税理士とは?業務内容や選ぶポイントなどをわかりやすく解説!【2024年最新版】
税理士法に定められた国家資格で、それを職業とする人の名称である「税理士」。しかし、これまで税理士へ業務を依頼したことのない方のなかには、「具体的な業務内容がわからない」という方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、税理士の業務内容や税理士を選ぶ際のポイントを詳しく解説します。税理士への依頼を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
税理士とは
まずは、税理士の役割や会計士との違いについて解説します。
税理士の役割
税理士法の第一条では、「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする」とされています。条文からもわかる通り、公平な税負担によって、誰もが住みやすい豊かな暮らしを守ることが税理士の社会的使命です。
税に関する不正行為を知った場合、税理士には企業・個人へ是正措置を促す義務があります。たとえ顧問先の企業であっても、不正を知った際には速やかに是正するよう指導しなければなりません。当然ながら脱税をはじめとした違法行為に関する相談や協力に応じる行為も禁じられています。
また、税理士には守秘義務があると同時に顧問先の監督義務があるため、安心して相談・依頼することができます。
会計士との違い
会計関連の士業には税理士のほかに会計士があげられますが、両者はどのような違いがあるのでしょうか。税理士と会計士は「会計の専門家」という点が共通する特徴ですが、有資格者のみが行える「独占業務(メイン業務)」の内容がそれぞれ異なります。
会計士の独占業務は「監査業務」で、企業や公益法人など関与先の作成する財務諸表が正しく作成されているか、第三者の立場から監査することが可能です。
一方、税理士の独占業務として定められているのは「財務書類の作成」「税務代理」「税務相談」。関与先の財務諸表にもとづき、節税に関するアドバイスや税金の深刻に必要な書類作成の代行などを行います。
税理士の業務内容
会計士と税理士がどのように違うのか、おおまかなイメージがついたのではないでしょうか。続いては、税理士の業務内容を詳しく解説していきます。
税務代理
税務代理とは、国税庁や国税局、税務署、地方公共団体の税務課といった税務官公署に対して、納税者に代わって税金の申告や申請を行うことです。税務代理を担当する際は、税理士は関与先が作成した委任状を税務官公署へ提出します。
税金は申告・納税すれば終わりというものではなく、税務官公署は提出された申告書に疑問点があった場合には、必要に応じて証拠書類の調査を行うことも。そうした際に、申告者である関与先に代わって税務官公署へ説明・意見をするのも税理代理の業務の1つです。税務官公署との議論の末に、関与先の主張を通せる税理士は優秀な税理士だといえます。
税務書類の作成
税務書類の作成とは、文字どおり税務官公署へ提出する申請書などを作成することです。こちらも税理士の独善業務で、税理士以外の人がこうした業務を行うことは禁じられています。
ポイントとなるのは「作成」であるということで、「代書」ではないため、税理士は自らの判断によって申告書をはじめとした書類を作成します。税理士が作成できる税務書類は、以下のように多岐にわたります。
・試算表
・総勘定元帳
・給与明細書
・源泉所得税納付書
・個人事業等の決算書
・所得税や消費税の確定申告書
・法人の決算書
・法人税、消費税、地方税の確定申告書
・法定調書
・償却資産税申告書
これらの書類作成に多くの時間・手間を割いているという方もいるのではないでしょうか。そうした場合には、税理士への依頼を検討してみてもいいかもしれません。
税務相談
税務代理、税務書類の作成と並んで、税理士の独占業務となっているのが税務相談です。税理士法では、税務相談について「具体的な質問に対して答弁し、指示し又は意見を表明することをいうものとする」とされています。
税務相談における「具体的な質問」とは、税務官公署への申告や主張、申告書の作成に関する租税の課税標準等の計算事項で「今年の納税額はいくらになるのか」といったものが該当します。一方で、たとえば「法人税の計算方法は?」といった一般的な税法の解説は税務相談には含まれません。
また、現時点で納税義務を伴わないような将来的な納税額の算出を税務相談とするかどうかは、法律の専門家や税理士の間で複数の見解があるようです。
独占業務以外の仕事
近年では独占業務以外の業務で売り上げを伸ばす税理士が増加傾向にあります。
もっとも一般的とされているのが経営コンサルティング業務で、決算書をもとに経営や資金繰りに関するアドバイスを行います。ほかの税理士事務所との差別化を図るため、コンサルティング業務を中心としたサービスを提供する税理士事務所も珍しくありません。
その背景には、税理士へのニーズの変化があります。会計ソフトの普及によって決算書類などの作成が容易になったことで書類作成を内製できる企業が増えており、事務作業よりも経営アドバイスへのニーズが高まっているのです。
独占業務以外のサービスとしては、組織再編やM&A支援、起業支援などを提供している税理士事務所もあります。
税理士を選ぶポイント
はじめて税理士へ依頼する際には、「どんな基準で選べばいいのかわからない」と頭を悩ませることもあるのではないでしょうか。ここからは、税理士を選ぶポイントを解説していきます。
相性が良いかどうか
経営者と税理士はビジネスパートナーであり、お互いが率直に意見しながら会社をよりよい方向へと進めなければなりません。
もちろん、税理士としての経験や専門知識が豊富であることに越したことはありません。しかし、相性の悪い相手とは本音を言い合えるような信頼関係を構築することは困難です。お互いが遠慮してしまうような関係性では、せっかくの経験や知識を発揮することがないまま、経営が悪化する可能性も十分に考えられるでしょう。
税理士との相性を見極めるためには、ホームページに掲載されている情報や電話の応対だけでなく、実際に顔を合わせて「話しやすいか」をしっかりと確認するのがおすすめです。
得意分野がマッチしているかどうか
ひとくちに税理士といっても、税理士や税理士事務所によって強みや得意分野は異なります。自社が税理士に求めることを洗い出した上で、その分野に強い税理士・税理士事務所を選ぶようにしましょう。
また、業界によっても得意・不得意があります。ある業界では当たり前の知識であっても、業界外の人にとっては未知の知識です。業界特有の商習慣を理解していない税理士であっても税務代理や税務書類の作成は可能ですが、コンサルタントとしての役割には期待できません。
税理士に経営コンサルタントとしての役割を求める場合は、税理士・税理士事務所がこれまでに関与してきた業界・業種や実績を確認しましょう。
価格の説明が明確か
提供している業務ごとの価格を公開している税理士を選ぶのも、失敗しないために大切なポイントの1つです。
なかでも必ず確認したいのが「基本料金」と「オプション料金」。基本料金の範囲内でどのような業務が依頼できるのか、オプション料金が必要となるのはどの業務なのか、料金はいくらなのかなどを依頼前に把握しましょう。
また、税理士のなかには利益をあげている会社には高額な報酬を請求する一方で、創業から間もない会社や利益の少ない会社には安価にサービスを提供している人もいます。ありがたいと感じる方もいるかもしれませんが、「後回しにされた」「利益が上がった後に急激に報酬額が高くなった」といった事態につながる可能性も否定できません。
そうしたことを避けるためにも、料金表を公開しており、業務に対する価格が明確な税理士・税理士事務所を選ぶことが大切です。
レスポンスが速いかどうか
税理士に対する不満として多くあげられているのが「レスポンスの遅さ」です。会社経営では早急な判断や対応が求められる場面も決して少なくはありません。そうしたなかで、連絡がつきにくい税理士やレスポンスの遅い税理士には安心して業務は任せられないでしょう。
しかし、「レスポンスが速いか」や「作業スピードが速いか」などは、1度の面談で見極めるのが容易ではないのも事実です。問い合わせから面談までの日程調整や、面談中や面談後に投げかけた質問に対する回答に要した期間を判断材料に加えることで、極端にレスポンスの遅い税理士は避けられるかもしれません。
節税対策に対する知識
税理士は税に関する専門家であるため、節税に関する知識を期待する方も多いのではないでしょうか。しかし、税理士のなかには節税対策に熱心ではない税理士も少なくありません。そのため、税理士に節税のアドバイスを求める場合には、より注意して依頼先を選ぶ必要があります。
税理士法では「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする」とされていることから、節税対策は業界倫理違反や遵法精神に背くととらえる税理士もいるようです。
その一方で、顧客満足度を強く意識し、「節税対策は顧客サービスとして当然」と認識している税理士もいます。節税対策を重視する場合には、面談時に税理士へ「どのような節税対策があるのか」を質問してみるとよいでしょう。
まとめ
本記事では、税理士の業務内容や税理の選び方について解説していきました。
ニーズを満たせる優れた税理士に出会えれば、税に関する面倒な業務を安心して任せられ、経営者がより事業に集中できる環境づくりにつながると考えられます。とはいえ、税理士の選定や依頼がはじめてという場合には、「どのように選べばいいのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。
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