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雇用契約書の記載内容や書き方とは?必要性や注意点を解説【2024年最新版】

更新日:2024.01.24

新たに従業員を雇う際、雇用契約書の書き方と内容は、トラブルを避けるためにも理解しておかなければなりません。しかし、雇用契約書と労働条件通知書の違い、契約期間や就業場所、業務内容、終業後の時間外労働など、具体的な記載事項については不明点も多いでしょう。そこで、日本最大級の発注プラットフォーム「アイミツ」が、雇用契約書の書き方やテンプレート、注意点などについて詳しく解説します。

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雇用契約書とは?

雇用契約書は、労働者と事業主間の約束事を明確にした文書です。労働者の権利と責任、事業主の義務を規定します。なお、労働条件通知書とは異なり、雇用契約書は法的に拘束力を持つ契約書です。パートやアルバイトにおいても雇用契約書の作成は必要不可欠ですが、事業主が雇用契約書の記載内容やその重要性を正確に認識していない場合も少なくありません。以下では、雇用契約書の概要と重要性、労働条件通知書との違い、非正規雇用における雇用契約書の必要性について解説します。

雇用契約書の必要性

雇用契約書は、事業主と労働者間の約束事を明確化し、双方の権利と義務を確定するために不可欠です。労働者は自身の業務内容、就業時間、賃金などを明示され、事業主は労働者に対する待遇を約束します。後々のトラブルを未然に防ぐ役割はもちろん、法令遵守の観点からも雇用契約書の作成は必要でしょう。労働基準法においても、労働者に対し労働条件を明示する義務が事業主に課せられています。このような理由から、雇用契約書の作成は、労働者と事業主双方にとって重要な要素です。

雇用契約書の法的な効力

雇用契約書は、労働者と事業主の間の契約内容を確定する法的な効力を持つ文書です。また、雇用契約書に記載された内容は原則として双方が合意したものであるため、事業主や労働者が後から一方的に内容を変更することはできません。労働者が雇用契約書に反して不適切な待遇を受けた場合、労働者は労働審判や裁判所に訴えることで自己の権利を守ることができます。一方、労働者が雇用契約書に違反した場合、事業主が損害賠償請求や解雇などの措置をとることが可能です。
しかし、労働基準法は基本的に労働者の権利を保護するための法律であるため、雇用契約書が労働基準法に反する内容を記載していた場合、その部分は無効となり、代わりに労働基準法の規定が適用されます。

労働条件通知書との違い

雇用契約書と労働条件通知書の違い
雇用契約書 労働条件通知書
書類の目的 労働者と事業主間の個別の雇用契約の内容を具体的に記載し、労働条件について双方が合意した証拠とするための文書 労働者に就労する際の労働条件を一覧化し、自身の労働条件を理解し、それを基に業務に従事するための文書
記載事項 労働時間、休日、賃金などの具体的な労働条件 労働条件全般(労働時間、休日、賃金など)
署名押印の必要有無 必要 通常は不要
法律 労働契約法 労働基準法
義務 個別の労働者との間で交わす契約の証拠を作成する義務は法律で明示されていないが、トラブルを避けるため推奨される 全ての労働者に対し、労働基準法に基づき事業主が必ず提出する義務がある
罰則 設けられていない 労働基準法違反となり、罰金が科せられる可能性がある

雇用契約書と労働条件通知書は、両者とも事業主が労働者に労働条件を明示するための重要な文書ですが、性質や目的には違いがあります。雇用契約書は、労働者と事業主間の雇用契約内容を具体的に記載し、条件について双方が合意した証拠となるもの。労働時間、休日、賃金などの労働条件の詳細が含まれ、労働者がどのような条件で働くことに同意したかを確認するためのものです。一方、労働条件通知書は、事業主が必ず労働者に提出しなければならない文書です。これは、労働者が就労する際の労働条件を理解し、業務に従事するために作られます。
雇用契約書と労働条件通知書の主な違いは、雇用契約書が特定の労働者との間で締結される個別の契約を記したものであるのに対し、労働条件通知書は各個別の労働者に対してその労働条件を通知するものである点です。それぞれの文書は重要な役割があり、労働者が自分の労働条件を理解して労働環境を維持するための情報を提供しています。

パートやアルバイトにも雇用契約書は必要か

パートやアルバイトは、特に法的な義務とはいえないものの、明確な労働条件を設定するために雇用契約書の作成が役立ちます。不測の事態やトラブル発生時に予め決められたルールが存在することで、迅速かつ公平な解決が可能です。具体的な就業規則、給与、時間外労働、休日等の条件が明文化されていると、労働者は自身の権利を明確に理解した上で働くことができるでしょう。そのため、パートやアルバイトを採用する際にも、トラブル防止のために雇用契約書を作成し、労働者と共有することが推奨されています。

雇用契約書の記載内容と書き方

一般労働者用モデル労働条件通知書(常用、有期雇用型)
出典: 一般労働者用モデル労働条件通知書(常用、有期雇用型) https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisei/dl/youshiki_01a.pdf

雇用契約書は労働者と雇用者間の権利義務を明示し、トラブルを防止する重要な文書です。契約書に記載すべき内容は、契約期間、就業場所、業務内容、就業時間・休憩時間、所定時間外労働の有無、休日や休暇、賃金・手当・支払日、退職に関連する事項、その他必要な事項など多岐に渡ります。
この内容は主に「絶対的明示事項」と「相対的明示事項」の2種類に分けられ、それぞれが労働者の権利と安全を保証しており、絶対的明示事項の記載は義務です。相対的明示事項は、労働者が希望すれば記載が必要となります。
上記の画像の通り、厚生労働省では雇用契約書にも活用できる労働条件通知書のテンプレートを用意しているため、参考にすることで雇用契約書作成の難易度を下げることもできるでしょう。
次に「労働条件の明示義務のある事項一覧表」を作成したので、それぞれの違いを知りたい方はぜひ参考にしてください。以下では、雇用契約書の各項目について詳しく見ていきましょう。

労働条件の明示義務のある事項一覧表
項目 絶対的明示事項 相対的明示事項
1. 労働時間 -
2. 休憩時間 -
3. 休日 -
4. 給与計算期間 -
5. 給与支払日 -
6. 給与支払方法 -
7. 業務内容 -
8. 勤務場所 -
9. 退職に関連する事項 -
10. 所定時間外労働の有無 -
11. 賃金・手当 -
12. その他記載が必要な事項 -

1.契約期間

契約期間は雇用契約書の重要な項目で、労働者と雇用者間の働く期間を定めます。一定の期間で働く予定の場合(期間雇用)は、その開始日(入社日)と終了日、更新日などを具体的に記載し、無期限で働く場合(無期雇用)はその旨も明記しましょう。契約更新の条件や手続きについても記載することが望ましいです。雇用契約が始まる前にこの契約期間を明示する必要があり、明確な記載がない場合はトラブルの原因となる可能性があるので注意が必要です。

2.就業場所

就業場所は、労働者が日々の業務を行う場所を特定するための重要な項目です。具体的な住所を明記するのが一般的であり、複数の場所で勤務する可能性がある場合はその場所や頻度を記載します。また、出張やリモートワークなど特殊な勤務形態が予定されている場合も詳しい内容を記述しましょう。転勤の可能性がある場合は、その旨も明示しておくべきです。就業場所の記載が不明確なときや、事前に示されていない場所への転勤は、労働者にとって不利益な変更となり得るため、記載の際は注意してください。

3.業務内容

業務内容は、雇用契約書において労働者が何をすべきかを明確にするための欠かせない項目です。具体的に行う仕事の詳細を明記することで、雇用者と労働者間の誤解を避け、円滑な職場環境を保つことができます。しかし、業務内容を書く際は、あまりにも具体的な場合は業務の変更が難しくなる可能性もあるため、事前に変更の可能性があることを伝えておくことも必要です。また、業務に対する資格や経験などの要件がある場合もこの項目に記述することが求められます。

4.就業時間・休憩時間

雇用契約書には就業時間と休憩時間も明記され、これには始業時間、終業時間、休憩時間の開始と終了の時間が含まれます。また、労働時間が変動する場合は、その詳細な取り決めも記載しましょう。これらは労働者が適切な労働時間を保証し、働きすぎを防ぐための重要な手段です。そして、休憩時間は通常労働時間の中に含まれないこと、労働者が仕事から完全に離れる時間であることを明確に記述することが求められます。労働基準法は労働者の権利と健康を保護するためのもので、この項目はその一部です。

5.所定時間外労働の有無

雇用契約書には所定時間外労働の有無も記載する必要があります。これは、所定労働時間を超えて働く場合の取り決めを明文化するための項目で、仮に超過労働が発生した場合の労働者の権利と報酬を保障することが可能です。過重な労働を防ぐため、法的には労働時間の上限が定められています。超過労働が発生した場合の割増賃金や代替休暇の取り扱いもここで定義するとよいでしょう。この記述により、企業と労働者の間の紛争を未然に防ぐことが可能となります。

6.休日や休暇

雇用契約書には、休日や休暇の詳細を具体的に記載します。これには、週休の日数、定められた祝日、年次有給休暇、特別休暇(慶弔休暇、産前産後休暇、育児・介護休業等)などが含まれます。また、休暇の取得方法や申請手続きについての情報も必要です。この明示は、労働者が保障された休息を得られるようにすると同時に、労働者と雇用者間の誤解やトラブルを防ぐ役割を果たします。労働者の健康と生産性を確保するためにも、休日や休暇の規定は必ず明記しましょう。

7.賃金・手当・支払日

雇用契約書には、賃金・手当・支払日の詳細を明記します。賃金の部分には、基本給だけでなく、時間外労働に対する割増賃金、深夜労働や休日労働の割増賃金も含めましょう。また、通勤手当や住宅手当などの具体的な手当の種類と金額を記載することも重要です。また、賃金の支払い日や方法(現金や振込など)、計算期間なども具体的に明記することで、労働者に対する経済的な待遇を明示し、トラブルを防ぐことができます。

8退職に関連する事項

雇用契約書の退職に関連する事項には、雇用契約の終了に関する条件や手続きが記載されます。契約終了の通知期間、解雇の理由と条件、退職金の規定などが主な項目です。この詳細な説明は、労働者が自身の権利と責任を理解するため、契約終了時に予期しない問題やトラブルを避けるためにも重要でしょう。また、退職後の秘密保持義務など、特定の業界や職種に関連した規定もこの部分に記載される場合があります。そのため、具体的で明確な記述が必要です。

9.その他記載が必要な事項

その他記載が必要な事項は、雇用契約書に記載すべき項目がすべて揃っているかどうかを確認するポイントです。主に独自の規定や制度、労働条件に特異な点など、他の項目に含まれていない具体的な事項を記述します。例えば、社内規則の遵守、機密保持義務、特別な教育訓練への参加、転勤の可能性などが該当するでしょう。また、労働者の権利を保護するため、労働基準法や関連法規の遵守を再確認する一文も含むことが一般的です。各企業や職場の特性を反映し、より具体的な契約内容を明示することで、双方の理解を深めてトラブルを防ぐことにつながります。

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雇用契約書の作成で注意すべきこと

雇用契約書の作成は、採用するスタッフの労働条件を明確にし、企業と労働者の間でのトラブルを未然に防ぐために極めて重要です。しかし、その作成には正確性が求められるほか、どのような記載が適切かは雇用形態により大きく変わることが1つの課題となっています。以下では、正社員、アルバイト・パート、派遣社員、契約社員それぞれのケースにおける雇用契約書の作成に際しての注意点を確認していきましょう。
また、もしも自社で作成するのが難しいという場合、人事労務の専門家である社会保険労務士に作成を依頼するのもおすすめです。

正社員のケース

正社員の雇用契約書作成では、全体的に詳細な記述が求められます。業務内容、就業時間、休日、賃金等の基本項目は言うまでもなく、昇給・賞与の規定、評価基準、労働条件の変更可能性なども明記することが必要です。また、労働時間制や退職、解雇に関する規定も重要で、この部分が不適切であると労働トラブルを招く可能性があるため注意しましょう。法令を遵守した上で、企業の事情と労働者の権利をバランスよく記載することが求められます。

アルバイト・パートのケース

アルバイトやパートタイムの雇用契約書では、役割と勤務時間の明確化が要求されます。また、この雇用形態の場合、労働条件の変更がしばしば発生するため、契約書上で変更の有無や可能性を明示しておくことが重要です。さらに、給与の支払い日、休日、労働時間などの基本的な労働条件を正確に記載することで、将来的なトラブルを防げます。これらの点を押さえつつ、企業側と労働者側が納得のいく形で契約書を作成することが大切です。

派遣社員のケース

派遣社員の雇用契約書作成では、派遣社員と派遣する会社との間で雇用契約書を作成することに加えて、派遣社員と派遣先の会社との間でも雇用契約書を作成する必要があるため注意が必要です。どちらも派遣期間の明記は必須となります。また、派遣元と派遣先の職務内容が異なる場合があるため、実際の業務内容と所在地を詳細に記載することも忘れないでください。

契約社員のケース

契約社員の雇用契約書作成において、契約期間の明示は重要な項目です。期間終了に伴う契約更新の有無や条件も詳細に記載してください。また、契約社員の場合は同一労働同一賃金や5年間で無期契約にできるなどの条件にも注意が必要です。契約期間内での終了条件についても確認が必要で、任意解約の規定を設けることが望ましいでしょう。さらに、期間満了後の雇用形態変更の可能性についても事前に記載しておくと、労働者の安心感を得られます。

雇用契約の内容を変更したときの対処法

雇用契約の内容を変更する場合、最も重要なのは、変更事項を明確にし、オープンな対話を通じて労働者と共通理解を得ることです。変更が労働者の条件を悪化させる場合、雇用者単独の決定ではなく、労働者の同意を得ることが必要となります。例えば、給与の減少、労働時間の増加など、労働者にとって不利な変更も対象です。そして、必ず書面で変更契約を結ばなければなりません。雇用契約の変更事項を明記した新たな契約書を作成し、双方で署名・捺印することが望ましいでしょう。
また、労働者の代表者や労働組合が存在する場合、機関との協議も求められます。特に、労働条件全体を規定した就業規則の変更には、労働者代表者の意見を聴取する手続きが法律で定められています。この手続きを適切に行うことで、未来の労働紛争を予防し、良好な労働環境を維持することが可能となります。万が一問題が生じた場合は、法的な助言を得るために社会保険労務士等の専門家の助けを求めることも重要です。

社会保険労務士の費用相場

社会保険労務士との契約には、大きく2つの契約方法があります。顧問契約は毎月継続して社会労務関連の仕事全般を行う契約です。労働保険・社会保険諸法令に基づいた書類の作成、ならびに提出代行を中心に、人事労務に関する相談やアドバイス、細かな指導や情報提供などをメインに行います。
一方、労務手続き+相談業務がセットになったのが、通常の顧問契約です。また社労士事務所によっては顧問契約を個別に分けているところもあります。労務手続きのみ、あるいは相談業務のみという場合には、包括的なプランと比較して30~50%ほど費用を抑えられるでしょう。

社労士は依頼内容や従業員数などによって報酬が変わるので、「依頼前に社会保険労務士の費用相場についてもっと詳しく知りたい!」という方は、以下の記事をチェックしてください。

【まとめ】社労士選びでお悩みならアイミツへ

雇用契約書の作成は、業務内容、給与、労働時間、休日や休暇、退職等の条件を明確にするために重要です。もしも記載ミスや記載漏れなどがあった場合、労務トラブルにもつながりかねません。ミスなく作成するためには、専門知識を持つ社会保険労務士のサポートを受けるのがベストでしょう。
もしも社会保険労務士の選び方が分からないとお悩みの場合には、ぜひアイミツにお問い合わせください。

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