太陽光発電導入のデメリットとメリットをわかりやすく解説【2024年最新版】

風力や地熱、バイオマス、中小水力といった再生可能エネルギーの中でも、もっとも身近な存在と言えるのが太陽光発電です。昨今では急速に普及が進んでいることから、「太陽光発電を導入したい」と考えている企業・事業者も少なくないのではないでしょうか。しかし、太陽光発電の導入にあたってはさまざまな注意点があるのも事実です。
この記事では、太陽光発電の概要やデメリット・メリット、導入に向いている地域の特徴などを解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

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太陽光発電とは、文字どおり太陽光によって発電される仕組みのことです。ソーラーパネルやモジュール、太陽光パネル、太陽電池などと呼ばれる機器を屋上や屋根に設置し、そこに太陽光が当たると太陽光パネル内の電子が作動して電気が発生します。
太陽光が太陽光パネルに当たっている限り発電が続くことや、石油や石炭による発電とは異なり有害部室が発生しないのが太陽光発電の大きな特徴です。

太陽光発電は再生可能エネルギーの代表的な発電方法として広く活用されていますが、その種類は「家庭用」と「産業用」に大きく分かれます。
・家庭用（住宅用太陽光発電）
住宅の屋根やカーポートの上に太陽光パネルを設置するタイプのもので、発電された電気をそのまま自宅で使用することができます。余った電力を電力会社へ販売できるのも魅力です。
・産業用
産業用の太陽光発電は、広大な土地に太陽光パネルを大々的に設置して電力を発生させるのが大きな特徴です。
発電規模が50kW未満の場合は低圧太陽光発電所、50kW以上の場合は高圧太陽光発電所とされています。

日本では太陽光発電による電力の発電に関する「FIT制度（固定価格買取制度）」が設けられています。FIT制度は2012年7月に制定された再生可能エネルギーの買取に関する制度で、太陽光や水力、風力、バイオマスといった再生可能エネルギーによって発電された電力を一定期間は国が定めた価格で業者が買い取るというものです。
2022年度の太陽光発電の1kWhあたりの基準価格は、入札対象外の場合は10kW未満が17円、10kW以上・50kW未満は11円、50kW以上で10円。入札は年間4回にわたって行われ、それぞれの上限価格は10円・9.88円・9.75円・9.63円となっています。

太陽光発電を銅んひゅうする際には、デメリットや注意点を踏まえておくことが大切です。主なデメリットとしてあげられるのは
・初期の導入費用が高い
・メンテナンス費用がかかる
・天候に発電量が左右される
・売電価格が下がっている
・設置エリアにより出力制御の対象になることがある
・近隣住民とトラブルになることもある
・補助金がないことが多い
・施工不良によるパネルが使えなくなることもある
など。ここからは、これらのデメリットについて解説していきます。

産業用太陽光発電の導入には、どうしても高額な初期費用が発生するものです。一般住宅用の太陽光発電は屋根やカーポートの上にソーラーパネルを設置して太陽光発電を行いますが、産業用太陽光発電は広い土地に大量のソーラーパネルを設置する必要があります。ソーラーパネルの数が多いほどに設置にかかる費用は膨らんでいくため注意しましょう。

太陽光発電は導入したら終わりではなく、定期的なメンテナンス費用が必要です。さまざまな再生可能エネルギーシステムの中でも、太陽光発電システムは故障リスクが低いとされていますが、決して故障の可能性がゼロというわけではありません。万一故障してしまった場合には、高額な修理費用が必要となります。
メンテナンスのほかにも、パネルの清掃や設置エリアの雑草駆除といった維持費も定期的に発生します。

太陽光発電を導入したとしても「いつでも発電できる」というわけではありません。その特性からどうしても天候に発電量が左右されてしまう点もデメリットと言えます。
太陽光を源とする自然エネルギーであるため、天気が悪ければ発電することは困難です。天気が曇りや雨などの場合には、発電量が低下してしまうことを覚えておきましょう。

産業用太陽光発電のを導入すれば「発電された電気を電力会社に販売して利益をあげられる」と考えている方もいるかもしれませんが、太陽光発電の売電価格は下がっているのが事実です。
太陽光発電によって生み出された電力はFIT制度によって1kWhあたりの基準価格が定められており、2023年度には2022年度よりも低価格になることがすでに決定しています。

産業用の太陽光発電は、設置エリアによって出力制御の対象となる可能性があります。東京電力や中部電力、関西電力、中国電力などさまざまな電力会社がありますが、設置エリアがどの電力会社の管内なのかに応じて出力制御ルールが異なるため、自身の太陽光発電が対象になるかどうか注視しておく必要があるでしょう。

産業用の太陽光発電は一般的な家庭用太陽光発電と規模が異なることから、近隣住民とのトラブルの要因となることも少なくありません。
「パネルに反射される光が眩しくて日中もカーテンを締め切らなけばならない」「パワーコンディショナーの音がうるさい」「景観を崩している」「安全性が不安」といった声が寄せられる可能性が少なからずあるため、なるべくトラブルが起きないよう配慮して設置を進めましょう。

産業用の太陽光発電を導入する際に「できるだけコストを抑えたい」と考えても、補助金を利用できないことが多いというのもデメリットとしてあげられます。
家庭用の太陽光発電を住宅に設置する場合は政府や地方自治体などによる補助金が支給されるケースも少なくありません。一方で、産業用太陽光発電は家庭用と比較して設置費用が高額になるにもかかわらず、補助金を利用できないため導入に踏み切れないという企業も多いようです。

産業用の太陽光発電は「設置したらずっと発電できる」というものではありません。施工不良が起きることもあり、その場合はソーラーパネルが使用できなくなってしまいます。
太陽光発電の施工を依頼した電気工事会社が悪徳業者だった場合は、ずさんな施工によって「発電ができない」といったトラブルに発展するにもかかわらず、補償は受けられず多額の工事費用の自己負担を余儀なくされることも。太陽光発電の設置工事は信頼性の高い会社へ依頼すべきと言えるでしょう。

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産業用太陽光発電の導入にあたってはデメリットが多いものの、メリットがないわけではありません。ここからは、産業用太陽光発電の導入メリットについて解説していきます。

産業用太陽光発電を導入することで、電力コストを従来よりも抑えられるのは大きなメリットだと言えます。自社の産業用太陽光発電で発電させた電力を自家消費すれば、その分の電気料金が発生することはありません。
オフィスや事業所では繁忙期や夏場・冬場のエアコン使用といった電力需要の波に合わせて電力会社と契約しているケースも多いので、自家消費を行うことで基本料金を下げられる可能性があるのも魅力でしょう。

産業用太陽光発電は、家庭用太陽光発電と比較すると長期間にわたってFIT制度（固定価格買取制度）を利用することができます。産業用太陽光発電で発電された電力の買取期間が20年間に定められている一方で、家庭用太陽光発電の買取期間は半分の10年間となっています。
より長い期間安定した売り上げが期待できるのは、産業用の太陽光発電だと言えるでしょう。

非常時の電源として備蓄できるというのも、産業用太陽光発電を導入するメリットの1つです。太陽光発電システムは備蓄機能を備えていないため、産業用の蓄電池をあわせて利用することで太陽光電力が蓄電され、非常時の利用が可能となります。
災害が発生して電力共有が不安定になってしまった場合でも、備蓄した電力を使用すれば復旧までの期間も通常と変わらず企業活動を維持できるのではないでしょうか。

優遇税制が受けられるというのも、産業用太陽光発電を導入するメリットと言えます。中小企業が産業用太陽光発電を設置し、そこで得た電力を用いて事業を進める場合は「中小企業経営強化税制」によって優遇されることがあります。
条件を満たしていれば、設備費用の即時償却あるいは取得価格の7〜10%の税額控除を受けられるのは魅力的なポイントでしょう。

産業用太陽光発電の導入は、企業のイメージアップにもつなげることができます。世界中で温暖化や資源枯渇が懸念される昨今では企業による環境問題への取り組みが注目を集めており、「取引する企業は環境に配慮していることが条件」ということも珍しくありません。
再生可能エネルギーであり、CO２排出量に対する心配も不要な太陽光発電を導入すれば取引先や顧客などに「環境保護に積極的な企業」「時代の流れを理解している企業」という印象を与えられるでしょう。

産業用の太陽光発電の導入を検討しているものの「導入にあたってどんな土地を用意すればいいのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。そこでここからは、太陽光発電の導入に向いている地域の特徴を解説していきます。

とにかく広い設置可能面積を確保できる地域は、産業用太陽光発電の設置に向いています。産業用の太陽光発電は1kWの出力に10～15㎡ほどの敷地面積がなければ設置が不可能なので、ある程度の敷地面積を確保しなければなりません。
出力10kWの太陽光発電であれば100～150㎡、50kWなら500～750㎡、100kWの場合には1,000～1,500㎡ほどの広さの土地を確保しましょう。

照射時間の長い地域・立地も産業用太陽光発電の設置に向いていると言えます。太陽光発電は文字どおり太陽光によって発電されるため、日当たりの良し悪しは非常に重要な要素です。「周辺に山や森林があり時間帯によって大きく太陽光が遮られてしまう」「ビルや住宅が多く太陽光がうまく当たらない」という立地では、発電効率が低下してしまいます。
効率的な発電を実現するためには、ソーラーパネルを遮る障害物のないエリアを設置場所に選びましょう。

台風や雪などの自然災害・天候の被害を受けにくい地域も、産業用太陽光発電の設置に適しています。台風による被害が頻発する地域にソーラーパネルを設置した場合は、台風の雨・風が故障の原因になってしまうかもしれません。積雪量の多い地域では雪の重さに耐えられず、ソーラーパネルが割れてしまうことも考えられます。
できるだけ台風や積雪のリスクが低い地域を選べば、ソーラーパネルが故障する可能性も低下させられるでしょう。

塩害リスクの有無も、産業用の太陽光発電を設置する際には考慮したい要素です。海の近い地域に太陽光発電を設置した場合は、潮風による塩害を受けてしまうかもしれません。ソーラーパネルはもちろん、配線や架台といった部品・設備も塩害に強くなく腐食・錆の原因になることもあり、それらが広範囲にわたれば発電が困難になってしまいます。
修理や取り替えなどのリスクを抑えるという意味でも、太陽光発電はできるだけ内陸部に設置するのが安心ではないでしょうか。

地盤の強い地域も、産業用の太陽光発電の設置に向いている地域です。産業用太陽光発電は基本的に約20〜30年間稼働するとされており、その期間の中で地震や豪雨災害が起きる可能性はゼロではありません。太陽光発電システムは常に災害のリスクに晒されています。
あらかじめ地盤の強い地域にソーラーパネルを設置すれば、地震や豪雨災害、土砂崩れなどが発生した際にも被害を受けにくいと考えられます。

産業用太陽光発電の設置にかかる費用は電気工事会社や設置条件などによって変動しますが、基本的な相場は以下とされています。
・～20kWの小規模産業用太陽光発電を設置する場合、設置容量が15kWで約210万円
・20kW～40kWの中規模程度の産業用太陽光発電を設置する場合、設置容量が25kWで約350万円
・50kW〜の大規模な産業用太陽光発電を設置する場合、設置容量が54.40kWで約760万円

産業用太陽光発電の導入にあたっては、施工会社選びに注意する必要があります。主なポイントは以下の通りです。
・正規資格を保有しているか
・太陽光発電に関するスキルや知識が豊富か
・さまざまなメーカーの製品を取り揃えているか
・設置後のメンテナンスや修理が十分か
これらをしっかりと確認した上で「安心して依頼できそう」と感じた会社を選びましょう。また、依頼先を選定する際はこれまでの施工実績を確認しておくことも大切です。

この記事では産業用太陽光発電を導入する際に注意すべきデメリットやメリット、太陽光発電の設置に向いている地域などについて解説してきました。産業用の太陽光発電は設置する地域・環境も大切ですが、長期間にわたる安定稼働を叶えるためには設置を依頼する業者選びも重要だと言えます。
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