【第15回今日役に立つビジネス法務】「営業秘密」のトリセツ

【今日役に立つビジネス法務第15回】アイミツ版六法全書

更新日:2017年09月08日 | 公開日:2017年09月08日

企業の営業秘密の国内外への流出事案が相次いでいることを受け、今国会で「不正競争防止法」
が改正されました。
改正不正競争防止法では、営業秘密を侵害した場合の罰則が大きく引き上げられるなど、営業秘密侵害への対応が厳格化する内容となっていますが、企業にとって営業秘密がそれだけ重要であることを端的に示しているとも言えるでしょう。
そこで、今回は、企業にとっての「営業秘密」とは何か、また営業秘密との付き合いについて説明します。

1.営業秘密とは

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営業秘密の法律上の定義は、「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上または営業上の情報で、公然と知られていないもの」とされています。

この定義の中で特に重要なポイントは、「秘密として管理されている」(=秘密管理性)
という部分です。
法律は、企業情報の全てを保護の対象としているわけではなく、秘密管理性が認められる情報だけを保護するという立場を明らかにしているということになります。

2.秘密管理性が認められる情報

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では、秘密管理性が認められる情報とは、どのような情報でしょうか?
経済産業省が公表している「秘密情報管理指針」によると、秘密管理性を満たす情報とは、「秘密管理措置」を行うことによって「特定の情報を秘密として管理しようとする意思(秘密管理意思)が、従業員等に明確に示され、当該秘密管理意思に対する従業員等の認識可能性が確保される必要がある」とされています。
噛み砕いて言えば、従業員に対して、「この情報は秘密情報として取扱いますよ」と伝わるような措置を実施して下さいと要求しているわけです。

上記のような秘密管理措置は、企業の情報を「一般情報と秘密情報に区別する措置」と、「その情報が秘密情報であると明らかにする措置」から構成されます。
つまり、企業としては、情報を区分けした上で、秘密情報に該当する情報には、秘密情報であると明示しておく必要があるわけです。
その他に想定できる秘密管理措置としては、秘密情報にアクセスできる者を制限したりする措置などがあります。

問題は、これをどの程度の規模で実施すればよいのかという点ですが、これはなかなか一概には言えないところがあり、業種・業態や、従業員の人数によっても変わってきます。
実際、上記の「秘密情報管理指針」には、全従業員数が10名程度の会社で、パスワード等によるアクセス制限、秘密であることの表示等がなかったにもかかわらず、秘密管理性が肯定された裁判例も紹介されています。
この裁判例では、事業の性質上、情報への日常的なアクセスを制限できないことが考慮され、結果として秘密管理性が肯定されました。

3.秘密漏えい防止策

金庫

上で述べてきたことは、企業の情報を、「秘密管理性を満たす情報」にするための措置についてです。
これは、一般的な情報を、法律的に保護される情報に「格上げ」させるための措置と言い換えると分かりやすいかもしれません。
しかし、秘密情報として扱っていればそれだけで企業は安全かと言えば、そうではありません。
そうやって格上げされた秘密情報が漏えいしないようにするための方法は、また別途検討しなければならない問題です。

具体的な秘密漏えい防止策には、様々な事例が考えられますが、企業が導入する防止策の一般例としては、以下のようなものがあります。

秘密漏えい防止策の例
  • 情報機器の持出し管理
  • 持ち出し・複製の制限、廃棄管理
  • 重要度の高い情報の施錠管理
  • 施設立入り制限や、入退室(館)管理
  • ウイルス対策やハードディスクの暗号化
  • ネットワークファイアウォールの適切な管理
  • 外部からの不正アクセス対策
  • アクセス権の設定
  • アクセスログの取得と定期的な確認

有名なコカ・コーラ社は、レシピを厳重な保管庫で管理していることで知られていますが、その程度まで至らずとも、企業の規模や漏えい時の被害の大きさ等を勘案して、企業とその従業員に実践可能な秘密漏えい防止策を採用することが重要です。

4.情報管理規程作成のススメ

書類作成

上記のような秘密漏えい防止策を企業が取り入れようと思っても、それがどのように運用されるかについてのルールを定めなければ、実効性のあるものにはなりません。
そこで、企業としては、責任者や体制、対象となる営業秘密、情報に触れることのできる者(アクセス権者)、従業者の責務を定めた情報管理規程を作成しておくべきでしょう。
「情報管理規程」と聞くといかにも難しそうに思いがちですが、社内の情報を区分けさえすれば、実はそれほど複雑ではないものです。
ちなみに、現実の秘密情報漏えいの多くは、「管理ミス」、「誤操作」、「紛失・置忘れ」など、社内の人間の不注意に起因して生じています。
そのため、情報管理規程を定めるだけでなく、定期的に従業員研修を行うことを通じて、リスクをできるだけ小さくしておくことも重要です。

まとめ

さまざまな企業が自社の情報をしっかりと守っていますが、あなたの会社はきちんと情報を守ることができているのでしょうか?
少しでも危険性を感じたり、何か不安なことがあるのであれば、もう一度情報漏えいや、営業秘密に関して見つめ直してみましょう。

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