【事業者向け】退職手続きの方法|引き止めたい場合の対応についても解説【2024年最新版】
従業員を雇用していればいずれは直面する、従業員の退職という場面。しかし、通常頻繁に対応することは少ないため、どのような手続きが必要なのか、どのように対応すれば良いのか悩んでしまうという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、退職手続きを行ううえで必要な対応や注意点、退職を相談されて引き止めたい場合の対応方法などについてわかりやすくまとめています。退職手続きに関してお困りの方は、ぜひ参考にしてください。
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従業員が退職を申し出てきたら行う手続きや対応
従業員が退職を申し出てきた場合、行うべき手続きには以下のようなものがあります。
・退職届(退職願)の作成依頼、受理
・具体的な退職日の決定
・退職時誓約書の締結
・社会保険、雇用保険、税金に関する手続き など
なかには、退職直前、または当日に行う手続き・対応もあります。また、上記のような手続きのほか、業務上の引き継ぎ対応や人員補充に関しても対応しなければなりません。
以下から、それぞれ詳細を確認していきましょう。
退職を申し出てきた後の対応
まず、従業員が退職を申し出てきた場合は退職届(または退職願)の作成依頼と実際の退職日の相談を行いましょう。ただ、従業員は退職届(退職願)を作成のうえ、提出とともに退職を申し出る場合も多いです。その場合は、具体的に何月何日付けで退職とするかを従業員と話し合いましょう。
なお、期間の定めのない労働契約を結んでいる場合は、労働基準法により退職の自由が定められています。このため、原則として従業員の退職を拒否することはできません。
退職を申し出た従業員とは何度か面談を重ね、正式な退職日のほか、業務の引き継ぎに関する相談を行いましょう。業務の引き継ぎに関しては、退職者が担当していた業務内容を改めて確認し、
・引き継ぎの期間、方法
・退職者の後任者
・人員補充をするか否か
などを決定します。
退職日までに進めておくべき手続き・対応①
退職日までに進めておくべき手続き・対応のなかでも意外と見落としがちなものが「退職時秘密保持誓約書の締結」です。退職者が退職後に業務で得た技術上・営業上の秘密やノウハウ、顧客情報などを開示・漏えい・使用することを防ぐために行います。
退職後に従業員の行動を制限することは非常に難しいため、退職時に締結することが必要です。
退職時秘密保持誓約書において必ず定めるべき内容としては、以下のようなものが挙げられます。
・秘密情報の特定:「秘密情報」とは何かを定める
・秘密保持義務:秘密情報を開示、漏えい、使用しないことを定める
・秘密情報の破棄、返還:退職日までに秘密情報を破棄または返還することを定める
・違反に対する制裁:違反した場合の対応(賠償など)を定める
企業機密上守りたい情報がある場合は、正式な誓約書の作成・締結に関して弁護士などの専門家に相談するとよいでしょう。
退職日までに進めておくべき手続き・対応②
上記以外に退職日までに進めておくべき手続き・対応としては、以下のようなものが挙げられます。
・健康保険の任意継続の意思確認
・住民税の徴収方法の確認
従業員が社会保険に加入しており、退職日までに2ヵ月以上の被保険者期間がある場合は、退職後も最長2年、社会保険を継続することが可能です。
継続したい場合は加入申請が必要になるほか、保険料は全額退職者の負担となることを伝えて、意思を確認しましょう。
住民税に関しては、退職後の就職先が決まっている場合は特別徴収、そうでない場合は普通徴収となります。退職者に退職後の就職先が決まっているかどうかを確認しておきましょう。
退職直前・当日に行う手続き・対応
退職日が近づいてきたら、以下のような手続きや対応を進めていきます。
・退職証明書の準備
・離職証明書の準備
・退職所得の受給に関する申告書への記入依頼(退職金がある場合)
「退職証明書」は必ず発行しなければいけない書類ではありません。しかし、離職票の発行前に社会保険の手続きを行う場合や、退職者が転職先で提出する場合など、必要となるシーンは多いです。あらかじめ作成しておくとよいでしょう。
「離職証明書」(正式名称:雇用保険被保険者離職証明書)は、退職者が59歳以上の場合必ず交付しなければなりません。退職者の内容確認・署名・捺印が必要となるため、時間に余裕のある作成をおすすめします。
「退職所得の受給に関する申告書」は、退職金から税額を控除する際に必要となる書類です。退職金がある場合は必ず提出してもらいましょう。
退職完了後に行う手続き
以下からは、退職者が退職したあとに行う手続きについて解説していきます。
退職完了後に行う手続きは、以下のとおりです。
・社会保険・雇用保険の手続き
・住民税の手続き
・必要書類の送付
必要書類の送付なども必要となるため、退職者とは、退職後すぐに関わりがなくなるわけではありません。円満に退職を完了させるためにも、これらの手続きは滞りなく行いましょう。
それでは、以下からそれぞれの手続きを解説していきます。
社会保険・雇用保険の手続き
従業員の退職が完了したら、社会保険と雇用保険に関する手続きを行いましょう。
社会保険(健康保険・厚生年金)は喪失手続きを行います。「健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届」を、事業所を管轄する年金事務所に提出しましょう。これは、従業員が退職した翌日から5日以内に行う必要があります。健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届の提出時に注意したい点は以下の2点です。
・70歳以上の従業員は専用の様式を用いる必要がある
・提出時に本人と扶養親族の健康保険証の添付が必要になる
雇用保険に関しても喪失手続きが必要です。「雇用保険被保険者資格喪失届」と「雇用保険被保険者離職証明書」を、事業所を管轄するハローワークに提出しましょう。これは、従業員が退職した翌々日から10日以内に行う必要があります。
このときの注意点は以下の2点です。
・後日離職票が発行されるため忘れずに受け取る
・退職日までの賃金支払状況や退職理由を確認する書類(賃金台帳や出勤簿、退職届など)の提出が必要になる
住民税の手続き
住民税の手続きに関しては、先ほどお伝えしたとおり「特別徴収」と「普通徴収」で対応が異なります。
すでに退職者の転職先が決まっている場合は、特別徴収となるため、「特別徴収の継続手続き」を行いましょう。「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を用意し、必要事項を記入して退職者の転職先へ書類を送付することで、手続きは完了です。
転職先が決まっていない場合は、退職者本人の手続きが必要になります。「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を退職時の居住市町村に、退職者自身が提出する必要がある旨を伝えましょう。
なお、普通徴収の場合は退職日や退職者の都合によって一括徴収とすることも可能です。
必要書類の送付
ここまでの手続きで発行された必要書類などを、退職者に送付・返却します。
・健康保険被保険者資格喪失確認通知書
・離職票
・源泉徴収票(退職源泉)
・年金手帳(預かっている場合)
健康保険被保険者資格喪失確認通知書は健康保険被保険者資格喪失届を提出した後に、離職票はハローワークに離職証明書を提出したあとに発行されます。どちらも発行まで数日かかるため、忘れずに送付しましょう。
離職票に関しては、退職証明書が代わりとなります。退職者が離職票をすぐに必要としている場合は発行しましょう。源泉徴収票は、退職者が退職した年の1月1日から最後に支払った給与までの額で発行します。
いずれの書類も退職者がハローワークや転職先などで使用するため、迅速に対応しましょう。
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従業員が退職する際の注意点
ここまでお伝えしてきた手続きや引き継ぎ対応のほかに、忘れてはいけないポイントとして、貸し出し品の引き取りがあります。
従業員が退職する際は、名刺・社員証・制服・ユニフォームなどの貸し出し品の引き取りを忘れずに行いましょう。このほか、パソコンを貸し出している場合や、従業員が顧客情報を記載されている書類などを取り扱っていた場合も、必ず返却を促すことが大切です。
特に顧客情報が記載されている書類やデータなどは、企業の機密情報やプライバシー保持にかかわる問題のため、厳密な対応を行いましょう。
なお、長年勤めてきた従業員の場合、会社から貸し出した備品などを紛失していることや、どこにあるか失念してしまったということもありえます。返却の必要があるものに関してはできるだけ早めにその旨を伝え、必要な対応を行いましょう。
退職を相談されて引き止めたい場合のステップ
従業員から退職の相談をされた際、「今辞められては困る!」と感じることもあるでしょう。従業員を引き止めたいと考えている場合は、後々トラブルに発展しないように注意しなくてはなりません。
退職の意志を尊重する場合でも、引きとめる場合でも、トラブルになりづらい話の進め方をなるべく把握しておくべきだといえるでしょう。
以下からは、退職を相談されて引き止めたい場合の適切な対応の流れを、3ステップに分けて解説していきます。
話を全て受け止める
退職の相談をされたら、まずは従業員の話をすべて受け止めましょう。退職者も、よく考えた末に相談をしてくれているはずです。頭ごなしに叱ったり、態度を豹変させたりするのではなく、まずはしっかりと従業員の話を聞き、その内容を受け止めましょう。
そのうえで、改めてじっくりと話す場を設けます。このとき、改めて話すタイミングを不用意に長引かせてしまうと、「話を聞く気がないのでは」と従業員に不信感を抱かせてしまうかもしれません。退職の相談をされてから2,3日中に、改めて話を聞く場を設定しましょう。
辞めたい理由を具体的に聞く場を設ける
相談を持ちかけられてから2,3日中に、従業員から具体的な話を聞きます。この際、退職の相談をしてきた従業員と1対1で話し合える場をセッティングすることがベストです。
退職の相談は非常にデリケートな内容といえます。そのため、従業員は相手のことを信頼して退職の意思を打ち明けた可能性が高いです。上司や社長など、従業員が退職を希望していることを伝えるべき立場の人が自分以外にいたとしても、まずは1対1で話を聞くことをおすすめします。
相談を持ちかけた人以外の人を話し合いの場に呼ぶと、「この人に何を伝えても他の人に筒抜けになってしまうかもしれない」と従業員に不信感を抱かせてしまう可能性があるためです。
従業員との信頼関係を大事に、まずは1対1で話を聞きましょう。場所は、社内外どちらの場合も、オフィス内の人に聞かれる心配がない場所を選ぶことが大切です。
引き止める話の進め方を把握して実践
退職を引き止めたいと思っている相手の話を聞く際は、事前に引き止めるための話の進め方を把握しておきましょう。
相手に対して慰留を行う際のポイントは「従業員が退職したいと思う原因になった要素を特定し、その解消を約束すること」です。そのため、まずは従業員がなぜ退職を思い立ったのかを確認することが必要になります。
聞き出した原因が、会社や自身の努力次第で解消できるものであれば、解消に向けて努力する旨を伝えましょう。加えて、「あなたともう少し一緒に頑張りたい」といった内容を伝え、自身が退職を考えている社員の味方であるという姿勢を示すことが重要です。
ただ、従業員の退職の意志が固いと感じたときは、無理に引き止めることは避け、会社と従業員双方が円満に退職を進めていくためのやり取りにシフトしましょう。
【まとめ】退職の流れを理解して円満に手続きを進めよう
ここまで、従業員が退職を申し出た際の退職手続きに関して、必要な対応や注意点をお伝えしてきました。従業員の退職時は、入社時に交わした取り決めや手続きを終了するという手続きが必要になります。
適切な退職手続きができるか自信がない、手が回らないという方は、労務のプロである社会保険労務士に相談すると良いでしょう。
ただ、社会保険労務士事務所は数多くあります。どの事務所に依頼するか悩んでいる場合や、簡単に相見積もりを取りたい場合は、BtoB業者の一括比較サービス「アイミツ」をぜひご利用ください。アイミツではご要望を伺った上で、条件に合う社会保険労務士事務所を無料で複数社ご紹介可能です。会社選びでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
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