社会保険料の計算方法とは?保険料率や社会保険料控除なども解説【2024年最新版】
正社員だけではなく、パート・アルバイト従業員を雇い入れた場合にも、社会保険へ加入義務が発生します。しかし、社会保険料の保険料率はどれくらいなのか、保険料はいくらになるのか気になる方も多いでしょう。
そこでこの記事では、営業・バックオフィスなど、さまざまな分野の発注先を比較検討できる「アイミツ」が、社会保険の計算方法や納付方法、保険料率や社会保険料控除などを詳しく解説します。
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社会保険とは?
社会保険とは、健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険の5つの保険のこと。簡単に言えば、人生を歩んでいくうえで生じ得るさまざまなリスクに対しての備えが社会保険です。たとえば、健康保険があることによって、医療機関を受診したときの窓口負担が1割〜3割で済んでいるほか、何らかの事情で会社を辞めた場合にも雇用保険から失業給付金が支給され、ある程度の収入は確保できます。病気やケガ、老齢、介護、失業、労働災害などで働けなくなったときに、生活を保障するのが社会保険制度です。
なお、従業員を1人でも雇い入れた場合、社会保険への加入義務が発生します。正社員はもちろん、パートやアルバイトでも一定の条件を満たした場合、社会保険に加入させなければなりません。社会保険への加入義務を果たさない場合、6ヵ月以下の懲役、あるいは50万円以下の罰金が課される可能性もあります。
社会保険料の計算に関する基礎知識
社会保険の中で、健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料、雇用保険料の4つの保険料は、企業と従業員が折半して支払います。そのため、企業の担当者は社会保険料がどのくらいになるか計算して把握してかなければなりません。ここでは、社会保険料の計算に関する基礎知識を解説します。
社会保険料率について
保険の種類 | 保険料率 | 備考 |
---|---|---|
厚生年金 | 18.3% | 2017年を最後に引き上げが終了 |
健康保険 | 10.00% | 東京都、協会けんぽの場合 |
介護保険 | 1.82% | 2023年度から引き上げ |
雇用保険 | 1.55% | 労働者負担:0.6%、企業側負担:0.95% |
労災保険 | 0.30% | 卸売業や小売業、宿泊、飲食業の場合 |
社会保険料を計算するためには社会保険料率を把握しておかなければなりません。社会保険料率とは、従業員の社会保険料に対する企業負担の割合を示したもの。従業員を雇用する企業は社会保険に加入する義務がありますが、従業員の社会保険料は従業員と企業が折半で支払います。つまり、従業員の社会保険料の半分はその従業員を雇用する企業が負担しなければならないということです。
健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険の5つの保険を総称したのが社会保険ですが、保険料率は保険の種類によって異なります。それぞれの保険の保険料率は、全国健康保険協会や協会けんぽなどのホームページに公開されている保険料額表で確認可能です。また社会保険料率はかつて全国一律でしたが、2009年9月に制度改革が行われ、都道府県単位での異なる保険料率での運用が行われるようになりました。そのため、都道府県によって若干保険料率は異なります。たとえば2023年度の協会けんぽの健康保険料率は、東京都では10.00%ですが、大阪府は10.29%です。
標準報酬月額について
標準月額報酬とは、従業員の月々の給料を等級で表したものです。従業員の給料を等級に分けて表し、健康保険料や厚生年金保険料を算出する際に利用します。
健康保険は5万8,000円の第1等級から139万円の第50等級までの全50等級に分かれており、たとえば協会けんぽの場合は、第1級等級で40歳未満・介護保険未加入の健康保険料は5,800円。会社の負担額は2,900円となります。なお、厚生年金保険料は、月給8万8,000円の1等級から月給65万円の32等級までに分かれています。
新入社員における標準報酬月額の決め方
毎年4月、5月、6月に支払われた給与の平均をもとに標準報酬月額が決まりますが、新入社員は働いた実績がないため過去の報酬はありません。さらに、残業代がどれくらいになるのかも想定できないでしょう。そのため、新入社員の場合は雇用契約に記載している給与を標準報酬月額に当てはめていきます。基本給だけではなく、通勤費など固定給はすべて含む必要があるので注意しましょう。また、残業代はおおよその額を見積もってください。4月入社の新入社員は8月まで当該の標準報酬月額が適用されます。
標準報酬月額が年度の途中で変わるケース
標準報酬月額は、一般的に毎年4~6月の給与をもとに年に1度見直されるものです。しかし、昇給や降給などに伴って被保険者の給与が年の途中で大幅に変動した場合、年の途中で標準報酬月額が切り替える必要があり、この制度を随時改定と言います。随時改定を行う必要があるのは、以前の標準報酬月額に比べて2等級上の差が生じた場合です。報酬の増減があった月から4ヵ月目に新しい標準報酬月額が適用されます。
社会保険料の計算方法
社会保険は、健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険の総称です。そして、保険料はそれぞれ違います。保険ごとに異なる保険料の計算方法を把握しておかないと、「会社の支払額が足りなかった」ということになりかねません。ここでは、保険ごとの保険料の計算方法を詳しく見ていきましょう。
労災保険料の計算方法と計算例
労災保険とは、従業員が仕事中や通勤中にケガや病気になった場合、あるいは死亡した場合に給付金を支給する制度です。労災保険の目的は、仕事中や通勤中に負ったケガや病気で働けなくなった従業員を経済的に支えること。企業は1人でも従業員を雇い入れた場合には労災保険に加入しなければなりません。正社員だけではなく、パートやアルバイトを雇った場合にも労災保険の加入義務が生じ、健康保険などほかの保険と異なって労災保険の保険料は企業が全額支払うため注意しましょう。保険料率が0.3%の場合、労災保険料の計算式は以下の通りです。
賃金×0.3%=労災保険料
たとえば、賃金が30万円の従業員であれば、「30万円×0.3%」で労災保険料は900円ということになります。しかし、保険料率は業種によって異なるため注意してください。
健康保険料の計算方法と計算例
健康保険は、ケガや病気をしたときに経済的に大きな負担をすることなく、医療機関を受診できる公的医療制度です。サラリーマンなどの給与所得者が加入できる健康保険制度は、「健康保険組合」と「全国健康保険協会(協会けんぽ)」の2種類。「健康保険組合」は、常時700人以上の従業員を雇用する大規模な企業などが設立・運営しているものです。「協会けんぽ」には、健康保険組合に加入していない中小企業が加入しています。「健康保険組合」と「協会けんぽ」とで、それぞれ保険料率が異なります。また、都道府県によっても保険料は違うため注意が必要です。ここでは、標準報酬月額30万円、東京都で協会けんぽに加入している場合を例に保険料を見ていきましょう。健康保険料の計算式は次の通りです。
標準報酬月額×健康保険料率=健康保険料
東京都の協会けんぽの標準報酬月額30万円の保険料率は10.00%です。そのため、保険料率は「30万円×10.00%」で、3万円になります。健康保険料は被保険者と会社とで折半するため、「3万円×2分の1」で、1万5,000円が会社負担となります。
厚生年金保険料の計算方法と計算例
年金制度は、高齢や病気やケガなどで働けなくなった方を社会全体で支えていくための制度です。現在、年金制度には20歳から60歳までのすべての人が加入する「国民年金」と会社員や公務員の方が加入対象の「厚生年金」の2種類があります。つまり、会社員と公務員の方は、国民年金と厚生年金の2つの年金制度に加入することになるわけです。厚生年金の保険料は健康保険と同様、標準報酬月額によって細かく定められていますが、保険料率は18.300%に固定されているため、厚生年金の保険料は以下の計算式で求められます。
標準報酬月額×18.300%=厚生年金保険料
たとえば、標準報酬月額が30万円の場合、「30万円×18.300%」となり、厚生年金の保険料は5万4,900円。なお、厚生年金は健康保険と同様、会社と被保険者が折半で支払うものです。そのため、標準報酬月額が30万円の方は、自身が2万7,450円を支払い、残りの2万7,450円は会社が支払うということになります。
介護保険料の計算方法と計算例
介護保険とは、病気やケガなどで介護が必要となった人やその家族を経済的に支える保険制度です。介護が必要となった人が適切なサービスを受けられるようにサポートしたり、自立のための支援をしたりといったことが保険料で賄われています。
介護保険料は、健康保険料と一緒に給料から天引きされる形で支払われます。なお、介護保険料を納める必要があるのは、40歳以上の方のみ。健康保険に上乗せする形で支払います。健康保険や厚生年金と同様、会社と被保険者が折半で支払うため、40歳未満の従業員を雇うより40歳以上の従業員を雇った方が会社の負担は大きくなります。介護保険料の計算式は以下の通りです。
標準報酬月額×1.82%(介護保険料率)=介護保険料
介護保険料は健康保険や厚生年金の保険料と同様、標準報酬月額で細かく規定されています。なお、介護保険料率は近年値上げが繰り返されており、2023年3月からの介護保険料率は1.82%です。標準報酬月額30万円の介護保険料は「30万円×1.82%」で5,460円。会社はその半額を負担します。
雇用保険料の計算方法と計算例
突然仕事を失ってしまったときに経済的に支えとなるのが、雇用保険制度です。雇用保険の保険料は、失業した人の給付金や就職のための教育訓練の原資にあてられます。企業は従業員を1人でも雇い入れた場合、雇用保険に加入しなければなりません。正社員だけではなく、パートやアルバイトを雇った場合も一定の要件を満たせば雇用保険に加入する必要があります。雇用保険に加入しなければならないのに加入を怠った場合、6ヵ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が科せられる恐れも。追徴金や延滞金が請求されることもあります。
雇用保険料率は業種によって異なり、「一般の事業」の労働者負担額は給与総額の0.6%、会社負担額は給与総額の0.95%です。雇用保険料は以下の計算式で求められます。
給与総額×雇用保険料率=雇用保険料
たとえば、給与総額が30万円の従業員の雇用保険料は、労働者負担額が「30万円×0.6%」で1,800円。会社負担額は「30万円×0.95%」で2,850円となります。
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社会保険料控除とは?
社会保険料控除とは、その年の1月から12月までに支払った社会保険料の全額を控除できる制度のことです。サラリーマンなどの給与所得者は年末調整で、個人事業主は確定申告の際に社会保険料控除が受けられます。なぜ社会保険料控除という制度が設けられているかというと、所得税や住民税は収入額ではなく所得額によって決められるから。年収から支払った分の社会保険料を控除した金額が所得額になり、その所得額に応じて課税されます。社会保険料を控除した分、納めなければならない所得税や住民税の金額が抑えられるわけです。
社会保険料控除の計算方法と計算例
1年間に支払った社会保険料の全額が控除の対象となります。社会保険料控除の計算式は、以下の通りです。
年収-支払った保険料=課税対象となる所得
たとえば、年収500万円で1年間に支払った社会保険料の総額が70万円だったとき、課税の対象となる所得は以下の通りとなります。
500万円-70万円=430万円
500万円と430万円とでは、支払わなければならない所得税や住民税は大きく異なります。住民税は年間で数万円は違うでしょう。所得税にしても同様です。所得税控除を行うことで、納めるべき税金の額がかなり抑えられます。なお、社会保険料の控除を受けるには申請が必要で、申請の際には社会保険料控除証明書と源泉徴収票が必要です。申請先は、サラリーマンなど給与所得者の方は勤務先、個人事業主の方は所轄の税務署となります。
社会保険料の計算方法で注意すべきポイント
社会保険料の計算をするにあたって、いくつか注意しなければならないポイントがあります。まず押さえておく必要があるのが、従業員の社会保険料は毎年4月から6月の報酬月額によって決まるという点です。たとえば、4月から6月の間に多くの残業をした場合、残業代が報酬月額に加算されるため、1年間に支払わなければならない社会保険料率が高くなってしまいます。また、社会保険料率は改定されるものもあれば固定化されているものもあり、改定された場合には当然ながら改定された保険料率を納めなければなりません。
くわえて、社会保険料は基本給だけにかかるものではない点も注意しましょう。社会保険料は基本給以外にも賞与にもかかります。賞与にかかる社会保険料の計算式は次の通りです。
社会保険料=標準賞与額×各保険料率
しかし、複雑な社会保険の手続きを自分で行えるか心配という方や、社会保険の手続きを行うだけのリソースがないという方もいるでしょう。社会保険の手続きに不安がある方は、社会保険労務士などの専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
社会保険料の納付方法・期限・免除と猶予
つぎに、社会保険料の納付方法や納付期限について見ていきましょう。企業は社会保険料をどのような方法で、いつまでに納付しなければならないのでしょうか。そして、企業が社会保険料の支払いが難しい場合、どうすればいいのか確認していきましょう。
社会保険料の納付方法
社会保険料の徴収を行っているのは、日本年金機構です。日本年金機構から毎月20日前後に「社会保険料納入告知書」が送付されてくるので、送付された「社会保険料納入告知書」を金融機関に提出し支払いを行います。なお、社会保険料は企業と従業員とで折半するものです。しかし、企業が社会保険料を支払うときには従業員分もまとめて支払います。従業員からは後から給料から天引きする形で徴収します。
社会保険料の納付期限
社会保険料の納付期限は、「社会保険料納入告知書」が送られてきた月の翌月末日です。たとえば、3月20日前後に「社会保険料納入告知書」が送られてきたのであれば、4月30日までに金融機関などで社会保険料を納付しなければなりません。なお、金融機関の窓口での支払いのほか、口座振替での支払いを選択することもできます。口座振替の引き落とし日は、「社会保険料納入告知書」が送られてきた月の翌月末日です。
社会保険料に免除や猶予はある?
従業員の社会保険料を支払うことで、事業が立ちいかなくなるという企業に設けられているのが猶予制度です。社会保険料が一度に支払えない企業は、分割での支払いが認められることもあります。また、延滞金の一部が免除される場合もあります。なお、猶予期間中は財産の差し押さえをされることはありません。猶予期間は原則1年間の範囲内ですが、やむを得ない理由がある場合は最長2年の範囲内で延長が認められることもあるでしょう。
社会保険労務士の費用相場
社会保険労務士との契約には、大きく2つの契約方法があります。顧問契約は毎月継続して社会労務関連の仕事全般を行う契約です。労働保険・社会保険諸法令に基づいた書類の作成、ならびに提出代行を中心に、人事労務に関する相談やアドバイス、細かな指導や情報提供などをメインに行います。
一方、労務手続き+相談業務がセットになったのが、通常の顧問契約です。また社労士事務所によっては顧問契約を個別に分けているところもあります。労務手続きのみ、あるいは相談業務のみという場合には、包括的なプランと比較して30~50%ほど費用を抑えられるでしょう。
社労士は依頼内容や従業員数などによって報酬が変わるので、「依頼前に社会保険労務士の費用相場についてもっと詳しく知りたい!」という方は、以下の記事をチェックしてください。
【まとめ】社労士選びでお悩みならアイミツへ
事業主は従業員を1人でも雇い入れた場合、その従業員の社会保険の加入手続きを行う必要があります。しかし、支払わなければならない社会保険料率は社会保険の種類によって異なり、計算は面倒であることから、手続きになかなか時間が取れないという方もいるでしょう。また、自分だけで適切な手続きを取れるか心配という方もいると思います。
社会保険料の計算や納付でお悩みの場合には、社会保険手続きを社会保険労務士に依頼してみてはいかがでしょうか。どこに依頼すればいいかわからない方は、ぜひアイミツにご相談ください。
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