【第9回今日役に立つビジネス法務】「就業規則」について

【今日役に立つビジネス法務第9回】アイミツ版六法全書

更新日:2017年09月08日 | 公開日:2017年09月08日

今回は就業規則についてご紹介します。

従業員を雇っている会社の中には、就業規則のある会社と無い会社があります。
就業規則は会社の規則を定めたもの、ということはなんとなく知っていても、何のために定めるのか、いつ・どのような場合に定めなければならないのか、具体的に何を定めるべきかなど、よく分かからないという方も多いでしょう。

そこで、会社が知っておくべき就業規則のキホンについて、解説していきます。

就業規則とは?

さまざまな職種

就業規則というのは、その名のとおり、会社で就業するにあたって従業員が守るべき規則を定めたルールブックです。
しかし、そのようなルールだけでなく、労働時間や休日、賃金などといった従業員の労働条件についても規定されています。

従業員の労働条件については、会社と雇用契約書にて個別に定め、合意するのが原則です。
しかし、ある程度の人数がいる場合には、労働条件を画一的に定めておく方が経営上も効率的であるため、従業員の労働条件についても就業規則の中に規定しておく必要があります。

雇用契約書と労働条件通知書の違い

書類にサインする人

よく、「雇用契約書」「労働条件通知書」は何が違うのかわからない、といった声を聞きます。
「雇用契約書」というのは、労働条件について会社と従業員との間で合意した内容を定めた契約書をいいます。
一方、「労働条件通知書」は、会社が従業員に対し、一方的に労働条件を通知するものです。

就業規則のある会社では、画一的な労働条件や従業員に守ってほしい就業上のルールについては就業規則に定められていますので、「労働条件通知書」には従業員ごとに異なる個別の条件(契約期間、就業場所、具体的な給与の額や賞与の有無など)を記載することで足ります。

一方、就業規則のない会社では、画一的な労働条件や就業上のルールについても「雇用契約書」において定めておかなければ、従業員に命令したり、ルールを守るよう求めることができなくなる場合があるでしょう。

したがって、就業規則のない会社では「雇用契約書」を使用し、就業規則のある会社では「労働条件通知書」を使用するのが一般的です。

ただ、このような区別は厳密なものではなく、「労働条件通知書」であっても、従業員の同意を得たことを証するために、従業員の署名・捺印を求めるものもあります。

就業規則を作成するタイミングは?

相談する3人と時計

従業員を一人でも雇ったら就業規則を作成しなければならないというものではありません。
法律上は、常時雇用する従業員の数が10人以上となったときに、就業規則の作成・届出義務が生じます(労働基準法第89条)。

この従業員には、いわゆる正社員だけでなく、有期雇用労働者や、パートタイマー、契約社員なども含まれますので、うちは正社員5人であとはパートさん5人しかしかいないから大丈夫、というのは間違いになります。

なお、就業規則は、事業場単位で作成・届出する必要がある点には注意が必要です。

就業規則の役割

資料をチェックする人

就業規則の役割は、大きく分けて次の2つあります。

就業規則の役割
  • 従業員に対する労働条件明示の確保と労働条件の最低ラインの確保
  • 企業内の秩序維持と労務管理の効率化

ではそれぞれについて詳しく説明していきます。

従業員に対する労働条件明示の確保と労働条件の最低ラインの確保

従業員に対する労働条件明示の確保と労働条件の最低ラインの確保は、従業員を保護するという視点からの役割です。

会社が従業員を雇用する場合、始業・終業時刻や休日・休暇、賃金等の一定の労働条件を明示する法律上の義務があります(労働基準法第15条)。
通常は、雇用契約等に定めて明示するのですが、これらの事項のうち、事業場全体に共通する性質のある事項を就業規則に定め、労基署への届出義務を課すことで、労働条件の明示を確保する役割を果たしています。

また、就業規則を定めた場合、雇用契約において就業規則を下回る労働条件を定めたとしても、そのような合意は無効とされ、就業規則に規定する条件で合意したものとみなされます(労働契約法第12条)。
したがって、就業規則は、労働条件の最低ラインを確保する役割をも果たしています。

企業内の秩序維持と労務管理の効率化

企業内の秩序維持と労務管理の効率化は、会社が効率よく人事・労務管理を行うという視点からの役割です。

経営者の中には、就業規則を定めることを嫌がる方もいますが、就業規則は、従業員を守るだけのものではありません。
前記のように、就業規則というのは、従業員が守るべき規則を定めたルールブックですので、従業員に守ってほしい就業上のルールについて定めておくことで、会社内の規律を維持することができるのです。

特に問題となるのが懲戒処分です。

懲戒解雇などの懲戒処分については、悪いことをした従業員に対する罰であり、このような罰を与えることは従業員に大きな不利益をもたらすこととなります。このような懲戒処分について、裁判所は、懲戒処分の種類や懲戒事由をあらかじめ就業規則に規定していなければならないとしています。

したがって、就業規則において、従業員が守るべき規則を定めておき、これに違反した場合には、懲戒処分をすることがあるということを定めておかなければ、減給や降格といった罰としての懲戒処分を行うことができず、会社内の秩序を維持することができません。

まとめ

今回は、そもそも就業規則とは何か、またどのような役割を果たすのかといった点について解説しました。
基本的な部分の説明となりましたが、今回説明したような部分をしっかりと理解しておかないと、経営をしていく上で、大きな落とし穴となる可能性があります。
この記事を読んだ方は、再度自社の就業規則はもちろん、さまざま部分の体制に関して見直してみてはいかがでしょうか。

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