役員は労災保険の対象外?労災対象のケースと特別加入制度を解説【2024年最新版】
労働者を1人でも雇用している場合、必ず加入しなければならないのが労災保険(=労働者災害補償保険)です。労働者が通勤中、あるいは勤務中などにケガを負った場合や病気となってしまった場合には、労災保険によって労働者の生活を補償しなければなりません。
そこで気になるのが、会社役員も労災の対象なのかどうか。本記事では、労災の対象ケースについて解説していきます。
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役員は労災保険の対象外
結論から述べますと、役員が出勤中あるいは勤務中にケガを負った場合や病気となった場合は、労災保険の対象とはなりません。冒頭でも触れているとおり、労災保険はあくまでも労働者の生活を補償するための制度。取締役や監査役、会計参与などといった役員は労働者ではなく使用者であるため、労災保険の対象にはならないということです。
「労災保険はどのような従業員までが対象になるの?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、その会社に雇われている従業員であれば誰でも労災保険の対象となります。つまり、正社員のみならずパートやアルバイトとして勤務している従業員も労災保険の対象者です。
労災対象になる可能性がある役員の種類
労災保険の対象者は労働者に限られていると先に説明しましたが、役員であっても場合によっては労災保険の対象となることがあります。労災保険の対象となるには、その役員に労働者性があるのかどうか、業務執行権や代表権などを有さない役員であると認められるかどうかがポイント。以下では、どのような立場の役員であれば労災保険の対象となる可能性があるのかを確認していきましょう。
執行役員
執行役員は、会社法上は役員の1人として機能していますが、実際のところは労働者性を持っているようであると判断された場合には、労災保険が適応される場合もあります。執行役員であるものの、雇用契約に基づき雇用され、役員報酬ではなく給与を支払われている場合などには、労働者と判断されることとなるでしょう。
しかし、実際のところは個別の事象をもって労働性の有無が判断されるため、労災保険の対象となるかどうかはケースバイケースだと言えます。
使用人兼務役員
役員と呼ばれる人のなかには、取締役兼本店部長、取締役兼支店長など、役員でありながらも労働者として業務を行なっている人も少なくありません。こういった使用人兼役員は、役員としての報酬と労働者としての給与の双方を受け取っています。
給与が役員報酬よりも多額な場合や、労働に従事していることが認められた場合には、労災の対象者となる可能性が低くないでしょう。
事業主や役員等
事業主や上記以外の役員の場合であっても、いくつかの条件に当てはまる場合には労災保険の対象となる可能性があります。先の執行役員や使用人兼役員の例からもわかるとおり、役員でありながらも実際のところは労働者としての役目を務めており、給与として賃金を受け取っている場合には、労働者としての要素が強いと判断されるため、労災が適用されるかもしれません。また、業務執行権がないと判断されることも重要です。
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役員でも労災保険が適用されるケース「労災特別加入制度」
労災保険には、一般的な労災保険とは別に「労災特別加入制度」と呼ばれる制度も用意されています。申請したすべての人が適用されるわけではありませんが、加入が認められた場合には、労働者と判断されなくても労災保険の対象者となることが可能です。以下では、労災特別加入制度の対象者について確認していきましょう。
中小事業主等
労災特別加入制度の対象者として、まず挙げられるのが中小事業主等です。事業主だけでなく、代表者以外の役員や家族従事者なども対象とされています。加入するためには以下の条件に当てはまる必要があるため、注意しましょう。
・卸売業やサービス業の場合は従業員100人以下
・小売業や不動産業、金融業、保険業の場合は従業員50人以下
・上記以外の職種の場合は従業員300人以下
また、労働者が労災保険の対象である、労働保険の事務に関しては労働保険事務組合に委託されているなどといった加入要件も定められています。
一人親方等
労災特別加入制度の対象者として、一人親方等も挙げられます。一人親方等とは、労働者を雇用することなく一人で事業を営んでいる一人親方、あるいは自営業者やその事業の従事者のことを指しており、より詳しく説明すると以下の条件に当てはまる人です。
・大工やとび職人、左官などといった建設業
・林業
・個人タクシーや個人の貨物運用業者のような自動車を使用する運送事業
・医薬品の配置販売業
・再生利用廃棄物の収集や運搬、解体事業
・船員法第1条に規定されている船員によって行われている事業
また、特別加入団体の構成員であることも要件の1つです。
特定作業従事者
特定作業従事者とされる人も、労災特別加入制度の対象者です。
・特定農作業の従事者
・指定農業機械による作業の従事者
・国や地方公共団体によって実施される職業適応訓練や事業主団体等委託訓練の従事者
・介護作業従事者、ならびに家事支援従事者
・家内労働者ならびにその補助者
・労働組合などの常勤役員
上記にあてはまる人が特定作業従事者とされ、一人親方等と同様に特別加入団体の構成員である必要があります。
海外派遣者
海外派遣者の条件に当てはまる場合も、労災特別加入制度の対象となります。
・日本の事業主に雇用されており、海外事業に労働者として派遣される人
・日本の事業主に雇用されており、中小規模の海外事業に労働者以外の立場として派遣される人
・独立行政法人国際協力機構のような技術協力事業を展開する団体から派遣され、開発途上地域にて行なわれる事業に従事する人
これらが海外派遣者の条件で、加入要件としては派遣元の団体あるいは事業主との労災保険の関係が成立している点が定められています。
【まとめ】労災の適用にお悩みの方はアイミツへ
今回は、労災保険の対象について解説してきました。基本的に役員は労働者ではなく使用者であることから労災の対象ではありませんが、実質労働者としての役割が大きい場合などには労災が適用されることもあります。判断が難しい場合や、労災が適用されるのか知りたいという場合には、社会保険労務士に相談してみるのも1つの手段でしょう。
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