OJTとOff-JTの違いとは?徹底解説します!

研修を受ける男性の後ろ姿

更新日:2019年01月28日 | 公開日:2019年01月28日

企業における人材育成方法としては、通常業務をこなしながら行う教育の「OJT(On The Job Training)」と、一時的に通常業務から離れて行う教育の「Off-JT(Off The Job Training)」があります。これらは、企業による社員教育の2本柱とされ、社員のスキルアップやモチベーションの向上に役立ってきました。

そこで今回は、改めてOJTとOff-JTの違いや、それぞれの特徴やメリット・デメリットなどについて説明していきます。企業で教育・研修担当をしている方は、ぜひ参考にして、自社ではOJT・Off-JTのどちらを採用した方が良いのか、または両方を連携させた方が良いのか、自社に適した人材育成方法を取り入れてみてください。

1.OJTとOff-JTの違いとは?

1.OJTとOff-JTの違いとは?

OJTとOff-JTは、どちらも企業で人材を育成するためのメインとなる教育方法です。OJTとOff-JTの違いとしては、教育訓練を行う場所やその進め方、目的などが挙げられます。

まず、目的の違いとして、OJTが業務を遂行する能力の迅速な習得であるのに対し、Off-JTは業務に関連する体系的な知識や理論をベースにした高度な業務遂行能力や、通常業務とは直接関連しない知識やスキルの習得も目的とするものになっています。

そのため、OJTは知識を身につける時間も早く、学んだ結果を実務レベルですぐに発揮できる傾向にあります。一方で、Off-JTは学んだことをすぐに業務に活用するのは難しいのが実情です。即戦力としてのスキルを培うためには、OJTによる教育が効果的でしょう。

OJTとOff-JTには、それぞれの特徴があり、この2つをうまく活用することでより良い人材育成活動へとつながります。人事の教育・研修担当者は、教育方法を配属先部署に丸投げすることなく、OJTとOff-JTを戦略的に企画・実践することが重要になります。

1-1.OJTとは

OJTは、「On The Job Training」の頭文字を取ったもので、日本語で「職場内研修」を意味します。OJTは、仕事を通じた人材育成のことをいい、社内で取り入れやすい教育制度として、広く知られています。

OJTの特徴
  • 実際に現場で仕事を進めながら、上司や先輩が計画的・体系的に必要な知識やスキルを部下に教え、身につけさせる。
  • 新入社員研修の場合、OJTを通して一人ひとりがさまざまな職務を体験することで、質の高い人材を育成する。
  • 社内のコミュニケーションを高める効果も期待できる。
  • 教育・研修に関する計画書の作成など、教育担当者や対象者、期間、内容などを具体的に決めて継続的に実施する。

また、「メンター」と呼ばれる先輩社員が新入社員につき、業務の指導に加え、精神的なサポートも併せて行う制度もあります。

平成29年度の厚生労働省「能力開発基本調査」によると、正社員に対して計画的なOJTを実施した事業所は63.3%。また、正社員以外に対しては30.1%と半分以下の割合に留まっています。

1-2.Off-JTとは

Off-JTとは、「Off The Job Training」の頭文字を取ったもので、日本語で「職場外研修」を意味します。Off-JTでは、職場を離れた場所での座学や集合研修による人材育成を行います。

Off-JTの特徴
  • 社内の教育・研修担当者が計画したメニューや外部研修機関が作成した研修を受講し、必要な業界・ビジネス知識やスキルの習得を図る。
  • 集合研修や座学、eラーニング、セミナーへの参加、通信・通学教育の受講、海外留学の学習機会提供など、さまざまな教育形態がある。
  • 新入社員研修から管理職研修まで、階層別に実施されるケースが多い。

厚生労働省が発表した平成29年度の「能力開発基本調査」では、正社員に対してOff-JTを実施した事業所は75.4%。

規模が大きい企業ほど、Off-JTの実施率が高い傾向にあり、産業別ではインフラ関連や金融業での実施が多いと報告されています。

2.OJTのメリット・デメリット

2.OJTのメリット・デメリット

まずはOJTのメリット・デメリットをお伝えしていきます。

2-1.OJTのメリット

職場でOJTを実施することにより、以下のようなメリットが得られます。

メリット1:実践的で現場での対応力が身につく

現場で即戦力として求められるサービス産業などでは、発生した疑問や不安をその都度解決できるため、具体性・即時性があり、実践的に鍛えることが可能です。

メリット2:成長度合いに合わせて柔軟な計画変更ができる

研修の理解度には個人によりバラツキが出てきます。OJTは現場で個別に対応できるため、個人の成長度合いに合わせて、研修計画の変更について柔軟に対応できます。

メリット3:少ないコストで実施できる

経営戦略上、いかに低コストで効率的に人材育成を行うかは非常に重要です。OJTは専任講師や研修外注化の費用はかからず、教える側の社員も現場を離れる必要がないため、比較的簡単に実施が可能です。

その他のOJTのメリット
  • 職場における人間関係の距離を縮められる。
  • 自分が教えられたことを人に教えることで、知識を再確認できる。
  • 指導する立場になったことを自覚でき、モチベーションの向上につながる。

2-2.OJTのデメリット

それでは反対に、OJTのデメリットをお伝えします。

デメリット1:指導者の能力により進捗・習熟度に差が出やすい

コストを抑えられるOJTですが、その成否の鍵は指導者にかかっています。指導者には指導力はもちろん、実際の業務と教育とのバランスを取るスケジュール管理能力も必要になります。指導者のスキルにより、習熟度や進捗度に差が出ることが多いため、注意が必要です。

デメリット2:体系的に学ぶことが難しい

OJTでは実践と振り返りを繰り返して、経験学習的に教育を行います。そのため、座学に比べると、論理的・体系的に教育することが難しいというデメリットがあります。

その他のOJTのデメリット
  • 教育が場当たり的な指導や現場任せになりやすい。
  • 学習内容や範囲、習得状況にムラが発生しやすい。
  • 指導者に時間的な負担がかかってしまう。

3.Off-JTのメリットデメリット

3.Off-JTのメリットデメリット

次に、Off-JTのメリット・デメリットをお伝えします。

3-1.Off-JTのメリット

まず、Off-JTのメリットは次のことが挙げられます。

メリット1:専門的な知識を体系的に習得できる

Off-JTは専門知識を座学で全員同じ環境で行うため、知識の習得度合いのバラツキを防止できます。体系的な学習により知識やスキルを迅速に習得可能です。特に新入社員は、事前知識がない状態で入社するため、Off-JTにより仕事に必要な知識の土台をつくることが可能です。

メリット2:職場外の人との交流で刺激を受けられる

Off-JTは多くの場合、同じ仕事をしている社員が集まってグループ研修などを行います。同じような専門知識を持った社員が集まったり、専門の外部講師の話を聞いたりする機会となり、刺激を受けてモチベーションを高めることが可能です。

その他のOff-JTのメリット
  • 多人数が受講でき、効率的に学習できる。
  • 業務から離れて受講できるため、学習に集中しやすい。
  • 通常業務以外のスキルや、より専門的で高度な知識や技術などが学習できる。
  • 指導者による内容や方法に差が少なく、均質の指導が受けられる。

3-2.Off-JTのデメリット

反対に、Off-JTのデメリットを確認していきましょう。

デメリット1:コストが高くなりやすい

外部講師や研修に伴う費用が発生してしまいます。また、外部研修機関を利用すると、さらにコストがかかります。

デメリット2:研修計画を立てるのが難しい

Off-JTには、集合研修や座学、外部セミナー受講、通信・通学教育の受講など、さまざまな研修形態があります。どのような研修体系で、どんな研修内容を実施するのか、どのようなスキルを持つ講師が必要なのかなど、選択肢が多い分、計画を立てるのが難しいといえます。

その他のOff-JTのデメリット
  • 研修内容と実務内容に差異があると、そのまま実務に活用できない。
  • 研修内容や日程、研修機関、講師の手配・調整などの手間がかかる。

4.Off-JTの需要が増加している理由とは

4.Off-JTの需要が増加している理由とは

それぞれのメリット・デメリットをお伝えしてきましたが、近年はOff-JTの需要が増加しています。その理由としては、次の4つが考えられています。

Off-JTの需要が増加している理由
  • 通常業務をしながらのOJTが難しい
  • 集中的に業務に必要なことを学べる
  • 専門的な内容を学べる
  • 社内に新しい技術を取り込める

それぞれの理由を詳しく確認していきましょう。

理由1:通常業務をしながらのOJTが難しい

指導する立場から見ると、通常の業務をしながらOJTで指導するのは簡単なことではありません。特に「繁忙期」にOJTを行うのは、人手に余裕がないと難しく、教えるべきことに抜けが発生する可能性もあります。

理由2:集中的に業務に必要なことを学べる

個人レベルで、仕事に必要な知識を集中して学ぶのは難しいものです。しかし、企業がそのような場を設けることで社員のモチベーションも上がり、短期間で知識が身につきます。

理由3:専門的な内容を学べる

企業にとって、深い専門知識やノウハウを持った人材の育成は不可欠です。職能別・目的別などに分けてOff-JTを行うことで、通常業務で必要な知識よりも深く専門的な知識を学ぶことが可能です。

理由4:社内に新しい技術を取り込める

特に、IT業界などの技術系職種では、常に新しい技術が生まれており、それらに対応していくことが必要です。社内にノウハウがない場合は、OJTによる教育は困難であるため、外部研修などで社内に取り込むことが求められます。

5.OJTの必要性

5.OJTの必要性

教育・研修体系において、Off-JTの需要が増加していますが、OJTが不要というわけではありません。企業における教育では、企業活動の質を維持するためにもOJTは欠かせないものなのです。

最後に、OJTの必要性を確認していきましょう。

OJTの必要性
  • 即戦力の育成と、技術や技能の伝承
  • 優秀な人材を増やし、企業成長へとつながる
  • 最新技術への効果的な対応策になる

必要性1:即戦力の育成と、技術や技能の伝承

企業固有の技術を継承していく必要がある場合、先輩社員から後輩社員への技術の引継ぎが欠かせません。近年では、即戦力化への期待から、製造業や技術職でOJTによる直接的な指導や教育を行うことも多くなっています。

必要性2:優秀な人材を増やし、企業成長へとつながる

OJTを活用することで、教える側と同じ価値観や知識、スキルを持った人材を育成できます。OJTによって優秀な人材を数多く育てることに成功した企業は、事業成長のチャンスが増え、積極的なチャレンジが可能になります。

必要性3:最新技術への効果的な対応策になる

企業に求められる技術やスキルは、常に高度なものへと進化し続けています。社内に新しい技術のノウハウがない場合は、まず誰かがOff-JTによる外部研修などで学習し、その次のステップとして、学んだことをOJTにより社内に拡散することで、組織全体で最新技術に対応し、レベルアップしていく必要があります。

6.まとめ

6.まとめ

今回は、「OJT」と「Off-JT」の違いや、それぞれの特徴やメリット・デメリットなどについて説明してきました。

従来、日本企業における教育研修はOJT、つまり職場内で実務を通して行う方法を中心に成果を挙げてきました。しかし、近年ではOff-JTと組み合わせることによる相乗効果が見直されており、Off-JTにも注目が集まっています。

また、企業を取り巻く環境の変化が激しさを増しており、そのスピードに人材の育成がついていけないのが実情です。それぞれの企業が人材の育成方法について知恵を絞り、新たな人材育成システムを開発する時期に来ているのかもしれません。

OJTとOff-JTは異なる役割を担っており、どちらかで十分ということはありません。社員の育成計画をもとに、各企業の状況に合わせてOJTとOff-JTをうまく使い分け、実施していくことが重要になります。OJTとOff-JTを有機的に連携させ、企業の成長にもつながる効果的な人材育成に取り組みましょう。

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