【第12回今日役に立つビジネス法務】取引基本契約の3つのポイント

【今日役に立つビジネス法務第12回】アイミツ版六法全書

更新日:2017年09月08日 | 公開日:2017年09月08日

「取引基本契約」とは、特定の相手方との間で、将来にわたって継続的に複数回の取引を予定している場合に、個別取引のすべてに共通する内容について合意するものです。
業務委託契約についても取引基本契約を締結する場合がありますが、今回は一番基礎的な物品の継続的な売買契約を想定して、そのチェックポイントについて解説します。

取引基本契約(売買基本契約)の3つのチェックポイント

1.間違いなく代金回収できるか?

ドル紙幣

売り手としては、商品が大量に売れたとしても、最終的には代金回収ができなければ意味がありません。
代金が回収できるまで一切気が抜けないと言う経営者も多いところです。
そのため、取引基本契約書でも、代金回収のための手段を確保しておくことが非常に重要になります。

具体的には、根抵当権、動産譲渡担保権、債権譲渡担保権等の設定、保証金の差し入れ、連帯保証人の確保などといった担保を設定することが考えられます。
いずれの手段を利用することができるかという点については、契約締結時点での相手方の資金力や資産の状況等様々な考慮要素の状況次第ですが、もっとも適切な担保を確保しておくことが重要です。

2.お互い「損害」についての共通認識があるか?

株価収益率

契約違反があった場合に備えて、損害賠償条項を定めておくことは当然です。
問題は、どのような内容の損害賠償条項を定めるかです。損害の種類を限定する場合や、端的に損害賠償額の予定額を明記する場合などもありますが、例えば、予め想定できる具体的な「損害の項目」を列挙しておけば、特定の損害が賠償の範囲に含まれるか等といった損害論に関する争いによって訴訟が長期化してしまうことを予防することができ、また、損害の目安を把握することができるのでリスクを回避しやすくなります。

納品された部品に欠陥があった場合を例にとると次の4つをあげることができます。

納品された部品に欠陥があった場合の「損害の項目」
  • 欠陥部品の補修費用
  • 既に市場に出回っている欠陥部品の回収費用(広告宣伝費・人件費)
  • 欠陥部品が原因で発生した人的・物的損害
  • 1から3までの損害を回収するために要した裁判費用、弁護士費用等

3.関係解消できるか?

融資

取引基本契約のような継続的契約関係は、長期にわたるものであるため、市場が変化するなど、継続中の取引を終了させたいと考える場面も出てきます。
このような場合に備えて、取引基本契約書では任意解除権について定めておくことが推奨されます。

もっとも、ただ契約に規定しておけばいいというものではないので注意が必要です。
裁判例には、「契約を解除できるかどうかについては、今まで継続的取引関係にあった期間取引内容、その取引に関する設備投資、解約理由等の他、事前に説明を行ったかどうかなども掛酌される」とするものもあり、任意解除権は完全なフリーハンドで行使できるものとして認められているわけではありません。
一般的には6ヶ月~1年の猶予期間を置いて、又は同期間分の補償金を支払って契約関係を解消することになりますので、取引を終了させる場合のスケジューリングを検討する際にも注意が必要となります。

まとめ

取引基本契約は、継続的関係に基づく契約だからこそ、何度も訪れる代金回収の局面、未然に防いでおきたいトラブルの局面、そして関係解消の局面に特に注意を払う必要があります。
手元にある取引基本契約書を、今一度確認してみてはいかがでしょうか。