【第4回今日役に立つビジネス法務】販売委託の際に注意すること

販売代理店契約を結ぶ際に失敗しない5つのポイント

更新日:2017年09月11日 | 公開日:2017年09月11日

商品を販売する手段は、自分で直接販売をするだけではありません。他社に販売を委ねて、商品を売ってもらうという方法もあります。
「●●販売店」「△△特約店」といった表示を見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。

今回のテーマ「販売代理店契約」も、他社に販売を委ねて、代わりに契約を締結してもらうための契約です。
他社に販売代理店になってもらう場合の、主なチェックポイントを見ていきましょう。

1.その代理店は「販売店」ですか?「販売代理店」ですか?

腕時計を見せる男性

「代理店」と一口にいっても、その代理店が「販売店」である場合と「販売代理店」である場合があります。
ここでいう「販売店」は自ら商品を買い取って顧客に転売するもの、「販売代理店」は自身は売買の当事者にならず、メーカー等売主の売買契約を代わりに締結するものをいいます。

販売代理店の場合には、販売代理店はあくまで代理人であって、販売代理店が締結した契約の当事者はメーカー等と顧客です。
契約の効果は直接メーカー等に帰属します。

〔販売店〕
  • メーカー等→(売買)→販売店→(売買)→顧客
〔販売代理店〕
  • メーカー等→(売買:販売代理店が代理)→顧客

契約書でも、両者が区別されずにただ「代理店」と書かれてしまっているものも多いのが実情ですが、両者は全く性質が異なりますので要注意です。
「販売代理店」契約を締結する場合には、販売代理店があくまで代理人として商品を販売すること、売主はあくまでメーカー等であることを明記しましょう。

2.販売代理店に独占的な販売権を付与しますか?

パソコンを操作する男性の手

販売代理店契約では、その販売代理店に独占的に商品を扱う権利を与えるかどうかという点が、特に重要なポイントになります。

独占権を与えると、メーカー等の売主は他社を販売代理店とすることができなくなります。
自社の直接販売も行わないという約束をする場合もあります。
独占契約とする場合でも、地域や期間を絞って、その範囲内での独占権を与えることも多いです。
販売代理店にとっては、独占権をもらえれば競合がいないことになるので、商品の販売が行いやすくなることが一般的です。

他方、メーカー等にとっては、独占権を与えるとその商品の売上が販売代理店の販売力や意欲次第になってしまうというリスクがあります。
また、販売代理店を通じて自社商品の情報が競合他社に流れてしまうことも防止しなければなりません。

販売代理店
  • 競合がいないので、商品の販売が行いやすくなる
メーカー
  • 商品の売上が販売代理店の販売力/意欲に依存しがち
  • 自社商品の情報が競合他社に流れてしまうリスク

このように販売代理店契約を締結する際には、独占権の有無・独占権を与えるとしてその独占範囲を明記することがとても重要です。

3.競合品の取扱いは決めましたか?

立ちながら会議する男女

販売代理店が、競合する他の商品を取り扱うことを禁止するかどうかを取り決めます。

販売代理店としては、販売代理店になったとしても、他に魅力的な商品があればそれを販売したいということもあるでしょうから、制限はされないほうが基本的には有利でしょう。

他方、メーカー等からすれば、自社商品と競合品とを両方取り扱われてしまうと、せっかく販売代理店を指定しても自社商品をしっかりと販売してくれない可能性が出てきますので、競合品の取扱いは禁止しておきたいところです。

販売代理店
  • 競合品の取扱い制限はされないほうが基本的には有利
メーカー
  • 競合品の取扱いは禁止しておきたい

契約書で明記しないでおくと、知らない間に競合品を取り扱われてしまっていた・・・といったケースも出てきかねませんので、契約の際しっかりと取り決めておくべきです。

4.販売手数料は明確ですか?

売代理店の場合は、契約で定められた販売手数料が収入となることが一般です。

この販売手数料の定め方が曖昧だと、後日トラブルの原因になりかねません。
販売手数料の計算方法や支払時期、支払い方法については誤解が生じないように、きちんと定めましょう。

たとえば、「代金の○%が手数料」と取り決めた場合でも、

手数料の注意点
  • 「代金」は顧客への実際の販売代金か?小売希望価格か?
  • 消費税込みの代金の○%か、消費税別の代金の○%か?
  • 代理店が値引き販売したような場合、ベースとなる代金は値引き後価格か値引き前価格か?
  • 販売代理店が支出した経費をひいて良いのか??良いとしたら、「経費」にどこまで含まれるのか?

…等々、疑義がでてくることが多くあります。

また、顧客からの代金が後払いの場合、顧客が代金を支払わない場合に手数料が発生するのかどうかということも大きな問題になります。
このことは、販売代理店が代金回収リスクを負うかどうかとも密接に関連します。

販売代理店としては、販売をした以上手数料はもらいたいところですし、メーカー等としては、販売代金が手元に入っていないのに手数料を支払いたくはないでしょう。

販売代理店
  • 販売をした以上手数料はもらいたい
メーカー
  • 販売代金が手元に入っていないのに手数料を支払いたくはない

代理店に支払う手数料が「販売をしたら」発生するのか、「メーカー等が代金を受領したら」発生するのかは取り決めておくべき事柄です。

5.契約終了事由は明確ですか?

会議する4人

販売代理店契約では契約期間を定めることが一般的です。

期間が満了すれば、契約は終了しますが(自動更新条項を付けることもあります)、それ以外でどのような場合に契約が終了するのかを取り決めておくことが必要です。

メーカー等の立場からすると、販売代理店が成果を出してくれないような場合や販売代理店の販売方法に問題がある場合には、契約を終了させたいケースも出てくるでしょう。
特に、独占契約の場合には契約が続く限り他社を販売代理店にすることもできませんので、深刻な問題になりかねません。

もっとも、「成果を出さない」といっても、たった一ヶ月売り上げ目標を下回っただけで契約を終了できるような内容としてしまうと、販売代理店側が一方的に契約を解消されるリスクをおそれて、その商品の販売に対して労力やコストを投下してくれなくなってしまうかもしれません。

販売代理店
  • 一方的な契約終了条件だと、契約を解消されるリスクから商品の販売に対して労力やコストを投下しなくなる恐れ
メーカー
  • 販売代理店の成果が出ない/販売方法に問題がある場合には、契約を終了させたい

販売代理店契約では、どのような場合に契約が終了するのかの設計が、他の契約以上に重要になります。
また、契約終了時の手続き、事前通知の要否や、在庫商品の返還やその費用負担についても定めておきましょう。

今回は、販売代理店契約の大きなチェックポイントをお話ししました。

これらは、それぞれ独立に考えるものではなく、「独占権を与えるから、競合品の取扱い制限は厳格にしよう。」等、全体的な視点で考える必要があります。
このような点をふまえて、自社にとって適切な販売代理店契約を締結するようにしてください。

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