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パワハラ防止法の概要や内容を解説!企業に求められる対策は?【2024年最新版】

更新日:2024.01.24

厚生労働省によると、2018年に各自治体の労働局などに寄せられたハラスメントに関する相談は約8万3,000件で、相談全体の25%以上を占めています。また、大手広告代理店における過重労働問題など、相次ぐ事件や訴訟をきっかけにハラスメント行為(いじめ、嫌がらせ、迷惑行為)は社会問題として大きな関心を集めるようになりました。

そうした状況を受け、2019年5月29日、国会でいわゆる「パワハラ防止法」が成立。いったいパワハラ防止法がどんな法律で、企業には具体的に何が求められるようになるのでしょうか?

当記事ではその概要や成立までの背景、条文の具体的な内容について詳しく解説していきます。

パワハラ防止には社員研修が効果的!以下の記事も参考にぜひご覧ください。

パワハラ防止法とは?

まずはパワハラ防止法の概要について、あらためて整理しておきましょう。

正式名称は「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」。一般的に労働施策総合推進法とも呼ばれます。前述のとおり、職場におけるハラスメント行為をあらためて定義したうえで、企業における対策を義務化する法律です。

詳しい内容については後述しますが、ハラスメント行為について複数の条文を設け、パワハラやセクハラを未然に防ぐために必要な事業主の義務、会社としての仕組みづくり、従業員に求められる措置などを定めています。

成立までの背景

「成立までの背景」アイキャッチ

パワハラ防止法が成立した背景と、その過程について説明していきます。

法制化されるまでの経緯

冒頭でも触れたとおり、労働局などに寄せられるハラスメント関連の相談は年間8万件以上。退職や解雇、給与の引き下げなどに関わる相談件数が年々減っている一方、ハラスメント事案は右肩上がりで増え続け、全体の割合でもトップを占めています。

なかには繰り返されるハラスメント行為によって体調を崩して休職したり、退職や自殺にまで追い込まれてしまうケースも決して少なくありません

こうした背景から、厚労省の労働政策審議会では2018年8月にパワハラ防止に関する議論をスタート。2018年9月頃からは議論の内容をふまえて具体的な法整備に着手し、2019年の通常国会に法律案を提出、閣議での審議を経て2019年5月29日に可決されました。

海外の状況

ちなみに、パワハラに関する具体的な条文が盛り込まれた日本の法律は今回がはじめてで、対応として先進国のなかではかなり遅い部類に入ります。

フランスでは1990年代の後半からすでに職場におけるハラスメントに高い関心が寄せられていて、2001年には法律としてハラスメントの禁止が定められました。

ほぼ同時期にベルギーやデンマーク、オランダなども関連法規を整備しており、ILO(国際労働機関)の調査によれば、職場におけるハラスメントを刑事罰などの対象としている国は60か国に及びます。

パワハラ防止法で企業に求められること

「パワハラ防止法で企業に求められること」アイキャッチ

ここからはいよいよ本題。パワハラ防止法の具体的な内容についてです。条文をひも解きながら、企業側には何が求められるのか、どんな措置が必要になるのか解説していきます。

パワハラ防止法が企業に求める対策は大きく以下の4点です。

①相談窓口を設けること

1つめは、パワハラを受けた人やパワハラに気づいた人が相談できる窓口を設けること。「労働施策総合推進法」では、「(事業主は)当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない」(30条2-1)としています。

具体的には、人事や総務といった部署内や、従業員用の社内ポータルサイトなどに匿名で相談できる窓口を設けるなど。あるいはパワハラに精通した社会保険労務士やカウンセラーを社内に常駐させるといった方法が考えられます。

②相談した人を不当に取り扱わないこと

過去に発生したハラスメント事件では、被害を訴え出た人が二次的な嫌がらせを受けたり、雇用主の意向に沿わないことを理由に左遷・退職させられてしまったケースも多くあります。

今回のパワハラ防止法では、「当該労働者に対して解雇その他の不利益な取扱いをしてはならない」(30条2-2)とし、そうした不当な取り扱い、職権・解雇面の乱用を禁止しています。

③従業員のパワハラに対する理解・関心を深めること

第30条3-2では、「労働者が他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる措置に協力するように努めなければならない」としています。

パワハラを未然に防ぐためには、やはり啓蒙活動が欠かせません。具体的な措置としては管理者向けの研修や、社労士によるセミナー開催などが挙げられます。

ちなみに「国の講ずる措置」についてはいまのところ未定ですが、ハラスメント行為への社会的関心が高まり続けているため、事業規模によって年間一定回数の研修が義務付けられたり、定期的な報告が義務化されることも十分考えられるでしょう。

④ 事業主みずからも理解・関心を深めること

「事業主は、自らも、優越的言動問題に対する関心と理解を深め、労働者に対する言動に必要な注意を払うように努めなければならない」(30条3-3)。これはある意味当然の内容と言えるのではないでしょうか。

パワハラを防ぐためには、企業のトップ自らが率先してハラスメントの芽を摘み取ろうとする意識が何より大切になってきます。

施行時期

「施行時期」アイキャッチ

パワハラ防止法の施行時期については当初、大企業が2020年4月、中小企業が2022年4月と見込まれていましたが、準備期間などを考慮してか、2019年10月に開かれた労働政策審議会の分科会で、大企業が2020年の6月1日、中小企業については予定通り2022年4月1日とする案が承認されました。

前述した4つの措置についても、この期日まではあくまで努力義務という形になります。

ちなみに大企業・中小企業の定義は業種によってさまざまです。たとえばサービス業の場合、資本金5,000万円以下もしくは従業員100名以下の会社が中小企業(いずれも超える場合が大企業)。製造・建設関連の場合、資本金3億円以下もしくは従業員300名以下の会社が中小企業(いずれも超える場合が大企業)に該当します。

パワハラ防止法によるパワハラの定義・種類

今回のパワハラ防止法では、パワハラを「(職位や上下関係といった)優位性を背景に」、「業務の適正な範疇を超えて」、「精神的・肉体的苦痛を与える行為。または職場環境を悪化させる行為」と定義し、以下の6種類に分類しています。

パワハラの分類
  1. 身体的攻撃 手でたたく、蹴る、物を投げつける、など。
  2. 精神的攻撃 業務の範疇(指導、叱責など)を超えた範囲で脅す、暴言を吐く、誹謗中傷する、など。
  3. 人間関係からの切り離し 正当な理由を抜きに自宅待機させる、会議や社内行事に出席させない、など。
  4. 過大な要求 経験やスキルにそぐわない大きな仕事を任せる、明らかにキャパシティを超えた業務を課す、など。
  5. 過小な要求 4とは逆に、豊富な経験・スキルを持っているにもかからわず雑務ばかりを任せる、キャリアに見合わない仕事ばかりを与える、など。
  6. 個の侵害 プライベートな質問を執拗に続ける、業務に必要のない個人情報を取得しようとする、家族の悪口を言う、など。

「パワハラに該当しない」とされた事例

「パワハラに該当しない」アイキャッチ

ここまで見てきてわかるように、パワハラ防止法によるパワハラの定義・分類は一見明確なようでいて、内実はかなりあいまいだとも言えます。

部下の自覚を促すために激しい口調で叱咤するのはパワハラなのでしょうか?
入社間もない若手社員に成長の機会として責任のあるプロジェクトを任せるのは、「過大な要求」にあたるのでしょうか?

実際のところ、パワハラと業務上必要な行為の境目・判断基準は非常に難しく、パワハラ防止法の審議の過程でもかなり議論が紛糾したようです。

そうした状況を受け、厚生労働省は2019年10月に上記6種類の行為について以下のような「パワハラに該当しない例」の素案を発表しました。

パワハラに該当しない例(※厚労省による素案)
  1. 身体的攻撃 誤ってぶつかる、誤って物をぶつけてしまうことでケガをさせる、など。
  2. 精神的攻撃 マナーを欠いた言動を注意する、繰り返し注意しても改善しない場合により強く注意する、など。
  3. 人間関係からの切り離し 新卒者の研修を短期集中型で別室で行なう、など。
  4. 過大な要求 育成のために少しレベルの高い業務に就かせる、など。
  5. 過小な要求 経営上の理由などにより、一時的に能力に見合わない業務に就かせる、など。
  6. 個の侵害 従業員のケアを目的として家族や家庭状況について質問する、など。

なお、今回発表されたのはあくまでも素案。日本労働弁護士団は上記の内容を「パワハラの範囲を矮小化するもの」「労働者の救済を阻害するもの」として、抜本的な見直しを求めています。今後の議論次第では内容が大幅に変わっていくこともありそうです。

パワハラ防止法に違反した場合どうなる?

パワハラ行為をあらためて定義し、企業での対策を義務化したパワハラ防止法ですが、いまのところ罰則規定は設けられていません
パワハラ防止法の実効力を疑問視する人が多い理由もこの点で、少なくともセクハラやパワハラが明確に刑事罰の対象となっているヨーロッパ諸国と比べると、一歩、二歩遅れている感は否めないのではないでしょうか。

一方で、今回の法制化にあたって、厚生労働大臣が必要を認める場合は、厚労省から企業へ向けて指導や勧告が行なえるようになりました。勧告などに従わない場合、社名を公表されるペナルティが課せられます。

あわせて企業にはパワハラ対策を報告する義務も定められており、報告を拒否したり、嘘の報告をした場合、この点に関しては20万円以下の罰金という罰則規定が設けられています。

パワハラが発生しやすい環境

「パワハラが発生しやすい環境」アイキャッチ

パワハラ防止法の概要や施行時期、企業に求められる対策などは上記のとおりです。ここからはパワハラが発生しやすい環境について簡単に解説していきます。

2016年、厚生労働省はパワハラの実態を把握するために、民間と共同で1万社以上の企業を対象に調査。その結果、パワハラが多い職場の特徴として第1位(45.8%)に、「上司と部下のコミュニケーションが少ない」ことが上がりました。
業務中、上司に話しかけられないピリピリした雰囲気の職場や、多部署などとの交流が薄く、上司と部下の関係が閉鎖な職場では、適正な業務の範疇を超えたパワハラが発生しやすいようです。

続いて第2位(22.0%)は「失敗への許容度が低い職場」。成果への意識が強すぎるあまり、ミスを許さない雰囲気が根づいてしまうと、部下への暴言や暴力、キャパシティを超えた仕事の押し付けといったパワハラにつながります。ニュースを騒がせた大手広告代理店の過労問題もこのケースに近いのかもしれません。

また、こうした職場では上司側も上からの強いプレッシャーに晒されることによって、部下がストレスのはけ口となってしまうことが多いようです。

出典:厚生労働省「職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書」

企業に必要とされるパワハラ対策

こうしたパワハラを未然に防ぐために、以下のような対策が考えられます。

オープンな雰囲気の職場にする

前述の調査結果を見てもわかるように、コミュニケーション不足はパワハラの温床となります。

職場のコミュニケーションには立場の違いや、仕事への意識、積み上げてきた人間関係など、さまざまな要素が絡んでくるのでなかなか一筋縄にはいきませんが、従業員それぞれがお互いに話しやすい・接しやすい環境を整えるのはやはり大切です。
上司、部下、同僚以前に仲間であるという意識が根づかせられれば、おのずとパワハラも減るのではないでしょうか。

また、最近ではオープンな職場づくりの一環として、フリーアドレス制(社員が固定の座席を持たない)のオフィススタイルを採用する企業も増えています。

相談窓口を設ける

パワハラを受けた人が加害者との職権や立場の違い、二次被害、仕返しのリスクなどを恐れて泣き寝入りしてしまうケースは決して少なくありません。

パワハラ防止法でも定められているように、最低限、総務や人事などオフィスの内部に相談窓口を設けておきましょう。しかし、社内では相談しづらい人もいるため、社労士による外部窓口を併せて利用できるとさらに効果的。被害者が安心して悩みを相談できる体制を整えることが大事です。

外部の力を借りる

パワハラを未然に防ぐためには、社内で抱え込まないのも大事なポイントです。

たとえ会社全体でパワハラ撲滅を掲げていたとしても、実際には社員がそれぞれの業務を抱えているため、なかなかパワハラ対策を優先できないのも実情でしょう。また、過度な叱責や暴言を見慣れていてしまっていて、それがパワハラだとは認識できないケースも決して少なくありません。

このような場合は、パワハラ問題に精通した社会保険労務士への相談や、ハラスメント専門の研修サービスがおすすめ。社内だけで解決しようとせずに、専門家の知識を借りながら社員の意識改革を進めましょう。

【まとめ】

今回は2019年5月に成立したパワハラ防止法をテーマに取り上げ、その内容や施行時期、企業に求められる措置などについて解説しました。

日本の法律としてはじめてパワハラを条文に盛り込んだという点で、パワハラ防止法が持つ意味は大きい一方で、内容にはあいまいな点も少なくなく、罰則規定も設けられていません。今後世論の影響で内容が変わっていく可能性もあるでしょう。
そういった意味では法律に頼りすぎず、できることから1つひとつ積み上げていくことが、パワハラ防止の第一歩となります。

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