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36協定とは?時間外労働・休日労働の意味や上限、留意すべき8つの事項を解説【2024年最新版】

更新日:2024.01.24

「36協定について具体的な内容なのかわからない」「36協定はどんな時に必要になるのか知りたい」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、36(サブロク)協定の概要や届出の対象となる労働のほか、36協定を結ぶ際の注意点についても解説していきます。36協定について理解を深めたいという方はぜひ参考にしてください。

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36(サブロク)協定とは何?

36(サブロク)協定とは時間外労働・休日労働に関する協定のことです。労働基準法で定められた1日8時間・週あたり40時間以内の「法定労働時間」を超えて労働させる必要がある場合に必ず締結しなければなりません。36協定が設けられる前は時間外労働に関する制限がなく、いくらでも残業させられる環境となっていました。しかし、その状況では従業員のワークライフバランスの維持が難しいことから労働基準法が見直されることとなり、36協定によって時間外労働に対する制限が生まれたのです。

36協定届が必要となる時間外労働・休日労働とは?

では、36協定届が必要になる時間外労働・休日労働はどのように定義づけられているのでしょうか。ここからは、時間外労働と休日労働の定義について解説していきます。この2つを正しく把握しておけば、36協定の必要性の判断に役立てられるはずです。

法定労働時間を超えた「時間外労働」

36協定が必要となる時間外労働は、労働基準法で定められた法定労働時間を超えた労働時間を指します。法定労働時間として定められているのは1日8時間・1週間40時間の労働ですが、これ超えて労働が発生する際には36協定の届けが必要となる仕組みです。
また、「法定労働時間」が法律で定められた労働時間なのに対して、会社の就業規則や雇用契約書等で定められている時間は「所定労働時間」と呼びますが、所定労働時間は法定労働時間内に設定しなければなりません。就業規則は各社独自のルールとも言えますが、大前提として法定労働時間にもとづかなければならないと覚えておきましょう。

法定休日に労働させる「休日労働」

  1日8時間・1週間40時間という法定労働時間だけでなく、毎週最低1回(4週間で4回以上)は休日が必要なことも法で定められています。これを「法定休日」と呼び、法定休日に労働させると「休日労働」という扱いとなります。法定休日とは別に設けられた休日は「法定外休日(所定休日)」で、法定休日・法定外休日はいずれも会社で自由に設定が可能です。
たとえば「土曜日を法定外休日、日曜日を法定休日」としている会社なら、土曜日の出勤は休日労働にはなりませんが、日曜日の出勤は休日労働に該当します。休日労働が発生する場合は、時間外労働と同様に36協定をむずばなければなりません。

特別条項付き36協定とは?

「36協定を結べば、時間外労働や休日労働の上限がなくなる」と考える人もいるかもしれませんが、それは勘違いです。36協定を結ぶと法定時間外・法定休日の労働は認められるものの、月45時間・年360時間という上限が設けられているため注意が必要です。
しかし「繁忙期でどうしても月45時間を超える時間外労働が発生しそう」という場合は、「特別条項付き36協定」を結ぶことで36協定の上限を超えた労働時間が認められます。ただしこの場合も「年720時間以内」「月45時間を超えるのは1年で6ヶ月まで」などのルールが設けられており、違反すると罰則対象となるため注意しましょう。

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36協定の上限を超えると労働基準法違反になる

特別な事情がない限りは、36協定で定められた月45時間・年360時間という時間外労働の上限を超えることは許されていません。特別な事情のもとで時間数を増やしたい場合は特別条項付き36協定を結んで対応することになります。しかし、万一上限を超えてしまった場合は労働基準法違反となり、事業者には6ヵ月以下の懲役あるいは30万円以下の罰金が科せられます。
また、基本的な労働時間の上限だけでなく、時間外労働と休日労働の合計にも注意が必要です。1ヵ月あたり100時間未満、2〜6ヵ月平均80時間以内でない場合は法律違反となります。

36協定は使用者(会社)と誰が締結する?

36協定は使用者(会社)側と誰との間で結ばれる協定なのでしょうか。ここからは、36協定を結ぶ2つの対象について解説していきます。

労働者の過半数で組織する労働組合

労働者の過半数で組織する労働組合とは、その会社(事業場)に使用されているすべて労働者の過半数で組織されている労働組合ということです。正社員だけでなくパートやアルバイト、契約社員など雇用契約を締結しているすべての人が対象となり、その過半数からなる労働組合とであれば36協定を締結することができます。

労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)

36協定は、労働者の過半数を代表する者とも締結することができます。過半数を代表する労働者を選出する際には、以下の条件を満たす必要があります。
・目的(36協定の締結)を明示した上で、投票あるいは挙手などを通じ代表者を選出
・すべての労働者のうち過半数を代表する者である
・労働基準法第41条第2号にあるよ経営者と一体的の管理監督者ではない
この条件に該当していなければ、労働者の過半数を代表する者として36協定を結ぶことはできません。なお、過半数からの支持を得ていることがわかる民主的な方法であれば、投票や挙手以外の方法であっても問題ありません。

36協定が適用されない3つのケース

労働時間が法定時間より長くなる場合には36協定を結ぶ必要がありますが、中には適用されないケースもあるので注意が必要です。ここからは、36協定が適用されない3つのケースについて解説します。

1.36協定を締結できない労働者

以下の条件に当てはまる従業員は、時間外労働が許されないため36協定が適用されません。
・18歳未満の人
法定労働時間を超えての労働や休日労働、深夜労働が禁じられています。
・妊産婦
妊娠中あるいは出産後1年未満の女性は法定労働時間を超えた労働や休日労働、深夜労働が禁じられています。
・育児や介護中の人
小学校就学の始期までの子供を養育中、あるいは要介護状態の家族を介護中の場合は36協定が結べません。
・管理監督者
社内で一般労働者よりも地位や権限を持ち、管理監督者であると判断される人は36協定の対象ではありません。

2.上限規制の適用猶予が与えられている事業

36協定は大企業に対して2019年4月1日から、中小企業に対しては2020年4月1日から強制的に施行されていますが、新たな法律への対応に時間がかかるを予想される業種には2024年3月末までの適用猶予が設けられています。該当するのは医師や建設事業、自動車運転の業務、鹿児島県・沖縄県の砂糖製造業で、これらの事業を手がける企業では36協定の締結は強制されていません。

3.上限規制の適用除外となる業務

36協定は上限規制の適用から除外されている業務もあります。新たな技術・新商品を生み出す研究開発業務は、36協定によって労働時間の上限を設けるのには適していないとされており、現段階では適用除外となっています。だからといって上時間労働が野放しにされているわけではなく、場合によっては医師による面接指導が義務づけられています。

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36協定で留意すべき8つの事項

ここからは、36協定を締結する際に留意すべき8つの事項について解説していきます。

1.時間外労働や休日労働は必要最小限に留める

36協定を締結したからといって、時間外労働・休日労働を積極的に増やしていいものではありません。大前提として、時間外労働や休日労働は最小限に留める必要があります。36協定を結んで上限を増やしたとしても、従業員に長時間労働ばかりを強いる事業者は好ましくありません。

2.36協定の範囲内でも労働者の安全に配慮する

36協定を締結していても、従業員に長時間労働を強いて安全配慮義務を怠ることは許されていません。労働時間が長くなるほど過労死のリスクが高くなることを理解した上で、従業員の安全に配慮する必要があります。
厚生労働省の「脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準について(※)」では、「1週間当たり40時間を超える労働時間が月45時間を超えて長くなるほど、業務と脳・心臓疾患の発症との関連性が徐々に強まる」との記載もあるので、従業員が安全に働けるようにできる限り労働時間は短くなるよう努めましょう。

※出典:厚生労働省「36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針」
https://www.mhlw.go.jp/content/000350731.pdf

3.時間外労働や休日労働を行う業務を明確化する

36協定を結ぶ際は、どんな業務であっても時間外労働が許されるわけではありません。時間外労働と休日労働が必要な業務の区分を明らかにした上で、どこまでの業務範囲で時間外労働が必要なのかの明示が求められるため、まずは業務を細分化して「長時間労働を要する業務に何が該当するか」を整理しましょう。また、新商品などの研究開発職は36協定の対象ではないため注意が必要です。

4.特別な事情を除いて⽉45時間・年360時間を超えない

36協定では⽉45時間・年360時間の上限が設けられていますが、それを超える場合には「特別条項付き36協定」を結ぶと超過した労働時間も認められます。特別条項付き36協定の締結には特別な理由が必要で、たとえば「想定外の事態によって業務量が大きく増加した」「繁忙期で業務量が多く、どうしても上限を超えてしまう」などの理由がなければ上限を超えた労働は許されないとも言えます。
また、特別な事情によって上限を超えた労働時間が認められたとしても、労働時間を積極的に増やせるわけではありません。できるだけ本来の上限にもとづいた労働時間になるように配慮が求められるだけでなく、労働時間が上限を超える場合は割増賃金も発生するため注意が必要です。

5.短期労働者の時間外労働は目安を超えない努力をする

36協定は雇用契約を結ぶすべての従業員が対象となるため、雇用期間が1ヵ月未満の短期労働者にも時間外労働をさせることは不可能ではありませんが、時間外労働の目安として設けられている時間を超えないように努める必要があります。時間外労働の目安は1週間15時間、2週間27時間、4週間43時間となっているので、超えないように注意しましょう。

6.休日労働を少なくするよう努める

36協定を結べば法定休日の労働(休日労働)は可能となりますが、だからといって休日労働の日数を増やしていいわけではありません。休日労働の日数や時間は、できる限り減らすように努める必要があるので注意しましょう。

7.上限を超えて労働させる場合は健康・福祉を確保する

企業は労働者の安全・健康に配慮する必要があるため、36協定を締結して上限を超えた労働時間となる場合は、労働者の健康や福祉を必ず確保しなければなりません。具体例としては、以下の取り組みがあげられます。
・産業医による定期的な面接指導
・勤務間インターバル(休息時間)を設ける
・深夜残業の回数を減らす
・代休や特別休暇の付与を徹底する
・メンタル面の相談窓口を設置する

8.上限規制が猶予・除外の対象でも健康・福祉を確保するよう努める

新たな技術や新たな商品などの研究開発業務は36協定の適用外のため、労働時間が上限を超えている状況であっても罰則が科されることはないでしょう。しかし、労働者の健康・福祉を確保しなければならないことに変わりはなく、産業医による定期的な面接指導やインターバルの確保、健康診断といった具体的な措置への取り組みが求められます。

36協定届の作成や届出は社会保険労務士に依頼できる

36協定について「ルールが細かくわかりにくい」と感じている方も多いのではないでしょうか。36協定について「不安がある」「届出が面倒」という場合は、人事業務のプロである社会保険労務士(社労士)へ業務を依頼するのもおすすめです。36協定の締結に関する実務をまとめて任せられるため、人事労務に関する専門的な知識を持つ人材が不在の会社には特に心強いでしょう。

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社労士への依頼にかかる費用相場

社会保険労務士との契約には大きく2つの契約方法があります。

顧問契約は毎月継続して社会労務関連の仕事全般を行う契約です。労働保険・社会保険諸法令に基づいた書類の作成、ならびに提出代行を中心に、人事労務に関する相談やアドバイス、細かな指導や情報提供などが主な業務です。労務手続き+相談業務がセットになったのが、通常の顧問契約です。

社労士事務所によっては顧問契約を個別に分けているところもあります。労務手続きのみ、あるいは相談業務のみという場合には、包括的なプランと比較して30~50%ほど費用を抑えられるでしょう。

「依頼前に社会保険労務士の費用相場についてもっと詳しく知りたい!」という方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

【まとめ】社労士事務所選びに迷ったらアイミツへ

今回は、36協定とは何か解説してきました。時間外労働が発生する場合には、36協定の締結が必須とされています。もしも手続きについて不安があるという場合には、社会保険労務士に相談しましょう。
アイミツではご要望を伺った上で、条件に合う社会保険労務士事務所を無料で複数ご紹介可能です。社労士選びでお困りの方は、お気軽にご相談ください。

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