オフィスデザインを発注する前に必要なものは?準備すべき情報と依頼内容の整理ポイントを解説
オフィスデザインを発注する際は、目的や対象範囲、現状の課題、予算、移転・改装の希望時期などを整理しておくことが重要です。情報が曖昧なまま依頼すると、デザインの方向性や費用、工期にズレが生じる可能性があります。特に、デザインのみを依頼するのか、設計・施工・什器選定まで任せるのかによって、準備すべき情報や見積もり条件は変わります。
本記事では、オフィスデザインを発注する前に必要なもの、依頼時に共有するとスムーズな情報、発注内容を整理する際のポイントを解説します。
- この記事でわかること
-
- オフィスデザイン発注前に整理しておきたい情報
- 見積もりや提案を受ける前に共有しておくとよい情報
- 発注内容を決めるときに確認したいポイント
オフィスデザイン発注前に準備しておきたい情報一覧
まずは、オフィスデザインを発注する前に準備しておきたい情報を一覧で整理します。目的や課題、規模条件、依頼範囲、物件情報を分けて確認しておくと、依頼時に伝える内容を整理しやすくなります。
| 分類 | 主な内容 |
|---|---|
| 目的・課題 | 発注目的、対象範囲、現在の課題 |
| 規模・レイアウト条件 | 従業員数、席数・会議室数、必要なスペース・レイアウト条件 |
| 依頼範囲 | デザイン/設計/施工/什器選定の依頼範囲 |
| 費用・時期の条件 | 希望予算、移転・改装の希望時期 |
| 物件情報 | 物件の種類、オフィス面積 |
続いて、これらの情報を発注前に整理しておくことが、どのようなメリットにつながるのかを解説します。
オフィスデザインの発注前に目的・対象範囲・現状課題を整理しておく理由
ここでは、目的や対象範囲、現状の課題を発注前に整理しておく理由を解説します。情報が曖昧なままだと、見積もり条件や完成後のレイアウト、使い勝手にズレが生じやすくなります。
見積もり金額や工期、対応範囲の前提がそろいやすくなる
目的や対象範囲が曖昧なまま複数の会社に相談すると、各社が異なる前提で見積もりを作成するため、金額や工期を単純に比較しにくくなります。たとえば、「会議室を増やしたい」と伝えただけでは、間仕切り工事のみを想定する会社もあれば、空調・照明・電源工事や什器の手配まで含めて見積もる会社もあります。同じ相談内容でも、どこまでを工事範囲に含めるかによって費用や工期が変わるため、対象範囲を事前に整理しておくことが重要です。
目的に合わないレイアウトや働きにくいオフィスになるトラブルを防ぎやすくなる
たとえば、コミュニケーションを増やしたいのに個別デスク中心のレイアウトにしてしまうと、社員同士が話しやすい空間を作りにくくなります。一方、オープンな席のみのレイアウトにしてしまうと、電話や会話の音が気になり、業務に集中しづらいという不満につながることがあります。こうしたミスマッチは、施工後に直そうとすると追加の費用や時間がかかりやすく、簡単には修正できません。目的や課題を事前に整理しておくと、完成後に使いにくいオフィスになるリスクを防ぎやすくなります。
オフィスデザインの発注時に整理しておきたい内容
ここでは、見積もり依頼時に必ず整理しておきたい情報を解説します。目的や対象範囲、人数、予算などの前提をそろえておくことで、見積もりや提案内容のズレを防ぎやすくなります。
オフィスデザインの目的
オフィス移転、レイアウト変更、会議室の増設など、目的によって必要な設計や家具、工事範囲は変わります。まずは、何のためにオフィスデザインを依頼するのかを整理しておきましょう。
| 目的 | 整理しておきたい内容 |
|---|---|
| オフィス移転 | 新オフィスの面積、従業員数、必要な席数・会議室数、移転希望時期 |
| レイアウト変更 | 変更したいエリア、現在の課題、残したい設備や什器 |
| 会議室の増設 | 必要な部屋数、利用人数、防音・Web会議設備の有無 |
| 執務環境の改善 | 席不足、動線、収納、集中スペースなど改善したい課題 |
複数の目的がある場合は、「移転に伴うレイアウト設計が主目的」「会議室不足の解消を優先したい」など、優先したい目的を整理しておくと、提案の方向性がずれにくくなります。
対象となるエリア
フロア全体を対象にするのか、一部エリアに絞るのかを伝えます。対象エリアが曖昧なまま依頼すると、見積もりに含まれる範囲にズレが生じ、後から「想定していた場所が対象外だった」といった行き違いにつながることがあります。
たとえば、執務スペースのレイアウト変更を依頼する場合でも、収納スペースや通路幅、コピー機周辺、来客動線まで見直すかによって、必要な設計範囲は変わります。日常的に使う場所だけでなく、社員や来客が通る場所、備品を置く場所まで含めて対象エリアを整理しておくと、完成後の使い勝手を確認できます。
現在のオフィスで解決したい課題
課題がはっきりしていると、必要なレイアウトや設備を検討しやすくなります。課題ごとに見直しやすい内容を、以下の表で確認しておきましょう。
| 課題 | 見直したい内容 |
|---|---|
| 席・会議室の不足 | 席数、会議室数、フリーアドレスの導入可否 |
| コミュニケーション不足 | 共有スペースの配置、部署間の動線 |
| 収納・書類スペースの不足 | 収納什器、書類保管ルール |
| 来客対応スペースの不足 | 応接エリアの広さ、受付から会議室までの動線 |
課題が複数ある場合は、どの課題がどのエリアで起きているのかまで整理しておくと、対象範囲や必要な対応を判断しやすくなります。
従業員数・利用人数
現在の従業員数に加え、将来的な増員予定があれば伝えます。人数が曖昧なまま依頼すると、必要な席数やスペースの算出根拠が不明確になり、完成後に「席が足りない」「スペースが余っている」といった過不足が生じる可能性があります。
必要な席数・会議室数
席数・会議室数を算出するために、固定席数、フリーアドレスの比率、会議室の必要数などを、具体的な数字で整理しておきましょう。従業員数と席数が必ずしも一致しない場合もあるため、実際の使われ方をふまえて必要数を確認することが重要です。会議室は用途別に必要数を分けて整理しておくと、実際の働き方に合ったレイアウトを検討しやすくなります。
- 席数・会議室数を決めるときに確認したい項目
-
- 現在の従業員数
- 今後の増員予定
- 出社率や出社人数が多い時間帯の利用人数
- 固定席とフリーアドレスの比率
- 少人数用・大人数用・Web会議用など、用途別の会議室数
必要なスペース・希望するレイアウト
必要なスペースは、執務スペース・会議室・収納・リフレッシュスペースなどに分けて整理しておきましょう。あわせて、「必ず必要なスペース」と「あればよいスペース」を分けておくと、依頼先に希望を伝えやすくなります。席の配置や会議室の広さなど、希望するレイアウトのイメージがある場合は簡単なメモにしておきましょう。
デザイン・設計・施工・什器選定などの依頼範囲
デザインのみを依頼するのか、設計・施工・什器選定まで一括で任せるのかによって、見積もり範囲や依頼できる会社が変わります。
| 依頼範囲 | 主な内容 |
|---|---|
| デザインのみ | レイアウト・空間デザインの提案 |
| 設計・デザイン | 図面作成を含めた設計対応 |
| 施工まで | 内装工事・什器設置までの一括対応 |
| 什器選定 | 家具・什器の選定、手配 |
什器選定は、デザインや施工とあわせて依頼できる場合もあれば、別途手配が必要な場合もあるため、見積もり時にどこまでが依頼範囲に含まれるかを確認しておきましょう。設計・施工・什器選定までまとめて依頼できる場合は、レイアウトと家具のサイズが合わない、工事日程と什器納品日がずれるといったトラブルも防げます。
希望予算
オフィスデザインは、内装工事だけでなく、造作家具、什器、照明、サイン、原状回復工事などの有無によって費用が変わります。希望予算を伝える際は、内装工事のみの予算なのか、設計費・施工費・什器費まで含めた総額なのかを明確にしておくと、見積もり条件を比較しやすくなります。
費用の目安を詳しく知りたい場合は、「オフィスデザインの費用相場」をまとめた以下の記事も参考にしてください。
移転・改装の希望時期
移転日や改装の完了希望日を伝えます。日程が確定していない場合も、おおよその時期や候補月を共有しておきましょう。時期が曖昧なまま依頼すると、繁忙期と重なった場合に希望通りのスケジュールが組めないことがあります。特に、什器の発注や施工業者の手配には準備期間が必要です。また、入居中のオフィスを改装する場合は、業務時間外や休日工事が必要になることもあるため、工事できる曜日・時間帯やビル側の作業ルールも確認しておくと安心です。
物件情報・オフィス面積
新築物件か既存オフィスの改装かによって、対応できる工事内容や制約条件が異なります。あわせてオフィス面積を伝えることで、席数や会議室数、希望スペースが現実的かを判断しやすくなります。既存オフィスや賃貸オフィスの場合は、ビル側の工事ルール、電源・空調・防災設備の制約、原状回復条件によって、希望するレイアウトや内装が実現できないこともあるため、分かる範囲で物件情報を共有しておくことが重要です。
オフィスデザインの発注時に伝えておくとスムーズな補足情報
ここでは、共有しておくとレイアウトや内装イメージをすり合わせやすくなる情報を紹介します。参考イメージや現状の資料がある場合は、あわせて伝えておくとスムーズです。
参考にしたいオフィスやデザインイメージ
過去に見たオフィスの写真や事例など、イメージに近いものがあれば共有しておきましょう。「明るい雰囲気」「開放的」といった言葉だけでは、素材感や色味、空間の広さの感覚にズレが出やすいためです。参考画像を共有する際は、色味・素材・レイアウトの配置のどこを参考にしたいのかまで伝えると、仕上がりイメージのズレを防げます。
既存オフィスのレイアウト図・写真
現状のレイアウト図や写真を共有すると、今の状態を把握してもらいやすくなります。参考イメージは「どのような空間にしたいか」を伝える資料ですが、既存の図面や写真は、柱や配管の位置、窓の配置など「変更しにくい条件」を伝えるための資料です。あわせて共有することで、希望するデザインを現在の条件で実現できるかを判断しやすくなります。
出社頻度やフリーアドレスなどの働き方
出社率の傾向や働き方のルール(固定席かフリーアドレスかなど)を共有しておくと、実際の働き方に合ったレイアウトを提案してもらいやすくなります。
| 働き方 | 伝えておきたいポイント |
|---|---|
| 固定席中心 | 部署ごとの人数、必要な席数 |
| フリーアドレス | 出社率の目安、繁忙時の在席人数 |
| 一部リモート併用 | 平均出社人数、来社頻度が高い曜日 |
ブランドカラー・ロゴ使用ルール
企業やブランドで定められたカラーコードやロゴの使用ルールがある場合は、事前に共有しておきましょう。エントランス壁面へのロゴ設置や、会議室のガラスパーティションへのロゴ加工など、内装にブランド要素を反映したい場合に特に重要な情報です。
こうしたルールを伝えないまま設計が進むと、完成間近になって「ロゴの余白や縦横比が規定と合わない」「ブランドカラーと異なる色味でサイン(社名表示や会議室名など)を作っていた」といった問題が判明し、修正や作り直しが必要になることがあります。明文化されたルールがない場合も、「この色は避けたい」といった方向性だけ伝えておくと、認識のズレを防ぎやすくなります。
社員から出ている具体的な要望や不満
「収納スペースが足りない」「会議室が予約しづらい」など、現場から出ている具体的な声を共有すると、実際の使い勝手を反映した提案につながります。会社として認識している大枠の課題とは別に、現場レベルの細かな不満まで共有することで、設計段階での見落としを減らしやすくなります。
社内確認や意思決定の流れ
誰が最終決裁者か、社内確認にどの程度の期間が必要かを共有しておくと、提案後のスケジュールを調整しやすくなります。決裁者が複数関わる場合や稟議が必要な場合、確認待ちで契約や着工が遅れることがあります。提案後の遅れを防ぐには、早い段階で決裁者に方向性を共有し、社内確認の流れを整えておくことが重要です。
オフィスデザインの発注内容を決めるときのポイント
整理した情報をもとに、発注内容をどう決めるかを見ていきましょう。すべての希望を条件通りに満たそうとすると費用が膨らみやすいため、優先順位をつけることが大切です。
オフィスで解決したい課題を発注内容の軸にする
課題が複数ある場合は、事業やチームの状況に照らして、最も業務に影響している課題から優先順位をつけましょう。すべての課題を同時に解決しようとすると要望が分散し、レイアウトの方向性が定まりにくくなります。たとえば、会議室不足が業務停滞につながっているなら会議室やWeb会議ブースの確保を優先し、部署間の連携不足が課題なら動線や共有スペースの配置を優先するなど、課題ごとに発注内容の軸を決めることが重要です。
働き方に合わせて必要なスペースの優先順位を決める
必要なスペースを決める際は、出社率、会議の頻度、来客の有無、集中作業の多さなどをもとに、利用頻度の高いスペースから優先順位をつけます。限られた面積の中ですべてを充実させようとすると、どのスペースも中途半端になることがあります。日常的に使う執務席や会議室を先に確保し、そのうえでリフレッシュスペースや集中ブースをどこまで設けるかを判断すると、面積配分を決めやすくなります。
デザイン性と使いやすさのバランスを決める
デザイン性を重視するほど、造作の造り込みや特殊素材の使用によって費用や工期が増える傾向があります。たとえば、既製品の什器ではなくオリジナルデザインの造作家具を採用する場合、製作期間が長くなるだけでなく、費用も既製品より高くなりやすくなります。
一方で、使いやすさを優先しすぎると、機能面は満たしていても「オフィスの印象に個性がない」という結果になりかねません。すべての希望を高いレベルで両立させようとすると予算を超えやすいため、どの部分にデザイン性を出し、どの部分は実用性を優先するかを事前に決めておくことが大切です。たとえば、来客が目にするエントランスや会議室はデザイン性を優先し、日常利用が中心の執務スペースは使いやすさを優先するといった切り分け方もあります。
設計・施工・什器選定のどこまで依頼するか決める
一括で依頼する場合は、設計から施工、什器選定までまとめて進められる一方、見積もり総額は大きくなりやすくなります。部分的に依頼する場合は費用を調整しやすい一方で、自社で手配する範囲が増え、工程管理や業者間の調整が必要になる点に注意しましょう。
特に什器選定や業者間調整を自社で担う場合、担当者が候補の比較検討や現場立ち会いに時間を割く必要があり、通常業務と並行して進めることが負担になるケースもあります。社内に専任の担当者を置けるか、他業務と兼務になるかをふまえて、どこまで依頼するかを決めましょう。
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オフィスデザインの発注を成功させるには、発注前に必要な情報を整理し、依頼内容を明確にしておくことが重要です。目的や現状の課題、依頼範囲、予算を整理することで、デザイン会社とのやり取りがスムーズになり、完成後のミスマッチを防げます。
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