ホワイトペーパー
絶対に失敗しない発注先探しの鉄則【便利な発注先チェックリスト20選付き】
事業企画 、総務 、情報システム
新規事業を立ち上げる前の市場調査や提案データの裏づけなど、様々なビジネスシーンで活用されているネットリサーチ。“データドリブン”経営の重要性が認識されながらも、残念ながら中小・中堅企業においてはその認識が浸透していないのが現状としてあるが、その要因はどこにあるのか。リサーチによって得られたデータは、どのように活用すべきなのか。今回は、500円からネットリサーチができるセルフ型アンケートツール「Freeasy(フリージー)」を提供するアイブリッジ株式会社のSaaS事業部 事業責任者 榎本涼氏とPRONI代表・栗山が対談。ネットリサーチの重要性や「Freeasy」活用術など、今、経営者が知るべき“リサーチの常識”について語り合った。
インタビュー先のプロフィール
アイブリッジ株式会社は「SaaS事業」「Media事業」「EC事業」の3つの事業領域と派生するビジネス展開を行っており、デジタルマーケティングで人々の生活をより豊かで便利なものにするために日々努力を重ねています。Freeasy(フリージー)は、「ネットリサーチをもっと自由に簡単に始めていただきたい」をコンセプトに開発された3,000社以上が導入しているセルフ型アンケートツールです。メディア事業では会員数200万人規模のポイント懸賞サイトを運営、EC事業では「食」に主軸を置いたEC事業を展開しています。
榎本 涼 様
聞き手
栗山規夫
PRONI株式会社 代表取締役 Founder
三菱商事、DeNAを経て、2012年にPRONI株式会社(旧社名ユニラボ)を創業。BtoB受発注プラットフォーム「PRONIアイミツ」を立ち上げ、10年で現在の規模に育てた。新たな仕事に挑戦するビジネスパーソンの「発注力」を上げることを目標に、日本のDXを進める優良企業の経営者、ビジネスリーダーのインタビューを実施。
栗山 Freeasyは私も先日利用させて頂き、とても使いやすくクイックに調査が出来て感激した所です。読者の皆様に、まずはサービスのご紹介からお願いします。
榎本 「Freeasy」は2018年1月にリリースされたネットリサーチツールです。アイブリッジ自体は1999年に設立され、「フルーツメール」というポイント懸賞サイトを立ち上げ、その後、2003年にインターネットリサーチ事業をスタートさせました。以前は「リサーチプラス」というサービス名で提供していましたが、我々の強みである「安価かつ迅速」なサービスに特化し、セルフ型アンケートツール「Freeasy」を企画しました。
リサーチプラスは通常のネットリサーチサービスで、お客様に「安くてスピーディー」というサポートを提供していました。これにより、多くのお客様からの支持を受け、長期間にわたり利用いただいてきました。営業担当としてお客様とのコミュニケーションを通じて、「安くて速いセルフサービスがあれば、継続的なニーズがある」との確信を持ち、Freeasyを立ち上げました。
「Freeasy」とは、"Free"(自由)と"Easy"(簡単)を組み合わせた造語で、誰でも自由に簡単に導入できるツールを目指しています。全国に約1,300万人の調査モニターを有し、現在では3,000社を超える企業や大学に利用され、年間1万件以上の調査が実施されています。セルフサービスなので利用者のすそ野が広がり、リサーチ業界でも圧倒的な実績を誇っています。
栗山 需要が伸びている背景をどのように捉えていらっしゃいますか。
榎本 ネットリサーチは以前、大手企業が予算を充てて行うものとされていましたが、中小企業やベンチャー企業にとっても、ビジネスの成功率を高めるためにはデータを正確に収集し、そのデータをもとに意思決定することが不可欠です。しかし、以前は中小企業やベンチャー企業にはネットリサーチを利用する文化が浸透していませんでした。幸いなことに、現在は手頃な価格でネットリサーチが実施できる時代になり、普及が進んでいます。また、データのリテラシーが向上し、データを活用して意思決定を行うことが一般的になっています。これらの背景も、需要の増加に寄与しています。
栗山 私たちユーザーが求めるのは、コスト面での効率性と品質の両立です。単に安いだけのアンケートではなく、信頼性の高いデータを活用して意思決定を行いたいと考えています。ただ結果が出ればいいというものでもありません。他のサービスでは、コンサルタントが調査設計をするものもありましたが、弊社のケースではそれほど高度なカスタマイズは必要なかったため、「Freeasy」のようなセルフ型ツールを選択しました。
榎本 ネットリサーチ市場には多くのプレーヤーが存在し、各社が異なる強みを持っています。例えば総合的なサポートを提供する大手リサーチ会社は、調査の設計から結果の解釈まで一貫してトータルサポートしますから、発注する側としても安心感が得られます。
私たちの「Freeasy」はセルフ型のアンケートツールで、コスト効率とスピードが特に優れています。アンケートの内容が明確で、データ収集だけが必要なお客様には、高額なコンサルティング費用をかけることなく、セルフサービスで十分な結果を得ることができます。ただし、セルフ型では「適当な回答者」が発生しやすいという課題がありました。そのため、私たちは筑波大学との共同開発でAIを活用し、不適切な回答者をブラックリストに登録し、品質向上に取り組んでいます。さらに、データクリーニングプランを提供し、回答の品質を目視でチェックするオプションも用意しました。
栗山 「適当な回答」とは、具体的にどのような基準で判断されているのでしょうか。
榎本 同じ選択肢を繰り返し選択したり、自由記述欄に無関係な内容を記入したりする回答を指します。AIを使用して、回答の傾向を分析し、不適切な回答者を検出しています。また、年間に4回のアンケートを全てのモニターに実施し、AIを通じて不適切な回答者を特定し、ブラックリストに登録しています。ただし、都度AIを使用することは難しいため、目視でのチェックも欠かせません。このような対策により、私たちの「Freeasy」はコストを抑えつつ一定の品質を提供できると自負しています。
栗山 実際に「Freeasy」を活用して驚いたのは、その“圧倒的なスピード感”でした。先日、私が認知度調査を依頼した際のことですが、驚くほど迅速に結果が提供されました。
榎本 夕方にアンケートを依頼し、翌朝には結果が出るというイメージです。管理画面からはリアルタイムで集計結果を確認できます。サンプル数が50個集まれば、その時点で集計が可能です。例えば企画会議の中でアンケートを行い、夕方にはデータが揃い、その場で意思決定が可能というレベルです。このようなスピード感は、特にコロナ禍を経て、消費者の考え方が多様化し、状況に応じて迅速に変化するようになった現在、セルフ型リサーチの需要を高めている要因のひとつになっていると思います。
栗山 DXが進む中で、「ネットリサーチの民主化」が注目されていますね。貴社のツールを使えば、誰でも簡単にリサーチを実施できるということですね。それでは、「Freeasy」はどのような人々が、どのような目的で利用しているのでしょうか?
榎本 「Freeasy」は様々な分野で利用されています。事業を計画する際、大手企業は企画のアタリを見る段階で使っていただくことが多いです。調査の平均単価は5万円から10万円程度、設問数は10問から20問、回答数は500人から1,000人が一般的です。その結果、毎月約1,000件のクイックなリサーチが行われています。
例えば、製造業の企業は商品開発において「Freeasy」を活用し、広告代理店はクライアントに対する提案の際にデータを裏付けとして活用しています。また、メディアでは雑誌の記事内で読者へのアンケート調査に利用されることもあります。さらに、筑波大学の研究者なども学術調査に活用しています。
利用者の8割は中小企業です。やはり中小企業にもデータを活用いただき、大手に負けないようなビジネスを作っていく、そのお手伝いをしたいと考えています。そういった意味では、これからネットリサーチを初めて実施される方にも使っていただきたいですね。
また、お客様へのヒアリングは、ビジネスにおいて重要なプロセスであり、ヒアリングもアンケートと同じようなものです。営業がお客様からのフィードバックを取り入れ、製品やサービスを改善する際にもリサーチ会社のサービスが活用され、アンケートを通じた客観的なデータの取得が行われています。
栗山 「Freeasy」を使えば、数万円からリサーチができるということですが、利用者にとってはそれでもまだ価格面での壁があるのでしょうか?
榎本 ネットリサーチはまだニッチな分野と言えます。ビジネスを展開する上で、ネットリサーチが非常に有用であることは間違いありませんが、その価値を広く認識している企業や個人はまだ限られています。また、セルフ型のネットリサーチがここまで手軽でコスト効率が良いという認知も広まっていません。
日本では総合型ネットリサーチ会社に目が行きがちですが、最近ではヨーロッパなどでもセルフ型のネットリサーチが主流になっています。また、多くの企業がリサーチ部門を内製化し、自社でリサーチを実施することが増えています。これからはネットリサーチが一般的なビジネスプロセスに組み込まれる流れがあると思いますが、手軽さが認知されれば、さらに利用者が拡大してくると考えています。
中小のなかでもネットリサーチを活用したいと考えている企業も増えていますが、日本におけるリサーチャー(マーケティングリサーチの調査設計を担当する職種)の数が限られており、自力でのリサーチ実施には課題があるかもしれません。そのため、フリーランスのリサーチャーと組んでネットリサーチを行うチームを作ることも考えています。あらゆる切り口で提案しながら、ネットリサーチの普及と啓蒙に力を注ぎたいと思っています。
栗山 お話の中に何度も出てくる「調査文化を作る」というキーワードが重要なのですね。
榎本 そうです。私たちは課題を解決するための道が2つあり、そのどちらが正しいか分からなくなったときに、真っ先に「アンケートを取ってみる」という選択が思い浮かぶような文化を作りたいです。ビジネスシーンにおいて、道に迷った際にアンケートを活用し、客観的データを味方につけることが自然な選択肢として浸透すれば良いと思っています。そのためにもネットリサーチのセミナーや情報発信を通じて、一般の方々にネットリサーチの価値を伝えていく努力を重ねていきます。
栗山 私たちの会社でも、世の中一般の人がどう思っているかというマクロの調査と、ユーザーであるお客様の調査を行っています。様々なレイヤーのお客様とのコミュニケーションやフィードバック収集も日常的に行っています。それはサービス会社の存続にとって必要不可欠なものだと考えています。
榎本 必ずしもがっつりとした調査でなくてもよくて、例えば年に一度でもいいと思います。一般的に広くデータを取ったらどうだろうと考えるだけで十分です。それで世の中とのギャップにも気づくことができます。
栗山 私は年に一度、方針を見失わないためや、会社と一般の顧客の認識の違いを把握するためなど、リサーチを行う必要性を感じています。しかし、その発想がない経営者も多いのが現実です。マーケティングに悩む経営者にとって、ネットリサーチは非常に重要なツールだと思っています。
榎本 おっしゃる通りです。リサーチを実施して結果が出なかったとしても、それが問題解決への一歩になる可能性があると思います。年に一度の定期的なリサーチを通じて、認知度調査などで「今年急に認知度が上がった」または「認知度が下がった」という結果を得て、それをきっかけになぜそうなったのかを考えることができれば十分です。継続的なリサーチは過去に戻すことはできませんが、いずれ役立つ時が来る可能性があるからです。
栗山 認知度調査などはまさにおっしゃる通りですが、半期や年に一度、定点的に同じアンケートを取るという使い方もありますね。
榎本 栗山さんがおっしゃるような使い方をするお客様もいらっしゃいます。何から始めればいいのか分からないという人は、そういったライトなアンケートから始めるのも良いですね。実際に「Freeasy」を活用してみてどのように感じましたか。
栗山 調査結果のグラフもすべて可視化されていて、それが管理画面上で見られるので驚きました。最初は少し難しさを感じましたが、私がやりたかったのはビジネスパーソンに絞った調査で、そのスクリーニングの設定が分からなかったのです。細かい部分に不安があったので、サポートをお願いしました。その結果、細かい設定を手厚くサポートしてもらえました。
榎本 BtoCの場合、基本属性は比較的簡単に設定できますが、BtoBの場合、よりターゲットを絞り込む必要があります。例えば営業マンに特化したリサーチを行う場合、まずは「スクリーニング」という予備調査をして、最初に職業を尋ね、それを基に対象者を選別し、本調査を実施する仕組みになっています。
栗山 予想回答数が提供される点も便利ですね。調査不可能な母集団であればアラートを鳴らしてくれます。大手リサーチ会社では、通常は営業担当者に相談してから回答が提供され、見積もりに関しても何度もやり取りが必要です。それに比べ、「Freeasy」は初めの段階から迅速に回答予測を提供してくれるので、非常に使い勝手が良いです。
栗山 リサーチの成果を最大限に引き出すために、クライアント側が注意すべきポイントは何でしょうか。
榎本 リサーチの成果を最大限に引き出すためには、まず調査目的や仮説を明確にすることが大切です。何を知りたいのか、何を検証したいのかを明確にしておかないと、セルフ型ツールで良いのか、大手リサーチ会社に頼むべきなのかが見えてきません。ただし最初から質の高い調査をするのは難しく、失敗して改善して再度調査することで、調査リテラシーが上がり、調査の質も上がっていきます。そういう意味でもトライしていただきたいのですが、経験を重ねるうえで、利用料金の安さというのは重要になるかと思います。
栗山 出てきた結果に対して、多少のブレは折り込むべきですね。モニターが500人や1,000人ほどいれば、大きなトレンドが掴めると思います。さらに知りたければ細かいインタビューやリサーチをすればいいということですね。
榎本 おっしゃる通りです。アンケートはあくまで“その場の答え”でしかなく、それ以上は深堀できませんから、さらに突っ込んだ質問をするためには定性的にインタビューをするしかありません。アンケートはあくまで定量的に見るものです。
栗山 サポートの充実度も利用者拡大のポイントのひとつになりそうですね。
榎本 サービスやツールの活用に不安を感じているのであれば、やはり各社のサポート内容も確認してからセレクトすべきでしょうね。弊社が提供するのは受託型ではなくセルフのネットリサーチですが、「きちんと導入支援をする」という意思表示をし続けています。そこは自信をもってお伝えするアピールポイントとして提案資料にも入れています。
栗山 コロナによって世の中の動向が大きく変わっている時代。それによってリサーチ内容が変わったり、顧客に変化はありましたか。
榎本 オフラインでの調査や対面でのインタビューが難しくなり、オンラインリサーチの需要が急増しました。これまでは大企業のマーケティング部等に多く利用されていましたが、スモールビジネスプレーヤーにまで“リサーチの民主化”が進んでいる印象です。やはりセルフだと、在宅ワーク下でも使っていただきやすいのでしょう。大手企業がリサーチ会社に依頼せず内製化するという流れも、コロナの影響があったと思います。
世の中の流れとして、SaaS系のツールを活用することが当たり前のようになっているので、それと同じような感覚で、セルフのツールでアンケート画面も自分で作って活用するリテラシーも上がっていると感じています。私たちは、その追い風の中で、さらに多くの皆さまに活用していただけるツールとなるよう、「Freeasy」をより使いやすく進化をさせていければと思っています。
(PRONI代表 栗山規夫の編集後記)
マーケティングリサーチを民主化し、誰でも手軽に、また低コストでユーザートレンドをつかむことができるFreesay。実際に活用してみて、とても便利なツールであると実感しています。ユーザーが迷いなく調査設計から調査実施、集計分析まで進められるような使いやすいUIデザインもそうですし、セルフサービスだからといってサポートを蔑ろにしないUX設計にも、アイブリッジ社のサービスへの意気込みを感じました。マーケティングは経営戦略と密接である以上、世の中の大きなトレンドを掴むためのアンケート調査や、ユーザーの真意を知るためのインタビューなど、マーケティング担当だけでなく、経営者にとってもその土地勘は必須のスキルと言えます。これまで以上に世の中のトレンドの移り変わりは早く、ChatGPT等のサービスで簡単に得たい回答を得られる社会になりつつありますが、「実際に人に聞いてみること」と「AIやネットで調べること」の差は、自身の納得感に加えて、第三者を説得する材料として、その差は歴然です。その意味で、いつでも、どこでも、誰でもユーザー調査ができるセルフサービス型のFreeasyは今後も普及していくと感じました。