データベースマーケティング/CRM成功の鍵は顧客管理にあり!

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更新日:2017年11月21日 | 公開日:2017年03月06日

データベースマーケティングとは、マスマーケティングと違って顧客との接点を切り口に顧客一人一人にアプローチしていく方法です。
また、CRM(カスタマー・リレーション・マーケティング)はマスマーケティングと違い、一方的な製品サービス情報の提供ではなく、顧客との関係を構築していくマーケティングです。

しかしマスマーケティングと明確に一線画するという点においてこのデータベースマーケティングとCRMとは共通しているものの、両者には実は明確な違いがることをご存知でしょうか?

この違いをおさえていないと、自社にとって最適な顧客管理の形がなかなか見えてこないのが実情です。

この記事では、CRM、データベースマーケティングを「顧客データ」の取扱いから整理してそれぞれの特徴を理解し、自社にとって最適な顧客管理・アプローチの手法を探し出すヒントを提供します。

データベースマーケティングとはどんなマーケティング手法か?

画面にグラフが表示されたパソコン

データベースマーケティングはCRMと同じく、顧客管理の手法の一つです。
具体的にはこれからターゲットとしたい顧客の属性情報(年齢、性別、居住地など)や、これまで自社で商品やサービスを購入した顧客の購買履歴などのなどのデータを分析することにより、その時に採りうる最も有効なマーケティング施策を導き出す顧客管理の手法です。

ここで重要なのは、「その時に採りうる最も有効なマーケティング施策を導き出す顧客管理の手法」です。
データベースマーケティングはCRMと混同されることが多いのですが、CRMはデータベースマーケティングよりも顧客との長期的な関係構築を重視します。

データベースマーケティングでは、もっと「即効性のある新規顧客開拓」や、「既存顧客の引き止め」といった効果を狙う顧客管理の手法です。

この2つの特徴について、整理してみましょう。

1. データベースマーケティングにおける即効性のある新規顧客開拓

顧客データ購入

データベースマーケティングにおいて即効性のある新規顧客開拓の方法として最もわかりやすのは、「顧客データを購入する」という行為でしょう。
違法に売買される名簿を買うという行為は論外ですが、本人の同意(オプトイン)のもとに提供されたメールアドレスなどを、年齢性別などの必要な属性に従って購入し、それに対してダイレクトにアプローチをかけていく方法は、ある意味でデータベースマーケティングの典型的な手法だといえます。

イベントやウェブプロモーションなどからのデータを取得

新製品の商品フェアや住宅展示場などのイベント型の施設において、来場者にプレゼント付きのアンケートを実施し、見込み客を抽出してアプローチするというのも、データベースマーケティングの重要な方法です。
この場合は単純に名簿を購入することよりもより見込み度の高い顧客を獲得することができます。

また、リアルでのイベントをしなくてもウェブ上などでのイベント、アンケート、プレゼントなどからも見込み客データを取得することが可能ですね。

既存購入客に他の製品紹介を行う

厳密な意味での新規顧客開拓ではありませんが、既存の別製品の購入者に対して関連商品を勧めたり(クロスセル)、よりグレードの高い製品を勧めたり(アップセル)することによって、製品単位で新規の顧客を獲得していきます。

2. データベースマーケティングにおける既存顧客の引き止め

データベースマーケティングにおいて、もう一つ重要な顧客管理手法が既存客の引き止めです。
新規顧客開拓に比べて、すでに自社の顧客となっている場合一般的には販売コストは下げられます。

既存顧客にアプローチする場合でも、データベースマーケティングの場合にはCRMのように既存顧客をじっくり育てるという視点ではなく、下記のように即効性のある引き止め策、もしくは思い切った「死に筋客」(営業マンからのフォローアプローチにすら反応がない顧客)の整理が重視されます。

データ分析で既存客を引き止める

既存顧客の購買データを見れば、以前は買ってくれていたのに最近まったく購買に結びついていないという顧客を抽出することが可能です。
BtoBなどで営業マンがこうした顧客にアプローチできる場合には、製品に対する不満や、改善点、価格に対する希望などをヒアリングするきっかけになります。
また、メールなどで新製品案内などをプッシュすることも有効です。

完全に「死に筋顧客」という状態になる前に、データからこうした危険水域の顧客を抽出して早めに改善対策を取ることがポイントですね。

データ分析で「死に筋顧客」を整理する

以前は買ってくれていたのにまったく購買に結びついていない、かつ、こちらからの再アプローチに関してもまったく反応がない、という顧客は深追いせずに顧客データベースから外してしまうことも大切です。
よく言われるニッパチの法則、専門用語でパレートの法則と呼ばれる「2割の優良顧客が全体の8割の売上に貢献している」というデータがあります。

CRMの場合には、こうした死に筋が生じないための施策を多角的に実施しますが、即効性重視のデータベースマーケティングでは、思い切って死に筋を整理し、優良顧客2割へのヒト・モノ・カネの資源投入を図る施策が採られることが一般的です。

CRMとはどんなマーケティング手法か?

赤い文字で書かれたmarketing

CRMはデータベースマーケティングと同じく、顧客管理の手法の一つです。
しかし、両者には顧客管理の考え方において明確な違いがあります。

CRMでは、データベースマーケティングで鍵となる個人の情報や購入・利用履歴・年齢、性別などのデモグラフィックデータの他、営業マンが知り得た趣味、嗜好などの属性データまで管理します。
また、苦情や意見、要望といった問合せ履歴、営業サイドからのフォローに対する態度など、ありとあらゆる顧客情報を管理して顧客満足度の向上に役立てます。

先に見てきたように、データベースマーケティングでの顧客管理を一言で定義すると「その時に採りうる最も有効なマーケティング施策を導き出す顧客管理の手法」でした。
これに対して、CRMの顧客管理は「顧客との長期的な信頼関係を築くことで、顧客一人の長期にわたる購買活動を最大化するマーケティング手法」であるといえます。

それではCRMによる顧客管理の具体的な手法を見ていきましょう。

CRMは潜在層顧客に着目する

資料と虫眼鏡

CRMでは、まだ顧客となっていない潜在顧客に着目します。
「いますぐこのサービスを試してみたい」「今すぐこの製品で悩みを解決したい」という自分の欲求が顕在化した見込み客はすでに同業他社からのアプローチを受けていたり、自分自身で様々な製品を比較検討したりしている段階ですので、非常にライバルとの競争が激しい環境にいると言えます。

例えば車選びで言えば、すでにカタログをたくさん取り寄せて検討を始めているという段階ではなく、「車があったらご家族の週末はもっと楽しくなりますよ」という雑談をしている段階と言えます。

顧客獲得におけるレッドオーシャンを避け、まだ手付かずの状態にある顧客の隠れた欲求を徐々に顕在化させていくようなアプローチを取ることで、「車を買うなら、あの時雑談した人…」というラポール(コミュニケーションの橋)を構築するところに特徴があります。

CRMは段階的な顧客育成を重視する

ビジネス資料

データベースマーケティングにおける顧客管理は「即効性」が重視されました。
優良顧客の2割が全体の売上の8割を占めるというパレートの法則に従って経営資源を2割の顧客に集中し、8割の顧客は思い切って切り捨ててしまう、というのがデータベースマーケティングの基本的発想です。
つまり売上達成に結びつかない顧客は顧客管理の対象から外していくというのが原則です。

これに対してCRMでは、最終的な売上達成というコンバージョンに至るまでに、いくつものマイルストーンを設置します。
例えば、「車があったらご家族の週末はもっと楽しくなりますよ」という雑談をした後、営業マンに電話した、ショールームに来てくれた、試乗してくれた、などが一つ一つ小さなコンバージョン(ライトコンバージョン)として最終コンバージョンと同様に肯定的に評価され、データベースに蓄積されます。

CRMでは優良顧客を「顧客生涯価値」(LTV)で評価する

電卓とペン

データベースマーケティングが即効性を重視するのに対し、CRMは「顧客生涯価値」(LTV)を基本指標とします。

「顧客生涯価値」とは、顧客が一定期間内にその企業の商品やサービスを購入するであろうと見込まれる合計値となります。

例えば、車を考えてみましょう。多くの人は車を生涯にたった1台しか買わないということはありません。
マイナーチェンジごとに新車に買い換える人は少ないにしても、とくに大きな故障がなくても大きなモデルチェンジで新車に買い換える顧客は、自社にとっての優良顧客だといえるでしょう。

この優良顧客をつなぎとめるためには、例えばこれまで常に自社の車を新車に買い替えてくれた顧客に対し、今後も継続して自社の顧客であり続けることを期待して、特別割引を実施するなどのマーケティング施策を取ることなどが考えられます。

これはわかり易い言葉で言えば「損して得取れ」といえるでしょう。
この損して得取れという考え方は基本的に即効性を重視するデータベースマーケティングにはありません。

データベースマーケティング/CRM導入の失敗例から学べること

Failureと表示されたパソコン

ここまでデータベースマーケティングとCRMのそれぞれの特徴について、「顧客管理」にどのようにデータを活用するかを軸に整理してきました。

ここで大切なのは、データベースマーケティングとCRMのどちらが優れた顧客管理手法であるかと問うことではありません。
データベースマーケティングの即効性、CRMの長期的視点による顧客育成にはそれぞれのメリットがあり、結局そのメリットを自社の顧客管理にどう活かしていくかの見極めこそがもっとも重要なポイントです。

この点を曖昧にしたままデータベースマーケティングやCRMを導入しても、結局失敗してしまうことが多いので注意が必要です。
以下では典型的な失敗例を4つ見てみましょう。

1.「データをすぐ利用したい」のか「データを育てたい」のかが曖昧であることによる失敗

顧客管理において顧客データを取り扱う際には「データをすぐ利用したい」のか「データを育てたい」のかをはっきりさせることが大切です。

例えば「一人でも多くの見込み客にすぐにでも営業部隊がアプローチをかけたい」ということを優先させる場合には、今すぐ利用できる顧客データをピックアップして営業部隊が日々の営業活動に使えるデータをリスト化することが大切です。
この場合、営業マンに求められるのは顧客をじっくり育てることではなく、他社に見込み客を取られる前に一人でも多くの顧客を囲い込むことです。

したがって、見込み度が薄いと判断された顧客はさっさと見切りをつけ、データから削除してしまうことで常に営業活動に最適化された顧客データが営業マンに届けられる体制が構築できます。

一方で、現在は潜在的な需要しかなかったとしても、やがて顧客の需要が顕在化することを狙うCRMにおいては、データベースマーケティングで切り捨ててしまった潜在顧客こそが将来の顧客につながるのだ、という発想をします。

自社が「データをすぐ利用したい」という戦略を重視したいのに、顧客を育てる仕組みであるCRMを導入してしまったり、自社が「データを育てたい」という戦略を重視したいのに有望顧客のみにフォーカスするデータベースマーケティングを導入してしまったりすると思った通りの効果が得られません。

また、そもそも「データをすぐ利用したい」のか「データを育てたい」のかがはっきりしていない段階でどちらかのシステムを導入してしまうとどうなるでしょうか?
現場の声不在・システムありきという、「誰も使わない、使いたくないお荷物状態の顧客管理システム」となってしまいます。

2. ゴールは営業マンへの支援なのか、顧客満足なのかをはっきりしていないことによる失敗

はてなマークと男性

データベースマーケティングも顧客管理をする手法なので境界が曖昧になりがちですが、その「出口(ゴール)」を考えると違いがはっきりしてきます。

データベースマーケティングは、営業マンが効率的に見込み客にアプローチするデータを提供することが「出口」となります。
これに対して、CRMは顧客の満足度をアップさせるという「ゴール」に向かって様々な施策を実施し、結果的に顧客の購買活動を最大化させていくという方法です。

このため、一般的にはデータベースマーケティングは営業部主体で導入されることが多く、CRMは営業を含む顧客サービス全体や、企業のイメージアップを担当する部署、経営トップ層とも連携して導入されることが多くなります。

どちらの顧客管理手法を導入するかによって、キーとなる担当部署も変わってきますし、導入後の運営体制も変わってきます。
そこをはっきりさせずに導入しようとしても、誰も当事者意識を持ってくれない「笛吹けど踊らず」状態のシステムができあがってしまうので注意しましょう。

3. 売上をどのタイミングであげたいのかはっきりしていないことによる失敗

データベースマーケティングもCRMも、最終的なゴールは営利企業の究極の目的である「利益の最大化」です。
しかし、その果実を刈り取るタイミングは大きく異なります。

データベースマーケティングは、いわば果実のなっていそうなところを見つけ出し、ライバルよりも先にそれを刈り取ってしまうことを目的とします。
これに対して、CRMはまだ果実となっていないつぼみの段階をラバルに先駆けて発見し、それを大切に果実に育て上げた上で収穫するというところに違いがあります。

また、データベースマーケティングでは一旦果実を穫ってしまった後は、最小限の顧客メンテナンスはしますが、いったん死に筋となってしまった顧客を深追いすることは基本的にはしません。
2割の優良顧客が全体の8割の売上を作るというパレートの法則に従って新たな有望顧客を探し、現時点で見込みの薄い顧客は整理していきます。
これに対して、CRMは一度顧客になってくれたお客様にタイミングを見て関連製品を勧めたり、上位製品を勧めたりといったアプローチを繰り返して、顧客一人からできるだけ多くの売上を上げていこうという戦略を取ります。

つまり、データベースマーケティングもCRMも「利益の最大化」が目的であることには変わりがないのですが、短期的な利益の向上を日々積み重ねることを重視(データベースマーケティング)するか、長期的なスパンを区切って売上を最大化するか(CRM)に違いがあるのです。

このため、短期的な売上とその積み重ねを重視する典型的な営業中心の会社でCRMを導入しても「ぜんぜん効果が上がらないじゃないか…」ということになりやすく、逆にじっくりと顧客満足を高めていこうという全社的なスローガンがあるにも関わらずデータベースマーケティングを安易に導入してしまうと、「そんな風に顧客を簡単に切り捨てていいのか?」という異論が噴出します。

成果をどのタイミングで出せばよいのかを明らかにしないままに顧客管理システムを導入すると、こうした失敗が間違いなく起きるといってよいでしょう。

費用対効果がどれくらいあるかないか、という単純な軸ではなく、費用対効果をどのタイミングであげたいのかをはっきりさせることが大切です。

4. データにお金をかけるのか、育てる仕組みにお金をかけるのかはっきりしていない

コーディング画面

データベースマーケティングを実施する際、すでに見込み客リストとして整備された有料データを購入するには相応の顧客データ取得料金がかかります。
また、現在の優良顧客を発見するためのデータベースシステムを構築するにも相応のシステム構築料金が発生します。
データベースマーケティングの場合には、投資の比重は有料データの取得と優良顧客選別システムにあるといえるでしょう。

例えば、全体の2割の優良顧客を抽出する定番の方法としてRFM分析がありますが、こうした仕組みを導入しておけば(Recency(リセンシー):最新購買日、Frequency(フリークエンシー):購買頻度、Monetary(マネタリー):購買金額)などを指標に有望顧客を発見することができます。

また、CRMを導入するに際しては初期導入費用だけでなく、顧客を育てていく仕組みをどこまで充実させるかで投資金額は大きく変わってきます。
月額数千円程度から開始できるクラウドサービスから、数千万円をかけて構築するオンプレミスのシステムまで、投資金額はそれこそピンきりとなります。

最近のトピックスとして、営業窓口主体の顧客情報収集チャネルだけでなく、インターネットや店舗、通販、イベントなどの多様なチャネルからデータを収集し、そのデータを加工して再び最適なアプローチチャネルを構築する「オムニチャネル」がありますが、こうした大規模な仕組みをCRMと連動させれば顧客満足の精度は上がる一方で、投資予算はかなり大規模になることは避けられません。

いずれにしても大切なのは、データの取得と選別に投資するのか(=データベースマーケティング)、顧客を育てることに投資するのか(=CRM)をはっきりさせることです。

【まとめ】最適な顧客管理の導入の決め手を得るために必要なこと

タブレットを見せて会議をする風景

以上、データベースマーケティングとCRMのそれぞれの特徴と、導入メリットについて整理してきました。

どちらも「顧客管理」の手法ですが、自社にとってどちらを選択するべきかについて、慎重になる必要があることがお分かりいただけたと思います。

自社にとって最適な顧客管理の導入の決め手としては、これまで整理してきたように下記の点が重要です。

■ 「データをすぐ利用したい」のか「データを育てたい」のかはっきりさせる
■ ゴールは営業マンへの支援なのか、顧客満足なのかをはっきりさせる
■ 売上をどのタイミングであげたいのかはっきりさせる
■ データにお金をかけるのか、育てる仕組みにお金をかけるのかはっきりさせる

データベースマーケティングとCRMのメリットカタログ的に比較するのではなく、自社が求める顧客管理はどのような形を持つべきか、というイメージをはっきりさせることが何より大切となります。

「顧客管理」システムを導入するための外注選びは、こうした自社にとってのベネフィットをしっかりと見極めて最適な提案をしてくれる会社を軸に検討することが必須です。

料金の安さのみに目がいってしまうのも、どのように使うかもはっきりしないような高機能な仕組みにばかり目がいってしまうことも、顧客管理システム選び失敗の黄色シグナルだと言えるでしょう。

もし、自社が求めるシステムそのものを明確化することから必要であれば、その段階からパートナーとして参画してくれる外注先を選び出すことが成功のポイントとなります。

もし自社で最適なパートナーを探すことに難しさを感じるようであれば、この分野でのパートナー選びに実績のある「アイミツ」にまずはご相談ください。

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