【第20回今日役に立つビジネス法務】著作物を引用するときのルール

【今日役に立つビジネス法務第20回】アイミツ版六法全書

更新日:2017年09月08日 | 公開日:2017年09月08日

ウェブサービスにおける「引用」という表現形態の増加

最近のウェブサービスの特徴ともいえますが、他者が生み出した作品を再編集する作品形態が目立ってきています。
その走りといえるのが、「ニコニコ動画」「YouTube」といった動画サービスにおいて、著作権法の問題はありつつも、他者が有する音楽著作物を独自にリミックスして再構成する表現形式です。
このような表現形式はネットメディアの在り方を表すものでもあり、場合によっては、既存のコンシューマー向けゲームのバグを利用して改造したゲームを作品として公開するような事例も多く見受けらます。
既存の著名サービスを再構成することで、ユーザーに新たな価値を与えるものであり、著作権法の問題はありつつも、ユーザーからの支持を得ているという実情もあります。

また、キュレーションメディアという、第三者が作成した記事、写真、動画などを再構成して、多数のユーザーを抱えるメディアが紹介するサービスも流行しています。
これも、広い意味では上述のネットサービスの在り方を問う表現形式であり、文化的には興味深い現象です。
この現象には、SNSによる記事のシェアリング・レコメンド機能が大きく関係しており、ユーザー間において気に入った記事を、友人又は見知らぬネットユーザーに対して紹介することが容易になっており、ウェブメディア誕生以前からリアルな場で行われてきたことがインターネット上でも容易に出来る環境が整備されたことを契機として爆発的に流行しているものです。

もっとも、このような他者が作成した表現を前提とする場合には、当然のことながら他者の有する著作権に配慮し、サービスを適法に運営する必要があることは言うまでもありません。
これは、いかに文化的に優れていたとしても、原著作者が有する著作物の価値にフリーライドしていることに他ならず、次の創作を阻害することにもなりかねないからです。
以下では、他者の著作物を引用する際のルールを紹介します。

他者の著作物を引用する際のルール

資料を読む人

まず、著作権法の大前提となっているのが、インターネット上の記事や写真であっても、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(著作権法第2条第1項第1号)に該当する限り、著作権法の対象となる著作物にあたるということです。
そのため、インターネット上の記事、写真などの多くのコンテンツは著作物に該当することとなり、これを複製する場合には、著作物を利用できる例外規定である「引用」(同法第32条)などに該当しない限り、無断で複製することは著作権侵害となるのです。

そこで、まず第一に、きちんと原著作者である者に許諾を受けた上で配信する手段を検討するのが筋です。
実際に、キュレーションサイトにおいても、著名なブロガーから許可を得て、タイトルだけSNS上でシェアされやすいタイトルに変更して配信しているサービスも多く見受けられます。
法的な疑念を抱えながらサービス運営していくのは得策ではないので、許諾を取得できるように交渉を行うことをまずは念頭に置くべきです。

それでも、許諾が得られないケースも想定できます。
許諾を得られない場合には、著作権法上の「引用」のルールを正しく理解し、これを運用していくことが求められるでしょう。
この点、著作権法32条は、公表された著作物は、引用して利用することができるとし、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならないと定めています。

「引用」のルールは、具体的には、以下のようなものとなります。

引用のルール
  • 他人の著作物を引用する「必然性」があること
  • 「自分の著作物」と「引用部分」とが区別されていること
  • 自分の著作物と引用する著作物との「主従関係」が明確であること
  • 「出所の明示」がなされていること

ウェブメディア運営の問題点

オフィス

上記の要件の中で、実際のウェブメディア運営において特に問題になるのは、「主従関係」です。
実際のキュレーションメディアなどを見た場合、記事にもよりますが、実際には写真が中心であり、末尾に簡潔にテキストで一文が添えられているような場合も少なくありません。
自ら生み出す著作物の方が主であり、あくまで引用する著作物は従たる存在でなくてはならないのです。
上場企業が運営するウェブサービスにおいてはこれを遵守してPV数を伸ばしているサービスも多く見受けられ、適法なサービス運営とサービスを継続的に伸ばしていくことを両立することは可能であると考えられます。

他者が有する著作物に完全にフリーライドするのではなく、キュレーションの本質的価値である「紹介すること」の本質を見誤らずに運営し、上記引用の要件を理解したうえでサービス運営していくことが求められているのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
インターネット上には数多くのウェブメディアがあり、参考にしたい記事やコンテンツもたくさんあるので、多くのメディアで「引用」が用いられています。
しかしながら、当然のように何から何まで引用を使っていると、後々トラブルになりかねないので、今回紹介したようなルールをしっかりと理解した上で、引用を活用するようにしましょう。

また著作権についてもっと詳しく理解を深めたい!という方がいらっしゃいましたら、弊社『アイミツ』にお問い合わせ頂ければと思います。
経験豊富なコンシェルジュがあなたにとって最適なご提案をさせていただいたり、弁護士や行政書士のご紹介をいたしますので、お気軽にご相談ください。