有給休暇の付与日数を計算する方法とは?条件や賃金についても解説【2024年最新版】
使用者は、労働基準法に則って労働者に有給休暇を付与する必要があります。しかし、有給休暇の付与日数や賃金の計算方法はやや複雑です。パートやアルバイトは、正社員とは異なる方法で付与日数を計算しなければなりません。
そこでこの記事では、社会保険労務士や司法書士など、さまざまな分野の発注先を比較検討できる「アイミツ」が、有給休暇の日数や賃金の計算方法を解説します。また、有給休暇の付与条件も解説するので、ぜひ参考にしてください。
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有給休暇とは?
有給休暇とは賃金が支払われる休暇のことで、正式名称は年次有給休暇です。有給休暇は、労働者の休養やリフレッシュを目的に付与されます。労働基準法では、条件を満たす労働者に有給休暇を付与しなければならないことが、使用者に対し義務付けられています。労働者が有給休暇を取得した場合、使用者は取得期間に応じた賃金を支払わなければなりません。
有給休暇の付与日数には上限がある
付与される日数は継続勤務年数と週あたりの所定労働日数などによって決まりますが、有給休暇の付与日数には上限があります。週5日以上勤務し、週の所定労働時間が30時間以上の労働者の場合、6年6ヵ月以上継続的に勤務すると20日の有給休暇が付与され、有給休暇の有効期限は2年です。前年に消化できずに余った日数は翌年に繰り越すこともできますが、期限までに消化しなかった有給休暇は消滅します。そのため、前年から繰り越した日数と、翌年に新たに付与された日数を合計した40日が有給休暇の付与日数の上限です。
有給休暇付与の条件とは?
有給休暇が付与される条件は以下の2つです。
・労働者を雇用してから6ヵ月経過している
・全労働日の80%以上出勤している
有給休暇の付与条件の1つとして、雇用期間が定められています。労働者を雇用してから6ヵ月経過し、全労働日の80%以上出勤している場合、有給休暇が付与されます。短期間の雇用契約を繰り返し締結している労働者も有給休暇付与の対象です。ただし、6ヵ月以上勤務していても実際に出勤した日数が全労働日の80%に満たない場合は、有給休暇の付与対象とはなりません。有給休暇が付与されるのは、前述の2つの条件を両方とも満たしている労働者に限られます。
パートタイム労働者も有給休暇の対象になる
有給休暇の付与条件に、雇用形態の定めはありません。条件を満たせば、フルタイム勤務の労働者だけではなく、パートやアルバイトでも有給休暇が付与されます。パートタイム労働者も雇入れてから6ヵ月以上経過し、全労働日の80%以上出勤した実績があれば所定の日数が付与され、有給休暇の繰り越し期限も2年です。雇用形態にかかわらず、基本的には同じ有給休暇の付与条件が適用されます。
ただし、週あたりの所定労働時間や労働日数などによって、付与される有給休暇の日数が異なるので注意してください。そのため、フルタイムの労働者と比較して、パートタイム労働者に付与される有給日数が少ない場合もあるでしょう。
労働者の有給休暇取得は義務化された
企業によっては、業務が忙しく従業員がなかなか有給休暇を消化できないというケースも少なくありません。そのような背景から、2019年に有給休暇の取得が義務化されました。有給休暇を取得する場合、労働者が希望日を申請して取得するのが基本です。しかし、条件に当てはまる労働者については、使用者が時季を指定して有給休暇を取得させなければなりません。
具体的には、年10日以上の有給休暇が付与されている労働者に対して、付与日数の内、年5日は時季を指定して有給休暇を取得させる必要があります。また、使用者は年次有給休暇管理簿を作成して、有給休暇の取得状況を記録し、3年間は保存しなければなりません。指定する時期については、労働者の意向に配慮して決める必要があります。
有給休暇を取得させない場合のペナルティ
労働者に有給休暇を取得させなかった場合、最大30万円の罰金が科されます。ペナルティは事業者や企業単位ではなく、違反のあった労働者ごとに適用され、仮に10人の労働者の年間有給取得日数が5日に満たなかった場合には10人分の罰金が科されます。ただし、使用者の時季指定によって消化した有給休暇の日数が5日以上という意味ではなく、労働者が自ら申請して取得した有給休暇の日数も含めて、5日以上消化していれば罰則の対象とはなりません。
そのほか、罰則が適用される可能性があるケースとして、就業規則に時季指定に関する規定が定められていないケースが挙げられます。就業規則に該当する規定がない状態で、有給休暇の時季指定を行うとペナルティの対象となるので注意しましょう。
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有給休暇の付与日数を計算する方法
有給休暇の付与日数の計算方法は、フルタイム勤務の労働者とパート・アルバイトでは異なります。正社員や契約社員などのフルタイム勤務の労働者の場合、継続勤務年数に応じた日数が付与されますが、パートやアルバイトの場合は週あたりの所定労働日数ごとに付与される日数が異なるため、有給休暇の日数を算出する際は所定労働日数をしっかり確認しておきましょう。
正社員や契約社員などの有給休暇の計算方法
正社員や契約社員などのフルタイムで勤務している労働者は、雇用してから6ヵ月で10日の有給休暇が付与されます。以降は1年ごとに以下の日数が付与されます。
・6ヵ月:10日
・1年6ヵ月:11日
・2年6ヵ月:12日
・3年6ヵ月:14日
・4年6ヵ月:16日
・5年6ヵ月:18日
・6年6ヵ月以上:20日
前年に消化できなかった日数を、翌年に付与された日数に合計して算出します。前年の有給休暇が5日余っており、今年で継続勤務年数3年6ヵ月になる労働者の場合、計算方法は以下のとおりです。
5日(前年の余りの日数)+14日(今年付与されるに日数)=19日
上記のケースでは、合計19日の有給休暇が付与されます。
パートやアルバイトなどの有給休暇の計算方法
パートやアルバイトなどの有給休暇の計算方法も、基本的な考え方は正社員・契約社員と同じです。前年の余った日数に翌年付与された日数を合計して算出します。ただし、付与される有給休暇の日数が異なります。
週の所定日数が1日もしくは年間所定労働日数48~72日の労働者の場合、6ヵ月勤務すると有給休暇が1日付与されます。6年6ヵ月を超えた場合の付与日数は3日です。週の所定日数が4日もしくは年間所定労働日数が169~216日の労働者の場合、6ヵ月以上勤務すると有給休暇が7日付与されます。6年6ヵ月を超えた場合の付与日数は15日です。年間の有給休暇の付与日数が10日を超える場合、パート・アルバイトでも年5日以上有給を取得させる義務が生じるので注意しましょう。
労働者が休業中の場合の有給休暇の計算方法
育児や介護などを理由に休業していた労働者が業務に復帰した場合、休業中も全労働日で出勤したものとして扱われます。そのため、先に紹介した方法で有給日数を算出しなければなりません。育児や介護以外でも、以下のような理由で休業した場合は出勤したと見なされます。
・業務に起因するケガ・病気による休業
・有給休暇を取得した日
上記の休業期間を含めて、フルタイムの労働者が2年6ヵ月勤務している場合、通常どおり12日の有給休暇が付与されます。一方で以下のようなケースは、出勤とは見なされません。
・正当な理由によるストライキ
・使用者が責任を負うべき理由による休業
・休日労働させた日
ストライキなどで休業し、出勤日数が全労働日の80%を下回っている場合、有給休暇は付与されません。
有給休暇を計算する際のポイント
条件を満たせば、半日単位や時間単位で有給休暇を付与することもできます。ただし、1日単位の有給休暇とは異なる条件が適用されるため注意が必要です。また、有給休暇の日数を計算する際には、前年からの繰り越し日数や繰越保持日数などを確認して算出しなければなりません。有給休暇を計算する際のポイントを解説しましょう。
有給休暇は時間単位や半日の取得も可能
有給休暇は時間単位・半日で付与することもできます。ただし、時間単位で有給休暇を付与するには、いくつか条件があります。
・労使協定で5日以内の範囲で時間単位の有給休暇を取得できることを定める
・就業規則に時間単位の有給休暇の扱いを明記する
・年5日の有給休暇取得義務日数に時間単位の有給は含めない
時間単位の有給休暇を付与する場合、労働者と労使協定を結ばなければなりません。加えて、就業規則に時間単位で有給休暇を取得する際の条件を明記しておく必要があります。時間単位の有給については、1年あたり5日分が取得上限です。半日の有給については、労働基準法で規定されていないため使用者が任意の条件を設定できますが、時間単位・半日の有給休暇は計算も複雑化するため注意が必要です。
繰越と繰越保持日数に注意する
年度内に消化できなかった有給休暇は、翌年度に繰り越すことができます。有給休暇の有効期限は2年と定められているため、消化できなかった有給休暇は最長で2年繰り越すことができます。例えば、6年6ヵ月以上勤務している労働者が、前年から20日の有給休暇を繰り越す場合、新たに付与された日数と合計して最大40日の有給休暇を取得できます。
繰り越した有給休暇がある場合、付与された時期が古い順に消化するなどして、労働者が不利益を被らないように配慮することも重要です。また、使用者の都合で2年間の繰り越しを認めない場合、労働基準法に違反することになるので注意しましょう。
ただし、先に紹介した勤続年数別の有給付与日数はあくまでも労働基準法によって定められた最低限の日数です。企業によっては40日以上の有給休暇が付与される場合もあります。また、もしも「有給の計算が面倒だ」「法的な基準を満たしているのか不安」という方は、社労士などの専門家へ相談することをおすすめします。
有給休暇を付与した際の賃金を計算する方法
有給休暇を計算する方法は大きく3つに分けられます。
・通常の賃金で計算する方法
・平均賃金で計算する方法
・標準報酬月額を使って計算する方法
計算方法ごとにメリット・デメリットがあるので、違いを把握した上で、どの方法を採用すべきか検討する必要があります。それぞれの方法について解説しましょう。
通常の賃金で計算する方法
有給休暇を取得した日の賃金の計算方法として、通常の給与と同様に計算する方法がよく用いられます。通常の賃金で計算する場合、普段の給与計算と算出方法が変わらないため、給与計算担当者に大きな負担をかけることなく処理できるでしょう。特に毎月の給料が決まっている雇用形態の労働者であれば、有給休暇を取得しても特別な計算は不要です。また、労働者も通常と同じ金額の給与を受け取れるため、有給休暇取得によって収入に影響を与える心配もありません。有給休暇の賃金の計算方法としては、最も簡単な方法といえるでしょう。
平均賃金で計算する方法
平均賃金を計算する方法は、以下のとおりです。
平均賃金=直近3ヶ月分賃金÷直近3ヵ月の暦日数
例えば、月の給与が30万円の労働者が6月に有給休暇を取得した場合、次のように賃金を計算します。
(30万円×3ヵ月)÷(31日+30日+31日)=約9,782円
3ヵ月分の給与を、3~5月の暦日数で除算して算出します。ただし、上記の方法で算出した金額が最低保証額を下回る場合、以下の方法で算出した最低保証額を賃金として支払います。
最低保証額=直近3ヶ月分賃金÷直近3ヵ月の労働日数×0.6
平均賃金を計算する場合は、最低保証額を下回っていないか必ず確認しましょう。
標準報酬月額を使って計算する方法
事前に労使協定を締結しておけば、標準報酬月額を日割りして、有給休暇を取得した日の賃金を計算することもできます。標準報酬月額とは、社会保険料を算出する際の基準となる報酬区分です。計算が簡単なので、給与計算担当者の負担が軽くなるメリットがあるでしょう。
一方で、標準報酬月額では、給与が29万~31万円の場合は30万円といったふうに、区分ごとに一律の金額が適用されます。そのため、月給が31万円の労働者も30万円として有給休暇中の賃金を計算するため、人によっては通常よりも給与が少なくなる場合もあることに注意してください。
社会保険労務士の費用相場
社会保険労務士との契約には、大きく2つの契約方法があります。顧問契約は毎月継続して社会労務関連の仕事全般を行う契約です。労働保険・社会保険諸法令に基づいた書類の作成、ならびに提出代行を中心に、人事労務に関する相談やアドバイス、細かな指導や情報提供などをメインに行います。
一方、労務手続き+相談業務がセットになったのが、通常の顧問契約です。また社労士事務所によっては顧問契約を個別に分けているところもあります。労務手続きのみ、あるいは相談業務のみという場合には、包括的なプランと比較して30~50%ほど費用を抑えられるでしょう。
社労士は依頼内容や従業員数などによって報酬が変わるので、「依頼前に社会保険労務士の費用相場についてもっと詳しく知りたい!」という方は、以下の記事をチェックしてください。
【まとめ】社労士選びでお悩みならアイミツへ
本記事では、有給休暇の付与日数や賃金を計算する方法を解説しました。労働基準法で定められた基準を満たしていない場合、罰則が適用される可能性もあるので、付与日数や使用者の義務をしっかり確認しておきましょう。
また、もしも給与計算や有給管理などに対応しきれないとお悩みの場合、社会保険労務士に代行を依頼してみるのもおすすめです。アウトソーシングを検討中の方は、ぜひアイミツにお問い合わせください。
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