物流倉庫とは?基礎知識・業務の流れ・種類を詳しく解説!【2024年最新版】
物を販売する企業にとって、在庫を保管する倉庫は必要不可欠。しかし、自社で倉庫を持つ場合は高い維持コストが必要なため、外部スペースをレンタルすることが一般的です。ひと昔前までは、倉庫と言えばただ物を保管しておくためのものでした。現在では保管はもちろん、検品や加工、仕分け、梱包、発送まで委託できる物流倉庫が主流です。本記事では、物流倉庫に依頼できる業務内容や物流倉庫の種類、そして活用メリットについて解説していきます。
物流倉庫とは
ただの倉庫と物流倉庫の最大の違いは、商品発送までのすべての業務を代行する点です。
物流倉庫では、伝票と数量を確認する数量検品や商品の包装、取扱説明書やノベルティなどの封入といった、入庫から出庫までのすべての業務を依頼できます。
ただし、会社によって依頼できる業務は異なります。自社が物流倉庫に求める内容を明確にし、その業務を依頼できる物流倉庫会社を選ぶことが重要です。
物流倉庫の業務
ここでは、物流倉庫に依頼できる業務内容を詳しく解説します。物流倉庫会社選びの参考にしてください。
入庫
入庫とは、依頼主から預かった物や商品に合わせて、きちんと品質管理できるように最適な保管場所に収めることを指します。また、入庫の際には在庫や日付などの管理も行います。
検品
伝票に記載された数量と実際の数が合っているかどうかを確認する作業が検品です。検品は、入庫の際に行われることが一般的で、預かった商品にキズや破損などの不具合がないかも同時にチェックします。
流通加工
流通加工とは、荷主のニーズに合わせて商品を加工することです。たとえば、商品の詰め合わせやラベル貼り、値札付けなど。どこまでの業務を依頼できるのかは、物流倉庫会社によって大きく異なります。
ピッキング
ピッキングとは、荷主の要望に応じて、必要な商品を必要な数量だけ取り出す業務です。商品を一つひとつ、手作業で引き当てを行う倉庫もありますが、最近ではバーコードの読み取りによってピッキングを行う倉庫も少なくありません。
仕分け・荷揃え
ピッキングで取り出した商品を、数量に間違いがないかをチェックしたうえで、方面や配送先ごとに仕分けしていきます。帳票や指示書に従って、トラックなど特定の場所に商品を集めることを荷揃えと言います。
梱包
商品の特性に合った梱包材で包みます。たとえば、ガラス製の商品や精密機器などの衝撃に弱いものには、俗に「プチプチ」と言われる「エアキャップ」による梱包が必要です。
出庫
商品と注文内容が合っているか、数量に間違えがないかを最終確認したうえで出庫します。注文と違う商品が届くなど、出庫の際のミスは荷主の損害となってしまうため、出庫のチェック体制は重要です。
さらに具体的な物流倉庫の仕事内容や管理者の業務などを知りたい方は以下の記事もチェックしてください。
物流倉庫で働く際に役立つ資格
物流業界でも海外に生産拠点を持つ企業が増えるなど、グローバル化が進みつつあります。保管や荷役・流通加工から情報管理までさまざまな役割が求められており、さらにそれぞれの工程では専門性のある知識や経験も必要です。そこで、専門性を持つ証明となるのが、物流倉庫で役立つ数々の資格。なかには国家資格も含まれており、各業務の効率改善のために有資格者を重視する企業も少なくありません。今回は現場や管理・マネジメントに役立つ資格をピックアップして紹介します。
自動車運転免許(中型・大型・大型特殊・けん引)
物流倉庫の現場では、一般車両を除いた自動車運転免許の資格が重宝されます。中型・大型・大型特殊・けん引といった特殊車両操作に必要な自動車運転免許は、物流倉庫で大いに役立つ資格です。物流倉庫向け資格の取得を考えている場合は、各講習を受けたうえで資格取得を目指すのがベスト。講習費用が必要になってしまうものの、合格率が高くなるため、総合的な費用を安く抑えられるとも言えます。
フォークリフト運転技能者
物流倉庫やヤードでの荷役作業、運送に関わる仕事にはフォークリフト免許が必要になります。フォークリフトを使う場面は非常に多く、免許資格を持っているかどうかで、物流倉庫で携われる範囲が広がります。1トン以上のフォークリフト運転技能者資格を取得するには技能講習を受ける必要があるものの、比較的短い期間で物流倉庫向けの資格を獲得できることから人気を集めているようです。
倉庫管理主任者
倉庫管理主任者は、物流倉庫の運用に必須な役割です。倉庫業法改正に伴って設けられ、倉庫業の営業には倉庫管理主任者の選任と、定められた業務を課すことが義務付けられています。倉庫管理主任の主な業務内容は「倉庫の運営・管理、火災や労災の未然防止」など。民間資格ではあるものの、倉庫管理主任者を選定するための要件の1つとして設けられているため、物流倉庫の現場では有資格者が必要です。
物流経営士(物流コンサルタント)
物流コンサルタントとして、物流倉庫で働く際に役立つ資格が物流経営士です。トラック運送事業の経営者向けの資格とされており、経営の基礎や物流の方向性について学ぶことで資格を取得できます。全日本トラック協会で取得できる民間資格であり、講習ではITスキルやマネジメント能力についても学ぶことが可能です。受講生同士で交流も深められるため、ヒューマンネットワークの構築によるビジネスチャンスの拡大も望めるでしょう。
そのほかの現場で役立つ資格やマネジメント・管理で役立つ資格、国際物流に役立つ資格、資格の取得方法などは以下の記事を参考にしてください。
物流倉庫とレンタル倉庫の違い
物流倉庫とよく似た形態にレンタル倉庫があります。物流倉庫との大きな違いは、依頼できる業務内容が限定される点です。
レンタル倉庫に依頼できる業務は、商品の保管と入出荷の管理程度が一般的。物流倉庫の場合は、レンタル倉庫に依頼できる業務に加えて、検品や流通加工、仕分け・荷揃え、梱包まで可能です。
レンタル倉庫では、商品の品質管理を依頼者が行わなければなりませんが、物流倉庫では商品の品質管理も担っています。
物流倉庫の種類
物流倉庫とひと口に言っても、その種類はひとつではありません。ここでは、物流倉庫の種類と特徴を解説します。
トランスファーセンター
「トランスファー」には、移す、動かす、運ぶなどの意味があります。その意味のとおり、トランスファーセンターは、在庫を持たない形態の倉庫で、次の納入先に移動させるのが主な役割です。
トランスファーセンターでは、商品の保管は行わず、仕分け作業や荷揃え作業を行います。利用するメリットは、在庫の圧縮やそれに伴う保管スペース、保管費用の削減などです。
ディストリビューションセンター
配布、流通を意味する「ディストリビューション」が使われているとおり、ディストリビューションセンターは商品を保管し、クライアントの求めに応じて納品・配送する倉庫です。多くの方がイメージするもっともスタンダードなタイプでしょう。
ディストリビューションセンターを利用するメリットは、在庫を求めに応じて速やかに出荷してもらえる点にあります。一方で、在庫を保管するスペースや保管費用がかかる点がデメリットです。
プロセスディストリビューションセンター
プロセスディストリビューションセンターは、より流通加工機能が強化された物流倉庫です。
一般的な物流倉庫でも値札付けなど、ある程度の流通加工は行われますが、プロセスディストリビューションセンターでは食品の加工や精密機器の組み立てなど、専門知識が必要とされる高度な流通加工が行われます。
商品の付加価値を高めることができる一方で、ディストリビューションセンターよりも高額な費用が必要です。
フルフィルメントセンター
ECサイトの隆盛とともに需要を拡大し続けているのが、フルフィルメントセンターです。フルフィルメントセンターでは、商品の受注から流通加工、梱包、発送までのすべての業務を請け負います。
決済業務や返品処理、顧客対応なども一貫して行う点が、ディストリビューションセンターとは違うところです。
フルフィルメントセンターを利用すれば、業務の効率化が図れるうえ、よりスピード感のある発送が可能になります。一方で、自社にノウハウが蓄積されない点や、顧客との接点が作りにくい点はデメリットでしょう。
物流倉庫を依頼するのに必要な期間とは
物流倉庫を外注する場合、実際に稼働するには、顧客の要望を踏まえた運用体制の構築、入出荷ルールの策定、現場レイアウトの作成など、さまざまな準備が必要です。そのため、申し込み後から稼働開始までにはおよそ1ヵ月~3ヵ月程度の時間がかかることが多くなります。具体的に物流倉庫の依頼を完結するには、以下のような工数が必要です。
・社内での依頼内容整理: 自社の現状を踏まえて、物流倉庫会社にどのようなサービスを求めるのかを固める
・外注先を探す: 依頼内容や予算に合わせて物流倉庫会社を探す
・外注先の比較検討: 複数の候補をさまざまな条件で比較検討し、問い合わせ先を決める
・外注先との打ち合わせ: 自社のニーズを伝え、物流倉庫会社から提供サービスや料金についての提案を受ける申し込みに至る前には複数の準備が必要であるため、「準備期間」+「1ヵ月~3ヵ月程度(申し込んでから稼働開始まで)」の時間がかかることを想定しておいたほうが良いでしょう。
物流倉庫を外注を依頼する際のスケジュールやポイントについては、以下の記事を参考にしてください。
物流倉庫を活用するメリット
ここからは、物流倉庫を活用するメリットを紹介します。物流倉庫の導入に悩んでいる方はぜひチェックしてください。
経費削減
物流倉庫を活用することの一番のメリットは、経費削減に期待できる点でしょう。
自社だけで物流業務を行う場合は、在庫を保管するスペースを別途用意しなければならないうえ、管理するための人件費も余分にかかります。また、在庫が少なくなったからと言って、簡単にスペースを縮小したり、スタッフを解雇することはできません。
その点では、物流倉庫を利用すれば自社で倉庫を持つ必要はありません。新たに人員を雇うことなく、物流業務を行うことが可能です。
業務効率化
自社で物流業務を行う場合、保管する商品を管理する人のほかに、検品業務を担当する人、発送業務を行う人など、相応の人的リソースを割く必要があります。物流業務に忙殺されて本業がおろそかになってしまうことも考えられるでしょう。
一方で物流倉庫を活用すれば、物流に関わる業務をすべて任せられるため、社員は本業に専念できます。これまで物流業務にあてていた時間を、集客や商品のブランディングにあてることも可能です。
顧客満足度の向上
スピーディーな発送による顧客満足度の向上も、物流倉庫を活用するメリットです。
物流倉庫では、受注から発注までの一連の流れを、作業に慣れた専属のスタッフが行います。自社で本業の隙間時間に受注や加工、発送などを行うよりもはるかにスピーディーな発送が可能です。
発注から商品が手元に届くまでの時間は、大きく顧客満足度に影響を及ぼします。物流業務を外部に任せることでスムーズに発送できるため、顧客満足度も大幅に高まる可能性があるでしょう。
そのほか知っておきたいデメリットや外注先の選び方のポイントについては以下の記事を参考にしてください。
物流倉庫を選ぶポイント
最後に、物流倉庫を選ぶポイントをお伝えします。依頼する会社を選定する際の参考にしてください。
倉庫の立地
物流倉庫を選ぶ際には、立地を必ず確認しましょう。
たとえば、高速道路や幹線道路の近くの物流倉庫と、細かい道が入り組んだ先にある物流倉庫とでは、搬入・搬出にかかるスピードが異なるため、効率が大きく変わります。
また、航空機や船舶を利用して発送する場合は、空港や港の近くにある物流倉庫がベストです。顧客満足度の向上にはスムーズな配送が欠かせないため、倉庫の立地には注意してください。
保管方法・体制
次に、保管体制をチェックしましょう。
とくに、医薬品や食品を保管する場合は、厳格な温度管理体制が求められます。たとえば、冷凍保管とひと口に言っても、マイナス20度で問題ない商品もあれば、マイナス60度の保管が必要な商品もあります。
商品の特性を重視し、適切に保管できる物流倉庫を選ぶようにしてください。保管体制を細かくチェックせずに委託した場合は、商品の劣化に伴う企業価値の低下も十分考えられるでしょう。
費用
業務をアウトソーシングする際には、費用が重大なポイントになります。
コストの削減は、物流倉庫を利用するメリットのひとつではありますが、利用方法や料金体系によってはうまくいかない可能性も考えられるでしょう。そのため、事前にランニングコストを計算し、予算と照らし合わせたうえで、実際にコストを削減できる物流倉庫に依頼することが重要です。
また、相場を把握する意味においても、複数社から見積もりを取ることをおすすめします。
物流倉庫の外注先の選び方の詳しいポイントは以下の記事を参考にしてください。
物流倉庫を外注するときの成功のコツ
まず、逆算してスケジュールを組むことが大切です。物流倉庫では基本的に、複数社の商品保管や入荷といった業務をひとつの倉庫内で行っています。そのため、新たな依頼に対応する際には保管スペースの確保、レイアウト策定、顧客の商品や販売方法に合わせた業務フローの策定、入出荷マニュアルの作成など、顧客ごとに導入準備を行うのが一般的です。この導入準備には、目安として契約完了から1~3カ月程度かかるケースが多いため、スケジュールを組む際は各工程にどの程度時間がかかるかを予想しながら順序立てて逆算し、余裕を持ってスケジュールを組むことが大切です。
やりがちな失敗例、業種別の注意すべき点などをまとめた以下の記事も参考にしてください。
大手の物流倉庫業者2選
ここでは大手の物量倉庫業者をピックアップして2社紹介します。より多くの大手の物流倉庫業者を知りたい方は以下の記事もチェックしてください。
株式会社近鉄エクスプレス
設立年 | 1970年 |
---|---|
従業員数 | 1000人以上 |
会社所在地 | 東京都港区港南2-15-1 品川インターシティA棟24階 |
電話番号 | 03-6863-6440 |
郵船ロジスティクス株式会社
設立年 | 1955年 |
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従業員数 | 1000人以上 |
会社所在地 | 東京都品川区東品川4丁目12番4号 品川シーサイドパークタワー |
電話番号 | 03-6703-8111 |
梱包代行・ラッピング対応のおすすめ物流倉庫会社2選
梱包代行・ラッピング対応のおすすめ物流倉庫を3社ピックアップして紹介します。
料金が格安や専任スタッフがいる、実績豊富な物流倉庫会社を知りたい方は以下の記事もチェックしてください。
タカラ物流システム株式会社
設立年 | 1944年 |
---|---|
従業員数 | 100-499人 |
会社所在地 | 京都府京田辺市大住浜55番地13 |
電話番号 | 0774-68-1720 |
発送代行におすすめの物流倉庫会社2選
発送代行におすすめの物流倉庫会社をピックアップして紹介します。さらに多くの発送代行におすすめの物流倉庫会社を知りたい方は以下の記事もチェックしてください。
国立倉庫株式会社
設立年 | 1969年 |
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従業員数 | 30-99人 |
会社所在地 | 東京都国立市谷保6丁目22番地の1 |
電話番号 | 042-575-1181 |
中貨物自動車株式会社
設立年 | 1965年 |
---|---|
会社所在地 | 兵庫県加古郡稲美町国安字新開1273番地の1 |
電話番号 | 079-492-1133 |
主な費用項目と相場
物量倉庫を外注する際の一般的な相場について、項目ごとに紹介します。
項目 | 一般的な価格帯 | 備考 |
基本料(システム利用料) | 2万円~5万円 | 固定費 |
基本料(業務管理料) | 1万円~5万円 | 固定費 |
倉庫保管料 | 4,000円~7,000円 (坪単価) |
固定費 |
デバンニング料 | 2万円~3万5,000円 | 変動費 |
入庫料 | 10円~30円 (1個あたり) |
変動費 |
検品料 | 10円~100円 (1個あたり) |
変動費 |
出荷料(ピッキング料) | 10円~30円 (1個あたり) |
変動費 |
梱包料 | 150円~300円 (段ボールの場合) |
変動費 |
配送料 | 400円~1,200円 | 変動費 |
項目ごとの費用の詳しい説明や物流倉庫の価格に会社ごとで違いが出る理由、失敗しない会社選びのポイントについては以下の記事を参考にしてください。
まとめ
コスト削減や業務効率化、顧客満足度の向上など、物流倉庫の活用にはさまざまなメリットがあります。
とはいえ、物流倉庫には複数の種類があり、それぞれに特徴も異なります。さらに、物流倉庫会社によっても、依頼できる業務内容に幅がある点も注意しなければなりません。まずは、物流倉庫を活用する目的を明確にし、その目的に合った物流倉庫を選ぶことが重要です。
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