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有給休暇の買い取りは違法?買い取り額やできるケースも解説【2024年最新版】

更新日:2024.01.24

有給休暇の買い取りは労働基準法の趣旨に反するため、原則として認められていません。しかし、例外的に買い取りが認められているケースもあります。この記事では、社会保険労務士や税理士など、さまざまな分野の発注先を比較検討できる「アイミツ」が、有給休暇の買い取りは違法なのかどうかを徹底解説!買い取り金額の計算方法や従業員とのトラブルを予防する方法なども紹介していきます。

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有給休暇とは?

有給休暇とは、賃金が発生する休暇のことです。使用者は一定の条件を満たした労働者全員に、有給休暇を付与しなければならないことが労働基準法によって定められています。労働者の心身の回復やゆとりのある生活を保障する目的で付与される休暇です。
付与される有給休暇の日数は、継続勤務年数や週あたりの所定労働時間などに応じて、付与すべき最低限の日数が定められています。万が一、法律で定められた有給休暇を労働者に与えていなかった場合、罰則が適用される可能性もあるので注意が必要です。

有給休暇の取得は義務化されている

有給休暇を付与しているものの、業務の都合によってなかなか消化できないというケースも少なくありません。そこで、有給休暇の取得を後押しするため、2019年より有給休暇の取得が義務化されました。使用者は、年10日以上の有給休暇が付与されている労働者に対し、最低でも年5日の有給休暇を取得させなければなりません。有給休暇が付与された日を基準日として、以降1年間に5日取得させる必要があります。取得させる時季については、労働者の要望を聴いた上で、極力希望に合わせて決めることが重要です。指定した時季が来る前に、すでに5日以上の有給休暇を取得している労働者に対しては、使用者が時季を指定して取得させる必要はありません。

有給休暇の買い取りはできる?

労働基準法の第39条2では、「使用者は、一年六箇月以上継続勤務した労働者に対しては、雇入れの日から起算して六箇月を超えて継続勤務する日(以下「六箇月経過日」という。)から起算した継続勤務年数一年ごとに、前項の日数に、次の表の上欄に掲げる六箇月経過日から起算した継続勤務年数の区分に応じ同表の下欄に掲げる労働日を加算した有給休暇を与えなければならない。※」と定められています。また行政通達(基収4718号)では、有給休暇の買い取りを前提に、労働者に付与する有給休暇の日数を減らしたり、規定の日数を付与しない行為は、労働基準法39条に違反するという行政解釈が示されています。そのため、原則として、有給休暇を買い取ることはできません。

※出典:労働基準法 e-Gov法令検索 デジタル庁 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049

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有給休暇の買い取りが禁止されている理由

そもそも有効休暇の目的は、先に解説したとおり労働者の心身を回復させたり、ゆとりのある生活を保障したりすることです。雇用形態によっては、仕事を休むことで収入が減ってしまうケースもあり、収入が減ってしまうと生活に影響を与える可能性もあるため、労働者はなかなか休めなくなってしまうもの。そんな中、労働者が収入を心配することなく、心身をリフレッシュできるように与えられているのが有給休暇です。買い取りは有給休暇の趣旨に反するため、認められていないのです。

【例外】有給休暇を買い取りできる3つのケース

原則として、有給休暇の買い取りは認められていませんが、以下のケースでは例外的に買い取りが認められています。
・従業員が退職する際に有給休暇が余っている
・従業員に付与された有給休暇が多かった
・従業員の有給休暇が時効で消滅した

買い取りが認められるそれぞれのケースについて詳しく解説しましょう。

従業員が退職する際に有給休暇が余っている

従業員が退職する際に有給休暇が余っているケースでは、買い取りが認められています。退職してしまうと、付与された有給休暇を消化できなくなってしまいます。そのため、残りの有給休暇を取得して、退職日までに消化するケースも多いです。しかし、退職する従業員の業務によっては、引継ぎに時間がかかってしまう可能性も考えられます。退職までに残りの日数を消化するのが難しい場合もあるでしょう。退職までに消化できない有給休暇は、使用者と労働者の同意があれば買い取りも可能です。

従業員に付与された有給休暇が多かった

従業員に付与された有給休暇が、労働基準法で定められている日数より多い場合も買い取ることができます。労働基準法で定められている有給休暇の付与日数は、最大で年20日です。しかし、企業によっては、法律上の最低基準を上回る日数の有給休暇を従業員に付与している場合もあります。労働基準法で定められている日数を超えている有給休暇については、法律の制限を受けません。
例えば、労働基準法では6年6ヵ月以上勤務している従業員には、年20日の有給休暇を付与しなければならないことになっていますが、22日付与している場合、基準を超える2日の有給休暇は買い取ることができます。

従業員の有給休暇が時効で消滅した

1年の間に取得できなかった有給休暇は、翌年以降に繰り越すことができます。しかし、労働基準法の第115条では、「この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から五年間、この法律の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)はこれを行使することができる時から二年間行わない場合においては、時効によって消滅する。」と定められています。※ 2年経過すると、有給休暇は無効になってしまうのです。2年経過して時効になってしまう有給休暇の買い取りも例外的に認められています。

※出典 労働基準法 e-Gov法令検索 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049

有給休暇を買い取りする際の計算方法

有給休暇の買い取り金額の一般的な算出方法は、以下の3つに分けられます。
・有給休暇を通常の賃金で計算して買い取りする方法
・有給休暇を平均賃金で計算して買い取りする方法
・標準報酬月額の日割額で計算して買い取りする方法

平均賃金や標準報酬月額の日割で計算する場合、労働者の不利益にならないように配慮することが重要です。

有給休暇を通常の賃金で計算して買い取りする方法

普段の出勤時と同じ方法で、買い取る有給休暇の金額を算出するケースは少なくありません。時給制であれば所定の労働時間に時給を乗算した後、さらに買い取る有給休暇の日数を乗算してトータル金額を計算します。
買い取り金額=所定の労働時間×時給×買い取り日数
月給制の場合は、月の給与を日割りして、買い取る日数を乗算して算出します。
買い取り金額=月給÷勤務日数×買い取り日数
計算方法としては、比較的簡単な方法といえるでしょう。

有給休暇を平均賃金で計算して買い取りする方法

平均賃金を計算して、買取金額を決める方法もよく用いられます。直近3ヵ月の平均賃金を算出して、買い取る金額を算出します。
買い取り金額/日=直近3ヵ月の賃金の総額÷直近3ヵ月の暦日数
労働日数が少ない場合は以下の方法で1日分の金額を算出します。
買い取り金額/日=直近3ヵ月の賃金の総額÷直近3ヵ月の労働日数×0.6
上記の金額と最初にご紹介した計算方法の結果を比較して、高いほうの金額で買い取ります。

標準報酬月額の日割額で計算して買い取りする方法

標準報酬月額とは、社会保険料の算出に用いられる報酬の区分です。例えば、月の給与が25万~27万円だった場合、標準報酬月額は26万円として保険料を計算します。標準報酬月額をもとに金額を決める際は、日割りして1日あたりの買い取り金額を算出します。
買い取り金額/日=標準報酬月額÷30日
しかし、標準報酬月額をベースに買い取り金額を決める場合は、労使協定を締結しておく必要があるため注意しましょう。

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会社が有給休暇を買い取りするメリットはある?

会社が有給休暇を買い取る主なメリットとして以下の2つが挙げられます。
・トラブルのリスクを軽減できる
・社会保険料を節約できる

従業員が退職する場合、有給休暇を買い取るか、退職日までに残りの日数を消化するケースが多いです。退職日までに残りの有給休暇を消化する場合、基本的に従業員が出勤することはありませんが、会社に在籍している状態です。万が一、退職する従業員がトラブルを起こした場合、会社として対処しなければなりません。しかし、有給休暇を買い取れば早い段階で退職することになるので、トラブルのリスクを抑えられます。
そのほか有給休暇の買い取りには、会社が支払う社会保険料を節約できるメリットもあります。有給休暇期間中であっても、従業員の籍は会社に残っているため、社会保険料を支払わなければなりません。買い取りによって退職の時期が早まれば、以降の社会保険料を支払う必要がなくなるのでコストを節約できます。

有給休暇の買い取りトラブルを防止する方法

有給休暇の買い取りをめぐって、従業員とトラブルになってしまうこともあります。トラブルを予防するには、就業規則などに明記して日頃から有給休暇に関するルールを従業員に理解してもらえるよう努める必要があるでしょう。以下で対策方法を詳しく解説します。

買い取りについて労働者と認識をすり合わせておく

トラブルを防ぐには、有給休暇の買い取りに関する認識を使用者と労働者ですり合わせておく必要があります。就業規則に買い取りに関する規定がない場合、基本的に企業側に買い取りの義務はありません。しかし、有給休暇の買い取りの基準について詳しくない労働者も多いです。買い取る場合は、条件や金額の計算方法に関する規定を就業規則に明記するなどして、労働者に周知徹底しましょう。買い取り時に書面を作成して、内容を労働者と企業で確認することも大切です。

買い取り金額の設定に配慮する

買い取り金額については、先に解説したいずれかの方法で算出するのが一般的です。基本的には会社側が定めたルールに則って金額を決めることになりますが、有給休暇を取得した場合と買い取った場合の金額に差があるケースでは注意が必要です。有給休暇を取得した場合と比べて、買い取り金額が低く設定されている場合、労働者とトラブルになる可能性もあります。買い取りのルールを就業規則に明記して、従業員に周知しておくことが重要です。

買い取った有給休暇の税法上の扱いを理解しておく

有給休暇を取得した際の賃金と買い取った場合の代金は、税法上の扱いが異なるため注意が必要です。有給休暇を取得した際の賃金は、通常の給与と同様に給与所得として扱われます。一方、買い取り代金は退職所得や賞与所得として扱われます。仮に給与所得として扱う場合は源泉徴収が必要です。
また、年金事務所に賞与として届け出る必要があります。退職所得として扱う場合は、退職所得控除が適用されます。どちらで処理するのかについては専門的な知識が求められるため、社会保険労務士や税理士に相談することをおすすめします。いずれにしても、通常の給与とは税法上の扱いが異なる点に留意しておきましょう。

社会保険労務士の費用相場

社会保険労務士との契約には、大きく2つの契約方法があります。顧問契約は毎月継続して社会労務関連の仕事全般を行う契約です。労働保険・社会保険諸法令に基づいた書類の作成、ならびに提出代行を中心に、人事労務に関する相談やアドバイス、細かな指導や情報提供などをメインに行います。
一方、労務手続き+相談業務がセットになったのが、通常の顧問契約です。また社労士事務所によっては顧問契約を個別に分けているところもあります。労務手続きのみ、あるいは相談業務のみという場合には、包括的なプランと比較して30~50%ほど費用を抑えられるでしょう。

社労士は依頼内容や従業員数などによって報酬が変わるので、「依頼前に社会保険労務士の費用相場についてもっと詳しく知りたい!」という方は、以下の記事をチェックしてください。

【まとめ】社労士選びでお悩みならアイミツへ

有給休暇の買い取り方法や金額の計算方法を解説しました。有給休暇の買い取りには法律も関係してくるため、一般の人にはルールが分かりにくいケースも多いです。トラブルを避けるためにも、専門家の助言を受けた方がよいでしょう。もしも相談できる社労士をお探しの際には、ぜひアイミツにお問い合わせください。

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