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裁量労働制とは?企業側・労働者側共に知っておくべき基礎知識!

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更新日:2019年01月31日 | 公開日:2019年01月31日

最近、新聞やテレビのニュースでよく話題になっている裁量労働制。厚生労働省が裁量労働制のデータ改ざんをしたことから、国会でも取り上げられているのはご存知の通りです。

裁量労働制は、労働者が出退勤時刻を自由に決めて、時間に縛られずに効率良く働ける制度です。しかし、中には残業代を払わずに長時間労働をさせるために制度を悪用する企業もあり、そのことは社会問題にもなっています。

今回は裁量労働制の内容とメリット、デメリットを詳しく解説。企業側、労働者共に知っておいて欲しい基礎知識もすべて紹介します。

1.裁量労働制とは

裁量労働制とは

裁量労働制とはみなし労働時間制の1つで、実労働時間に関わらず、一定の時間働いたものとみなす制度です。裁量労働制が適用されると、労働時間は従業員の裁量に委ねられ、出退勤時間は自由になり、労働時間の長短・残業の有無に関わらず、同額の給与を受け取ることになります。例えば、1日7時間労働の契約の場合、5時間で仕事が終わっても、9時間かかっても同じ給与を受け取ることになります。ちなみによく耳にする「みなし残業」も「みなし労働時間制」の一つです。

裁量労働制の本来の趣旨は、労働者が能力を発揮し、主体的、効率的に働くことで正当な評価を得ることにあります。しかし、仕事がみなし労働時間内で終わらなければ、サービス残業を実質的に強いられることになります。現在、政府が進める働き方改革の中でも、裁量労働制の問題点については議論されており、国会でも野党からは「定額働かせ放題」の制度であるとの批判も出ています。

こうした問題点があることから、裁量労働制が適用される職種は限定されています。また、労働者保護の観点から労働時間についても一定のルールが設けられており、導入要件も厳しく規定されています。

1-1.混同されやすい4つの制度

裁量労働制と混同されやすい制度として、高度プロフェッショナル制度、事業場外みなし労働時間制、みなし残業制度、フレックスタイム制度の4つの制度があります。いずれも「労働時間を自分で決められそうな働き方」というイメージがありますが、これらの違いを詳しく説明します。

高度プロフェッショナル制度

高度プロフェッショナル制度は高度な専門知識を必要とする仕事で、労働時間と成果の関連が高くない職業について、時間外労働、休日出勤、深夜労働について割増賃金を支払う対象から外す制度です。

高度プロフェッショナル制度が適用されると、残業代の支払いも不要になるので、適用には年収、職種で厳しい制限がつけられています。年収の規定は年収1075万円以上、対象職種は金融商品の開発、アナリスト、コンサルタント、研究・開発職などに限定されています。

高度プロフェッショナル制度と裁量労働制は労働時間を任意に決められる点は同じですが、裁量労働制には年収規定は特になく、深夜労働、休日出勤をすれば手当がつきます。また、裁量労働制は高度プロフェッショナル制度より適用職種も広く弁護士、公認会計士、デザイナー、大学教授なども対象となります。

事業場外みなし労働時間制

事業場外みなし労働時間制は、みなし労働制の一種で、社外で働く営業社員、自分の裁量で働く在宅勤務など、労働時間の把握が難しい労働者に対して適用されます。実際の労働時間に関わらず、一定の時間働いたとみなす点は裁量労働制と同じです。

裁量労働制との違いは、対象職種制限がない点、会社の指揮・監督命令が及ばない業務に適用される点です。また、残業手当、深夜労働手当、休日出勤手当は全て支給対象となります。

みなし残業制度(固定残業代制度)

みなし残業制度(固定残業代制度)は実際に働いた時間に関わらず、残業時間を一定とみなす制度です。みなし残業時間は予め労使間で合意を結ぶ必要があり、みなし残業代は予め給与に組み込んで毎月定額で支払います。

みなし残業代は固定ですが、それはあくまでも事前に決めた残業時間の上限を超えない範囲で定額であるということで、残業時間が労使合意の上限を超えた場合は、超過分の残業代は支払わねばなりません。労働者にしてみれば、残業をしてもしなくても残業代を一定額貰えるので、仕事が効率的に終わればメリットの多い制度です。

裁量労働制との共通点は実質的な労働時間に関わらず、一定額の給与が払われる点です。裁量労働制との違いは制度の対象となる時間で、裁量労働制が労働時間部分を対象としているのに対し、みなし残業制度は残業時間部分のみ対象としている点です。

フレックスタイム制度

フレックスタイム制度は、従業員が出退勤時間を自由に決められる制度です。裁量労働制との違いは、時間外労働手当がつく点、所定労働時間は働く義務がある点、コアタイムは必ず出勤していなければならない点です。

フレックスタイム制度には就業時間内に「コアタイム」と「フレックスタイム」の2つがあり、自由に出退勤できるのはフレックスタイムの時間内だけです。例えば、就業時間が9時~18時(休憩1時間・所定労働時間8時間)の会社で、13時~16時までがコアタイム、9時~13時&16時以降がフレックスタイムと規定されている会社があるとします。このケースでは1日8時間以上働けば、13時までなら何時に出社しても良く、16時以降なら何時に退社しても良いのですが、13時~16時の間は会社に必ずいなければならず、その間の出退勤は認められません。

2.裁量労働制の仕組み

裁量労働制の仕組み

裁量労働制は実労働時間に関わらず、一定の時間働いたとみなす制度ですが、何時間でも働いて良い制度ということではありません。そもそも「みなし労働時間」が設定されているので、労働時間の概念がない訳ではなく、労働時間の取り扱いも労働基準法の規制対象となります。制度を実施するにあたっては労使間で合意をしなければなりません。

また、労働時間が1日8時間、1週間40時間の法定労働時間を超える場合は、36協定を締結して超過時間分は割増賃金の支払いをする必要があります。その点は通常の労働契約と何ら変わりはなく、多くの場合は固定残業代を支給することで対応しています。

2-1.どこまでが労働者の裁量で決められるのか

裁量労働制では労働者の裁量で労働時間を決めることができます。したがって、いつ出退勤してもよく、労働時間も完全自由です。

みなし労働時間

裁量労働制の最大の特徴はみなし労働時間を採用している点です。労働基準法では1日8時間、1週間40時間の法定労働時間が定められていますが、より柔軟なスタイルで働いた方が成果がでる職種では、みなし労働時間を導入する企業も増えています。

しかし、みなし労働時間は経営者が勝手に決めて良い訳ではありません。労働時間の算出、決定に当たっては労使委員会を開催し、労使協定を結ぶ必要があります。さらに労働者の同意、労働基準監督署への届出が必要です。みなし労働時間はそれまでの状況を参考に算出されるので、通常あり得ない時間が設定されることはありませんが、機能が十分でない場合、違反前提で導入する場合は、実労働時間とみなし労働時間が乖離することもあるので要注意です。

みなし労働時間を採用する働き方の1つが「裁量労働制」でありもう1つは「事業場外みなし労働時間制」です。裁量労働制はさらに「専門業務型裁量労働制」と「企画業務型裁量労働制」の2つに分かれます。

残業

残業

裁量労働制はみなし労働時間を採用していますが「実労働時間に関わらず一定時間しか働いていないことにする制度」ではありません。

裁量労働制の場合、基本的に時間外労働の概念がないので残業代は発生しませんが、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える場合36協定を締結し、超過分については割増賃金を支払わなければなりません。

よって、裁量労働制=定額働かせ放題の経営者にお得なプラン...ということではないのです。しかし、裁量労働制の対象となる業務は、そもそも労働時間の概念がないことが多く、業界全体で長時間労働が蔓延しがちです。また、制度を悪用している会社では、自社の役員を労働者側の代表者にして労使交渉を行うこともあり、その結果、経営者に有利なみなし労働時間が設定されると、労働者側は不利になります。このように、裁量労働制は残業代を払わないために利用されることも多いので、十分注意する必要があります。

2-2.出勤日・時間帯を指定された場合は?

裁量労働制は基本的に労働時間を会社が決めることはできません。裁量労働制を導入するには苦情処理手続も設けられているので、もし労働時間を決められた場合は、組合や労働者の代表に苦情を言うことができます。

また、裁量労働制には基本的に残業代は発生しませんが、深夜・休日労働をさせる場合は手当を支払う義務があります。しかし、手当てが欲しいから深夜・休日に働く人が増えたら困るので、制度を悪用されないために深夜・休日労働を禁止にしている会社もあるようです。

休日出勤

基本的にみなし労働時間制は休日出勤に適用できません。また、裁量労働制であっても休日は一般労働者同様に設けなければならないので、もし休日出勤した場合には割増賃金を支払う義務を負います。

裁量労働制で休日出勤をした場合の手当の算出方法は次の通りです。

休日出勤した場合の手当の算出方法
  • 法定外休日=基礎賃金×1.25
  • 法定休日=基礎賃金×1.35

ちなみに、法定休日とは1週間に1回 or 4週間に4回以上の休日のことで、法定外休日は法定休日以外の休みのことです。上記法定休日は最低ラインなので、1週間に1回以上でも認められます。例えば週休2日で土日が休みの場合、日曜を法定休日、土曜日を法定外休日とすることもできますが、両日法定休日とすることも可能です。法定休日が増えれば労働者のメリットになるので、増える分には特に問題はありません。一方、法定休日については勝手に日数を減らすことはできません。

深夜労働

裁量労働制には残業代はつきませんが、深夜労働については手当てが発生します。対象となる時間は夜22時~翌5時の間で、この時間帯に労働をする場合で、固定残業代の取り決めがない場合は、深夜労働手当として基礎賃金×1.5の割増賃金を支払う義務があります。

3.裁量労働制の対象業務・職種

裁量労働制の対象業務・職種

裁量労働制はどんな業務・職種でも導入できる訳ではありません。導入できるのは裁量労働制度のほうが効率的である仕事に限られます。

3-1.専門業務型裁量労働制

専門業務型裁量労働制は、仕事のやり方や時間配分など、業務遂行のプロセスの大部分が労働者の裁量に委ねられる業務において、実労働時間に関わらず一定時間働いたとみなす制度です。対象となる業務は国が認めたものに限られ、現状次の業務が対象となっています。

専門業務型裁量労働制に該当する職種
  • エンジニア
  • 大学教授
  • 弁護士、公認会計士など各種士業
  • 研究・開発
  • デザイナー
  • コピーライター
  • 証券アナリスト
  • 建築士
  • プロデューサー
  • ディレクター

上記は対象職種の一例で、他にもまだあります。なお、制度を導入する際には、健康・福祉確保措置、苦情処理措置を設けることが義務付けられています。

3-2.企画業務型裁量労働制

企画業務型裁量労働制は、本社・本店など事業運営上で重要な決定が下される場合で、企画、立案、調査など携わるホワイトカラー労働者を対象とした労働制度です。導入に当たっては労使委員会を設置し、規定の全ての事項で5分の4以上の決議が必要です。その点で専門業務型よりルールは厳格で、導入のハードルはそれなりに高いのが特徴です。

4.裁量労働制のメリット

裁量労働制のメリット

裁量労働制は効率的に働いて成果をあげるための制度であり、正しく運用すれば、本来企業にも従業員もWin-Winの関係になる制度です。ここでは裁量労働制のそれぞれのメリットについて解説します。

4-1.企業側

・人件費が一定

裁量労働制はみなし労働時間制を採用しているので、基本的に残業代を支払う必要がありません。深夜・休日労働については手当を払う必要がありますが、そうでなければ毎月同じ給与を支払うことになるので、人件費を早い段階で予測できるのは事業戦略上大きなメリットです。

・労務管理がしやすい

通常の労働形態の場合は、従業員一人ひとりの残業時間を計算して、労働時間に比例した給与を支払わなければなりません。毎月の労働時間および給与計算は管理者にとって大きな負担であり、その作業だけで数日消費してしまうことも珍しくありません。しかし、裁量労働制を導入すれば労働時間の管理、給与計算は格段に楽になります。労務管理の負担が減ればそれだけ本業に注力できるようになるでしょう。

4-2.労働者側

・労働時間を短縮できる

裁量労働制は実労働時間に関わらず一定の時間働いたとみなす制度なので、みなし労働時間より少ない時間しか働いていなかったとしても、効率的に仕事を終わらせることができれば、一定の給与を貰うことができます。短い拘束時間で多くの給与を受け取れるのは裁量労働制の醍醐味です。

・ライフスタイルに合わせて働ける

裁量労働制は出退勤時間の縛りがないため、各人のライフスタイルに合わせて働くことができます。仕事の進め方も労働者の裁量に委ねられるので、働く時間もやり方も完全自由です。マイペースで働きたい人にとってはこれ以上ない働き方です。

5.裁量労働制の問題点と対策

裁量労働制の問題点と対策

裁量労働制は企業にも労働者にも多くのメリットがありますが、制度を悪用するとデメリットが生じやすい制度です。裁量労働制の問題点はどんなところなのでしょうか?またその対策はどうしたら良いのでしょうか。

5-1.実労働時間とみなし労働時間との乖離

裁量労働制は事前にみなし労働時間が設定されますが、実労働時間とみなし労働時間がかけ離れているケースもあります。みなし労働時間は会社側が勝手に決められることではなく、労使間で合意をしなければなりませんが、労働者の代表者に会社側の人間を送り込み、会社に有利な取り決めをすることもあり、その場合は実労働時間がみなし労働時間を遙かに上回ることもあります。そのような悪意がなくとも、業務の配分が適切でなく、従業員間で不公平が出るケースもあるでしょう。

裁量労働制を導入するときには苦情処理手続を設けることが要件なので、こうした場合は労働者の代表や組合に苦情の申し立てをして下さい。また、それでも解決しないときは労働基準監督署、または労働問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

もちろん、場合によっては個人的に業務効率化を図ることで問題解決することもあります。土台無理な仕事量であれば工夫の余地もありませんが、仕事のやり方を変えることで早く終われば、自分の時間が増えるので私生活も充実、裁量労働制本来のメリットを最大限享受できるでしょう。

5-2.長時間労働の常態化

裁量労働制は長時間労働が常態化しやすいとも指摘されています。現に残業代を支払わない口実に裁量労働制を導入し、まさに働かせ放題になっている会社も少なくありません。裁量労働制は通常勤務に比べても長時間労働になりやすいと言われていており、次の調査結果でもその実態が反映されています。

月平均老時間(労働政策研究・研修機構の2013年調査)
  • 専門業務型裁量労働制:203.8時間
  • 企画業務型裁量労働制:194.4時間
  • 通常勤務:186.7時間

裁量労働制の会社で長時間労働が常態化している場合は、労働基準監督署か弁護士に相談をすることをおすすめします。

5-3.裁量労働制制度悪用対策

裁量労働制を適用できるのは、労働者が自己の裁量で働ける職種に限定されます。しかし、裁量労働制にすればみなし労働時間分以上の給与を支払わなくて良いことから、裁量権のない職種にまで拡大適用している会社もあり、これについては制度を悪用していると言うほかありません。

例えば、システムエンジニア(SE)は裁量労働制の適用職種ですが、プログラマーは対象外です。過去、プログラマーや営業として働いているにも関わらずSEとして裁量労働制を適用し、厳しいノルマ、納期、長時間労働を従業員に課した会社が労働裁判で訴えられ、1千万円以上の未払い賃金の支払い命令が下されたこともあります。みなし労働時間制度は、会社側にしてみると「払った分は働いてもらう」という発想になりやすく、制度が悪用されやすい面があります。そのため、何か疑問に思ったことがあれば、労働組合に相談するのもアリですが、労基署か弁護士に相談することをおすすめします。

5-4.割増賃金の不払い

裁量労働制には残業代はでませんが、深夜労働や休日出勤については割増賃金を払ってもらうことができます。ところが、中には従業員の知識のなさに付け込み、みなし労働時間であることを盾に手当を支払わない会社もあります。そのような場合は、やはり労基署か弁護士に相談をするようにして下さい。弁護士相談については自治体、法テラス、弁護士会が無料相談会を実施しています。1回30分程相談できるので、気になることがある方はそうした機会を利用するのも一手でしょう。

割増賃金の不払いで損をするのは従業員だけではありません。賃金不払いは企業にとってもリスクが高く、トラブルが深刻化すると訴訟に発展するケースもあります。そのため裁量労働制であっても出退勤時間はきちんと管理する必要があります。もし、管理する時間がない、人手がない、という場合は勤怠管理システムを導入することをおすすめします。勤怠管理ツールを利用すれば、休日出勤、深夜労働の集計も自動で行うので、管理業務の負担を大幅に減らすことができるでしょう。

6.まとめ

まとめ

いかがでしたでしょうか。裁量労働制は本来、従業員が労働時間に縛られずに効率よく仕事を進め、能力に見合った正当な評価を得るための制度です。しかし、みなし労働時間で働くので基本的に残業代がつかず、実労働時間とみなし労働時間がかけ離れている場合は、定額働かせ放題のブラック制度と見られてしまうでしょう。

裁量労働制によく似ている制度として、高度プロフェッショナル制度、事業場外みなし労働時間制、みなし残業制度、フレックスタイム制度の4つがあり、いずれも効率良く働けば従業員が得をする制度なのですが、どれも残業代を払わない口実に悪用されることもあるので注意が必要です。

裁量労働制を導入できる職種は専門業務型と企画業務型の2種類で、該当職種も細かく決められています。企業は拡大解釈して勝手に裁量労働制を適用することはできず、違反して訴えられた場合は残業代の支払いを命じられることになるので、制度は正しく運用しなければなりません。

もし、今現在、裁量労働制によって不利な立場に置かれている方は、労働基準監督署か労働問題に詳しい弁護士に相談をすることをおすすめします。また、管理者の方で裁量労働制の休日出勤、深夜勤務の管理でお困りの場合は、勤怠管理システムの利用を検討しましょう。ツールを使えば労働時間は自動管理されるので、管理業務は圧倒的に楽になります。業務負担を軽減して経営効の率化を目指す方には断然おすすめです。無料トライアルできるツールも沢山あるので、ぜひ一度試しに使ってみて下さい。

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