個人事業主が受け取れる助成金は?助成金を利用するメリットデメリット【2024年最新版】
事業資金が心許ない、十分な設備投資ができないなどでお悩みの場合、活用したいのが助成金制度です。近年は個人事業主向けの制度も普及しており、事業維持や返済など、支給される助成金を多用途に活用できます。
そこでこの記事では、さまざまな分野の発注先を比較検討できる「アイミツ」が、給付金や補助金の違いについて触れながら、助成金活用のメリットとデメリット、そして審査手続きの詳細などについて、詳しく解説します。
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助成金とは?給付金と補助金との違い
そもそも助成金制度とはどのような制度なのでしょうか。これを理解する上で重要になるのが、給付金や補助金との違いです。ここでは各種助成金制度を提供する省庁や運用の目的、どのような審査形態を採用しているのかについて、解説します。助成金についての認識が曖昧な場合は、ぜひ参考にしてください。
助成金とは
助成金の特徴は、厚生労働省が主導している財政支援施策の一環であることです。経済的な支援施策はどこの省庁が主導しているのかによって呼び方が異なり、場合によっては内容が似たようなものであるケースも珍しくありません。
助成金は、厚労省が認可した事業や組織に対して行われる支援施策で、各助成金制度の要件を満たしていれば、金銭の支給を受けることができます。基本的に助成金は融資とは異なり、利子の支払いや返済を求められることはありません。公的な予算を使って受けられる支援制度であるため、該当する助成金制度がある場合には積極的に活用すべきでしょう。雇用の促進や労働環境の改善の取り組みを支援する目的で、助成金制度は提供されています。
給付金とは
給付金制度は、主に緊急事態に対処するための制度として設けられているのが特徴です。何らかの事情で事業の継続が困難になっている場合や、予期せぬアクシデントが国家レベルで発生した際に、設けられることが多い傾向にあります。
主導しているのは国や自治体で、最近の事例だと新型コロナウイルスの感染拡大に伴う、特別定額給付金や持続化給付金などが挙げられます。緊急の救済措置ということもあり、給付金を受け取るにあたっての審査ハードルは低く、一定の要件を満たしている人なら誰でももらえたり、そもそも要件の難易度がやさしかったりする制度です。もちろん個人も対象であるため、何らかの事情で事業が立ち行かなくなっている場合は、活用を検討しましょう。
補助金とは
補助金制度は、経済産業省が主導している支援制度の一種です。新規事業立ち上げの支援や、新商品の開発、最新設備の導入など、事業規模の拡大や多角化を検討している事業者向けに提供されています。
近年は社会貢献や環境保護など、SDGsの達成につながる施策を補助する目的で提供されることもあるなど、活用機会は増えていると言えるでしょう。支援金額が大きい一方、求められる要件が困難であったり、審査が銀行並みに厳しいケースも見られるなど、助成金や給付金ほど気軽に使えない点がネックです。
とはいえ支援を受けられることが決まった際には心強いサポートが期待できるため、法人・個人を問わず活用を進めたい制度と言えるでしょう。
個人事業主が受け取れる助成金・補助金・給付金
助成金制度は法人か個人かで受けられるものが異なりますが、個人事業主の場合はどのような制度を活用できるのでしょうか。最新の情報については適宜確認が必要ですが、一般に個人利用が可能なものとしては、
・雇用調整助成金
・キャリアアップ助成金
・地域雇用開発助成金
・創業補助金
・IT導入補助金
・小規模事業者持続化補助金
・ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
・起業支援金
といったものが挙げられます。順に解説します。
雇用調整助成金
雇用調整助成金は、従業員を雇用している個人事業主であれば申請が可能な助成金制度の一種です。主に新型コロナウィルスの影響で事業継続に支障をきたしている事業主に向けて提供されている助成金制度で、休業手当の支払いを補填するのに活用できます。
従業員の解雇をできるだけ回避し、失業率を悪化させないための施策で、条件に応じた補助率の助成金を受け取ることが可能です。場合によっては10割の補償を受けられるなど、魅力的な制度と言えるでしょう。
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、非正規雇用の従業員の正社員化や、それに準ずる待遇改善を進めている事業主向けに提供されている支援制度です。パート・アルバイトの従業員を雇っている個人事業主であれば、申請することができます。取り組み内容に応じた助成金を受け取ることができ、正社員化や賃金改定、賞与や退職金制度の導入、働き方の見直しなど、必要に応じてさまざまな選択肢から選べるのが便利です。
地域雇用開発助成金
地域雇用開発助成金は、雇用機会が不足している特定地域の事業主が対象となる助成金制度で、特定地域での事業所の設置、および地域住民の雇用を実現すると助成金を受け取ることができます。事業所の設置にかかった費用や雇用した人数に応じて助成金は変動し、かかった費用が大きいほど受け取れる額も増額される制度です。要件緩和の特例措置が設けられていますが、個人事業主の場合はさらに別途、要件を満たす必要があるのは気をつけておきましょう。
創業補助金
創業補助金とは、各自治体で実施されている創業時に必要な資金の一部を補助してくれる制度です。創業補助金の対象となる事業や、どれくらいの金額を補助してくれるのかについては自治体によって異なるため、創業地の要件を確認しておく必要があるでしょう。ただ、いずれにせよ一定額の経済的負担を軽減することができる制度という点は共通しているため、有効活用をおすすめします。
IT導入補助金
IT導入補助金は、ITツールを導入して業務の生産性向上やコスト削減に取り組む際、利用することができる補助金制度です。例えばクラウドサービスのライセンス利用料金や、サーバーの設置に伴う初期費用などをIT導入補助金で賄うことができます。補助金対象となるのはソフトウェア・ハードウェアを問わないため、タブレットレジやPOSレジなどを導入したい小売業者でも使えるなど、汎用性の高い制度と言えるでしょう。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、中小企業や個人事業主の事業継続性をより確実なものとするための補助金です。新しい販売経路の開拓や、生産性向上に向けたシステム構築など、多様な取り組みに適用することができます。賃金の引き上げや働き方改革、インボイス制度導入など、新しい仕組みに事業をキャッチアップする上で活用できるでしょう。申請の際には経営計画書の提出が必要ですが、中長期的な事業計画を検討する際に活用したい補助金制度です。
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金とは、新商品の開発やサービスの改善、生産プロセスの向上などを目的とした取り組みをサポートする目的で設置された補助金制度です。「ものづくり補助金」とも称されるこの制度は、基本的に中小企業を対象としているものの、従業員を雇用している個人事業主も申請可能となっています。海外進出を視野に入れている事業者向けのプランもあるなど、汎用性の高い制度です。
起業支援金
起業支援金は、事業の設立に伴う人件費や事務所費用、設備費などに充てることができる支援金を受け取れる制度です。東京圏内を除外した、主に地方での創業を検討している人向けの制度であり、起業する道府県に申請者が居住予定である必要があります。また交付が決定した日から補助事業期間の完了日まで、開業届を管轄の税務署に提出することも、申請にあたっては求められる点に注意しましょう。
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個人事業主が助成金を利用するメリット
個人事業主が助成金制度を活用するメリットとして、
1.基本的に返済の必要がない
2.事業維持に活用できる
3.設備・人材へ活用できる
4.継続性がある
といった点が挙げられます。以下ではそれぞれの利点を詳しく解説します。
メリット1. 基本的に返済の必要がない
上でも少し触れていますが、基本的に助成金制度を使って支援されるお金については、返済の必要がありません。銀行などから支援を受ける融資の場合、一定額の利子と合わせて借り入れた資金を返済する必要がありますが、助成金は申請さえ通れば丸ごと受け取ることが可能です。もちろん、不正な申請については厳しく取り締まられるだけでなく、ある程度助成金を受けるに足る実績を残しておくことを求められる場合がある点は気をつける必要があるでしょう。
メリット2. 事業維持に活用できる
助成金は事業の継続や、事業のさらなる成長に向けた機会を創出するための資金を調達する、有効な手段です。法人とは違い、個人の場合は企業と比べて扱える資金のスケールはどうしても小さくなるため、中長期的な投資が難しいことも珍しくありません。
そこで助成金を活用することで、高額な設備の導入なども小さな負担で進めることができ、競争力を担保することができます。事業が停滞し、苦しい時期を乗り越えなければいけない場合にも、助成金は役立つでしょう。
メリット3. 設備・人材へ活用できる
設備の拡充や人材の確保を進め、より事業規模を拡大したり、ビジネスモデルを刷新したりするきっかけを得られるのが、助成金です。
ある程度資金が貯まってからチャレンジしようと思っていたことも、助成金制度を活用すればすぐに資金を調達でき、理想を現実に変えていくことができます。今逃したくないビジネスチャンスも、助成金を活用することでものにすることができるでしょう。
メリット4. 継続性がある
助成金は一回きりの支援と思われることも多いのですが、実際には複数回にわたって支援を受けられる助成金制度も存在します。定期的に申請を受け付けている助成金については、要件さえ満たしていれば毎年申請することができるため、積極的にトライしてみることが大切です。
また、申請に落ちたからといってデメリットがあるわけではありません。少しでも要件に当てはまる制度がないか、一度探してみることをおすすめします。
個人事業主が助成金を利用するデメリット
助成金制度は個人事業主の心強い味方となりますが、一方で注意しておくべきデメリットもあります。ポイントとしては、
1.手続きに手間がかかる
2.必ず受給できるとは限らない
3.受給まで時間がかかる
という3つの懸念点を乗り越えないといけないことです。順に解説します。
デメリット1. 手続きに手間がかかる
まず、個人事業主が助成金制度を活用しようとすると、そのための手続きに多大な時間を奪われる可能性があります。少額の助成金であれば求められる要件も少なく、手軽に申請して助成金を受け取ることもできますが、金額が大きい助成金となると、同じようにいくとは限りません。
また、個人事業主は従業員を雇用していないケースも多く、コア業務の時間を割いて助成金を申請しないといけないため、普段の業務に支障をきたす場合があります。土日などの休日も活用しながら、助成金の申請手続きを進めましょう。有料ではありますが、社会保険労務士に申請を依頼することもできるため、機会があれば検討をおすすめします。
デメリット2. 必ず受給できるとは限らない
助成金制度はお金をただばら撒いているだけでなく、要件を満たしている事業者にのみ正当な金額の助成金を支援するものです。そのため、要件を正しく満たせていないと助成金を受け取れない場合があるため、必ず受け取れるわけではないことを理解しておきましょう。
また、助成金よりも大きな金額を扱う傾向にある補助金制度は、要件を満たすだけでなく、その後の審査も通過する必要があります。
デメリット3. 受給まで時間がかかる
助成金はすぐにお金を受けとれるものではなく、実際に受給されるまでにはある程度の時間を要します。最低でも数ヶ月程度の期間を見込んでおかないと、資金繰りに難儀してしまうこともあるかもしれません。すぐに資金を手に入れる必要がある場合は、銀行の融資やファクタリングなど、そのほかの資金調達手段も検討する必要があるでしょう。あくまでも中長期的な取り組みに対しての助成であるため、気長に受給を待つことが大事です。
社会保険労務士の費用相場
社会保険労務士との契約には大きく2つの契約方法があります。
顧問契約は毎月継続して社会労務関連の仕事全般を行う契約です。労働保険・社会保険諸法令に基づいた書類の作成、ならびに提出代行を中心に、人事労務に関する相談やアドバイス、細かな指導や情報提供などが主な業務です。労務手続き+相談業務がセットになったのが、通常の顧問契約です。
また社労士事務所によっては顧問契約を個別に分けているところもあります。労務手続きのみ、あるいは相談業務のみという場合には、包括的なプランと比較して30~50%ほど費用を抑えられるでしょう。
「依頼前に社会保険労務士の費用相場についてもっと詳しく知りたい!」という方は、以下の記事をチェックしてください。
【まとめ】助成金申請でお困りの個人事業主はアイミツへ
この記事では、個人事業主が利用できる助成金制度や補助金制度などについて、解説しました。国から支援を受けられるこれらの制度は、デメリットが少なく積極的に活用すべきです。制度によって要件は異なりますが、少しでも当てはまりそうな制度がある場合は、活用を検討しましょう。
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