就業規則の不利益変更とは?実施時の注意点や裁判例も紹介【2025年最新版】
ビジネス環境の変化が激しい現代においては、組織体制変更・規模の拡大や縮小といったさまざまな理由により、自社の就業規則に対して従業員側の不利益となる変更を加えたい場合もあるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、BtoB受発注サービス「アイミツ」が、就業規則の不利益変更の概要・合理性の判断方法・不利益変更実施時の注意点・裁判事例・実施の際のポイントについて詳しく解説していきます。
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就業規則の不利益変更とは
就業規則の不利益変更とは、文字通り就業規則に対して従業員側が不利益を被るような変更を加えることです。具体的には、賃金引き下げ・休日の削減・手当の廃止・福利厚生の廃止といった内容が挙げられます。
就業規則の不利益変更は労働契約法第9条で原則禁止されているため、会社側の思惑で一方的に実施することはできません。但し、例外として就業規則の不利益変更に合理的な理由があると判断される場合においては、労働者の過半数代表者との合意もしくは労働者の過半数で組織する労働組合の合意を得ることで、不利益変更の実施が可能となります。
そのため、事業展開や経営上の理由等で就業規則の不利益変更を実施する際には、まずは合理的な理由を明確化することが先決となります。
不利益変更の合理性はどう判断する?
就業規則の不利益変更を実施するには、その理由について合理性が認められなければなりません。以下にあげた要件を参考にしましょう。
・会社が不利益変更を行う必要性とその程度
・不利益変更によって従業員が被る不利益の具体的な内容・程度・影響範囲
・会社側が不利益変更を避けるためどのような努力を行ったか
・変更後の就業規則の社会的観点からの妥当性・相当性・合理性
・従業員に不利益を被らせる代償としてどのような措置を行ったか
・従業員・従業員の代表・労働組合と話し合いをした内容
・不利益変更の経過措置を行っているか、またその内容は妥当であるか
上記の要件のいずれかではなく、要件全てを総合的に判断して不利益変更の合理性が判断されます。
就業規則の不利益変更実施時に注意すべきことは4つ
就業規則の不利益変更を実施する際には、以下4つの点に注意しておく必要があります。
・従業員に不利益変更の経緯・理由を説明する
・賃金引き下げは経営資料をもとに判断する
・不利益に偏りが生まれる場合は調整手当を導入
・休日変更は賃金変動や同業他社との比較も重要
上記注意点についてそれぞれ解説していきます。
従業員に不利益変更の経緯・理由を説明する
就業規則の不利益変更を実施するには、上述の通り合理的な理由ならびに従業員への周知徹底が必須条件となっています。そのため、まずは従業員に不利益変更を行う経緯と理由について説明を行うことが必要となります。
説明にあたっては、十分な理解と協力を得るためにも、口頭での説明を行うだけでなく根拠となる情報を記載した書面での通達を行うことが重要なポイント。何度も見直しができる書面での通達も行うことで、従業員側に対する説得力も増し、周知徹底を行った事実の証明とすることができます。
賃金引き下げは経営資料をもとに判断する
就業規則の不利益変更において賃金の引き下げを行う場合は、従業員の生活にダイレクトに影響する内容であるため、大きな反発を招きやすい傾向にあります。
そのため、賃金の引き下げを行う場合においては、口頭で不利益変更の経緯や理由を説明するだけではなく、やむを得ず賃金の引き下げを行わざるを得ない根拠となる経営資料をもとに協議を行うことが重要なポイント。資料を提示して説得力を持たせることで、従業員側からの合意や協力も得やすくなります。
不利益に偏りが生まれる場合は調整手当を導入
就業規則の不利益変更は、人事評価制度の変更など、実施する内容によっては一部の従業員に対して不利益が偏ってしまうケースもあります。そのような場合においては、不利益変更の合理性を主張するために、調整手当等を導入して不利益の緩和を図る配慮が必要となります。
過去の裁判の判例においては、不利益の偏りが生じる場合には3年以上の調整手当の支給が合理性を主張するうえでのポイントとなっている事例もあるため、実施する際には留意しておきましょう。
休日変更は賃金変動や同業他社との比較も重要
終章規則の不利益変更において休日を削減する場合においては、合理性を主張するために以下のような項目を確認しておく必要があります。
・同業他社と比較しての休日数の多寡や違い
・同業他社と比較しての休日数の妥当性
・休日削減に伴う賃金への影響の有無
・休日削減による従業員側の不利益の影響範囲
賃金据え置きで休日を削減すると実質的な賃下げとなるため、上記のような項目を具体的に従業員に説明できなければ、合理性の主張も合意を得ることもできません。こちらも過去の判例で指摘されている項目であるため注意しておきましょう。
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就業規則の不利益変更を争点とする裁判例
就業規則の不利益変更は紛争を招く場合があるため、実際に起こった裁判の事例を参考にしておくことも重要です。ここでは、就業規則の不利益変更を争点とする裁判例について解説します。
シオン学園事件
シオン学園事件とは、自動車教習所を営む同事業者が、就業規則とは異なる賃金体系が採用され多額の営業損失を計上していたため、就業規則の変更により基本給の引き下げや各種手当の廃止等の不利益変更を実施。この変更に対して教育指導員・元教育指導員が訴訟を起こし、未払い賃金の請求等を行った事件です。
裁判においては、以下の点が争点となりました。
・従業員側の不利益は小さいとはいえない
・多額の営業損失の計上により債務超過に陥っている
・約3年に渡り20回以上の団体交渉が実施されている
・同業他社との賃金の比較を行い妥当性を判断
判決の結果、就業規則の変更には合理的な理由があると認められ、事業者側が勝訴しました。
フェデラルエクスプレスコーポレーション事件
フェデラルエクスプレスコーポレーション事件とは、外資系企業である同社が就業規則において社員の誕生日・メーデー・クリスマス等を会社休日日として定めておいたものを、これらを削除した休日へと変更して告知・提示。社員らが休日の削除には合理性が無いと提訴して裁判にて争われた事件です。
裁判においては、以下の点が争点となりました。
・従来から行使していた会社休日は既得権として労働条件の一部となっていた
・休日の廃止により年間の所定労働時間が増加した
・労働時間増加に伴う賃金の増加は行われていない
代償措置が取られていないことから合理性が認められず、労働条件の不利益変更との判決が言い渡され、社員は元通りの休日を取得できるようになりました。
就業規則の不利益変更を進める際のポイント
就業規則の不利益変更を進める際には、以下のようなポイントを押さえておく必要があります。
・合意を得るための交渉は長期戦も覚悟する
・経過措置など従業員の負担軽減に取り組む
上記ポイントについてそれぞれ解説します。
合意を得るための交渉は長期戦も覚悟する
就業規則の不利益変更は、基本的には従業員側から拒絶される傾向にあるため、労使の合意を得ることは容易ではありません。無理に合意を得ようとすると激しい抵抗に遭う恐れがあるため、会社側の事情や意図を真摯に伝え、長期戦を覚悟して何度も粘り強く交渉を行うことが重要なポイントとなります。
経過措置など従業員の負担軽減に取り組む
就業規則の不利益変更は、合意さえ得られれば安心できるわけではありません。変更後の就業規則が長期的に従業員に負担をかけることは事実であるため、経過措置を設けたり、段階的に変更後の体制へ移行したりといった、従業員側への配慮を行うことが重要なポイントです。変更を行った後こそ会社側の姿勢が大きく問われることを意識しておきましょう。
社会保険労務士の費用相場
社会保険労務士との契約には、大きく2つの契約方法があります。顧問契約は毎月継続して社会労務関連の仕事全般を行う契約です。労働保険・社会保険諸法令に基づいた書類の作成、ならびに提出代行を中心に、人事労務に関する相談やアドバイス、細かな指導や情報提供などをメインに行います。
一方、労務手続き+相談業務がセットになったのが、通常の顧問契約です。また社労士事務所によっては顧問契約を個別に分けているところもあります。労務手続きのみ、あるいは相談業務のみという場合には、包括的なプランと比較して30~50%ほど費用を抑えられるでしょう。
社労士は依頼内容や従業員数などによって報酬が変わるので、「依頼前に社会保険労務士の費用相場についてもっと詳しく知りたい!」という方は、以下の記事をチェックしてください。
【まとめ】社労士選びでお悩みならアイミツへ
就業規則の不利益変更を実施する際には、合理的かつやむを得ない理由と労使間の合意が必要となります。そのため、もし不利益変更を実施するのであれば、いかに労使間の利害の対立を解消して理解と協力を得るかが鍵となるでしょう。
「就業規則の不利益変更を実施する必要性に迫られているもの、上手く推進する自信がない」とお悩みの場合、専門家である社会保険労務士にアドバイスを求めるのがおすすめです。どんな社労士を選ぶべきか分からない場合はアイミツにお問い合わせください。
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