回帰分析とは?概要からエクセルでの分析方法まで解説【2024年最新版】
マーケティングにおいて頻繁に利用される分析方法が「回帰分析」です。回帰分析では、様々な要因から将来の売上予測を立てることができるため、新規事業を行う際などに実施されます。本記事では、ビジネス分野において欠かすことのできない回帰分析の特徴と手法について紹介します。
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回帰分析とは?
回帰分析とは、関連する要因がどれくらい結果を左右するかを関数で数式化し、その結果をもとに予測を立てる統計手法です。ビジネスにおいては、広告費や事業投資などが将来の売上にどのような影響を及ぼすのかを予測する際などに利用されます。回帰分析は「単回帰分析」「重回帰分析」「ロディスティック回帰分析」の3つに分類されます。それぞれの回帰分析について詳しく説明します。
単回帰分析
単回帰分析とは、広告費から売上を予測するなど、1つの要因から結果を予想する分析方法です。Yを売上、Xを広告費とした場合、「Y=aX+b」の式で算出できます(aとbは定数)。特定の要因が将来にどのように影響するのかを確認したい際などに利用されます。
重回帰分析
重回帰分析とは、2つ以上の要因から結果を予想する分析方法です。例えば、売上に影響を及ぼす要因が、リスティング広告費とSNS広告費のように2つ、もしくはそれ以上ある場合に利用されます。売上をY、リスティング広告をX1、SNS広告をX2とした場合、「Y=aX1+bX2+c」の式で算出できます(a、b、cは定数)。マーケティングにおいては、売上には多様な要因が絡んでいる場合が多いため、単回帰分析よりも重回帰分析を利用する機会が多くなります。
ロジスティック回帰分析
ロディスティック回帰分析とは、いくつかの影響を及ぼした項目(説明変数)から結果(目的変数)が起きる確率を説明・予測することができる統計手法で、重回帰分析と同じく多変量解析の1つです。重回帰分析よりもより複雑な条件のもとで分析したい場合に利用します。マーケティングにおいては、顧客がどのような理由で商品を購入するのかを分析する際などに用いられます。
回帰分析の活用例
ビジネス場面において回帰分析を利用することで、以下のような課題に対応できます。
・既存の顧客情報から売上に関係している属性を抽出して売上を予測する
・商品の属性をもとに回帰分析を行い、最も影響度の高い要因を探る
・新人スタッフの属性をもとに初年度の売上予測を行う
ただし、利用する分析方法を間違ってしまうと正しい値が算出できなくなるため、分析方法選びは慎重に実施する必要があります。
回帰分析の方法とは?
回帰分析はエクセルを使用して行うことができます。エクセルを使用して行うやり方は2種類。1つ目は、「散布図」の「近似曲線」を利用し、「回帰式」を表示させる方法です。2つ目は、「回帰分析」の機能を利用する方法です。また、エクセルを利用する方法のほかには、分析ソフトやツール、市場調査会社などを活用して分析を行う方法もあります。次の項目からは、エクセルを利用した回帰分析の方法を詳しく解説していきます。
エクセルの散布図を使った回帰分析のやり方
まずは、「散布図」を利用する方法から解説します。今回は「新店の出店を考えているチェーン店の売上予測」を例にしました。
①目的変数を決める
まずは、分析したい要素である「目的変数」を決めます。今回の例では、新店の売上予測を行いたいので、「年間売上高」が目的変数となります。
②説明変数を決める
次に、①で決めた目的変数に影響を与えている可能性のある「説明変数」を決めます。候補として、以下のようなものが挙げられます。
・店舗の席数
・最寄駅の乗降数
・最寄駅までの距離
・店の前の通行量
・駐車場の台数
・取り扱う商品数
・購入単価
今回は「店舗の席数」を説明変数とし分析を試みます。
③分析データを表にまとめる
目的変数と説明変数を決定したら、次に分析に必要なデータをExcelで表にまとめます。このデータから定数を導き出し、式に入れ込みます。今回は、既存の10店舗の売上高と座席数のデータをまとめたものを利用します。
店舗 | 席数 ※説明変数 | 年間売上高(万円) ※目的変数 |
A | 22 | 3,853 |
B | 43 | 6,432 |
C | 25 | 6,722 |
D | 38 | 7,542 |
E | 53 | 8,635 |
F | 37 | 7,545 |
G | 25 | 4,634 |
H | 12 | 2,421 |
I | 62 | 12,432 |
J | 35 | 6,555 |
④データから回帰分析を行う
③で作った表を用いて回帰分析を進めていきます。以下の手順で進めます。
1. 数値の範囲を選択したら、挿入のタブを開き、グラフ内にある「散布図」を選択する。
2. 散布図を作成したら、図の右上にある「+」タブをクリック。チェックのついている項目に加え、「軸ラベル」と「近似曲線」の項目にチェックを入れる。
3. 「近似曲線」の項目にカーソルを合わせ、詳細を設定を開く。「線形近似」が選択されていることを確認したら、その下方にある「グラフに数式を表示する」「グラフにR-2乗値を表示する」にチェックを入れる。
4. 表に出てきた数式(回帰式)y= a+bxから、aとbの数値を抽出する。(R2の値は決定係数といい、0~1の間にあるもので、1に近い方がデータの精度が高いことを意味します。)
⑤分析によって出た回帰式を使って予測を行う
得られた回帰式が有用であると確認が出来たら、その回帰式に他の数値(例えば新規出店する店舗の席数)を当てはめ、自社店舗の予測を行います。今回の例でいえば、Y=171.42X+642.97という回帰式が示されます。このXの箇所に新規出店する店舗の座席を当てはめれば、自社店舗の売り上げ予測ができます。
エクセルの回帰分析機能を使うやり方
つづいては、回帰分析機能を使うやり方を解説していきます。①~③までは、散布図を使う方法と同じ流れで進めます。分析したいデータを表にまとめたら以下のやり方で進めます。(今回はWindowsでの操作方法を会解説します)
1. エクセル画面で「ファイル」→「その他」→「オプション」→「アドイン」の順で開き、下中央に出る「設定」をクリックする。
2. 「分析ツール」のボックスにチャックを入れ、「Ok」ボタンを押します。ここまでの手順で、エクセルホーム画面のバー(右上)に「データ分析」機能が表示されます。
3. 次にその表示された「データ分析」をクリック。表示された分析ツールの中から「回帰分析」を選択し「OK」ボタンを押す。
4. 表示されたウィンドウの「入力Y範囲」と「入力X範囲」にそれぞれ目的範囲の変数と説明変数の範囲を指定し、「ラベル」のボックスにチェックを入れたら「OK」を押す。
5. 表示された表の数値を基に回帰式を導き出す。
年間売上高(万円)=回帰係数×席数+切片
↓
年間売上高(万円)=171.42×席数+642.97
6. 分析によって出た回帰式を使って予測を行う
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回帰分析のメリット・デメリット
最後に、回帰分析のメリットとデメリットについて紹介します。
メリット
回帰分析のメリットは、統計的に根拠のある推論が得られることです。大きな事業投資を伴うビジネスにおいては、事前に回帰分析で一般的な傾向を確認すると共に、事業の可能性を見積もることで、大きな損失を防げます。重回帰分析やロジスティック回帰分析を活用すれば、新規事業における複雑なシミュレーションも可能です。根拠のあるデータを活用しながら事業計画を立てられるため、マーケティング戦略立案に役立ちます。
デメリット
マーケティングでは説明変数をすべて洗い出し、確実な見積もりを取ることはほぼ不可能です。正確な数値を導くためには、ありとあらゆる可能性を式に組み込む必要があります。しかし、実際の経営では、数式では明らかにできない様々な要因が関わってくるため非常に困難です。そのため、回帰分析で得られたデータは、あくまでも参考情報の1つとし、依存しすぎないようにしてください。また、回帰分析の手法は複雑なため、初心者では活用できないというデメリットもあります。複雑な数式を扱いシミュレーションを行うには、統計に関する知識とマーケティングノウハウが必要になります。
【まとめ】マーケティングリサーチ会社一覧
本記事では、ビジネスにおいて売上予測を立てる際に利用される「回帰分析」について詳しく説明しました。回帰分析は統計的に根拠のある推論が得られるため、新規事業を行う際にはぜひ実施したい分析方法です。ただし、扱い方や分析方法が難しいため、初心者では対応できない可能性もあります。もし質の高い回帰分析を実施したいのであれば、マーケティングリサーチ会社に外注する方法もあります。悩みに合わせた最適な回帰分析を提案してくれるでしょう。
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