【第2回今日役に立つビジネス法務】NDAの役割とチェックポイント

【第2回今日役に立つビジネス法務】アイミツ版六法全書

更新日:2017年09月08日 | 公開日:2017年09月08日

ビジネスの世界では、秘密保持契約書(NDA)が、大量に取り交わされています。
確かにビジネスをするにあたって会社の「秘密」はとても大切なもの。
NDAが頻繁にやり取りされるのもうなずけます。

ただし、「NDAがあるから安心」と思っている方、その考えはちょっと危険です!今回は、そんなNDAの役割とチェックポイントについて説明します。

NDAは秘密を守ってくれる万能ツールではない

握手

「NDAがあれば、取引先による秘密漏えいを防止できる」と考えていませんか?
しかしそれは、ほとんどの場合、間違いです。

そもそも重要な企業秘密は、一度漏れてしまえば取り返しがつきません。
NDAは、そんな事態が生じないようにしてくれる万能ツールではないのです。

更に言えば、NDAを交わしていても、差止請求や損害賠償請求は簡単ではありません。
むしろ法律的に、NDAに基づく差止や損害賠償は、「かなり難しい」と言ってよいでしょう。

「じゃあ何のためにNDAを締結するの?」と思う方もいるかもしれませんが、「あくまでもNDAは、相手が秘密を漏えいしてしまった場合に、事後的に差止請求や、損害賠償請求をするためのものです。

ただし、会社の秘密を守るということは実はとても難しいことで、「NDAがあれば、取引先による秘密漏えいを防止できる」のではなく、「名ばかりのNDAだけでは簡単に秘密は守れない」というのが正しい認識でしょう。

本当に大事なNDAの視点

資料を読む人

NDAの大事なポイントはいくつかありますが、全体としての重要な視点は、「万が一秘密が漏えいが生じた場合に、差止めや損害賠償ができること」つまり、「差止請求訴訟や損害賠償請求訴訟でまっとうな勝負ができること」です。
この視点なければ、どんなに条項をいじっても、実はあまり意味がありません。

そこで、NDA違反の裁判ではどんなことをしなければならないかを考えると、例えば損害賠償の裁判では、次の事実を主張し、証明しなければなりません。

損害賠償の裁判で証明しなければならないこと
  • 秘密保持義務違反の事実があること
  • 秘密保持義務違反によって生じた損害の金額

つまり、実際に意味のあるNDAの条項を考えるには、上の2つの事実を簡単に主張できて、簡単に証明できるような条項が求められます。

NDAのチェックポイント

これを踏まえて、情報を開示する側の立場から、実際に条項をチェックしてみましょう。

1.秘密情報の定義

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ポイント:秘密情報の提供方法を限定しないような包括的な条項にしておくこと

秘密情報の定義では、ただ秘密の範囲を広くするという目線だけ考えるのではなく、「秘密保持義務違反の事実があること」を簡単に証明することができる条項がよいでしょう。

開示側が情報を秘密として指定しなければならないような条項では、「秘密として指定したこと」を別途主張し、証明しなければならなくなります。
そのため、ここでのポイントは、秘密情報を包括的に定めておくことです。

ただし、それならどんな情報を提供しても絶対安心というわけではありませんし、いつ、どの情報を、どのような方法で提供したかは最低限記録しておく必要があります。

2.使用目的外利用の禁止

指差し

ポイント:秘密情報の使用目的を限定して、それ以外の使用を禁止しておくこと

ここでも、「秘密保持義務違反の事実があること」を簡単に証明することができるよう、「目的」をはっきりと明確に、そしてできるだけ限定して記載しておくべきでしょう。
会社は、何らかの具体的な目的があって秘密情報を開示・提供するものですが、何の目的で提供しているのかは、明記しておかないと外から見て明らかではありません。

そのため、この「目的」の記載が曖昧だったり、そもそも記載がなかったりすると、場合によっては、相手に秘密情報が「流用」されても文句が言えなくなってしまいます。

3.損害賠償義務

資料

ポイント:損害賠償請求にあたっての損害額を推定する条項を設けておくこと

ここでは、上に述べた「秘密保持義務違反の事実があること」ではなく、「秘密保持義務違反によって生じた損害の金額」を簡単に証明できることが望まれます。

いざ訴訟になった場合、秘密情報の漏えいによる損害額を証明するのは、実は、非常に困難です(場合によっては不可能なこともあり得ます。)。これが、秘密漏えいによる被害をNDAで回復できない大きな要因となっていますが、予め違約金として一定額を予定する条項を設けておくと、そのハードルは大きく下がります。

なお、違約金の定め方は、比較的自由に設計できますが、具体的な金額設定については、個別の案件に応じて専門家の意見を参考にするべきでしょう。

ただ、残念ながらこのような条項が記載されているNDAは実務上あまり見かけません。
NDA締結時には、契約違反を想定したやり取りがされることはあまりなく、実際にこの条項を入れるためには、この時点からハードな交渉が必要になるからでしょう。
とはいえ、重要な秘密情報を開示する場合には、是非活用してもらいたい条項です。

まとめ

このように、NDAもポイントを押さえておかないと、効果的な役割を果たしてくれません。
大量に取り交わされるがゆえに軽視されがちなNDAですが、いざというときに使えないNDAにならないように、十分チェックしましょう!

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