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社労士と顧問契約を結んで会社経営を円滑に|これだけは知っておきたい社労士選びのポイントやメリットとは?【2024年最新版】

更新日:2024.01.24

「これから起業をしたい」「起業後に従業員が増えてきた」という場面で、この先の事業成長や働きやすい環境作りについてお悩みの方も多いのではないでしょうか?
会社が成長するためには、従業員がいきいきと安心して働ける環境を整えることが大切です。良好な環境下では労働生産性も向上しますし、従業員の離職を防止できます。

社労士と顧問契約を結べば、日常的な労務トラブルを未然に防ぐことができ、社会保険手続きに煩わされることも少なくなるでしょう。また、事業成長について包括的な相談もできるので、経営者にとっては心強い存在となります。
ここでは、社労士と顧問契約を結んだ場合どんなメリットがあるのか、また社労士選びのポイントについても詳しく解説します。

記事監修 社会保険労務士/坪 義生(じんじ労務経営研究所代表)
記事監修 社会保険労務士/坪 義生(じんじ労務経営研究所代表)

労働保険事務組合鎌ヶ谷経営労務管理協会会長、清和大学法学部非常勤講師、「月刊人事マネジメント」(㈱ビジネスパブリッシング)取材記者。千葉大学大学院社会科学研究科修士課程修了(経済学)。91年、じんじ労務経営研究所を開設。同年より、企業のトップ・人事担当者を中心に人事制度を取材・執筆。中小企業の労働社会保険業務、自治体管理職研修の講師など広範に活動。著書『社会保険・労働保険の実務疑問解決マニュアル』(三修社)など。

社労士とは

パソコンとメモ

社労士とは企業成長に不可欠とされる「ヒト」「モノ」「カネ」のうち、「ヒト」に関する専門家です。正式名称は「社会保険労務士」で、その仕事に従事するには難関の国家試験に合格する必要があります。

会社経営をしていれば何かと労務トラブルは起きるので、その都度問題解決をしていく必要があります。また、従業員を雇用すれば社会保険に加入する必要がありますが、その手続きには高度な専門知識が必要です。加えて、毎月の給与計算は正確に行わなければなりません。いずれも会社の本業とは関係のないことですが、どれも事業継続をしていくには重要なことばかりです。

こうしたシーンで社労士は心強い存在となります。顧問契約を結べば経営者の右腕となって会社運営のアドバイスをしてもらえるでしょう。

社労士の役割

社労士という名前を耳にする方も多いと思いますが、その仕事内容はあまり知られていません。社労士の業務内容は多岐に渡りますが、顧問契約を結んだ場合に依頼できる内容は主に次の3つです。

・労務の相談
・保険手続きの代行
・給与の計算


顧問契約を結ぶと、こうした事柄について日常的に相談できます。ここからは、それぞれの内容について詳しく解説します。

1. 労務の相談

近年の働き方改革推進、ワークライフバランス重視の中、労働者の権利意識が以前に増して高まり、労務に関してのトラブルや相談が増えています。こうしたなかで、社労士の存在は大変重要です。

よくあるのは休暇・残業に関することで、長時間労働や残業代の支払いの有無についての相談が多いといわれます。また、解雇、退職など待遇を巡る問題も深刻な労務相談の1つです。そのほか、職場のハラスメントやメンタルヘルス、労災に関する相談も増えています。

こうした問題にいざ直面したとき、従業員にどのように対処をしたらいいのか、多くの経営者は頭を抱えてしまうのが普通です。解決方法が分からずに思い悩んでしまうこともあるでしょう。

その点、社労士と顧問契約を結んでいると、こうした労務問題が起こったときに適切なアドバイスをしてもらえます。いざ困ったときに知識の豊富な専門家に相談できるのはそれだけで大きなアドバンテージです。いち早く問題解決ができるのでストレスを抱えることもありません。

また、問題を未然に防ぐ就業規則の作成、賃金・人事評価の制度設計も依頼でき、問題の芽を早期に摘むことが可能です。社労士は良好な職場環境作りにはなくてはならない存在だといえます。

2. 保険手続きの代行

社労士と顧問契約を結ぶと「保険手続きの代行」も依頼できます。労働社会保険の加入は自社でも手続き可能ですが、制度が非常に複雑で書類を作成するのに多大な労力がかかります。

労働社会保険は、労働者が病気やケガを負ったとき、労働災害にあったとき、失業をしたときに適切な給付を受けるために必要です。手続きに不備があると万が一の際に必要な給付を受けられなくなります。

もし、そのような状況に陥ると従業員は重大な不利益を被ります。こうした事態は企業の社会的責任やコンプライアンスの観点からも避けなければなりません。

社会保険労務士と顧問契約を結べば労働社会保険手続きを代行してもらえます。労働社会保険は法改正も多いので、手続きに費やす自社の労力や人件費を考えると、社労士へ依頼する方が効率的でしょう。

3. 給与の計算

社労士と顧問契約を結ぶと給与計算も依頼できます。従業員の信頼を損ねることになるので、給与計算は正確に行わなければなりません。

しかし、作業を慎重に行うほど処理には時間がかかります。人数が多いと計算だけで数日かかることもあり、毎月の作業を負担を感じている担当者の方も少なくないでしょう。

給与計算は所得税、雇用保険、健康保険、厚生年金保険等の知識も必要となるので、専門家の社労士に任せておけば安心です。頻繁に行われる法改正にも都度対処してもらえるので、従業員はその分本業に集中できます。

・毎月の給与計算が大変
・所得税、保険料などの計算が合っているか心配
・計算ミスがないか心配
・給与システム導入の費用がない


もしこうしたことでお困りの場合は社労士への相談をおすすめします。

社労士を雇うことのメリット

バインダーをもつサラリーマン

社労士の役割について解説しましたが、ここからは社労士を雇うメリットについて具体的に説明します。社労士と顧問契約を結ぶことによって企業にどういう利益がもたらされるのでしょうか?

1. 従業員が本業に専念できる

社会保険や労働保険は、基本的に自社で手続き可能ですが、従業員の雇用形態、属性や年齢などによってやるべきことが違います。例えば、育児休業や介護休業の際の手続き、定年後の再雇用の手続き、一定範囲のパートアルバイトの雇用手続きなど、こうした個別の手続きも正確に行わなければなりません。仮に手続きに不備があると本来付与されるはずの給付がもらえなくなります。

そのため、書類作成のときには間違いがないよう何度も確認をしながら進めなければなりません。こうした手続きには時間がかかります。慣れている人でも慎重になるので、不慣れな人が行う場合は膨大な時間がかかるでしょう。

社会保険や労務保険の手続き自体は、正確に行ったからといって会社の利益が上がるというものではありません。そのため、こうした業務は専門家に依頼して本業に専念すれば社内の生産性が向上します。

2. いつでもすぐに相談が可能

社労士と顧問契約を結ぶと、何か問題が起こってもいつでもすぐに相談が可能です。企業が発展するためには良好な労使関係を築くことが不可欠です。しかし、人事労務に関することは一筋縄ではいかず、何らかのきっかけで労使の関係がこじれてしまいます。

例えば、遅刻が多い社員がいて対処に困っている場合、その人の状況やこれまでの貢献度や勤務態度で処遇は変わります。日頃からやる気がなくて遅刻も常習犯なのか、最近になって病気がちで遅刻が続くのかでは、対応が変わるでしょう。

会社を経営していれば、日常的にこうした問題が起こります。しかし、対処方法に悩むことも少なくないでしょう。そこで、労働基準法に精通し具体的事例を多く解決している社労士に相談すれば、問題をスピーディーに解決できます。

職場のトラブルは労使双方にとって強いストレスになりますが、すぐに解決できれば会社経営に力を入れられます。業務効率化という観点からも社労士と顧問契約を結ぶ意義は大きいのです。

3. 会社内外からの信用度が上がる

社労士が顧問になると、企業の信用度が上がります。対外的にはもちろん自社内でも従業員からの信頼を得られるでしょう。

働き方改革が進み、時間外労働の上限規制が設けられ、従業員の健康・安全管理の徹底が求められています。今まで以上に経営者は労働環境の整備に力を入れる必要があるのです。そのため、勤怠管理を正確に行い、就業規則や労働契約書を法律に則ったものとし、社会保険を完備しなければなりません。また、賃金体系、人事評価制度も適切なものにすることもマストです。しかし、これを経営者が全て自力で行うのは至難の業です。

その点、社労士と顧問契約を結べば、就業規則の作成や社会保険手続き、制度設計、人事労務管理相談などはカバーしてもらえるので、法令違反を回避できます。

こうした企業はコンプライアンスが徹底されているとみなされ、社会的な信用を得られます。取引先からも信用され、企業としてさらに成長できるでしょう。また、社労士と顧問契約を結べば、従業員も不安なことがあれば社労士に相談できます。良好な職場環境の整備が実現されれば、従業員の安心感が高まり、労働生産性を高められるでしょう。

4. 最新の情報を入手できる

社労士と顧問契約を結ぶと最新の情報を入手することができます。

働き方改革が進む中、2019年4月からは改正労働基準法が施行されます。時間外労働の上限規制や年次有給休暇の取得義務、労働時間の客観的把握など、これまでのルールが大きく変わります。

法律改正後、速やかに対処するために最新の情報を常に把握する必要があります。しかし、法改正のたびに内容を理解し適切に対処することは容易ではありません。

社労士は労務問題のスペシャリストなので、労働法関連の改正についても熟知しています。最新の情報をもつ専門家のアドバイスがあれば、会社としてもいち早く適切に対処できるでしょう。

また、社労士は助成金の申請代行を行うことができるので、新しい助成金の情報も都度入手しています。助成金は期間限定であることが多く、気が付いたころには終わっていた、というのもよくある話です。しかし、社労士と顧問契約を結んでいればそうした情報も教えてもらえるため、企業をより強くするための資金が必要な方も、社労士との契約をおすすめします。

社労士を雇う際のポイント

スーツの男性の手元

社労士と顧問契約を結ぶとさまざまなメリットがありますが、どんな社労士を雇うかでもその後の状況は変わります。一口に社労士といっても、それぞれに得意分野が異なるので社労士の強みと会社のニーズをマッチさせるのがベストです。

また、顧問契約を結ぶと毎月の顧問料の支払いも発生します。顧問契約料は予算の範囲内に納めるのが理想ですが、どのような業務をいくらで請け負ってもらえるのかは社労士事務所によって異なります。そのため、契約内容と費用対効果についても検討する必要があるでしょう。

ここでは、こうした社労士を雇う際のポイントについて詳しく解説します。

1. 社労士の契約方法

社労士との契約方法は主に2つあります。

・毎月の顧問契約料を払って継続的なサービスを提供してもらう
・就業規則の作成、人事評価など頼みたい業務だけ依頼する


毎月の顧問契約をするにしても、提供されるサービスは社労士事務所ごとに異なるので、その内容についても比較検討する必要があるでしょう。

社労士のサービスは社会保険契約の手続きなど目に見えるものもありますが、コンサルティングなどは成果が見えにくい部分もあります。そのため、どのようなサービスを受けたいのか、自社のニーズをはっきりさせることが大切です。

そのうえで、顧問契約にするか部分的に依頼するかを決めるのがベストです。

2. 費用

社労士と契約する際には費用も確認する必要があります。社労士事務所の月額顧問料の相場は2~3万円程度ですが、なかには1万円台から契約できる事務所もあります。

しかし、そのサービス内容は千差万別で、顧問契約をしたからといって必ずしも希望したサービスを受けられるとは限りません。例えば給与計算については別料金という料金プランの事務所は多いので、顧問料とは別に料金を払う必要があります。そのため、顧問契約をするにしてもどんなサービスを受けられるのかをしっかり確認することが大切です。

また、部分的に業務を依頼する場合は、内容によって受けられるものとそうでないものがあります。例えば、就業規則の作成やコンサルティング、助成金の申請などは部分的な対応が可能ですが、社会保険の手続きは顧問契約が必要な事務所もあります。また、一部の業務のみ依頼する場合はろれぞれ料金が異なります。事前によく確認しましょう。

3. 過去の実績

社労士に依頼をする際は過去の実績にも注目するべきです。創業からの年数も大事ですが、これまでどのような分野を手がけて、どれだけの実績を出しているかをチェックすることが重要です。

社労士にはそれぞれ専門分野があり、就業規則の作成など労務対策は得意だが助成金の申請は苦手、など意外と得手不得手があります。専門外のことを依頼するとスムーズに業務が進まない場合もあるため、社労士であれば誰でもいい、何でも頼める、と考えるのは間違いです。

その社労士事務所が得意としていることはサイトなどに記載されているので、自社が求める業務内容について実績がある社労士を選ぶのがベストです。

また、社労士になる前の経歴もその人を知るうえで大事な情報となります。例えば、前職が自社の関連分野の場合は、より密度の濃いコンサルティングを期待できるでしょう。

4. 強みと相性

社労士と顧問契約を結ぶ際は、強みと相性については特に注意を払うことをおすすめします。

社労士にはそれぞれ専門分野、得意分野があることは既にお伝えした通りですが、社労士の強みと自社のニーズが合致すれば正に理想形です。

また、社労士と契約をすると日常的にさまざまな相談をすることになるので相性は重要です。例え高いスキルをもっていても、自分とは合わないと感じた場合はおすすめできません。

社労士はビジネス上のお付き合いとはいえ、自社のトラブルや悩みを相談する相手です。話しやすい雰囲気の人か、親身になって相談に乗ってくれるのか、そうしたことは大事な要素で適任者を探すには実際に会ってみるのが一番です。

相性という点では、最初に問合せをしたときの話し方やレスポンスの早さ、料金体系の明朗さなどをチェックするなかでも、相手の仕事に対するスタンスや人柄はにじみ出ます。全体を通じて好印象であれば安心して契約できるでしょう。

実際に社労士選びをしてみる

これまでは会社の選び方やポイントについて解説してきました。

ここからは、会社選びを実践してみましょう。

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会社選びのポイントを参考に数ある企業の中から企業を選んでみてはどうでしょうか。業種・地域・特徴などから絞り込みも可能です。

【まとめ】社労士選びで迷ったらアイミツに相談しよう

ファイルをもつスーツの男性

社労士と顧問契約を結ぶと労務の相談、保険手続きの代行、給与の計算を依頼できます。こうした業務は会社の本業とは関係のない業務ですが、円滑な経営をしていくためには欠かせない要素です。

社労士と顧問契約を結べば、労務問題が起こったときにいつでも相談ができます。また、保険手続き代行や給与計算も依頼できるので、従業員は本業に集中できるでしょう。さらに、最新の情報も手に入れられるようになるので、度重なる法律改正に頭を抱えることもなく、新しい助成金の情報を得ることも可能です。

実際に社労士と顧問契約を結ぶ際は、費用、過去の実績、強みと相性についてチェックしてください。月額顧問料の相場は2~3万ですが、そのサービス内容は社労士事務所によって異なります。

また、一口に社労士と言ってもそれぞれ得意分野は異なるので、自社のニーズとマッチする人を選ぶことが大事です。加えて自分と相性が良く、親身に相談に乗ってくれる人であれば申し分ないでしょう。

業務内容、費用、相性がマッチする社労士と出会えれば、企業としてさらなる飛躍を見込めるでしょう。社労士選びの際は、ここで紹介したことと合わせて以下の記事も参考にしてみてください。

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坪 義生
監修者

坪 義生

じんじ労務経営研究所代表 / 労働保険事務組合鎌ヶ谷経営労務管理協会会長 / 清和大学法学部非常勤講師
資格
社会保険労務士

千葉大学大学院社会科学研究科修士課程修了(経済学)。「月刊人事マネジメント」(㈱ビジネスパブリッシング)取材記者。91年、じんじ労務経営研究所を開設。同年より、企業のトップ・人事を中心に人事制度の取材・執筆。中小企業の労働社会保険業務、自治体管理職研修の講師など広範に活動。著書『社会保険・労働保険の実務疑問解決マニュアル』(三修社)等。