労働基準法とは|違反となるケースを解説【2024年最新版】
会社を経営していく上で必ず守らなければならないのが、労働基準法です。しかし、「労働基準法の存在は分かっていても、どのような決まりがあるのか詳しくは知らない」という方や、「自社が労働基準法に反していないか不安」という方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、労働基準法とは何なのか概要を説明するとともに、労働基準法の違反となってしまうのはどのようなケースかもまとめて解説していきます。労働基準法について改めて確認しておきたいという方は、ぜひ参考になさってください。
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労働基準法とは
はじめに、労働基準法とは何なのか確認しておきましょう。労働基準法とは、その名前の通り労働基準に関する法律のこと。日本国憲法第27条第2項にて、「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」として1947年4月に制定されました。賃金支払いの原則についてや、労働時間の原則について、時間外労働・休日労働や割増賃金について、さらには解雇予告や有機労働契約についてなど、労働する上での最低限の基準について細かく定められています。
労働基準法は、民法のような一般法ではなく、特別法というカテゴリーに位置するのが大きな特徴の1つ。一般法である民法の原則よりも優先して守られなければならず、正社員やアルバイトなど雇用形態を問わずに適用されるので注意しましょう。
参照:日本国憲法 - e-Gov法令検索 第二十七条 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=321CONSTITUTION
労働三法とは
労働基準法は、労働三法と呼ばれるものの1つとされています。労働三法とは、労働者を守る法律として定められている3つの法律のこと。労働基準法・労働組合法・労働関係調整法の3つがあり、これまでの判例における判断なども含みながら、労働における基本権について定めています。しかし、「労働三法」という言葉自体はあくまでも法体系としての講学上の言葉であり、法律用語として示されているわけではないため注意しましょう。ちなみに、労働における最低基準を定めたものが労働基準法ですが、労働組合を構成し会社と対応な立場で話し合えることを保障しているのが労働組合法、労使関係の調整や労働争議の予防、ならびに解決などを目的に定められているのが労働関係調整法です。
労働基準法は罰則のある法律
もしも労働基準法に反するような事象がある場合には、罰金、あるいは懲役刑などの罰則が科せられることとなるため注意が必要です。どのような罰則を受けるのかは悪質性がどれほどあるのかによって変わりますが、以下にいくつか例をあげるため参考にしてみましょう。
30万円以下の罰金
労働基準法を違反した際に科される罰則の中でも、もっとも軽いとされているのが30万円以下の罰金です。労働条件を明示しない、休業手当てを支給しないなどといった内容が当てはまります。
6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金
次に重い罰則が、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金です。違反行為の内容としては、国籍や社会的身分などによって労働者を差別する、解雇禁止期間であるにも関わらず解雇するなどが当てはまります。
1年以下の懲役または50万円以下の罰金
続いて重い罰則とされるのが、1年以下の懲役または50万円以下の罰金です。児童を労働させる、中間搾取を行うなどといった行為が当てはまります。
1年以上10年以下の懲役または20万以上300万円以下の罰金
もっとも重い罰則が、1年以上10年以下の懲役または20万以上300万円以下の罰金です。「強制労働の禁止」に反し、暴行や監禁、脅迫などによって労働を強制した場合に科されます。
労働基準法に違反した疑いがある場合
もしも労働基準法に違反した疑いが発生した場合には、その事象が労働基準法に反しているのかどうかを確かめるための調査が入るこことなります。以下にあげられる3つのステップで対応が進められていくのが一般的です。
・労働基準監督署の調査が入る
・是正勧告
・司法処分
それぞれについて詳しく確認していきましょう。
労働基準監督署の調査が入る
労働基準法に違反していることが疑われた場合、すぐに罰則が科されるわけではありません。まずは労働基準監督署の調査が入り、本当に労働基準法に違反する行為が見られるのか、もしも違反する行為が見られる場合にはどれだけ悪質なのかなどといったポイントを調査されることとなります。
どのような調査をするのかというと、例えば労働基準法によって定められた時間数以上の労働時間を強いられていると懸念される場合には、タイムカードの履歴やシフト表・出勤表などといった参考になる資料をすべて提出しなければならないので注意が必要です。
是正勧告
労働基準法に違反していることが疑われ、労働基準監督署による調査が行われた結果、労働基準法に反した行為が見られると判断された場合には、労働基準監督署から是正勧告が行われることとなります。是正勧告は書面にて行われ、違反事項や指導内容、是正期限について記された是正勧告書が届けられますが、もしも書面に記された期限までに改善されない場合には司法処分とされてしまうので注意しましょう。また、指導された通りに違反している点を改善するだけでなく報告書を提出する必要があるのも注意したいポイント。社会的な信頼度の低下を防ぐためにも速やかに対処してください。
司法処分
調査の結果労働基準法に違反しているという判断が下り、是正勧告があったにも関わらず定められた期限までに何も対処・改善がなされなかった場合には、送検・起訴といった司法処分の手続きが進められることとなります。この際、企業だけが罰せられるのではなく、役員をはじめとする個人も対象となり起訴される場合も少なくないため注意しましょう。司法処分となれば、業務がストップし支障をきたしてしまうのみならず、顧客や世間一般からの信頼も同時に失うこととなってしまいます。
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労働基準法違反となるケース
先ほど、労働基準法に違反した場合は悪質度によって罰則が変動することを説明しましたが、それでは具体的にどのようなケースであれば労働基準法に反していると判断されるのでしょうか。何が違反で何が違反でないのかあらかじめ知っておきたいという方のために、労働基準法違反となる代表的なケースについて紹介していきます。労働者の意思に反する労働の強制や予告のない解雇、賃金の未払いや法定労働時間を超えた労働など、労働基準法に反していると判断される行為について確認していきましょう。
労働者の意思に反する労働の強制
労働者の意思に反して労働が強制されていた場合、労働基準法の違反の中でももっとも重い罰則である1年以上10年以下の懲役または20万以上300万円以下の罰金が科されることとなります。違反内容については労働基準法第5条、罰則については労働基準法第117条によって定められています。
従業員にその意思がないにも関わらず、暴行や監禁、恫喝、脅迫などといった行為を伴いながら強制労働をさせていると、労働者の意思に反する労働の強制と判断され司法処分が下るため注意しましょう。
中間搾取
労働者や賃金支払者に対して中間搾取を行った場合も労働基準法違反です。中間搾取とは、本来賃金支払者と労働者の二者間において雇用契約は直接結ばれていますが、その契約に介在して労働者、あるいは賃金支払者から報酬を受け取るような行為のこと。例えば、労働者に対して業務を斡旋し、給与の何分の一かを報酬として受け取るような行為が中間搾取に当たります。一般的には「ぴんはね」と呼ばれることも多いでしょう。
もしも中間搾取と見なされると判断が下された場合には、1年以下の懲役、あるいは50万円以下の罰金が科せられることとなるため注意が必要です。しかし、人材派遣会社のように国から認められている業種の場合は、中間搾取と見なされることがありません。
従業員に違約金を支払わせる
もしも従業員に違約金を支払わせるようなことがあった場合も、労働基準法に反していると判断されます。労働基準法第16条、119条によって定められており、もしも違反があった場合には6ヵ月以下の懲役、あるいは30万円以下の罰金となってしまうので注意しましょう。例えば「契約期間中に予期せぬ退職となったため、違約金として給与からいくらか差し引いた」などといった行為は、従業員に違約金を支払わせる行為に値し、罰せられることとなります。違約金に関する内容が含まれた雇用契約が結ばれているだけでも違反となるため注意しましょう。
予告のない解雇
従業員に対して前もって解雇予告をすることなく一方的に解雇した場合も、労働基準法第20条、119条に基づき労働基準法違反となり、6ヵ月以下の懲役か、30万円以下の罰金が科されることとなります。労働基準法で定められている内容によれば、もしも企業が従業員を解雇する場合、30日以上前に解雇について予告しておかなければなりません。もしも30日以上前に解雇予告ができなかったと言う場合には、30日分以上にあたる平均賃金を従業員に支払う必要が発生するため注意しましょう。
しかし、予期せぬ自然災害などを理由に止むを得ず事業の継続が困難となってしまった場合や、従業員に問題があり懲戒解雇せざるを得ないと言う場合には、30日以上前に解雇予告を行わなくとも罪には問われません。
法定労働時間を超えた労働
従業員に法定労働時間を超えた労働をさせてしまった場合も、労働基準法第32条、119条に基づいて労働基準法違反とされ罰せられます。労働基準法においては、従業員が働くことのできる時間が1日あたりで8時間、週あたりで40時間と定められており、この数字を超える労働は許されていません。もしもこの数字以上の労働時間が必要である場合には、労働者・使用者の間で「36協定」と呼ばれるものを締結し、会社の所轄である労働基準監督署に届け出なければならないため注意しましょう。また、「36協定」を結んだからと言って時間制限がなくなるわけではなく、法定労働時間越えの労働時間数は1ヵ月あたり45時間、1年間あたり360時間と上限が定められている点も注意が必要です。もしも法定労働時間を超えた長時間労働が確認された場合には、6ヵ月以下の懲役、または30万円以下の罰金の司法処分が下されます。
必要な休憩時間を与えない
従業員に対し、必要な休憩時間を十分に与えずに労働させている場合には、労働基準法第34条、119条に基づき労働基準法に違反していると見なされるため注意しましょう。労働基準法においては、労働時間が6時間を超える場合には45分間の休憩、8時間を超える場合には1時間の休憩を与えることが義務付けられています。休憩時間中に従業員に仕事をさせる、休憩時間中の従業員の行動を何かしら制限するなどといった行為は、十分な休憩時間を与えていないと判断され違反行為になってしまうでしょう。例えば、休憩時間中に電話対応をさせる、来客対応をさせるなどといった内容でも違反となります。
休日を与えない
従業員に対し、最低限必要とされている休日を与えない場合も、労働基準法第35条、119条に基づいて労働基準法違反となります。労働基準法においては、原則1週間あたり1日の休日、あるいは4週間あたりに4日以上の休日を与えることが定められており、「人手が足りないからほぼ毎日出勤してもらっている」などといった場合には労働基準法違反です。従業員に対し必要最低限の休日が与えられていないと判断された場合には、6ヵ月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科されることとなるため注意しましょう。
残業代等の適切な賃金の未払い
従業員が残業をしているにも関わらず残業代が支払われていない、深夜労働をさせたのに割増手当が支払われていないなどといった場合には、労働基準法第37条、119条に基づいて6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑が求刑されてしまうので注意しましょう。もしも時間外労働や休日出勤、夜10時〜翌朝5時までにおける深夜労働があった場合には、それぞれで定められた割増賃金を追加して支払わなければなりません。時間外労働の場合は1.25倍、休日出勤の場合は1.35倍、深夜労働の場合は0.25倍に割り増しされることとなります。
有給を与えない
従業員に対して有給休暇を与えていない場合も、労働基準法第39条に基づいて労働基準法違反となり、119条に基づき6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑が求刑されることとなります。労働基準法第39条では、雇用契約があった日から起算し6ヵ月間にわたって継続勤務があり、全労働日に対し8割以上出勤していた場合には、その労働者に対して有給休暇を与えなければならないと定められています。基準を満たしている従業員がいる場合には、速やかに有給休暇を与えましょう。
産休・育休を認めない
従業員に対して産休や育休を認めない場合も、労働基準法第65条、66条、67条に基づいて労働基準法違反と判断されることとなります。労働基準法では、6週間以内に出産予定の女性からの休業請求があった場合にはその請求に従わなければならないと定められているほか、産後より8週間を経過していない女性の就業の禁止(例外あり)、妊産婦に対する時間外労働や休日労働の禁止なども定められており、これらに違反した場合は6ヵ月以下の懲役、あるいは30万円以下の罰金刑です。
休業手当や障害補償等がない
従業員に対する休業手当や障害補償などが支払われていない場合も、労働基準法第75条に基づいて違反と判断されます。例えば、会社側の都合・責任によって従業員を休ませなければならない場合には、会社から従業員に休業手当を支払わなければなりません。また、労災に遭った際の治療費や休業補償、障害が発生した場合の補償も会社側の負担が義務付けられているので、支払いがなければ違反となり罰則を受けることとなります。6ヵ月以下の懲役、または30万円以下の罰金刑とされるので注意しましょう。
就業規則を作成・明示していない
従業員に対し雇用条件が明示されていないという場合には、労働基準法の第15条、89条、106条に基づいて労働基準法違反となるため注意しましょう。従業員を雇う際には雇用条件を明示することが定められているだけでなく、10人以上の従業員を雇っている企業・事業所の場合、就業規則の作成と行政官庁への届け出、従業員への周知を行わなければならないと義務付けられています。そのため、もしも就業規則の作成や届け出などがない場合には、労働基準法第120条に基づき、30万円以下の罰金刑が求刑されるので注意しましょう。
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今回は、労働基準法の概要を説明するとともに、違反の疑いがある場合にはどのような対応を取られるのか、労働基準法違反となってしまうのはどのようなケースかなどを解説してきました。自社に当てはまる内容はないかどうか慎重に確認し、もしもリスクが高い行為があると考えられる場合には、速やかに改善することをおすすめします。
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