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ユナイトアンドグロウ株式会社 ロゴ

ユナイトアンドグロウ株式会社

コーポレートIT人材確保が困難な時代に、“社員と同じように”働く「シェアード社員」を活用。中小企業の情シス部門におけるDXを推進。

2024.03.12
PRONIアイミツご活用事例 ユナイトアンドグロウ株式会社

情報システム部門の人材確保が困難になっている。本来であれば、ITによる効率化を早急に図りたい中小企業において、”募集を出しても応募が全く来ない”という深刻な状態が続いている。そんな状況を打破し、中小企業の根源的課題を解消すべく登場したのが、「シェアード社員」というサービスだ。今回は同サービスを提供するユナイトアンドグロウ株式会社の代表取締役社長 須田騎一朗氏とPRONI代表・栗山が対談。中小企業はもちろん、情シス部門で働くエンジニア、それぞれが抱える課題と、その解決策について語り合った。

インタビュー先のプロフィール

ユナイトアンドグロウ株式会社

https://www.ug-inc.net/

ユナイトアンドグロウ株式会社は、コーポレートIT部門の人材不足を、シェアード社員で解決する会社です。社員数50名~1,000名の成長企業を対象として、情報システムのスペシャリストが準委任契約で現場に入ります。「中小企業を内側から元気にして、社会の役に立つ」という思いで2005年に創業、2019年12月には東証マザーズ(現東証グロース市場)に上場を果たしています。創業20年目を目前に控え、新たなパーパス「お客様企業のパーパスすべてが、私たちのパーパスです。」を掲げ、顧客にとって社員同様に無くてはならない存在として支持されています。また、ビジョンである「中堅・中小企業の情報システム部門に最も影響力のある会社となる。」に向けて、須田社長のユニークな経営思想により、独自のビジネスモデルと組織文化を構築し、競争優位性を発揮しています。

須田 騎一朗 様 写真

須田 騎一朗 様

代表取締役社長

聞き手

聞き手 栗山規夫

栗山規夫

PRONI株式会社 代表取締役 Founder

三菱商事、DeNAを経て、2012年にPRONI株式会社(旧社名ユニラボ)を創業。BtoB受発注プラットフォーム「PRONIアイミツ」を立ち上げ、10年で現在の規模に育てた。新たな仕事に挑戦するビジネスパーソンの「発注力」を上げることを目標に、日本のDXを進める優良企業の経営者、ビジネスリーダーのインタビューを実施。

当時から社内のIT活用ニーズに応えられる人材が不足していた


栗山 まずは、事業概要からご説明をいただいてよろしいでしょうか。


須田 各企業の情報システム部で働く人材を、あらかじめ私たちが100%リスクテイクをして正社員雇用したうえで、お客様の組織に入り込み、そこの社員と同じように働くというサービスを運営しています。以前は「レンタル社員」と呼んでいましたが、今は「シェアード社員®」という名称に変わっています。


このサービスは、2005年から始めました。最初から“やりたいこと”は決まっていて、会社設立と同時に事業を立ち上げました。“やりたいこと”のその根底には、“中小企業を支援し豊かに発展させれば、日本全体が元気になる”という考えがありました。では、中小企業をどのように支援しようかと考え、創業メンバーと話し合った結果、“ITの活用が進むことで中小企業が発展するのではないか”という結論に至りました。


当時、「これを買ってください」「これを作らせてください」と営業するIT会社はたくさんありましたが、実際に中小企業で一番困っているのは、売り込まれたものをきちんと活用することでした。中小企業にはIT活用を推進する人材がおらず、いたとしても活かしきれないケースが多くありました。当時はまだ経営者もITに関する知識が乏しいため、なかなか会話が成立しないのです。情報システム部の人間に会社を牛耳られるのではないかという不安があったのかもしれません。


ITを担当する側の人材も、“なんでもITで解決できる”と考える経営陣からの過度なプレッシャーに直面しています。自己防衛に走る人もいれば、逆に貢献意識が高いが故に、頑張り過ぎて体を壊してしまう人も見てきました。


本当に必要なのは、学習意欲が旺盛で、技術に明るく、そして言われたことを鵜呑みにせず自分でしっかり考えられる人材です。“経営陣はITを魔法の道具のように考えているけれども、そんなことはない”と理解し、適切に言うべきことを言い、前向きに推進できるような、明るく爽やかで肝が据わっている人物です。


しかし、そんな人物を採用するのはなかなか難しいです。そこで私たちは、方向性に合った人材を集め、お客様先で持続的に成長し貢献できる仕組みをつくりたいと考えました。そして、働くエンジニアのために給与面や環境面でセーフティーネットを用意し、安心して働いてもらえるようにしています。


インタビューの様子


栗山 例えば、社内システムを導入する上でも、やはり専門家の知見が必要な時がありますね。私自身も長年IT業界にいますが、的確な判断ができるわけではありません。おっしゃる通り、一般的に情シスの方々は光が当たりづらく、それがゆえに有能な人が社内的に配置されにくいと思います。しかし須田さんが展開するユニークなビジネスモデルを知って、様々な会社に行くことで成長機会が次々と得られるのは素晴らしいですし、何より人を重視してビジネスを展開されていることが素晴らしいと思いました。「シェアード社員」というコンセプトはどのようにして生まれたのでしょうか?


須田 この会社を立ち上げたきっかけはいくつかありますが、私にとっては2社目の創業です。30歳で初めての会社を立ち上げ、40歳で現在の会社を設立しました。起業よりも前に勤めていたパソコン通信会社ではユーザーサポート窓口の責任者を務めたことがあり、その経験から思いついたことが1社目の創業の起点です。


当時、コンピューターはまだ単独で動作しており、各会社が独自のユーザーサポートを提供していました。しかし、インターネットの登場によって、異なるシステム間の連携が必要となり、問題が発生すると顧客からは通信会社の責任とされがちでした。「頑張っても解決できないし、評価もされない」という状況に直面していました。そこで、メーカー中立のサポート会社を立ち上げることを決意しました。それが一つ目の会社です。


1つ目の会社も発展成長しましたが、自社システムで悩まされていました。課題となったのは、ユーザーさんからの問い合わせを投入するデータベースシステムです。問い合わせが入ったら適切な人につないで、電話やメールで回答し、それを共有していくシステムで、それがだんだんと複雑になってきました。情報システム部門を強力にする必要が生じましたが、部門を強化するための良い人材がなかなか確保できず、定着しないことに苦労しました。その経験から、「派遣してくれるような会社があれば…」と考えるようになり、最終的に情報システムの専門家を主役にするビジネスモデルを思いつきました。



インタビューの様子


「お客様の社員よりも社員らしいね」と言われたい


栗山 私たちPRONIでも貴社のシェアード社員を利用させていただいていますが、情シスの一番の負荷は何かと聞くと、みなさん口をそろえてヘルプデスクだと答えます。実際にたくさんのツールを使って仕事をする中で、やはりヘルプデスクに相談する件数は増えていきますよね。パソコン通信の時代から20年が経ちますが、ツールを使うのはやはり大変なんだなと実感しています。その時代が起点となって今の会社を立ち上げたということは、どれだけ進化をしてもそのニーズは不変だということでもありますね。


働く側が良かったら、お客様側も良くなっていくというサイクルは、まさに”三方良し”のビジネス。主役ではない人を主役にするというイノベーションは、とても素敵ですね。現在、どのくらいの数のシェアード社員がいらっしゃるのですか。


須田 社員数は250名で、全員が無期限雇用の正社員です。そしてリアルタイムで使ってくださっているお客様はほぼ同数の250社ほどで、ご契約いただいているのは700社です。


我々はビジネスの効率を高める為、取引するお客様を限定していて、基本的に新規取引に関しては50名以上1,000名以下の成長企業であり、本社である御茶ノ水駅から50分圏内としています。それは、スタッフのローテーションをいつでも可能にするために、一定のドミナントが出来ていることが重要だからです。私たちの経験と知識と役務を高い効率で提供するためには、物理的な密度が重要と考えています。


栗山 当社の情シスリーダーからは、ユナイトアンドグロウさんから派遣されている社員から、「他の会社でどうしているのか」というノウハウを頂けるので、それがとても良いと聞いています。こうなると、単純に1対1の業務委託ではありませんよね。


須田 「こうした方がいいですよ」と話しても、それが1万人規模の会社の場合では全く話が噛み合いません。しかし50名以上1,000名以下の成長企業は似ているので、実体験を話しているだけでも参考になることがとても多いという効率の良さもあります。


基本契約書は派遣契約や請負契約ではなく、会員制の定価システムによる準委任契約となっています。そしてすべてのお客様と完全に同一の定価取引を行っています。スタッフの使い方や動かし方や、何にいくらかかるのかといったお約束関係も全てのお客様と同一契約なので、例外は発生しません。当社に大きな情報システム部門があるというイメージで、それをお客様がすべて同一の条件でよりどりみどり使えることになっています。


また、スタッフの動かし方や利用金額は共通していますが、具体的にお客様先で行うことは一切決めていません。条件に合うことならば、ITや情報システムに関係ないことでもやります。


栗山 社員以上に社員のように働くという感じですね。


須田 一緒に社員旅行に行っているスタッフもいるくらいです(笑)。あたかも雇用しているかのように、コミュニケーションができます。


栗山 弊社に来ていただいている方も頻繁にSlack上で見かけますし、とても親切に教えてくださるので、実際に弊社の社員だと思っている人もたくさんいると思いますよ。


須田 社内の共通語として、「お客様の社員よりも社員らしいね」と言われたい=「社員よりも社員らしく」と言っています。逆に、それ以外は、なるべく決めてかからないようにしています。仕事内容や仕事の範囲は定めません。ユースケースもありません。「何をしてくれますか?」と聞かれても「何をしましょうかね…」と、こんな感じの商談をしています。会社案内の立派なパンフレットも、提案書のひな形もありません。ノートとペンを持って現場に行くことを一番良しとしています。


お客様の課題を見つけなければならないので、余計なものが挟まってしまうとお客様も誘導されてしまいます。そうすると、フィットしていないものを提案することになってしまいます。社内システムやオペレーションはお客様によって違うので、ひな形などを最初に出さないようにしています。また、見積もりもなるべく出さないことが正しいと考えています。やるべき事はいくらでもあるので、見積もりありきでは、こちらもそれにはめてしまおうとします。そこでまたズレてしまうので、見積もりを出さずに会話するのが一番だと思っています。


会員制で値段があらかじめ決まっているので、例えば本当に自分の時間を月間30時間投入すべきかを考えます。お客様が考えている仕事のイメージは、実際のものとも合っているかどうかというドキュメントは提出しますし、システム構成図など社内的に必要な資料はいくらでも作ります。


栗山 臨機応変すぎるといいますか、限りなく柔軟にご対応いただけるのですね。


須田 すべての企業は1つとして似ているものはないので、典型的なお困りごとはありませんし、類型化もできません。また、中小企業なので、どのような人間が集まっているかで不足していることも変わってきますよね。そのため中の人間を見てみなければ何も出てきませんし、その会社の組織としての成長ステージによっても変わってきます。


100人いてもその内90人が営業担当だった場合、仕事の仕組みも必要なシステムもシンプルで良いかもしれません。しかし、バリューチェーンにおいて相当複雑な仕入れや製造、販売をしていて、作っている人や売っている人、マーケティングを行っている人など様々であれば、同じ100人の企業でも非常に複雑な組織になっているので、この場合はかなりシステム的に回していく必要があります。よって同じ100人でも会社の中身を見なければ、システムで何をすべきかは何も決められません。


コーポレートエンジニアに必要な知識は膨大


「なんの教育もしない」ことが基本方針


栗山 ユナイトアンドグロウの社員は皆プロフェッショナルですが、どのような教育をしているのでしょうか。


須田 集まった人たちがいかに成長を持続させられるかですね。中小企業のITに関する要望は、「なるべく安い金額で、短時間で、あれもこれもやりたい」と非常に高度なものです。実は、大企業になるほど仕事は簡単です。なぜなら、パーツごとに分かれてプロジェクトになっているからです。もちろん、トップで指揮を執る人の頭の中は複雑ですが、それを分解して簡単にして振り分けています。しかし中小企業は頭と手足が接近しています。戦略決めと計画と役割分担、そして実行と評価を、ごく少人数で全て進めていく必要があります。実は、小さな会社になればなるほど難易度が上がってくる、というのは、会社を起こしてみて私たちが発見したことの1つです。


どんな会社でも売上を作って、仕入れがあり、仕入れたものの管理があり、請求や入金チェックがあります。基本的な構造は一緒だったりしますが、それは取引の大小に関わらず同じなので、それをシステム化しようとすると全て手順が同じになってしまいます。そしてそれと同時にインフラやセキュリティ、データベースもやって、外部に作ってもらっているものの折衝や交渉も同時に進めて、それを経営陣に説明もするし、一般社員向けに使い方の説明もします。これを少人数で試行錯誤できることが、最大の学びになります。


ユナイトアンドグロウの社員は、決して自己防衛に走らず、挑戦を続けていきます。それには失敗やトラブルも起きますが、そこでめげない状態を作らなければなりません。会社の一連の取引の流れが見えて、難しい課題のど真ん中に自分が立てるので、「こんなに波風が立ちまくっている職業は最高にエキサイティング!」と考えます。その状態の理解を失わないようにする、ということが教育方針ですね。


栗山 新卒採用も積極的に進めていらっしゃる印象ですが、情シス経験の無い彼らにはテクニカルな教育も必要になりますね。


須田 「なんの教育もしない」ことが基本方針となっています。現場がエキサイティングで学びの宝庫なので、「いかにして自ら学び、互いに教え合って学びを継続していくか」についてをプログラム化しています。結果として、会社とお客様との関係全体が学びの場となることが目指す姿です。


インタビューの様子


「1人情シス」という言葉が非常に良くない


栗山 ところで、どうして情シス社員は未だに採用が難しい状況にあるのでしょうか。


須田 そもそも、マーケットに人がいません。以前は情シスは必要ありませんでしたが、ここ数十年で急激に必要になってしまいました。なのでそれ専用に育った人がいません。


栗山 お給料の問題などもありますか?一般的には需要が増えれば時給も上がって供給が付いていくと思いますが、プロダクト開発の技術者同様に、情シスの賃金が上がらないのは何故でしょうか。


須田 これから変わっていくと思います。大企業であれば、80年も前からシステム系の人を育成し続けて抱えていますよね。JRの仕組みがシステム無しに回るわけがありません。とんでもなく巨大なシステムがあり、電車が当たり前のように高品質に運用されています。それは金融なども同じで大企業はシステム化の必要性がかなり前からあったので、ゼネラルな仕組化の担当としてたくさんの社員を育成して、それが戦力となっています。それが準大手の企業や中堅企業に降りてきて、今ではスタートアップ企業でもいかに仕組化するかが最初からテーマとなっています。この流れはクラウド時代になってから急激に進んでいます。


栗山 私が見た統計ですが、日本において、売上高に占めるIT投資の割合は、業界にもよりますがせいぜい1%です。欧米では3%くらいなのでかなり低い。それが中小企業となると1%も投資ができていないと思います。そこを今後伸ばしていこうと考えると、もっと情シスが潤沢にいなければ、「買うことができても運用できない」ということになってしまいますね。


須田 従来であれば社員数100人に対して情シス1人というのが、私たちの顧客の平均値でしたが、今はあらゆる会社が仕組み化を進めているので、100人に対して情シス1人というのは全く足りていません。1人だとコミュニケーションの必要がありませんが、2人いれば常に会話をしなければなりませんよね。それが3人になると役割分担も必要になってきます。コミュニケーションの必要性が高まってくるので、1人だったものを規模拡大するのであれば最低でも3人、できれば5人ほどに増やさなければなりません。上場企業の管理部門もそうですが、最初は1人きりでやっていても、次のステージでは2人ではなくて5人です。


栗山 中小企業ではなかなか難しい水準ですね…。経理であれば経営の根幹として最重要な認識があり、バックアップが出来てなければ不安なものですが、情シスについてはそう思わない経営者も多いかもしれませんね。


須田 経理は年中コンスタントに仕事がありますよね。しかし情報システムはまず導入フェーズがあり、一旦使えるようになるとその波が静まって、その次の大波は5年か7年後のシステム入れ替えの時です。そうするとシステム担当者としても、学び続けたいけれども次のお祭りが数年後となると、そこまで待てない人もいます。


私たちのサービスは送り込む人数制限がなく、時間を分割できるので、例えば1人は月に10時間、もう1人は月に50時間といったことが可能です。例えば1人分の予算をいただき、それをこちらで「アプリに強い人」「セキュリティに強い人」「インフラに強い人」と3分割することもできます。そうすれば情シスが予算1人分でも合計で4人になりますよね。現在情シス1人でやっている場合は、まずはヘルプデスクの仕事を切り離した方が違うことに集中できるので、例えば月に50時間分は私たちのスタッフがヘルプデスクをやるということもできます。


栗山 弊社は急激に組織規模が大きくなってきたタイミングで、運良くとても優秀な情シスの方に正社員として入っていただくことができました。しかしその方が急遽退職することになり、今の情シスマネージャーが来てくれるまで、足掛け3年間、貴社にご支援いただきました。やっていただいたこととしては、ヘルプデスクやテックリード、SaaSの選定などです。脆弱性に関する情報提供など、気づきにくい最新情報の提供も有難いサービスです。私たちはプラットフォームを運営する事業なので、様々な業務システムやSaaSを使っているため、その煩雑なシステム運用の統制をしていただいております。どのようなお客様からご依頼があるのですか。すでに専属情シスがいる会社が多いですか?


須田 お客様によって様々で、専属情シスがいない会社もあります。どんなニーズがあるのかは、そこにどんな人がいるかによりますよね。例えば管理部長がかなりITに明るい方であれば実質的にはIT担当者と言えるかもしれませんし、社長がそれに対していろいろと考えが働く人の場合もあります。例えば製造現場にキーパーソンがいて、仕組み化を考えられる人であれば、その人は情報システム部門の人でなくても仲間になれます。なので会社の中を見て、誰を取り込めばよいかを考えるケースもあります。


そもそも「1人情シス」という言葉が非常に良くないと思っているので、私たちは一切その言葉を使いません。システムは様々な部署のキーパーソンが絡んでいるので、実際には1人ではありません。それを「情シスは1人だ」と定義してしまうと、「全てあなたがやってください」となってしまいます。システムの利用者がシステムの企画者にならなければなりません。営業部長はどのように営業プロセスを作りたたいのか、仕入れ担当者はどのように仕入れ管理をして、どのようにIDを振って単品管理をしたいのか。企画はそれぞれの部門が考えるべきです。「1人情シス」という言葉を作ったのはITベンダーですが、実際にはITを軽視する流れをわざわざ作っていると感じ、問題意識を持っています。


インタビューの様子


栗山 貴社ビジネスの今後、そしてそれを活用する中小企業のIT化の未来について、お考えを聞かせてください。


須田 我々は中堅中小企業が共同で使えるシステム人材と知見のセンターを作っています。大企業では元からあるもので、世界中に広がるシステムリソースやシステム人材を共同で使っていますし、集まってきた知見をいろいろな事業に活用しています。それを中堅中小企業版でやらせていただきたい、というイメージを持っています。それぞれの中堅中小企業が独立した情報システム部門を持っていても、1社だけではたいした経験ではありません。しかし何百、何千といった数の知見を流通させていけば、即座に判断することができますし、そうすることで全体の生産性も上がります。


また、情報システム部門の人間が次々に転職すると、その人達の成長も持続できるので、どんどん転職すると良いと思います。しかし日本の文化として「転職を繰り返す人は信用ならない」となってしまいますし、実際にあまり良い辞め方はしないので、辞められた方も残念に思いますし、辞めた人も「これが学べた」と前向きな学習にはなっていません。そこで私たちが無期限・長期雇用をすることによって、次々にお客様先を移動しているけれども転職をしたわけではないので、その点が日本文化に合っていると思います。


社内にはディスカッションの場がたくさんあるので、そこでお客様から叱られたことやどのようにトラブルに対処したかなどをディスカッションします。雇用されているとその失敗事例が無かったことになりがちですが、雇用されているわけではないので、失敗事例は私たちにとって宝物です。そうして学びの場を供給し続けることによって、中堅中小企業が単独で雇用するよりも何倍も生産性の高い状態が作れます。それをどんどん拡大していきたいです。現在は250名ですが、2033年までに1,000名の体制を作り、供給していきたいです。それくらいになればやっと、東京ドミナント(地域特化)から離れられるかもしれませんね。


栗山 ITは進化が絶えませんが、どんどん複雑化・高度化していく中で、これからのコーポレートITの役割をどう見ていますか。


須田 人間が中心ですよね。技術が進歩するほど、それをどう活用するかという高度な知識労働が必要になります。仕事は増えていく一方だと思います。


栗山 つまり、技術の使い方次第で、仕事の質も向上し、新たな価値を生み出すことができるわけですね。非常に興味深いお話をありがとうございました。今後の貴社のご発展を心よりお祈りしております。

失敗しないパートナー選定の秘訣 コーポレートIT(情シス)外注編


(PRONI代表 栗山規夫の編集後記)

取材を終えて、須田社長が考えるビジネスモデルと経営戦略、人材育成方針等、学ぶべき点が多々ありました。“中小企業を支援し豊かに発展させれば、日本全体が元気になる”ユナイトアンドグロウ社の創業理念は、当社PRONIとも共通する点があり、IT化を通じた中小企業の成長には、必ず「プロの力」が必要であると、痛感しました。人材派遣やエンジニア派遣ビジネスが普及する中で、「社員よりも社員らしく」というモットーを掲げる会社が今までに何社あっただろうか、とビジネスモデルの根幹たる思想にも感銘を受けました。


実際に当社が急成長を遂げた背景には、IT基盤の拡大と安定運用が影の立役者でした。幾度もオフィス移転を繰り返し、社内ネットワークやOA機器を整備し、また、人事システムや顧客管理システムといった基幹業務システムのリプレイスも経験しました。技術会社でもあるPRONIにおいて、貴重な技術者の人的リソースは主にプロダクト開発に充てられ、情シス業務に補充されることは中々ありませんでした。その中でユナイトアンドグロウ社と出会い、同社のお陰で現在の成長を遂げています。弊社のような良き出会いが日本中の中小企業に生まれることを願っています。


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