社会保険の傷病手当金とは?金額の計算方法や申請について解説【2024年最新版】
傷病手当金は健康保険法で定められた怪我・病気で九行する従業員と家族の生活を保障するための制度ですが、金額の計算や申請方法については「よくわからない」という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、BtoB受発注プラットフォーム「アイミツ」が社会保険の傷病手当金の概要や支給期間、支給金額、申請方法などについて解説していきます。
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社会保険の傷病手当金とは?
傷病手当金とは、怪我や病気によって休業を余儀なくされ、会社から十分な報酬を受け取るのが困難となった人とその家族の生活保障を目的とした制度です。会社が加入している健康保険の被保険者が対象となるため、配偶者や家族の扶養に入っている人や国民健康保険に加入している人は対象外となります。
傷病手当金の支給を受けるためには、協会けんぽや組合健保、各種共済組合などの団体の定めた要件を満たさなければなりませんが、社会保険料を支払っていれば正社員だけでなく契約社員やアルバイト、パートの従業員も支給対象です。
社会保険の傷病手当金が支給される要件とは?
傷病手当金は怪我・病気で労働が難しい従業員に支給されるものですが、受給にあたっては健康保険で定められた要件を満たす必要があります。傷病手当金の支給要件は以下のとおりです。
・業務外での怪我や病気の療養中であること
・療養のため就業して労務を行うことができないこと
・3日間の待期期間を含み4日以上仕事を休んでいること
・給与の支払いを受けていないこと
これらのいずれかではなく、すべてに該当していなければ対象とならないので注意が必要です。たとえば、業務上・通勤途中で発生した怪我や病気は労災保険の対象のため、傷病手当金では対象外となります。また、健康保険の対象外である美容整形などの治療・療養も傷病手当金の対象外です。
傷病手当金が支給されないケース
傷病手当金は、すべての要件を満たしていても支給されないケースもあります。ほかの手当てを受給している場合は、手当ての一部もしくは全額を受け取ることはできないので注意が必要です。傷病手当金が支給されない具体的なケースについては、以下で解説していきます。
・給与の支払いを受けている
休職中に給与の支払いを受けている場合は、原則として傷病手当金の受給対象外となります。
・障害厚生年金・障害手当金を受給している
傷病手当金と同一の理由で障害厚生年金・障害手当金を受給している場合は、傷病手当金を受給することはでいません。
・老齢年金を受給している
資格喪失後も傷病手当金を継続受給している人が、老齢年金を受け取れるようになると傷病手当金の支給は停止されます。
・労災保険の休業補償給付を受給している
労災保険の休業補償給付を受給している期間中は傷病手当金は受給できません。
・出産手当金を受給している
出産手当金と傷病手当金を同時に受給することはできません。
なお、これらの手当ての受給額を傷病手当金が上回っている場合は差額の受け取りが可能です。
傷病手当金は退職後も要件を満たせば支給される
退職すると健康保険被保険者の資格を喪失するため、退職後に怪我・病気で休業した期間は原則として傷病手当金の支給対象外です。ただし、以下の条件を満たしている場合は退職後であっても傷病手当金が支給されます。
・退職日までに12ヶ月以上継続して健康保険被保険者期間がある
1日も欠けずに継続して被保険者となっていれば、会社・保険者の変更があっても傷病手当金の支給対象となります。
・被保険者資格喪失の時点で傷病手当金を受給しているか受給資格を満たしている
3日間の待機期間を経過せずに退職した場合は要件を満たせないため注意が必要です。また、仕事ができない状態なことが条件のため、出社して仕事をしていた場合は対象外となります。
社会保険の傷病手当金が支給される期間
傷病手当金は、支給開始日から通算で1年6ヵ月まで受給することができます。怪我や病気で休業した期間のうち、最初の3日間を待機期間として4日目から傷病手当金の支給対象となります。たとえば、傷病手当金を6ヵ月間受給したのちに職場復帰した人が、その後また怪我や病気によって仕事ができなくなった場合は通算で1年6ヵ月分になるまで受給が可能です。
ただし、支給開始日が令和2年7月1日以前の場合はその限りではなく、支給開始日から最長で1年6ヵ月が傷病手当金の支給対象期間となります。この期間中に出勤し、給与が発生している期間(傷病手当金の支給対象外の期間)も1年6ヵ月に含まれるため注意しましょう。
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傷病手当金の支給金額について
ここからは、傷病手当金の支給金額の計算方法とあわせて、支給金額に調整が入るケースについて解説していきます。
傷病手当金の金額を計算する方法
傷病手当金の支給金額は、以下の計算式を用いるのが一般的です。
受給金額(1日)=直近12ヶ月の標準報酬月額の平均金額÷30日×2/3
健康保険の被保険者期間が12ヶ月に満たない労働者の場合は、「当該被保険者の被保険者期間の標準報酬月額の平均額」と「被保険者の標準報酬月額の平均額」のうち、金額が低い方を用いて算出します。
傷病手当金は従業員の休業日数に応じて支給されるため、まずは1日あたりの受給金額を算出し、その金額に休業日をかけあわせて合計受給金額を求めます。
傷病手当金の支給金額に調整が入るケース
ほかの手当てを受給している場合には、支給が停止もしくは支給金額が調整されるケースがあります。具体的には、以下2つのケースがあげられます。
<傷病手当金を受給できないケース>
・資格喪失後に傷病手当を継続受給している人が、老齢年金の受給対象となった際に傷病手当金の支給が停止される
・障害厚生年金または障害手当金を受給可能となった場合は傷病手当金の支給が停止される
・労災保険から休業補償給付を受けている場合は傷病手当金をの対象外
<傷病手当金が調整されるケース>
・老齢年金・障害厚生年金を受給している場合、年金額の1/360が傷病手当金の日額よりも低い場合はその差額が支給
・休業補償給付・出産手当金を受給している場合、1日の受給額が傷病手当金よりも低い場合はその差額が支給
社会保険の傷病手当金を申請する方法とは?
傷病手当金の申請は、以下の手順で進めます。
1.けんぽ協会・健保組合のHPから「健康保険傷病手当金支給申請書」をダウンロード
2.合計4枚の申請書に記入(被保険者記入用2枚・事業主記入用2枚)
3.必要に応じて添付書類を用意
4.申請書を提出(電子申請が可能)
特定の法人、一部の法人には電子申請による手続きが義務化されているため、申請前に確認しておきましょう。
傷病手当金の申請に必要な書類
傷病手当金を申請する際には「健康保険傷病手当金支給申請書」のほか、条件・状況に応じて添付書類が必要です。添付書類の用意が必要となるケースと書類について、以下の表にまとめました。
書類が必要となる条件 | 用意すべき書類 |
---|---|
・支給開始日前の12ヶ月以内に転職した場合 ・定年再雇用等で被保険者番号に変更が生じた場合 |
以前の勤務先の名称・所在地・使用されていた期間が分かる書類 |
・障害厚生年金・障害手当金を受給しているケース ・老齢退職年金を受給して資格喪失後に申請するケース |
マイナンバーによる情報照会を希望しない場合は、年金証明・年金額が証明できる書類のコピーが必要 |
・労災保険から休業補償給付を受けているケース | 休業補償給付支給決定通知書のコピー |
・外傷により負傷したケース | 負傷原因届 |
・傷病の原因が第三者行為(喧嘩・交通事故など)のケース | 第三者の行為による傷病届 |
・被保険者の死亡により相続人が傷病手当金を請求するケース | 被保険者との続柄がわかる戸籍謄本または戸籍抄本 |
・被保険者のマイナンバーを記載するケース | 本人確認書類(マイナンバーカードのコピー) ※マイナンバーカードを保有していない場合は、住民票・運転免許証・パスポートのコピー等の番号確認書類・身元確認書類が必要 |
中には複数の書類が必要なケースや用意に時間を要するケースもあるため、できるだけ早めに添付書類の有無の確認と準備を進めておくことをおすすめします。
傷病手当金の申請に関する注意点
傷病手当金の申請にあたっては、以下の点に注意が必要です。申請時のミスや抜け漏れを防ぐためにも、事前に把握しておきましょう。
・傷病手当金の申請は原則事業主が行う
・待機期間中は有給休暇を取得可能だが、待期期間以降の有給休暇取得期間は手当金の対象外
・待期期間・休業期間には土日祝日ならびに会社が定めた休日も含まれる
・傷病手当金を申請するたびに医師の証明が都度必要
・休業期間中の給与の支払いがある場合には傷病手当金の支給は原則なし
・長期休業が必要な場合は基本的に月に一度の分割申請で対応
社会保険労務士の依頼にかかる費用相場
社会保険労務士との契約には大きく2つの契約方法があります。
顧問契約は毎月継続して社会労務関連の仕事全般を行う契約です。労働保険・社会保険諸法令に基づいた書類の作成、ならびに提出代行を中心に、人事労務に関する相談やアドバイス、細かな指導や情報提供などが主な業務です。労務手続き+相談業務がセットになったのが、通常の顧問契約です。
また社労士事務所によっては顧問契約を個別に分けているところもあります。労務手続きのみ、あるいは相談業務のみという場合には、包括的なプランと比較して30~50%ほど費用を抑えられるでしょう。
「依頼前に社会保険労務士の費用相場についてもっと詳しく知りたい!」という方は、以下の記事をチェックしてください。
【まとめ】傷病手当金の手続きは社労士に依頼するのが◎
傷病手当金には細かな決まりごとが多く専門的な内容も含まれるため、正しく理解するのは容易ではありません。しかし、従業員を雇い入れるのであれば、万が一の際に従業員とその家族の生活を支えるためにも細部まで理解しておくことが大切です。傷病手当金について、制度について学ぶ時間や申請にあてるリソースがないという場合は、人事業務の専門家である社会保険労務士への依頼も選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。
「アイミツ」ではご要望を伺った上で、条件に合う社会保険労務士事務所を無料で複数ご紹介可能です。会社選びでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
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