【今日役に立つビジネス法務第19回】トラブルを未然に防ぐソフトウェア保守契約の3つのポイント

2015年10月27日
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今回は、ソフトウェア開発が完了した後の保守契約についてお話します。昨今では、保守なしで継続的に利用できるプログラムはないといわれるほど、ソフトウェアの開発完了後の保守が重要視されており、開発終了後にソフトウェアの運用をしながら保守作業を通じてソフトウェアの調整、品質向上をしていくことを前提に開発の委託をすることも多くなっています。

そこで今回は、ソフトウェア保守契約で重要なポイントを確認していきましょう。

 

1. 保守業務の内容・範囲を明確にすること

この点が、保守契約を締結する際に一番重要で、トラブルも最も多いところです。具体的には、

(1) 対象ソフトウェア
(2) 契約範囲内の作業

の2点を契約書で特定・明確化することが重要です。以下、それぞれについて見ていきます。

 

(1) 対象ソフトウェア

対象ソフトウェアはお互いの共通認識なっていることがほとんどですので、問題になることはそれほど多くありません。ただし、同じソフトウェアで複数のバージョンがあり、保守を行うのはその一部のみの場合、対象のソフトウェアを開発した事業者ではない事業者に保守の依頼をする場合等、どのソフトウェアの保守契約なのか混乱が生じそうなときは、はっきりと「このソフトウェア」とわかる情報を契約書に明記するようにしましょう。

例えば、下記のような事項を記載してソフトウェアを特定することが多いです。

  • ソフトウェア名称
  • バージョン
  • 対応OS

なお、ソフトウェアがバージョンアップをした後も自動的に保守契約が適用されるのか、契約の結び直しが必要なのか等についても、契約時に取り決めておきましょう。

 

(2) 契約範囲内の作業

どこまでが保守契約の範囲に含まれるのかは契約ごとにさまざまで、認識の齟齬が生じやすいところです。そのため、こちらもトラブルの多い部分でもあります。「契約範囲内に含まれていると思ったのに、別料金を請求された」、「24時間対応だと思っていたのに、連休に全く対応してもらえずサービスがストップしてしまった」、「思わぬ無償対応を強いられた」…等々、「思っていたのと違う!」という困った事態に遭遇しやすい部分です。

ソフトウェアの保守契約で、受託者の業務内容に含まれるもののうち代表的なものは下記のような作業です。

(1) 稼働不良の場合の対応
(2) 障害への対応
(3) 機能変更
(4) 問い合わせへの対応
(5) OS・使用プログラムのバージョンアップ等の情報提供

(3) 機能変更」は別途見積り・別契約での対応となっているケースが多いです。もっとも、どのような場合が別見積り対応になる「機能変更」に該当するのかが曖昧だと、結局保守対応の可否でもめることになりかねませんので、現実的には難しい部分ではありますが、できる限りその範囲を明確に特定するようにしましょう。

(4) 問い合わせへの対応」については、エンドユーザーからの直接の問い合わせへも対応をするのか? 受託者の営業時間以外でも対応が可能か? 等の取り決めをすることが多いです。特に、受託者サイドとしては、対応時間帯を明記しておかないと、営業時間にかかわらず委託者から保守対応を迫られることになりかねませんので、対応時間帯はしっかりと定めておきたいところです。

また、保守対応の範囲として、「インシデント対応」方式をとることもあります。その内容も様々ですが、保守契約に記載された業務を無制限に同料金で行うのではなく、1インシデント毎に料金が発生する方法、対応の上限回数等を決めておき、それ以上の対応を委託者が希望する場合にはインシデントチケットの購入が必要とする方法等がとられています。インシデントチケットの購入方式をとる場合には、未消化のチケットの取扱いも定めておくことが必要でしょう。

締結する保守契約に、やってほしい業務、対応予定の業務が過不足なく明記されていなければ、後にトラブルになりかねません。その時々の契約・料金の範囲でどのような業務内容が含まれるのか、委託者・受託者ともにしっかりと確認をしましょう。

 

2. 保守対象外の範囲、対象外業務の取扱い

上記1で記載したように、保守契約では保守対象の業務をしっかりと明記しておくことが重要です。その一方で、対象外の範囲を明記するという対応をすることも多いです。

「契約書で明記した対象業務以外はすべて範囲外」とする契約書も多いですが、委託者が範囲外の業務を認識できるよう、例えば「委託者がソフトウェアを勝手にいじってしまった場合」等を保守対応の範囲外として明記することも検討しましょう。

また、保守対象外の業務を委託者が希望する際の対応も取り決めておくと良いでしょう。代表的な対応としては、(1) 別料金や割増料金を支払えば対応可、(2) 受託の可否も含め別見積、(3) 一切対応不可、の類型があります。

このような取り決めをすることは、受託者側が想定外の範囲について無償で対応しなければならないといった事態を避けられるだけではなく、委託者側にとっても、保守契約の対象外の業務について別予算を設けておく、他の業者の利用を想定しておく…等、対応方針をあらかじめ検討できるというメリットがあります。

 

3. 料金体系を明確にすること

保守契約の料金は月額制年額制をとることが多いですが、先に述べたようなインシデント制をとる契約もあります。また、追加費用が発生する場合があるか、どのような場合に発生するのかはできるだけ明確にしておくことが望ましいでしょう。

もちろん、料金は1,2で述べたような保守契約の内容に応じて定められます。委託者・受託者共に、対象業務と料金が見合っているかはよく確認すると良いでしょう。

 

最後に

ひとくちに「保守契約」といっても、その内容はさまざまです。「思っていたのと違う!」…となってしまわないよう、慎重に内容を検討して契約を締結しましょう。

GVA法律事務所

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