税理士に依頼するといくら?記帳代行の費用相場まとめ【2024年最新版】
オフィス用品の購入など、日々の業務のなかで生じた領収書・伝票を整理・分類したうえで、会計ソフトにデータを入力し、会計帳簿を作成する記帳業務。
1つひとつの作業の難易度は決して高くはないものの、従業員の数が多くなればおのずと仕訳の数(領収書や伝票の数)は増え、相応の手間がかかります。
忙しさに追われて記帳にミスが生じれば、税金の申告漏れにつながるうえ、税務署の立ち入り調査など面倒な事態も引き起こしかねません。そういった点でやはり、記帳代行は信頼のできる税理士に任せたいもの。
この記事では税理士に記帳代行を依頼する際の料金相場や、費用を抑えるためのコツ、税理士を選ぶ際のポイントを詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてみてください。
記帳代行にかかる費用の仕組み
まずはじめに、記帳代行の費用はどのように算出されるのかチェックしていきましょう。
記帳代行の費用の算出方法
記帳代行の費用は、基本的に人件費です。
代表税理士自身が対応したり、アシスタントスタッフに任せたり、作業の進め方は税理士事務所によってそれぞれですが、いずれの場合も領収書の取りまとめやデータ入力にかかる作業費=人件費という点では変わりません。
この人件費をベースに、会計帳簿を郵送してもらう際の郵送料、データ管理料(クラウド会計システムの利用料やセキュリティ対策の費用)といった雑費を加えた金額が、記帳代行にかかるトータルの費用となります。
記帳代行の費用の相場
月間仕訳数 | 価格帯 |
---|---|
100件まで | 月額8,000円~1万2,000円 |
101件~200件 | 月額1万5,000円~2万円 |
201件~300件 | 月額1万8,000円~2万4,000円 |
301件~400件 | 月額2万5,000円~3万円 |
400件~ | 月額3万円~ |
続いて、記帳代行の一般的な料金相場に関してです。記帳代行の料金は基本的に仕訳の数(=領収書、伝票の数)によって決まります。税理士事務所によって若干の差はあるものの、一般的な金額は上記の表のとおり。仕訳1件あたりおおむね80円~120円前後が相場です。
最近では多くの税理士事務所がクラウド会計ソフト(「弥生オンライン」「freee」「マネーフォワード クラウド会計」など)を導入して作業を効率化しており、以前と比べると料金相場は下がってきました。
作業範囲や事業規模によっても料金は変わる
記帳代行の一般的な料金相場は上記の通りですが、作業範囲や事業規模によって金額が変わってくることも。
たとえば、領収書の整理や会計ソフトへの入力をクライアント側で済ませておくことを前提に、低価格でチェックだけを請け負う税理士事務所もあれば、割増料金で特急依頼に対応する事務所、あるいはクライアントのオフィスに足を運んで、領収書の洗い出しからすべて巻き取ってくれる事務所もあります。
見落としがちな費用にも注意
前述のとおり、税理士へ支払う報酬とは別に、郵送料、データ管理料といった雑費がかかるので、ホームページなどで事前にきちんと確認しておきましょう。また、会計帳簿を郵送してもらう際の印刷代や出張記帳代行サービスにかかる交通費なども依頼者側の負担になります。
- 【これだけは押さえておきたいポイント】
-
- 記帳代行の主な費用は人件費。税理士自身が対応する場合もアシスタントに任せる場合も同じ
- 人件費をベースにデータ管理料、書類の郵送料を加えた金額がトータルの費用となる
- 一般的な相場としては、仕訳1件あたり80円~120円前後
- 税理士事務所での作業範囲や、依頼者側の事業規模によって料金が変わることも
会社の規模と依頼内容別の費用相場
従業員数/依頼内容 | 一般的な相場 |
---|---|
5~10名/領収書の整理からすべて依頼する場合 | 月額8,000円~1万円 |
30名~50名/会計ソフトへの入力まで自社で行なう場合 | 月額1万2,000円~1万8,000円 |
100名~200名/出張記帳代行サービスを利用する場合 | 月額3万円~4万円 |
次に会社の規模と依頼内容別の費用の相場について見ていきましょう。
従業員数5名~10名の会社が領収書の整理からすべて依頼する場合
設立間もなく、スタッフの数が限られる会社の場合、本業を回すのに精一杯で、領収書の整理や会計ソフトへの入力まではなかなか手が回らないものです。
そうなると会計データの入力完了を前提とした割引などを受けるのは難しくなりますが、そもそも仕訳の数自体が限られるので、それほど大きく費用がかさむことはありません。
仮にスタッフ5~10名前後の会社が領収書・伝票の整理から帳簿作成まで依頼すると、平均的な相場は月額8,000円~1万円前後。さらにコストを抑えたい場合は、税理士事務所だけに限らず、記帳代行を請け負うアウトソーシング会社などに目を向けてみるのも1つの手でしょう。
従業員数30名~50名の会社が会計ソフトへの入力まで自社で行なう場合
ある程度の数の従業員がいて、経理・総務などがきちんと分業化されている会社であれば、伝票の整理や会計データの入力を自社で済ませておくことで、記帳代行のコストを下げることができます。
仮に従業員30名~50名前後、月間の仕訳が200件前後の会社が会計ソフトの入力まで自社で対応し、記帳チェックを税理士に依頼すると、費用の相場は月額1万2,000円~1万8,000円前後。浮いた予算を活用して年末調整や給与支払報告書の作成まで依頼するのもいいかもしれません。
従業員数100名~200名の会社が出張記帳代行サービスを利用する場合
従業員や売上の増加にともない仕訳の数が増えてくると、領収書を取りまとめるだけでも大変なもの。きちんと分類したつもりでも、税理士との確認のやりとりで時間を費やすことも珍しくありません。
そうした場合は、税理士がオフィスに直接赴いて仕訳の整理から対応してくれる出張記帳代行サービスを利用するのも効果的です。
仮に従業員が100名~200名前後、毎月の仕訳が300件前後の会社が出張記帳代行サービスを利用すると、平均的な相場は月額3万円~4万円前後。
仕訳の数が増えると、税理士側としても急ぎの依頼に対応するのは難しくなります。また、税理士事務所によっては出張できるエリアが限られる場合もあるので、依頼する前にきちんと確認しておきましょう。
- 【これだけは押さえておきたいポイント】
-
- 5~10名前後の会社が領収書の整理から依頼すると、費用は月額8,000円~1万円前後
- 40~50名前後の会社が会計データチェックから依頼すると、費用は月額1.2万円~1.8万円前後
- 100~200名前後の会社が出張記帳代行サービスを利用すると、費用は月額3万円~4万円前後
なぜ価格が違う?価格差の出る理由
2002年に税理士の報酬規程が廃止されて価格競争が進み、クラウド会計ソフトも普及した今、記帳代行の料金は均一化・低価格化しています。
実際にいくつかの税理士事務所のホームページの料金表を見ても、上記の表の相場から大きく外れる料金を設定している税理士事務所はほとんどありませんでした。
ただし、記帳代行を含めた顧問契約を結ぶとなると話は別。
財務の仕組みづくりや資金調達のコンサルティングまで行なう税理士事務所、税理士のほか行政書士や社労士まで在籍している会計法人などは料金が高い傾向があります。
場合によっては月額費用が10万円を超えることもあるので、自社にとって本当に必要なサービスなのか、じっくり時間をかけて検討するようにしましょう。
できるだけ費用を抑えるためには
記帳代行自体の費用を抑えるためには、税理士に任せっきりにせず、できることは自社で済ませておくこと。たとえば領収書の整理1つとっても、時系列に並べて日付の付箋をつけたり、振込元の口座ごとに分けてまとめておいたりするだけで税理士の業務工数は減り、ディスカウントが見込めます。
また、さらに費用を抑えたいなら、記帳代行のアウトソーシングサービスを利用するのも1つの手段です。最近では月額数千円程度から利用できるアウトソーシングサービスも増えてきました。ただし、税理士資格を持たない業者の場合は決算などには対応できず、節税対策のアドバイスも受けられないので、そうした点には注意が必要です。
- 【これだけは押さえておきたいポイント】
-
- 記帳代行の費用は均一化・低価格が進んでいる。税理士事務所ごとに大きな違いはない
- ただし、顧問契約を結ぶと契約内容によって費用が高くなることがあるので注意
- 費用を抑えるためには、領収書の整理などをできる限り自社でやっておくこと
- 極端に予算が限られる場合、税理士以外のアウトソーシングサービスも選択肢の1つ
実際に税理士の料金表を調べてみた
続いて、ホームページで記帳代行の料金を公開している3つの税理士事務所を参考としてご紹介します。
出典: エーキューブ総合会計事務所HP https://acube-ac.com/price/price_a1.html
出典: 松﨑佳史税理士事務所HP https://www.zeimu-service.jp/category/1586048.html
記帳代行に関する費用の具体事例
関連する費用事例です。様々な企業の実績をベースに費用事例として紹介しておりますのでぜひご覧ください。
【31万円~50万円】 低料金の記帳代行+決算申告プラン
- 業界
-
- 通販・ネット販売
- 自動車販売
- 食品店
- 流通・小売(その他)
- リサイクルショップ
- 通信・IT・ソフトウェア(その他)
- 建設・工事
- 発注元規模
- 10人未満
- 納期
- 2か月ごとに集計しPDFなどで試算表を送付します。決算申告は期限通り。
- 実績企業
- 税理士法人ティーダ総合会計
- 課題
- 解決
- 効果
- 小規模の会社の多忙な社長のできるだけ、手間をかけずに、しかも税理士費用を安くしたいというご要望に対応します。奥様に経理をさせていたため、奥様が忙しくなってきてしまった、社長も営業などで忙しいし、領収書を入力したり、毎月税理が来ても時間がないので困るというお話をよく伺います。料金も年間で50万円を超えてきているので小さい会社には厳しいもうすこし安くならないかというご要望があります。
- 基本は領収書と通帳を送付するだけで会社事務所で入力をします。会社側では領収書をまとめて必要なメモをして送付するだけです。台紙に張り付ける必要もありません。社長も奥様も経理に係る時間が少なくなりました。年間料金は売上高に応じて明快に決まり毎月の顧問料がない分割安です。年間売上3~4千万円で記帳代行と決算税務申告書一式が税込33万円です。他の会計事務所と比べ3~4割程度費用も安くなります。
- 経理を会社で行わないので経理に関する疑問点がなくなりました。時間に余裕ができたので気分的に楽になり、その分営業など本業に集中する時間が取れます。2か月ごとに試算表をもらえ画面共有などで説明もしてくれます。経理がわからならくても同じ画面で数字を見ながら説明を受けられますので、会社の状況がわかるようになりました。費用も顧問料がないので年間の料金が安く、しかいスタッフの対応はきちんとしています。
失敗しない税理士選びのためには
最後は税理士と契約する際のポイントについて。のちのち後悔しないしないようにするためには、どういった点に目を向けるべきなのでしょうか?
ストレスなく付き合える税理士を選ぶ
税理士に記帳代行を依頼すると短くても1年単位、長ければ10年以上にわたって付き合うことになります。契約内容によっては年末調整や決算の時期にもたびたび顔を合わせることになるので、人柄や説明のわかりやすさ、レスポンスの早さを含め、ストレスなく接することができる税理士を選びましょう。
事務所の人員体制・業務体制に目を向ける
税務のプロフェッショナルの税理士とはいえ、代表1人などの小規模な事務所の場合、複数の依頼を抱えて業務が滞ることがあります。ホームページの事務所概要に記載された人員体制・業務体制をチェックしたうえで、できれば複数のアシスタントスタッフが付いている事務所を選ぶのがおすすめです。
自社の業種・規模に合わせて選ぶ
税理士にも不動産、医療など得意な業種があり、そうした分野であれば記帳代行とあわせて節税のアドバイスなど的確なサポートが受けられます。また、なかには中小零細企業を専門に低価格のサービスを用意している税理士もいます。あらかじめ予算の上限を伝えておけば柔軟に対応してくれるはずです。
税理士と契約する際に心がけておきたいこと
この記事を作成するにあたってある税理士さんにお話を伺ったところ、脱税まがいの相談を持ちかけてくる依頼者は決して少なくないとのこと。過去にはそうした依頼を受け、不適切な会計記帳をしてしまった税理士が法的責任を追及されたケースもあるそうです。
いうまでもなく納税は義務。税理士と信頼関係を築き、適切なサポートを受けるためには、行き過ぎた節税意識を持ちすぎないことも大切でしょう。
今回ご紹介した内容をぜひみなさまの税理士選びにお役立てください。
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福留 聡
- 資格
- 公認会計士(日米) / 税理士(日米)
監査法人パートナー、MFクラウドプラチナメンバーで日米の公認会計士及び税理士資格を有し、法定監査、IPO支援、決算支援、IFRS導入支援、日米の法人の税務顧問等を行っている。本、雑誌、DVD等で約50の出版をしており、代表的な著作として『7つのステップでわかる税効果会計実務入門』がある。
監査法人パートナー、MFクラウドプラチナメンバーで日米の公認会計士及び税理士資格を有し、法定監査、IPO支援、決算支援、IFRS導入支援、日米の法人の税務顧問等を行っている。本、雑誌、DVD等で約50の出版をしており、代表的な著作として『7つのステップでわかる税効果会計実務入門』がある。