【第3回今日役に立つビジネス法務】ソフトウェアライセンス契約

【第3回今日役に立つビジネス法務】アイミツ版六法全書

更新日:2017年09月11日 | 公開日:2017年09月11日

従来は、ライセンス契約といえば、音楽などのコンテンツ利用に関するライセンス契約や、特許など技術関連のライセンスなどが一般的でした。
しかし近年では、ASPサービスや、クラウドストレージサービスなどのITサービスの普及に伴い、ソフトウェアを使用許諾するという形態のサービスが増えてきています。

そこで、今回は、ソフトウェアライセンス契約書のポイントについて説明します。

サブライセンスは必要?

ペンを持ち頭を抱える女性

ソフトウェアライセンス契約において、サブライセンスを行う権利を含める場合と含めない場合があります。
そもそも、ライセンス(=使用許諾)とは、ライセンサー(許諾する側)が、ライセンシー(許諾を受ける側)に対し、「ソフトウェアを自分で使用してもいいよ」というお許しを与えることをいいます。

そして、サブライセンス=再使用許諾とは、「ライセンシーが他の人に対して使用許諾してもいいよ」ということをいいます。このようなサブライセンス付のライセンス契約を締結した場合、ライセンシーは、エンドユーザーに対し、自分が主体(サブライセンサー)となってソフトウェアの使用を許諾することができるのです。

ライセンス契約において、サブライセンスを付すかどうかは、どのような形態で利用するかによります。

1.非サブライセンス型

たとえば、ASPサービスなどの場合、通常は、サービス事業者がエンドユーザーに対して使用許諾するだけで十分です。
逆に、エンドユーザーが他の人に勝手に使用許諾できるとしたら、サービス事業者の知らないところで勝手に使われてしまいかねず、得られるはずであった収益を失うなど、困ったことになります。

もっとも典型的な例は、EvernoteやDropboxなどのクラウドストレージサービスです。これらは、サービスを利用したいエンドユーザーに対しライセンサーであるEvernote等が直接ソフトウェアの使用を許諾します。

ところで、ライセンシーが、自社でソフトウェアの販売を販売力のある企業に委託する場合もあります。この場合、その企業は、ソフトウェアの宣伝を行い、使いたいと言ってくれる顧客を見つけて来て、ライセンシーと契約させるという販売代理店的な立場になります。具体的には、Windows Officeなどが挙げられます。Windows Officeは、ROMやPCに入った状態で家電量販店などにおいて販売されていますが、これを購入したエンドユーザーは、実際に使うときにMicrosoftから使用許諾を受けるわけです。

2.サブライセンス型

一方で、BtoBの場合、関連企業間で同じサービスを利用したいというニーズもあります。しかし、ライセンサーがいちいち全部の企業とライセンス契約を締結するのは面倒です。

そこで、ライセンサーがライセンシーに対して、「特定の関連会社へのサブライセンスをしてもいいよ」というサブライセンス付きライセンスを付与することがあります。これにより、ライセンサーは、ライセンシーの間でのみライセンス契約を締結すれば良く、あとは、ライセンシーがその契約で定められた範囲内で関連会社に自ら再使用許諾するという手法を取ることができるので、ライセンサー側の手続が簡便になるのです。

独占的使用許諾と非独占的使用許諾。どっちがいいの?

パソコンを操作する女性

ソフトウェアライセンス契約において、使用許諾の範囲を独占的とするか非独占的とするかを定めることは非常に重要です。では、どちらにすべきなのでしょう。ライセンシーの立場から考えてみましょう。

ライセンシーからすれば独占的な方がいいに決まっているのでは?と思うかも知れません。しかし、独占的とすべきかどうかは、ソフトウェアの内容や、それを使って何をしようとするかによって変わってきます。

例えば、先ほどのASPサービスの場合に、「独占的に使用させて」と言ったところで、ライセンサーが「いいよ」というわけがありませんし、ライセンシーとしても、自社がそのサービスを利用できればいいのであって、特に独占する必要はありません。

一方、ゲームのパブリッシングなどの場合には、同じゲームが同時に別々の事業者からリリースされたのでは、ユーザーの取り合いになってしまったり、他事業者のせいでゲームの評判が落ちるといったリスクがあります。

また、コスト面も重要な判断要素になります。
独占的使用許諾とするためには、非独占の場合よりも高いロイヤルティ(使用許諾の対価)を払うことになります。ライセンシーとしては、そのソフトウェアを用いた収入源がそのライセンシーからだけになってしまうからです。

そこで、独占的とする場合であっても、そのソフトウェアを利用できる国や都市を限定したり、周辺商品への使用の可否などを定めることで、コストとのバランスを図るケースが多くあります。

対価はどう設定すべき?

大量の1万円札

ソフトウェアライセンス契約においては、ロイヤルティ(使用許諾の対価)も重要な検討事項になります。
単純な非サブライセンス型の場合、ライセンサーは直接ライセンシーに使用許諾するので、その対価としてのロイヤルティも直接払ってもらうことになります。

一方、サブライセンス型の場合、ライセンシーがエンドユーザーに再使用許諾した数に応じてロイヤルティをとることになるのが一般的です。したがって、サブライセンスの数をきちんと把握できるよう、契約上手当しておくことが必要になります。

また、契約開始時点でまずイニシャルでロイヤルティの一部を支払い、その後はサブライセンスの数に応じてランニングでロイヤルティを支払っていくという場合もあります。これにより、ライセンサーは、ソフトウェアの売れ行き(サブライセンスの数)にかかわらずイニシャルでの支払いによる一定額の収益を確保できます。一方、ライセンシーとしても、イニシャルで支払った分、ランニングのロイヤルティを低く設定することが可能となり、継続的な収益見込める場合には自社の取り分を確保できるというメリットがあります。

その他にも、売切型という形で、ロイヤルティを一括で支払ってしまうという形態もあります。

どのようなロイヤルティを設定するかについては、ライセンサー・ライセンシーの双方が、ソフトウェアの販売予測や自社の資金状況などに照らし、自社に最も有利な形態で契約を締結するべく交渉することになります。

まとめ

ソフトウェアライセンス契約で定めるべき事項は多岐にわたりますが、その中でも、

ソフトウェアライセンス契約で特に重要な点
  • サブライセンスを含むか
  • 独占か非独占か
  • ロイヤルティの設定

といった点は、特に重要な点といえます。
ソフトウェアライセンス契約を締結する際には、これらの点について、しっかり定めたうえで、上手く交渉していただければと思います。