物流倉庫の発注に必要なものは?準備物リストと業務要件書の作り方を解説
物流倉庫を外部に発注したいものの、「物流倉庫の発注にあたって何を準備すればよいのかわからない」「物流会社にどこまで伝えればいいのか整理できていない」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。こうした課題の多くは、物流倉庫の発注に必要なものが事前に整理されていないことが原因です。準備が不十分なまま発注してしまうと、物流会社との認識にズレが生じやすくなります。
そこで本記事では、物流倉庫の発注前に準備すべき具体的な項目と、発注時に必要となる「業務要件書」の役割について分かりやすく解説します。これから物流倉庫の外注を検討している方や、初めて外注する方はぜひ参考にしてください。
- この記事でわかること
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- 物流倉庫の発注前に整理すべき内容
- 業務要件書とは?含めるべき具体項目
- 発注時に伝えるべき情報と発注時に必要なもの
物流倉庫の発注に必要なものとは?発注前に準備しておくべきもの一覧
物流倉庫を発注する際には、事前にいくつかの情報を整理しておく必要があります。準備が不十分なまま物流会社へ相談してしまうと、提案内容が会社ごとに大きく異なり、比較が難しくなることがあります。また、発注後に「想定していた成果が得られない」といった認識のズレが生じる原因にもなります。
そのため、物流倉庫の発注を検討する段階で、以下のような項目を整理しておくことが重要です。
- 物流倉庫の発注前に整理しておくこと
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- 依頼したい業務範囲
- 取扱商品の情報
- 出荷量・在庫量の実績
- 配送・梱包ルール
- システム連携の条件
事前に整理しておくことで、物流会社との認識ズレを防ぎ、提案の精度や見積もりの妥当性も判断しやすくなります。特に複数の物流会社へ相談する場合には、条件をそろえて共有することで、提案内容や見積もりを比較しやすくなります。
そして、これらの情報を体系的に整理した資料が「業務要件書」です。業務要件書を作成しておくと、発注側の要望や条件を物流会社へ正確に伝えやすくなります。次の章では、物流倉庫の発注で重要な業務要件書の役割について解説します。
物流倉庫の発注で重要な「業務要件書」とは?
物流倉庫の発注における業務要件書とは、倉庫会社や物流代行会社に依頼したい業務内容、目的、条件、運用ルールなどを整理した文書のことです。物流倉庫の発注では、保管場所を借りるだけでなく、入荷、検品、保管、ピッキング、梱包、出荷、返品対応、在庫管理、システム連携など多くの業務が関係します。そのため、口頭や簡単なメールだけで依頼を進めると、発注側と倉庫側で認識のズレが起きやすくなります。
業務要件書を作成しておくことで、依頼内容を整理できるだけでなく、見積もりの精度を高めたり、物流会社との打ち合わせをスムーズに進めたりすることができます。特に、はじめて物流倉庫を外部に委託する場合や、EC事業の拡大に合わせて倉庫を切り替える場合には、業務要件書が発注成功の重要な土台になります。
業務要件書の役割とは?
業務要件書の大きな役割は、発注側が求める物流業務の内容を、倉庫会社に正確に伝えることです。物流業務は一見すると「商品を預けて、注文が入ったら発送してもらうだけ」に見えるかもしれません。しかし実際には、商品ごとの保管方法、出荷までの締め時間、梱包ルール、同梱物の有無、返品時の対応、在庫データの更新方法など、細かな条件が数多くあります。
これらを業務要件書にまとめておくことで、倉庫会社は必要な作業量や人員、保管スペース、システム対応の可否を判断しやすくなります。その結果、見積もりの根拠が明確になり、契約後に「想定より作業が多かった」「この対応は別料金になる」といったトラブルを防ぎやすくなります。
業務要件書がないと発注で起きやすいトラブル
業務要件書がないまま物流倉庫を発注すると、まず起きやすいのが見積もりのズレです。倉庫会社は提示された情報をもとに費用を算出しますが、入荷頻度、出荷件数、商品サイズ、保管方法、梱包作業の複雑さなどが不明確なままだと、正確な見積もりを出すことができません。その結果、契約後に追加費用が発生したり、想定より高い運用コストになったりする可能性があります。
また、作業範囲の認識違いもよくあるトラブルです。発注側は「当然やってもらえる」と思っていた作業が、倉庫側では契約範囲外だったというケースがあります。たとえば、チラシの同梱、ギフト包装、賞味期限管理、ロット管理、返品商品の再検品などは、倉庫会社によって標準対応かオプション対応かが異なります。
物流倉庫発注時の業務要件書に含まれる内容
業務要件書には、目的や背景、KPIなど、物流会社に伝えるべき重要な情報を記載します。これらの情報を整理しておくことで、物流会社はプロジェクトの目的や条件を理解しやすくなり、より具体的な見積もりや提案を行うことができます。
一般的には、次のような項目を整理します。
- 物流倉庫発注時の業務要件書
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- 背景・目的・現状整理
- 目標・KPI
- 取扱商品の情報
- 想定ターゲットと配送方法
- 倉庫業務の範囲
- オペレーション・業務フロー
- システム連携要件
- スケジュール
- 予算・契約条件
- 品質管理・確認フロー
以下では、それぞれの項目について解説します。
背景・目的・現状整理
業務要件書では、まず物流倉庫を発注する背景や目的を記載します。なぜ新たに倉庫を探しているのか、現在どのような課題があるのか、今回の発注によって何を改善したいのかを整理します。
たとえば、「自社出荷では出荷件数の増加に対応できなくなった」「既存倉庫の誤出荷が多い」「ECモールの拡大に伴い出荷スピードを上げたい」「保管費や作業費を見直したい」といった内容が考えられます。背景が明確になると、倉庫会社は単に作業を請け負うだけでなく、課題解決に合った提案をしやすくなります。
目標・KPI
業務要件書には、物流倉庫に委託することで達成したい目標やKPIも記載します。KPIとは、業務の成果を測るための指標のことです。物流業務では、出荷リードタイム、誤出荷率、在庫差異率、当日出荷率、返品処理日数、配送コストなどが代表的なKPIになります。
目標やKPIがないと、倉庫会社にとって何を重視すべきかが分かりにくくなります。スピードを重視するのか、コストを重視するのか、品質を重視するのかによって、最適な運用方法は変わります。発注側の優先順位を明確にすることで、倉庫会社からより現実的な提案を受けやすくなります。
取扱商品の情報
物流倉庫の発注では、取扱商品の情報を詳しく記載することが欠かせません。商品によって、必要な保管スペース、作業方法、梱包資材、管理ルールが大きく変わるためです。
記載する内容としては、商品カテゴリ、SKU数、商品サイズ、重量、保管温度、賞味期限や使用期限の有無、壊れやすさ、におい移りのリスク、危険物に該当するかどうかなどがあります。アパレル、食品、化粧品、日用品、精密機器など、商材によって倉庫に求められる条件は異なります。
想定ターゲットと配送方法
業務要件書には、商品を届ける相手や配送方法についても記載します。物流業務は、BtoC向けの個人配送なのか、BtoB向けの店舗・法人配送なのかによって、出荷単位や梱包方法、配送リードタイムが異なります。
BtoCの場合は、注文ごとのピッキング、個別梱包、納品書やチラシの同梱、ギフト対応、日時指定などが発生しやすくなります。一方、BtoBの場合は、ケース単位やパレット単位での出荷、納品先ごとの指定伝票、納品ルール、送り状の指定などが必要になることがあります。
倉庫業務の範囲
業務要件書では、倉庫会社に依頼する業務範囲を明確にします。物流倉庫の業務には、入荷、検品、棚入れ、保管、在庫管理、ピッキング、梱包、出荷、返品対応、流通加工など、さまざまな作業があります。
どこまでを倉庫会社に任せ、どこからを自社で対応するのかを明確にしないと、後から認識のズレが生まれます。たとえば、入荷時に数量確認だけを行うのか、外観検品まで行うのか、返品商品は再販売可能かどうかを倉庫側で判断するのか、自社確認が必要なのかといった点を整理します。
オペレーション・業務フロー
業務要件書には、物流業務の流れをできるだけ分かりやすく記載します。注文が入ってから出荷されるまで、商品が倉庫に届いてから保管されるまで、返品が発生してから処理が完了するまでなど、主要な業務フローを整理します。
業務フローを記載することで、倉庫会社は必要な作業手順を把握しやすくなります。また、発注側も「どの工程で誰が確認するのか」「例外が起きたときに誰が判断するのか」を整理できます。物流業務では、通常の流れだけでなく、欠品、住所不備、同梱物不足、配送停止などの例外時の対応も重要です。
システム連携要件
物流倉庫の発注では、システム連携要件も重要な項目です。ECサイト、受注管理システム、在庫管理システム、WMS、基幹システムなど、どのシステムを使ってデータをやり取りするのかを記載します。CSVで手動連携するのか、APIで自動連携するのか、倉庫会社のWMSを利用するのかによって、導入準備や運用負荷が変わります。
また、データ項目の形式も確認が必要です。商品コード、SKU、JANコード、注文番号、配送先情報、配送方法、同梱物情報などが正しく連携できないと、出荷ミスや在庫差異の原因になります。システム連携は物流品質に大きく影響するため、早い段階で要件として整理しておくことが大切です。
スケジュール
業務要件書には、発注から運用開始までのスケジュールを記載します。物流倉庫の立ち上げには、契約、業務設計、システム連携、商品登録、在庫移動、テスト出荷、運用開始など、複数の工程があります。希望する運用開始日がある場合は、必ず明記します。特に、セール開始、ECサイトのリニューアル、新商品の発売、繁忙期前の移管など、期日が決まっている場合は、逆算して準備を進める必要があります。
スケジュールが曖昧なままだと、倉庫会社側の準備が間に合わなかったり、システム連携や在庫移動に十分な時間を取れなかったりすることがあります。余裕を持った計画を立てることで、運用開始後の混乱を防ぎやすくなります。
予算・契約条件
業務要件書には、予算や契約条件に関する情報も記載しておくと、倉庫会社から現実的な提案を受けやすくなります。物流費は、保管料、入出荷作業料、梱包資材料、配送費、システム利用料、返品処理費、流通加工費など、複数の費用で構成されます。
予算を伝える際は、単に「安くしたい」と書くのではなく、どの費用を重視しているのかを明確にすることが大切です。たとえば、配送費を抑えたいのか、保管料を抑えたいのか、繁忙期の作業費を安定させたいのかによって、倉庫会社が提案する内容は変わります。
品質管理・確認フロー
物流業務では、品質管理と確認フローも重要な要件です。どれだけスピーディーに出荷できても、誤出荷や破損、在庫差異が多ければ、顧客満足度は下がってしまいます。
業務要件書には、検品方法、出荷前確認、ダブルチェックの有無、在庫棚卸の頻度、誤出荷発生時の報告方法、改善対応の流れなどを記載します。特に、品質基準をどこまで求めるのかを明確にしておくことが大切です。
発注時に共有しておくとスムーズになる情報
以下の項目は必須ではありませんが、事前に共有しておくことで外注の進行が大きくスムーズになります。
- 発注時に伝えておくと制作がスムーズになる情報
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- 過去の物流実績
- 社内の暗黙ルール・NG事項
- 意思決定プロセス
- 使用しているシステム・データ環境
- 既存資材・梱包仕様の一覧
過去の物流実績
過去の物流実績は、倉庫会社が作業量や必要な体制を見積もるうえで非常に重要な情報です。月間出荷件数、日別出荷件数、SKU数、入荷頻度、返品件数、繁忙期の出荷量などを共有できると、より精度の高い提案を受けられます。
特に、平均値だけでなく、出荷量の波も伝えることが大切です。通常時は1日100件でも、セール時には1日1,000件になるような場合、倉庫会社は繁忙期に合わせた人員計画や作業スペースを考える必要があります。
社内の暗黙ルール・NG事項
物流業務では、社内で当たり前になっているルールが、外部の倉庫会社には伝わっていないことがあります。こうした暗黙ルールやNG事項は、できるだけ整理しておくことが重要です。
これらを共有しないまま運用を始めると、倉庫側は一般的な物流ルールに沿って作業します。その結果、自社のブランド方針や顧客対応方針と合わない出荷が行われる可能性があります。暗黙知を言語化することは、業務要件書を作る大きな目的の一つです。
意思決定プロセス
物流倉庫の発注では、社内の意思決定プロセスも共有しておくとスムーズです。誰が最終決裁者なのか、誰が業務内容を確認するのか、誰が費用を承認するのかが明確でないと、提案内容の確認や契約手続きに時間がかかることがあります。
倉庫会社とのやり取りでは、見積もり、業務フロー、システム連携、契約条件など、複数の判断が必要になります。そのたびに確認先が分からない状態だと、スケジュールが遅れやすくなります。
使用しているシステム・データ環境
現在使用しているシステムやデータ環境も、発注時に共有しておくべき重要な情報です。物流倉庫の運用では、受注データや在庫データのやり取りが欠かせません。使用しているシステムによって、連携方法や対応可否が変わるためです。
たとえば、ECカート、ECモール、受注管理システム、在庫管理システム、基幹システム、会計システムなどを整理して記載します。CSVで出力できるデータの形式や、API連携の可否、商品マスタの管理方法なども確認しておくと、導入準備が進めやすくなります。
既存資材・梱包仕様の一覧
既存の梱包資材や梱包仕様がある場合は、まとめておくと便利です。段ボール、封筒、緩衝材、ギフト袋、ラベル、チラシ、納品書など、出荷時に使用する資材は物流品質やコストに関わります。梱包仕様については、どの商品にどの資材を使うのか、緩衝材の量、同梱物の有無、ブランド指定の梱包方法などを記載します。写真やサンプルがある場合は、倉庫会社に共有するとさらに分かりやすくなります。
業務要件書を作るときのポイント
業務要件書を作るときは、専門的な言葉を並べることよりも、倉庫会社が実際の作業をイメージできるように書くことが大切です。物流業務は現場作業が中心になるため、曖昧な表現が多いと、運用時に判断が分かれてしまいます。
やってほしいことを明確にする
業務要件書では、「何をやってほしいのか」をできるだけ具体的に書くことが重要です。たとえば、「出荷対応をしてほしい」だけでは、倉庫会社はどこまで対応すればよいのか判断できません。ピッキング、検品、梱包、送り状発行、配送会社への引き渡し、出荷完了データの連携まで含むのかを明確にする必要があります。
また、「丁寧に梱包してほしい」「早く出荷してほしい」といった表現も、できるだけ具体化しましょう。丁寧な梱包とは、緩衝材をどの程度入れることなのか、早い出荷とは何時までの注文を当日出荷することなのかを記載すると、倉庫会社との認識がそろいやすくなります。
通常時とピーク時を分ける
物流業務では、通常時とピーク時の出荷量が大きく異なることがあります。特にEC事業では、セール、キャンペーン、年末年始、ブラックフライデー、新商品発売時などに注文が集中することがあります。業務要件書を作成する際は、通常時の出荷件数だけでなく、ピーク時の出荷件数や発生時期も分けて記載しましょう。通常時は問題なく対応できる業務でも、ピーク時には人員や作業スペースが不足する可能性があります。
ピーク時の情報を事前に共有しておくことで、倉庫会社は繁忙期の体制を計画できます。人員を増やす必要があるのか、出荷締め時間を調整するのか、在庫補充のタイミングを見直すのかなど、具体的な対策を検討しやすくなります。
例外処理を書く
業務要件書では、通常の業務フローだけでなく、例外処理も記載することが大切です。物流業務では、住所不備、欠品、破損、誤入荷、返品、キャンセル、同梱物不足、配送停止など、さまざまな例外が発生します。
例外処理が決まっていないと、倉庫会社はその都度発注側に確認する必要があります。確認に時間がかかると、出荷遅延につながることがあります。一方で、倉庫側が独自判断で処理すると、発注側の意図と異なる対応になる可能性もあります。
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物流倉庫の発注を成功させるためには、発注前に「業務要件書」という形で要望を整理しておくことが重要です。目的・予算・スケジュールなどを明確にすることで、物流会社とのコミュニケーションが円滑になります。必要なものを把握したうえで、自社に合った物流会社を選びましょう。
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