしてください。
支給開始日が違う
失業保険がいつから支給されるのかは、会社都合退職か自己都合退職かによって異なります。
・会社都合退職:7日(待機期間)経過後
・自己都合退職:原則として給付制限期間である2カ月+7日(待機期間)経過後
いずれの場合も管轄のハローワークに離職票を持参し、求職の申し込みを行った日から待機期間がはじまる仕組みとなっています。また、自己都合退職の場合は例外として、以下の状況に該当する場合は支給日が「3カ月(給付制限期間)+7日(待期期間)経過後」となります。
・重責解雇(職務関連の法令違反、故意または重過失により事業所の設備や器具を破壊した場合などが該当)
・5年間で計3回以上、正当な理由なく自己都合退職した場合
給付日数や金額が違う
失業保険が給付される日数は、会社都合退職と自己都合退職で以下のように異なります。
【会社都合退職】
・30歳未満:90~180日
・30歳以上35歳未満:90~240日
・35歳以上45歳未満:90~270日
・45歳以上60歳未満:90~330日
・60歳以上65歳未満:90~240日
【自己都合退職】
・65歳未満共通:90~150日
両者を比較すると、会社都合退職のほうが給付日数は長めに設定されているのが分かります。また、気になる給付金額がいくらとなるのかについては、1日あたりの金額は同じ(具体的な金額は「賃金日額×50~80%」で計算)ですが、上記のとおり給付日数が異なることから、総額では大きな差が出るケースもめずらしくありません。
支給要件が違う
会社都合退職が自己都合退職かで失業保険の支給要件(受給要件)が異なる点にも注意が必要です。
・会社都合退職:離職日以前の1年間で6カ月以上働いた期間がある(被保険者期間が通算6カ月以上)こと
・自己都合退職:離職日以前の2年間で12カ月以上働いた期間がある(被保険者期間が通算12カ月以上)こと
つまり、失業保険(基本手当)をもらうためには、離職日から振り返って一定期間被保険者であることが条件となっており、会社都合退職と自己都合退職で必要期間に差があるということです。この支給要件についてもやはり会社都合退職のほうが条件は優しく設定されており、「働く意思があるのに働けない」労働者を保護する仕組みとなっています。
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失業保険が会社都合扱いになるケースとは?
失業保険における会社都合退職と自己都合退職の違いからも分かるとおり、自分の意志ではなく会社の都合で職を失った場合の方が支給開始日や日数、支給要件などは融合される傾向にあります。では具体的にどのような場合に失業保険が会社都合退職扱いとなるのでしょうか。大きく2つのパターンに分かれるため、ここから順に解説していきましょう。
従業員が解雇によって離職した場合
失業保険で会社都合退職扱いとなり、特定受給資格者とみなされる1つ目のパターンが、以下のような「解雇による離職」です。
・整理解雇:経営の合理化や業績不振改善などを目的として、会社が人員を削減する行い。あくまで従業員に責がないケースが該当するため、重責解雇などは整理解雇にあたらない
・労働契約で労働条件が明示されているにもかかわらず、事実が著しく異なっていたことによる解雇
2つ目のケースにおける「労働条件」とは、賃金、労働時間、就業場所などを指します。労働者はあらかじめ定められた労働条件を踏まえて働いているため、現実が労働条件と異なる場合の離職は労働者側に非はなく、就職後1年以内なら会社都合扱いの退職となります。
従業員が倒産によって離職した場合
失業保険で会社都合退職扱いとなるもう1つのパターンが、「企業の倒産などによる離職」です。倒産には複数の手続きが存在しますが、いずれの場合でも会社が倒産して事業を継続できなくなった場合は労働者の意思とは無関係に離職せざるを得なくなってしまいます。また、倒産に伴い、相当数の離職者が発生してやむなく離職する場合も会社都合退職です。その他にも以下のようなケースが該当するのでチェックしておきましょう。
・事業所が廃止されており、事業活動再開の見込みがない
・事業所の移転に伴い、通勤が困難になってしまった
これらも自身の判断とは関係ない事由により継続的な労働が難しくなってしまうことから、会社都合退職と認められる可能性が高くなります。
正当な理由であれば自己都合も会社都合になる
前述の「解雇」「倒産」による離職は会社都合であることが分かりやすい典型的なパターンですが、理由次第では一見すると自己都合に見える退職でも会社都合扱いとなるケースもあります。そこで、自己都合と迷いやすい「会社都合扱いの退職となる可能性のある具体例」を以下にまとめます。
・パワハラやセクハラなど、上司・同僚からの嫌がらせを理由とした退職
・残業時間を理由(退職直前の6カ月間のうち、3カ月連続で残業時間が45時間超、残業がひと月で100時間超、2~6カ月の月平均残業が80時間超、のいずれかに該当する場合)とした退職
・有期雇用での契約満了に伴い、契約更新の希望を出したにも関わらず、更新されなかった場合の退職
ただし、いずれの場合も対象となる自由の裏付けとなる客観的な証拠や資料が必要となり、必ずしも会社都合と認められるわけではありません。
失業保険(失業給付金)のために企業側がやること
失業保険は企業が支給するものではありませんが、従業員が退職した場合は企業側もさまざまな雇用保険関係の手続きを行う必要があります。特に失業保険は労働者の生活を支えるお金に関する事柄であり、対応を怠った場合には雇用保険法違反となる可能性も。以下に必要な手続きの流れと概要をまとめたので、ひととおりチェックしておきましょう。
1.従業員の退職後、管轄のハローワークに雇用保険被保険者資格喪失届(資格喪失届)、雇用保険被保険者離職証明書(離職証明書)を提出する。提出は離職日の翌々日から10日以内が期限。
2.上記書類の提出後にハローワークから発行される離職票を離職者に送付する
上記2点が雇用保険関連で企業側が行う手続きの内容ですが、離職者に送付する離職票は失業手当の受給申請を行う際の必要書類となっています。そのため、企業側の対応が遅れると、それだけ離職者が困ってしまうことになるので、離職後10~14日程度の到着を目安になるべく早めの対応を心がけましょう。
失業保険の手続きは社会保険労務士に依頼できる
企業としては、引き継ぎや退職者の後任者選定など、従業員の退職に伴ってやるべき作業が多いため、失業保険に付随した手続きは面倒だと感じるかもしれません。しかし、雇用保険関連の企業側の手続きは退職者の失業保険と直接に関係しているため、退職時の流れや必要な手続きを踏まえて円満退社の準備を整えておくことが大切です。
適切かつスムーズな手続きに自信がない、忙しくて時間が取れない、といった場合には労務の専門家である社労士(社会保険労務士)に相談するのがおすすめです。社労士は企業のさまざまな手続きをサポートしてくれるだけでなく、労務問題解決にも役立つので、信頼できるパートナーを見つけておくとさまざまな場面で心強い味方となってくれるでしょう。
社会保険労務士の費用相場
社会保険労務士との契約には、大きく2つの契約方法があります。顧問契約は毎月継続して社会労務関連の仕事全般を行う契約です。労働保険・社会保険諸法令に基づいた書類の作成、ならびに提出代行を中心に、人事労務に関する相談やアドバイス、細かな指導や情報提供などをメインに行います。
一方、労務手続き+相談業務がセットになったのが、通常の顧問契約です。また社労士事務所によっては顧問契約を個別に分けているところもあります。労務手続きのみ、あるいは相談業務のみという場合には、包括的なプランと比較して30~50%ほど費用を抑えられるでしょう。
社労士は依頼内容や従業員数などによって報酬が変わるので、「依頼前に社会保険労務士の費用相場についてもっと詳しく知りたい!」という方は、以下の記事をチェックしてください。
【まとめ】社労士選びでお悩みならアイミツへ
失業保険は、会社都合退職、自己都合退職によって扱いが異なり、退職者・企業の双方で手続きが必要となります。特に企業側の手続きが終わらないと退職者は失業保険受給の手続きを進められないため、必要な手続きを理解した上で事前に準備を整えておくことが大切です。
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