社会保険の扶養条件とは?範囲や収入、手続きなどを解説【2024年最新版】
社会保険関連の手続きにあたって耳にする機会が多いのが「扶養」という言葉ですが、扶養の条件や手続き内容はよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、社会保険における扶養の基礎知識や扶養の範囲、被扶養者の条件、手続きの方法などについてわかりやすく解説していきます。社会保険の扶養条件について理解を深めたいという方は、ぜひ参考にしてください。
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社会保険とは?
社会保険は労働者とその家族の生活におけるリスクに備えるための公的保険制度で、以下の5種類の制度で構成されています。
1.健康保険:業務外での怪我や病気を保障する保険
2.厚生年金保険:公的年金の1つで、原則65歳以上になると支給される
3.介護保険:被保険者が要介護者になった場合の支援を行う保険
4.雇用保険:退職後の失業保険などに関わる保険
5.労災保険:業務中、通勤中のケガや病気を保障する保険
一般的に「社会保険」は健康保険と厚生年金保険を指すケースも多く、これを「狭義における社会保険」と呼びます。しかし、社会保険は異なる性質を持つ複数の制度があり、いずれも被保険者(加入している従業員)はもちろん、その家族の健康や生活を保障する役割を担っています。
社会保険の扶養とは?
扶養は自身で生計を立てるのが難しい家族・親族を経済的に援助する仕組みを指すもので、社会保険上では扶養を受ける人のことを「被扶養者」、所得税上では「扶養親族」と呼びます。社会保険には2種類があり、それぞれ特徴が異なります。
1.協会けんぽ:全国健康保険協会が運営しており、中小企業をはじめとした一般企業が多く加入
2.健康保険組合:大企業やそのグループ会社などが多く加入しており、自前で設立されている
なお、本記事では協会けんぽの情報をベースに取り上げていきます。
被保険者とは
被保険者は保険に加入している人のことで、健康保険や厚生年金保険などの「保険料を支払っている人」を指します。「被」には「受ける」という意味があるので、「保険の適用を受ける人=被保険者」と考えるとわかりやすいかもしれません。社会保険の場合は、主に従業員が被保険者に属します。
被扶養者とは
被扶養者は、文字どおり被保険者から扶養を受けている人を指すものです。社会保険の場合は、被保険者に扶養されている配偶者や親族が被扶養者に該当します。被扶養者には被保険者の受けられる社会保険の保障・給付を受けられる権利があり、1人ひとりに保険証が発行・配布されます。
社会保険の扶養条件とは?
社会保険の被扶養者は被保険者の配偶者や家族などが対象ですが、無条件で認められるわけではなく、被扶養者になるには「被扶養者の範囲」と「被扶養者の収入」の2つの条件を満たしている必要があります。ここからは、2つの条件について詳しく解説します。
社会保険の扶養条件1.範囲
社会保険の被扶養者として認められる範囲は、以下のいずれかです。
1.被保険者の直系尊属、配偶者(事実上婚姻関係と同様の人を含む)、子ども、孫、兄弟姉妹で、主として被保険者に生計を維持されている人
2.被保険者と同一世帯で主として被保険者の収入により生計を維持されている人※
しかし、条件を満たしている場合でも「同居が必要ないパターン」と「同居が必要なパターン」に分かれるため、各パターンについて引き続き解説していきます。
※ 出典:全国健康保険協会 被扶養者の範囲 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3160/sbb3163/1959-230/
同居の必要がない者
社会保険の被扶養者の範囲を判断するにあたって、被保険者の直系尊属(父母、祖父母、曾祖父母など)や事実上婚姻関係と同様の者を含む配偶者、子ども、孫、兄弟姉妹であり、被保険者の収入で生計を立てている人は「同居しているかどうか」は問われません。別々の場所に居住していたとしても、条件を満たしている限りは被扶養者の範囲だと判断されます。被保険者の収入で生計を維持しているものの、「遠方への進学で子どもとは別居している」「実家の父母と別々に住んでいる」というケースは珍しくありませんが、収入の条件を満たしていれば被扶養者になることが可能です。
同居が必要になる者
被保険者の収入で生計を維持していても、以下に該当する場合は「同一世帯」であることが被扶養者の条件となっています。
1.「同居の必要がない者」をのぞく被保険者の三親等以内の親族
2.戸籍上婚姻を届出ておらず、事実上の婚姻関係にある被保険者の配偶者の父母および子ども
3.配偶者が亡くなったあとの父母および子ども
これらに該当する場合は、「同一世帯であること」と「収入条件を満たしていること」をクリアしなければ被扶養者の範囲とは認められません。
社会保険の扶養条件2.収入
社会保険で被扶養者になるためには、以下すべての条件を満たしている必要があります。
・年間収入が130万円未満(対象者が60歳以上、もしくは障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)
・同一世帯の場合は被保険者の年間収入の2分の1未満であること
・同一世帯でない場合は被保険者から援助される収入額より少ないこと(例外あり)
ここからさらに、扶養条件の対象となる収入とそうでない収入を紹介します。
条件に含まれる収入
社会保険の被扶養者として認められるために重要な収入条件ですが、給与や賞与だけが収入としてカウントされるわけではありません。以下では、条件に含まれる収入を一覧で紹介します。
収入のタイプ | 具体例 |
---|---|
給与 | ・給与 ・賞与 |
年金 | ・厚生年金 ・国民年金 ・共済年金 ・障害年金 ・遺族年金 など |
事業収入 | ・営業 ・農業 など |
不動産収入 | ・アパートやテナントなどの賃貸収入 |
利子、投資収入 | ・預貯金の利息 ・国債の利子 ・株式配当 など |
その他 | ・被保険者以外からの仕送り ・遺産相続、退職金(分割で受け取るもの) ・育児休業給付金などの給付金 ・失業保険 ・出産手当金や傷病手当金などの手当 |
このとおり、給与や賞与のほかにも日常で受け取るさまざまなお金が被扶養者の条件に含まれています。被扶養者の条件である「年間収入130万円以下」という金額は月間収入に換算すると約11万円となるため、働いていなくても年金や賃貸収入などで上回る可能性も考えられるでしょう。一定期間継続して発生する収入の多くが条件に含まれているので、社会保険の加入前に把握しておくことをおすすめします。
条件に含まれない収入
同じ収入であっても、以下の場合は被扶養者として認められるための収入条件には含まれません。
収入のタイプ | 具体例 |
---|---|
一括で受け取る収入 | ・遺産相続 ・退職金 |
単発の不動産収入 | ・不動産の売買益 ・不動産の譲渡収入 |
給付金、一時金 | ・生命保険一時金 ・出産育児一時金 |
賞金 | ・宝くじの賞金 ・懸賞での当選金 |
条件に含まれる収入と比較すると、条件に含まれない収入は多くが単発・突発的なものであることがわかります。中でも遺産相続や退職金は分割か一括かによって扱いが変化するため注意が必要です。
しかし、収入に含まれるか否かの判断には専門的な知識も求められるので、被保険者からの質問に答えられるように専門家である社労士への相談体制を構築するなど事前に準備を進めておくことが大切でしょう。
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社会保険の扶養条件で注意するポイント
「年間収入130万円未満」という条件は過去1年間の年収ではなく、扶養に入る月から遡った3ヵ月分の収入から見込みで算出した上で判断されます。
<年間収入の計算方法(例:8月に入る場合)>
5・6・7月の合計収入額÷3×12=年間収入
退職後に被扶養者になる場合は例外として「扶養に入ったあとに収入がなくなる」と扱われるため、必ずしも直近の収入が判断基準になるわけではありません。また、失業給付(失業保険)や傷病手当金は非課税の収入ではあるものの、被扶養者の条件では「条件に含まれる年収」としてカウントされるので注意が必要です。
給与所得が年間収入換算で130万円を下回っていたとしても、ほかの収入が条件に含まれた結果として被扶養者として認められないというケースも十分に起こりえます。
社会保険の扶養に関する手続き・方法
社会保険は被保険者の勤務先が窓口となるため、基本的には社内の労務担当者が手続きを行うことになります。ここからは、社会保険の扶養に関する手続き・方法について解説していきます。
<手続きの流れ>
1.被扶養者になる事実が明らかになった日から5日以内に「被扶養者(異動)届」および必要書類を届け出る
2.届け出先は事業所の所在地を管轄する年金事務所
3.提出方法は、窓口、郵送、電子申請から任意の方法を選ぶ
<届出に必要な書類>
・健康保険被扶養者(異動)届
・被保険者の戸籍謄本など、続柄を確認するための書類
・被保険者の住民票(被保険者が世帯主であるとともに、被扶養者と同一である場合)
・収入が確認できる書類(16歳未満の場合などは除く)
社会保険関連の手続きは、法改正によって要件や必要書類が変わる可能性もあるため、扶養手続きあたっては最新情報を確認する必要があります。しかし、手続きを正確かつスムーズに進めるには社会保険に関する知識が求められるだけでなく、相応の手間も発生するので必要に応じて社労士に業務代行を依頼することを検討するとよいでしょう。
社会保険労務士の依頼にかかる費用相場
社会保険労務士との契約には大きく2つの契約方法があります。
顧問契約は毎月継続して社会労務関連の仕事全般を行う契約です。労働保険・社会保険諸法令に基づいた書類の作成、ならびに提出代行を中心に、人事労務に関する相談やアドバイス、細かな指導や情報提供などが主な業務です。労務手続き+相談業務がセットになったのが、通常の顧問契約です。
また社労士事務所によっては顧問契約を個別に分けているところもあります。労務手続きのみ、あるいは相談業務のみという場合には、包括的なプランと比較して30~50%ほど費用を抑えられるでしょう。
「依頼前に社会保険労務士の費用相場についてもっと詳しく知りたい!」という方は、以下の記事をチェックしてください。
【まとめ】社労士事務所選びに迷ったらアイミツへ
社会保険の被扶養者にはさまざまな条件がありますが、正確に判断するためには専門的な知識が求めらるため、社内の体制を整えておく必要があります。しかし、人材不足や工数の関係で対応が難しいケースも考えられるため、専門家である社労士のサポートを活用してもいいかもしれません。
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